「あの~・・・ 向上することが楽に生きることって・・・、
なんか怠けてる気がしませんか?
確かになんでも仙人は、いつもお気楽そうですけど・・・。」

「ふぉっふぉっふぉっ・・・わしは気楽じゃぞ~♪。
そちは顔に似合わず、真面目よのぉ。」
「なっ! ・・・顔に似合わずはよけいです!」

「まぁまぁ。わしの言う『楽に生きる』とはな、怠けることではないのじゃ。
楽に生きるとは、『自分も相手も楽になれる生き方』のことじゃよ。つまり
『こだわりをなくす』ということじゃな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ほぅ。」

「そち、分かっとらんじゃろう?例えば、そちの日常でみてみようかのぉ。
そちは先日自宅用に、お気に入りのふわふわスリッパを三足買ってきたじゃろ?
ほれっ、かかとがある靴のような形のスリッパじゃよ。」
「はい、買ってきました。あれ、あったかいしお気に入りなんですよね~。」

「そのスリッパをそちは大切に使っているが、
夫はかかとを踏んで使っている。」
「そうなんですよ!夫は三足全部踵をふんで履くので、腹がたっちゃって!
ちょっとなんでも仙人からも、夫に注意してやってくださいよ!」

「なんで?」
「なんで?って・・・、かかとを踏んで履くのは、良くないことでしょ!」

「ほう、そちはそう思うわけじゃ。」
「えっ、なんでも仙人は違うんですか?私が間違ってるっていうんですか!」

「そんなことは言っとらんよ。」
「靴の踵を踏んで履くといけないよって、子供の頃教わりませんでした?
靴の形も崩れるし、一般的に靴のかかとを踏むのは、行儀が悪いことなんです!」

「まぁまぁ・・・そう唾を飛ばさずに。
さて、そちの夫は普段会社に行く時に、靴のかかとを踏んで履いておるかね?」
「いえ。かかとを踏んで履くのは、家のスリッパだけですが・・・。」

「なるほど。
ではなぜ夫は、普段は靴の踵を踏まぬのに、
家のスリッパの踵は踏んで履くのか分かるかね?」
「えっ・・・・・?」

「夫の足のサイズに対し、スリッパが少し窮屈だったのじゃよ。
急いでいると履き辛い。ゆえ、かかとを踏んでしまう。」
「あっ・・・。」

「さらに言えば、夫はその小さめのスリッパに対し、
買ってきた妻に文句も言わずに履いていた・・・ということになる。」
「あららっ・・・・。」

「分かるかな?『どっちが正しいか』で言い合うと、ケンカになる。
相手を責めとうなろう?
お互いに大切にしているものが、違っている場合があるのじゃ。」
「大切にしているもの?」

「そうじゃよ。
そちはふわふわスリッパの履き心地を大切にしている。
夫は、ちょっと小さめのスリッパじゃが、
妻に文句を言ってケンカするよりは、
そのまま踵を踏んで履けば使えるんだから、それでいっかぁと思った。
つまり夫は、夫婦のつまらない言い合いをしないことを大切にしているということ。」
「むむむっ・・・なるほど。ううむ・・・。」

「なんちゅう変な顔しとるんじゃ(苦笑)」
「変って・・・!もぅひどいじゃないですか! 感心してるんですよ。
今までそんなふうに考えたことがなかったんで・・・・。なるほどなぁと思って。」

「ふむ。人はな、大切にしているものが、
人により違っている場合があるのじゃ。
自分が大切にしているものは何か?
相手が大切にしているものは何か?
その違いを知ることが、とても大切なことなんじゃよ。」
「そうですね。」

「戦争もそうじゃよ。
お互いの国が、自分たちの考えが正しいと思っている。
正しいか正しくないかで言い合うゆえ、ケンカになる。
大切にしているものが国により違う。
自分の国の人々が大切にしているものは何か?
相手の国の人々が大切にしているものは何か?
その違いを知ると、そこからいろんなものが見えてくる。」
「なるほど・・・。深いですね。」

「違いを知った上で、次にできることは何か?
それは双方が歩み寄れるポイントを見つけることじゃ。
例えばそちのふわふわスリッパでみてみると・・・、」
「なんか例えが急に小さくなりましたね。(苦笑)。」

「いや、真理を例えるに、大きいも小さいもないのじゃ。
真理とは実にシンプルなのじゃよ。
ゆえ、どんな出来事にも当てはめることができる。
で、そちのふわふわスリッパでみると・・・。」
「ふわふわスリッパを強調するのやめてください。(苦笑)」

「ふぉっふぉっふぉっ。
そちと夫がお互いに大切にしていることを踏まえたうえで、
歩み寄れるポイントがあるとしたら、それは
自分専用のスリッパを決めて履くことじゃな。
さすれば、そちはスリッパのふわふわ感を楽しめるし、
夫は踵を踏んではいても、自分用のスリッパなので問題がない。」
「なるほど。」

「これが楽に生きるということ。つまり自分も相手も楽になれる生き方のこと。」

なんでも仙人のミニワーク
『あなたが大切にしていることはなんですか?』