
自分中心にしゃべりすぎるということは、言い方を変えると、
人前で話すことに抵抗がないということじゃ。
また、トークに自信をもっているとも言える。これは、とても素敵な長所なのじゃよ。」
「えっ・・そうなんですか!」

誰もが人前で楽しく話せるわけではない。
トークに自信をもっているという強みは、とても大きな財産なのじゃ。
そちは自分の輝きをよく知らぬゆえ、欠点ばかりに目が行き、
自分の強みに気がついていないのじゃよ。」
「へーっ・・・、そんなこと言われたことないんでびっくりです!」

短所だと思っていたものをじっくり観察してみると、自分の長所が見えてくる。
まずは自分の中にある輝きを知ること。これがとても大事なことなんじゃ。」
わたしはなんでも仙人の言葉を、じっくりかみ締めるように頷いた。

話すのが苦手な者も、決して落ち込む必要はない。
苦手なことの裏側には、必ず長所が隠れている。
聞き上手だったり、まわりを観察する力が素晴らしかったり・・・。
見つけようと思えば、その者の長所や可能性を、わしはいくらでも見つけることができる。」
「すごいですね!なんでも仙人!」

人生損しているとは思わんかね?」
「本当ですね。」
私はだんだん元気が湧いてくるような気がした。

自分の存在がちっぽけに見えてしまう。他の者と比較して落ち込んだりもする。
しかしすでにもっている自分の輝きに焦点が合った時、
『自分にもこんないいところがあったんだ』と気づく。
この気づきがとても大切なのじゃよ。
この瞬間、自尊感情がググンと高まる。

「自尊感情?」

そう言うと、なんでも仙人はパチンと指をはじいた。
ハラハラと落ちてくる半紙。
自分は大切な人間である
自分は必要とされている
自分は役立っている
自分はここに居てもいいんだなぁ
自分は愛されている
自分のことが好きである
わたしはこの文字をじっと眺めた。
いい言葉だった。
こんなふうに思えたら、きっと人生は楽しいだろうな。
なんでも仙人はわたしの心の動きを見守るように、一呼吸置いてから、ゆっくりと話し出した。

自分のことを認めてあげられた時、この自尊感情がググっとアップする。
するとエネルギーが湧いてくるのじゃ。
生きる力となるエネルギー。
前へ進んでいくための自信や勇気となるエネルギー。
何かを生み出すエネルギー。
このエネルギーの量は、自己否定の感情をもったまま頑張っていた時よりも、
実に何倍ものエネルギーとなる。分かるかね?」
「分かります。」

魂は全体で向上する方向へと進んでいる。みなで学びあっている。
奇跡的な組み合わせで出来事が起こるのは、
もっと楽にうまくいく方法があることを、そちらに気付かせたいがためなのじゃ。」
「ほへっ~・・。」
そうなんだぁ! わたしは心の中で深くうなった。
世の中はそんなしくみになっていたのか。
目からうろこが落ちるとは、このことだ。
なんだかなんでも仙人が、だんだん神々しく見えてきた。
するとドサッという音がして、ソファに倒れこむなんでも仙人。
「どっ、どうしたんですか?なんでも仙人!」

おいおい・・・。


『あなたの苦手なことは、何ですか?』
『あなたの強みはなんですか?』