少女たちに魅せられて

主にプリキュアとラブライブの感想や考察を挙げていきます

Hugっとプリキュア考察 〜プリキュアとクライアス社の目的と矛盾(39話時点)

2020-11-29 17:34:39 | Hugっとプリキュア考察

残り10話を切ったHugっとプリキュア

ハリーやクライアス社の過去が明らかになる中で

今一度両者の立ち位置を整理していきたい

(話数を書いていない言葉はすべて39話です)

 

まず39話におけるリストルとエールの

対話のシーンである

 

「大人とか子どもとか関係ない

 あなたにも明日はある!」

 

「俺はただ絶望するための未来など必要ない!」

 

「そうだね、だから未来は

 素敵なものにしなくちゃね

 ハグたんがダンスをできるようになったり

   大きくなっておしゃべりすることが増えたり

 それが未来、だから未来は

 とっても愛おしいものなんだ!」

 

野乃さんが神なのは言うまでもないが

リストルの考えを否定するのは難しい

なぜなら彼は未来から来たからだ

そこで彼はアスパワワを失い荒廃した

ハリハム地区を目の当たりにしている

 

 

だがここで1つの疑問が浮かぶ

なぜ彼はクライアス社についたのか

ハリハム地区を荒廃させたのは

他でもなく彼らではないのだろうか

これについてはドクタートラウムが

こう説明するシーンがある

 

「おいおい、これはクライアス社のせいじゃない

 未来とは夢見た結果だけを

 運ぶものではないからね」

 

果たしてこれはクライアス社が

関与していないことを意味するのか

それともクライアス社のしわざだが

そうでなくてもこうなることは

必然だったととるべきなのか

ここから読みとることは難しい

だがリストルが

 

「まだわからないのかハリー

 強大な力の前では我々は無力なんだ!」

 

と言っていることから考えると

たとえクライアス社がハリハム地区崩壊の

犯人であってもリストルがクライアス社に

ついていることは不思議ではない

(リストルが浄化されたあと

 彼がクライに対しお前が憎いと

 言ったことからもその可能性は高いだろう)

 

 

そしておもしろいのは同じ境遇である

ハリーとリストルの考え方が真逆である点だ

リストルの考えは先程述べたが

ハリーの考えは次の言葉からわかる

 

「俺は未来を信じるって決めたんや

 どんな強大な力にだって仲間を信じて

 手を取り合えば奇跡は起きる

 それをお前ら(プリキュア)が教えてくれた」

 

 

話がそれるが考察のタイトルの矛盾について

少し触れておく

クライアス社の言う未来と

プリキュアの言う未来はイコールではない

クライアス社は未来から来たのでトゲパワワが

充満し時間が止まった世界が「現在」である

(時が止まった世界に過去や未来の概念が

 存在するのかという話はあるが)

だがその世界こそがプリキュアにとっては

「未来」なのである

 

 

過去はかえられない

でも未来を作ることはできる

それがこの作品における前提である

したがってハリーさんが過去に戻って

何をしようとも彼らの「現在」の世界が

変わることはないはずである

だがそれならばプリキュアの

「未来」はどうなるのだろうか

ハリーさんたちの視点に立つならば

明日のために彼女たちがどれだけ

がんばろうと時が止まることは

必然ということになる

したがって未来を作ることができる

という理念に反する

この矛盾はどう乗り越えるのだろうか

 

 

話を戻すがハリーとリストルの違い

それはもちろんプリキュアの存在である

ハリーを過去に送り出しのも

キュアトゥモローであり

彼に未来を信じる勇気も与えたのも

現在のプリキュアたちである

対してリストルにはそれがなかった

あったのはクライアス社だけである

 

 

端的に言えばアスパワワに

包まれていたのがハリー

トゲパワワに囲まれていたのが

リストルである

だから両者の世界観は真逆になったのだろう

 

 

そしてプリキュアとクライアス社についても

同じことが言える

つまりプリキュアはアスパワワがあるから

未来を信じられる

対してクライアス社はトゲパワワがあるから

未来を信じられないということだ

 

 

さらに言えば未来を信じないと

過去を肯定することもできない

過去があったから今がある

その前提なしに未来という発想は

生まれ得ないためである

だからクライアス社には

時を止める以外に選択肢はないのだ

 

「時間を止めよう

 皆が笑顔のまま暮らせるように

 ともに終わらぬ永遠を」

 

クライのこの言葉に対してプリキュアは果たして

どんな回答を出すのだろうか


Hugっとプリキュア考察~若宮アンリの心(33話時点)

2020-11-27 11:28:35 | Hugっとプリキュア考察

Hugっとプリキュアにはプリキュアの他にも

非常に興味深い人物が存在する

それが若宮アンリだ

今回はそんな彼について振り返っていきたい

 

 

彼の登場は衝撃的だった

彼はイケメンフィギュアスケーター

という設定だが、もう一つ大きな特徴がある

それが女装だ

いや、彼にとってはただ自分が

美しいと思うもの、好きなものを

着たいというだけなのであるが

プリキュアにおいてドレスを着る男

というのはあまり例がない

 

そしてもう1つ彼を印象づけた

キュアエールの衝撃的な言葉がある

 

「男の子だってお姫様になれる」(19話)

 

つまり若宮君は戦う女の子とは対象的な

守られる男という概念を積極的に取り入れた

そんな存在なのである

 

 

そしてここからが本題なのだが

彼はクライアス社にスカウトされた

 

「誘われるならプリキュアだと思ってたな」(33話)

 

私も彼に男プリキュアの期待をかけていた

だが現実には誘われたのは敵組織

 

 

思えばクライアス社の女幹部(元も含め)

もただ愛を求めていた存在である

愛と自己中は表裏一体

と言うより愛の中にも自己中は必ずある

それはドキドキプリキュアが示したが

実はプリキュアと戦う敵も根本にある想いは

プリキュアと大きな違いはないのかもしれない

 

 

話がそれたが若宮君は確かに悩んでいた

クライアス社に入るのをエミルさんに

止められたとき、彼は言った

 

「生きづらい時代だね

 みんな他人のことを気にしている

 一人になれば何も気にしないで済むのにな」

(33話)

 

彼は自由に生きることを望んでいる

彼の女装癖もそれを示していよう

だが、他人のことを気にしているのは

彼も例外ではないのである

なぜならばフィギュアスケートの

性質上他者からの評価を気にしないことは

不可能に近いものだからだ

 

 

そしてえみるさんは彼にこう伝えている

 

「アンリさんにも教えてもらったことがあります

 それは自分を愛することです」(33話)

 

 

彼女もまた悩んでいた

テレビでツインラブ

(ルールー&えみるのグループである)

を批判され落ち込んでいたのだ

えみる自身もともと友達が多かったわけではない

そのため野乃さんたちといられる今の時間が

どれほど大切なのか

それを誰よりも実感しているのである

しかし他人に気を使いすぎるあまり

自分を潰してしまっては元も子もない

その末裔がパップルのような

クライアス社女性職員なのかもしれない

その意味ではルールー&えみるは

クライアス社を離れた存在と

クライアス社に最も近い存在

というコンビなのかもしれない

 

 

若宮君の話に戻ると

彼は最終的に社の誘いを断った

 

「確かに生きることが辛いときがある

 ぼくはひねくれてるし

 誰かのためにがんばることなんてできない

 でもフレッフレップリキュアー

 輝く未来を僕たちにーー!!」(33話)

 

彼が初めてプリキュアさんたちの前に

現れた目的はほまれさんをロシアに

連れて行くことであった

その時彼は野乃さんに言った

 

「その無責任ながんばれが 

 彼女の重荷になっているんだよ」(8話)

 

この言葉は野乃さんの重荷になったわけだが

以前も書いたように彼女はそれを乗り越えた

今回の話でも野乃さんは

 

「二人の悩み理解できるって

 言ったら嘘になっちゃう

 でもね、私はそんな二人の手を離さない

 二人が苦しいときはそばにいたいんだ」(33話)

 

と言った

その想いは確実に若宮君に伝わっていよう

なぜなら自分では何もできなくても

がんばっているプリキュアを彼は応援したからだ

またも野乃さんの応援は一人の人間を変えたのだ

 

 

だが話はここで終わらない

若宮くんはまだ誰にも

明かしていないが足に怪我を負っている

彼のアイデンティティの一つである

スケートが奪われたとき

果たして彼は何に気づくのか

そしてプリキュアに覚醒する日は来るのだろうか


Hugっとプリキュア考察 〜今後の展開予想(23話時点)

2020-11-22 13:16:07 | Hugっとプリキュア考察

過去と未来の対立はHUGっとで提示された

重要なテーマの一つである

今回はそんなプリキュアと敵の

ぶつかり合いの先に何があるのか

それを予想していきたい

 

 

明日を信じて未来を守るのか

時間を止めて苦しみのない世界を作るのか

前作のプリキュアアラモードでは

好きと嫌いの論争の果てに

敵が出した結論はどちらもいらない

感情のない世界を作るであった

それと同様に考えると

HUGっとにおいて両者の主張をかき消すのは

「時間という概念がない世界」

ではないだろうか

これはどういう世界か

私が考えたのは我々が生まれる前

私たちの存在自体がない世界である 

 

 

そもそも敵の時間を止めるという思想は

新たな苦しみは生まないが

今ある苦しみ全てを消し去るわけではない

今もそして過去も、さらに前の過去から

見れば未来である

だからプリキュアの未来思考の考えを

否定することは同時に敵が止めた今の時間をも

否定することになってしまう

 

 

逆に敵の思考を全て否定するとなると

プリキュアの思想にもほつれが生じる

なぜなら過ぎ去った時間に価値がなければ

いつか過去になってしまう未来の価値も

揺らいでしまうからだ

 

 

つまりこの両者の主張は根本的には

同じ問題を抱えている

だからこの2つの考えと対局な位置にある

「時間という概念がない世界」が

(そもそも生まれていない世界なのだが)

最終的に敵が提示する思想であると思うのだ

 

 

そしてこの考えは必ずしも誤りだとは言えない

例えば仏教では生き物は全て

輪廻の苦しみの中にあるが

いつかは解脱し究極の安らぎを

得るべき存在であると考える

解脱というのはこの時間軸から

解放されることも含まれる

つまり「時間という概念がない世界」

にかなり近いものであるのだ

 

 

このように私は最終クールにおける敵の行動は

時間という概念のない世界

我々がそもそも存在しない世界を

創造することであると想像する

あくまで予想ではあるが

まずは秋映画までにプリキュアたちが

そのテーマである「思い出」について

どれだけ深めていくのか楽しみにしたい


Hugっとプリキュア考察 〜ルールーと心その2(22話時点)

2020-11-16 07:50:03 | Hugっとプリキュア考察

Hugっとに初代のふたりが

登場したことが話題になったが

同時にえみるとルールーの関係にも

大きな進展がみられた

果たしてアンドロイドであるルールーの心は

どう変化したのか

引き続き考えていきたい

 

 

前回の考察ではルールーを変えたのは

「好き」すなわち「愛」であると結論づけたが

初代が登場した22話ではルールーとえみるの愛

敵であるパップルさんの愛の

2種類の愛が描かれていた

 

 

えみるとルールーは

互いを傷つけたくない想いから

すれ違いが生じてしまった

だが互いの気持ちをぶつけ合うことで

より愛を深めることができた

 

 

対してパップルさんは愛していた人

に裏切られ絶望に陥る

きっとあの人なら止めにきてくれる

そんなかすかな希望さえも叶わず

結局自分がオシマイダーに

なってしまったのである

 

 

…ルールにとってはかつて自分を

傷つけた元上司であるパップルさん

だがオシマイダーになり、なおも苦しむ

彼女をみて最初に救おうと試みたのは

他でもないルールーであった

そしてルールー&えみるとパップルさんの

対話の中に愛についての1つの結論が

見えたように思える

 

「私は嘘というものがよくわかりません

 ただわかるのは、あなたがそんなに

 苦しむほどに人を愛したということです

 そこに嘘はないはずです

 あなたはすべてを失ったわけでは

 ありません、あなたにはまだ

 人を愛する心があります」(ルールー)

 

「愛する心を持ち続ければ

 必ず誰かに届きます

 愛は無敵なのです」(えみる)(22話)

 

この二人の言葉は何かもを失い

絶望に陥ったパップルさんに生きる希望を与えた

忘れてはならないのはパップルさんは

ルールーの記憶を一度消そうとさえした

張本人であるということである

彼女のこの姿勢はイエス・キリストのいう

「敵を愛し、迫害するもののために祈れ」

という精神そのものではないだろうか

思えば最初にミライクリスタルが

生まれたときえみるもルールーも

決してひとりで変身しようとはしなかった

あんなに憧れたプリキュアなのに

「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」

自分の夢と同じくらい大切なのは相手の夢

それを実践したふたりだからこそ

愛のプリキュアに覚醒できたのだろう

 

 

つまりパップルさんは愛する心はあるが

その愛する相手を失ったということである

プリキュアさんのすごいところは

見返りを求めない愛を与え続けることにあるが

一般人にはなかなか難しいだろう

そしてよく考えてみると

ふたりが言っているのは「愛」ではなく

愛する「心」である

愛する心を持ち続ければ誰かに届く

それは恋人かもしれないし

友達かもしれないし家族かもしれない

通りすがりの他人かもしれないし

もしかしたら以前に衝突したことのある

相手という可能性だってある

現にルールーの愛する心は

自分の敵であるパップルさんでさえ変えた

彼女たちの言う愛の力は

そんなところにあるのである

 

 

さて、いよいよ中盤の山場である

現れる強敵に対してプリキュアたちは

どのように挑んでいくのだろうか

 

Hugっとプリキュア考察 〜ルールーと心その1


Hugっとプリキュア考察 〜ルールーと心(17話時点)

2020-11-15 16:54:17 | Hugっとプリキュア考察

クライアス社製のアンドロイド

ルールー・アムール

彼女が社を裏切りプリキュアの側についた

彼女を動かしたのが「心」

今回はそんなルールーの心について考える

 

 

 

ルールはプリキュアの強さの源を探るため

クライアス社によって野乃家に送られた

そして野乃母の記憶を操作し

ホームステイとして潜入したのだ

 

 

そんなルールーに「心」が生まれたのは

キュアエールとしての野乃さんとの

最初の会話のシーンだった

ルールーに友達になれる根拠を

尋ねられた野乃さんはこう答えた

 

「ルールーの事が好きだから

 それじゃあだめ?」(13話)

 

この瞬間ルールーに心が生まれたのである

そして彼女の長い葛藤の日々が始まるのだ…

それ以降の彼女の心による行動は主に

 

・オシマイダーに襲われそうになった

 赤ちゃんたちの前で仁王立ち

 

・エミルのギターを否定した

 エミル兄に対して怒る

 

・ほまれさんから盗んだ

 ミライクリスタルを返す

 

の3つが挙げられる

特に3番目の行動によって

クライアス社に捕まってしまう

 

 

…記憶を消されクライアス社の

アンドロイドとして再び花たちの前に

立ちはだかったルールー

もはや彼女に心はない…はずだった

しかし記憶は消えていなかった

それどころか割とあっさり戻ってしまった

(これについて私はそもそもルールーに

 心は設計されていなかったため

 情報を操作しようともプログラムに 

 ないデータなので消すことはできなかった

 と解釈しています。)

しかしそのことがさらに彼女を苦しめるのだ

 

「これ以上あなたと、あなた達と

 触れ合っているとこの痛みが私のなかの

 正しい世界を壊していく…

 わかっているのですあなた達の力の源は心

 それが私の回路にバグを作った

 こんな痛みに苦しむくらいなら

 記憶は消されたままが良かった…」(17話)

 

彼女の中の正しい世界

それは未来を失い過去の想い出に

永遠に浸れる世界である

 

 

少し話がそれるが未来の不安から

逃れるため過去の世界に永遠に

という考えはレヴィンの言う

接近―回避型の欲求に当てはまる

(接近―回避型の欲求とは簡単に言うと

接近したいという欲求と避けたいという欲求が

併存しているときに起こる葛藤のことです

例えば勉強はしたくないがテストで良い点も

取りたいといった葛藤がこれにあたります)

未来というのは夢や希望がある反面

恐怖や不安も確かに存在する

このときに接近、つまり輝く未来を抱きしめ

希望を信じる選択をしたのがプリキュア

逆に回避、つまり未来を放棄し

不安を避ける選択をしたのがクライアス社なのだ

このような葛藤は私たちにも必ず起こる

そのとき私たちはプリキュアのような

選択ができるのだろうか

クライアス社は決して遠い存在ではないのだ

(もちろんやってることはひどいので

 ぜひとも倒していただきたいです

 思想がどうであろうとも

 他人を巻き込んではいけません)

 

 

話を戻すと未来がなく不安のない世界が

正義だとプログラミングされている彼女にとって

心というのはその不安を生み出す元凶である

だからプリキュアの力の源が心だと

認めざるを得なくなったとき

彼女の思考回路にバグが生じたのだ

 

 

そして自暴自棄になり野乃さんと

戦い続けるルールー

そんな彼女に野乃さんはこういった

 

「苦しいのは私も一緒だよ

 ルールーと戦いたくない

 さっきから体よりも胸の奥のほうが

 ずっと痛いんだよ」 

 

「なぜ?」と問うルールーに対して

 

「ルールーの事が好きだもん

 いまさら嫌いになんてなれない!」

 

この瞬間彼女のデータは上書きされ

クライアス社のアンドロイドから

野乃さんの家族、そして友達となったのだ

野乃さんたちは最後に言った

 

「それはきっとバグじゃないから」

「私達とおんなじ、心だよ」(以上17話)

 

 

思えば最初にルールーに感情を

芽生えさせたのも「好き」という言葉だった

一度裏切られたとしても

彼女のぶれない愛、それは「機械人形」

でしかなかったルールーさえも変えたのだ

そんな彼女だから劣等感を抱えながらも

他人を心から応援出来るのだろう

さて、今後ルールーはどうなるのか

今回は触れなかったがルールーの心を

「音楽」で動かした愛崎えみる

という人物も存在する

「心」を手に入れたルールー・アムールは

この先どう成長するのだろうか

そして史上初のアンドロイドプリキュアは

誕生するのだろうか