いつかのキャバリーマン

だらだら生きていたぐーたら大学生がキャバ○ラ経営者にのし上がる。~人生は20代をどう生きるかで決まる!~

「欲求を数字化する」いつかのキャバリーマン Vol.21

2006年04月27日 | 日記
指名係をやり始めて、数ヶ月がたった。
指名係の仕事は司令塔であると同時に、様々な数字が露骨に成績表となって現れる。

例えば、
・売上
・総指名本数
・延長率
・労働生産性 などなど。
 店の運営の根幹となる数字ばかりだ。

指名係が一番重要視しなければならない数字がある。

それは「延長率」だ。
これは例えば10組のお客様が入店し、時間延長を行った組数が5組の場合延長率は50%となる。

50%以下だと 黄色信号の要注意。
50%~60%で 安全圏。
61%以上で  優良店舗だ。 

この数字が指名係にとってなぜ重要視する必要があるかというと、その日の顧客満足度をダイレクト
に反映する数字だからだ。

キャバクラは時間制だ。
例えば、1時間(延長なし)の場合は10,000円
    2時間(1時間延長)の場合は20,000円

延長すると、料金は2倍程度になる。それでももう少しこの場に居たい、という欲求を生み出せている
かどうかが分かる。この欲求こそが店の売上げを支える根幹となるのだ。
キャバクラに飲みに来る人で1万円しか持っていない人などいない。
延長しないってことは単純に面白くないのだ。

そして毎日、毎日の顧客満足度にこだわることは将来のリピート数に大きく影響する。

仕事をする上で、数字にできないようなお客様の心理や欲求を数字化しそこに徹底的にこだわること
は非常に重要なのだ。

日頃の業務で目先の売上げや会員数などのマクロ的な数字だけに目が行っていないだろうか?

マクロ的な数字には様々な要因が絡み、それだけに注視すると、本当の売上げを支える根幹を見落とし
がちになる。結局お金を生み出す要因はシンプルで、お客様の欲求そのものだと思う。
そこをしっかり把握し、コントロールできている会社は強い。また、逆にお客様の欲求を無視し
マクロ的な数字を作ることに目線が行っている会社は危うい。



数字が評価の対象となるようになって、からの僕は今までの「仕事ができない奴」とちょっと違った。
最初に大きな失敗をしたが、地道な努力で周りの人間からの信頼を回復してからは、最強だった。
様々な数字的な記録を更新し、僕は勝って、勝って勝ちまくった。

別に、人に勝つことなどあまり意識していなかったが・・・
そして、気がついたら負けた人は全員僕の部下となっていた。

つづく。

「地道なコミュニケーションで信頼を取り戻せ!」いつかのキャバリーマン Vol.20

2006年04月26日 | 日記
僕は、指名係の仕事を始めてすぐコンパニオンからの総スカンを喰らった。
指名係をはじめて数日だったが、誰も僕の指示を聞かなくなっていた。

ショックは大きかったが、実直に周りの人の声に耳を傾けるとどうやら僕に
原因はあった。

つまり、僕は将棋の駒を動かすようにコンパニオンを使っていたのだ。
細かい心理の変化を気にせずお客様の席の残り時間だけを気にしてあっち
行け、こっち行けと指示を出していたのだ。
そして、こんなことをすると店の中は噂が噂を生む仕組みがあって、簡単に反乱が
起こるのだ。

まいった。が、気づいた時には時既に遅し。大きな失敗をしてしまった。ピンチ!

結局しばらく、指名係を交代してもらうことにした。

いくら、役割や制度があったとしても、結局働いているのは人なのだ。
細かい気遣いや相手を理解すること、人との信頼関係の重要性を思い知らされた。


そして、僕はゼロからコンパニオンとの信頼関係を作ろうと必死に努力した。
毎日、毎日面談を行った。面談といっても、最初はクレームや悩みを聞くだけ
に徹し、相手を理解すること専念した。
相手の話に矛盾や明らかな嘘があったとしても真剣に耳を傾けた。

毎日、毎日5人~10人ほど面談を行った。
崩れた信頼を取り戻すことは並々ならぬ努力が要る。

聞く耳を持つこと。
真剣に相手と向き合いコミュニケーションをとること。
チームプレイにおいてこれほど重要なことはない。

そして、その努力が功を奏して、僕は再度指名係に返り咲くことになった。
初めて、指名係をパズルのようにやっていたときとまったく違った。
あんなに、席に付くのを躊躇していたコンパニオンが
自ら「次はどこ?」って申し出るようになった。


この人は、家族構成は何人で、犬を飼っていて、将来留学したいと思っている。
誰々と仲が良くって、誰々と仲が悪い。最近の趣味は・・・などの細かいことを理解しその上に今の心理状態に細心の注意を払う。
もちろん相手にも自分のことを良く知ってもらう必要がある。
そしてお互いの存在を認めあって初めて信頼関係が生まれる。

信頼関係を築き、継続することは不断の努力がいる。
その努力なしに司令塔の職はありえない。

僕は、その後も休まず面談を続けた。


こんな状況は、一般の企業でも大なり小なり起こることではないだろうか。
部署が変わって、その場の状況をしっかり把握せず、一方的な指示を出すと
反感を買う。反感が積もり積もって不信感を生み業務に支障を来たす。

毎日短い会話でもいいのでコミュニケーションをとる努力をすると大きく
業績は改善されるのでは?と思う。

つづく

「指名係ピンチ!」いつかのキャバリーマン Vol.19

2006年04月25日 | 日記
お店の司令塔である、指名係を初めてやったときは、なんだか店を動かしている
見たいですごく気持ちがよかった。

「これなら、できる!」と思った。

テーブル番号別の残り時間を計算し、コンパニオンを移動させる。
何気なくやってると、指示通りに人が動いてくれるので気持ちがいい。
やっと、与えられた仕事が最初からまともにできるようになった、と思った。

が、数日後になって、思い違い甚だしいことに気づかされるのだった。

「○○さん2番テーブルに行ってください」
つものように、コンパニオンに指示を出す。

その直後のコンパニオンの返事がその後の苦労を物語っていた。

「いや。」

「!?・・・・・・・・・」

事態があまり理解できなかった。
仕方なく、別のコンパニオンに急遽交代の指示を出した。

しばらくすると・・僕の指示でほとんど誰も動かなくなった。

それどころか、」コンパニオンからのクレーム&ボイコットの」」
集中砲火を受けることになった。

「しんどい」
「まだ私はタイムカード押してない」
「私ばっかりこき使ってひどい!」
「あのお客さんのところに行きたくない」
「トイレ」
「あの女の子と一緒にお客さんに付きたくない」
「もういや!」

なんてこった!!僕は司令塔のはずじゃなかったのか??
僕はとにかく、「お願いします」「お願いします」「もう少しがんばって」
とお願いし続けるしか手がなかった。

またまた、半泣き状態。

指名係が僕になってからこのザマだ。僕は人間としてこんなに信頼されてい
ないのか?人間不信になるほどショックだった。

なんでこうなるの??ピンチ!

つづく



「キャバクラ店員の花形業務」いつかのキャバリーマン18

2006年04月24日 | 日記
面接、入店フォロー、入店説明は店の運営上非常に重要な仕事だ。
広告費を大量にかけて、獲得できる人員は非常に限られたものなので、入店に関する業務上のミスは直接店の収益力の低下につながる。

今まで、ダメ人間扱いされてきた僕だが、こういった、仕事をやり始めてから、
僕を仕事ができない奴呼ばわりする人がいなくなったと思う。


そうこうしているうちに、チャンス?が廻ってきた。
キャバクラの仕事でもっとも花形である。「指名係」の仕事をすることになった。

指名係はキャバクラ実務の司令塔の役割でコンパニオンや他の従業員を手足のように動かし、サービスを組み立てていく。
この指名係のさじ加減で店の売り上げは大きく左右される重要なポストだ。
下手な指名係が1ヶ月店を回すと店は潰れるといわれているぐらいだ。
そして、唯一コンパニオンとの会話が許される仕事なのだ。

風貌は黒服にインカム。(トランシーバーみたいなもの)
ほとんど動かずじっと立って激しく頭を使う。瞬間で多くの判断を行う非常に
集中力のいる仕事だ。

指名係のメインの仕事は、コンパニオンをお客様につける組み合わせや
タイミングを考え動かすことだ。

具体的には・・・
まず、前提としてキャバクラは時間制だ。1時間(延長の場合は30分もある)
毎に料金は加算されていく。

通常1時間で3人のコンパニオンが交代で接客にあたる。つまり、20分ずつ
お客様に付く。
お客様にとっては1時間の遊びだが、指名係にとっては最後の15分~10分の間の
5分間が勝負なのだ。
この、5分間のお客様の満足度を最高潮にすることが、延長、さらにリピート
につながる。この5分間を最高の5分にするために指名係は様々な演出を仕掛ける。

たとえば、コンパニオンを交代させる順番だ。
コンパニオンには成績によりランク付けがされている。SA、A、B、Cの4段階。3人のコンパニオンを順番に一人のお客様に付けるのだが、
この順番にもコツがある。

セオリーは C(15分)→B(25分)→A(20分)
もしくは、 B(20分)→C(20分)→A(20分)

ただし、このランクは相対的にコンパニオンを評価したものであり、そのお客様に
とってそれが絶対とは限らない。
お客様の好みや心理を読みお客様毎に多少のアレンジを加える。
例えば年配のお客様には癒し系のコンパニオンを付けるなど。

席数が10席の場合、10席すべて残り時間をタイマーで確認し、
コンパニオンとお客様の膨大な組み合わせの中から、最適な配置を
分刻みに計算し、コンパニオンを移動させる。

そして、単なる組み合わせや時間の計算だけでなく、リアルタイムに変化する
お客様の表情を精緻に観察し、心理を読み取り、コンパニオンの付け方を工夫したり細かい指示を与えたりする。

まぁ、文章で書くと結構簡単そうに思えるかもしれないが、これが本当に難しい。
通算2年ほどはこの仕事をやっていただろうか。
指名係の仕事は奥が深くいまだに、究極とはいえないだろうな。

また、指名係の仕事を始めたてのときは別の意味でも大変苦労する。
次回にご紹介したい。

つづく。

「女性の強さ凄さ」いつかのキャバリーマン Vol.17

2006年04月21日 | 日記
面接が終わったら次は入店のための手続き。
確実に店で働いてもらうために様々な工夫がある。

まず、その日もしくは翌日に体験入店をしてもらう。
2時間~3時間ほど働いてもらって、店の雰囲気や仕事に慣れてもらうのだ。
体験入店の場合時給は低く設定するが、給料は全額日払いする。

これは、表向きは体験入店と表してるが、実際は他店に面接に行かれないように
全額日払いという武器をつかっての囲い込み作戦なのだ。
その日に現金がもらえるという条件は強く人の心を惹く。

体験入店後、本入店してくれる確率は90%以上。
しかし、長く続く人は少ない。ここで言う「長く」は3ヶ月以上。


短いと思われる方もいるかと思うが、キャバクラの接客ほど知略とストレス耐性の
いる仕事は無い。先日紹介したが、接客相手は酒をたらふく喰らった殿様だ。
容赦なしに無理難題を押し付け、口説いてくる。これを、ウィットに富んだ
トークでかわしながら、お客様を楽しませる。さらに、お客様に気に入ってもらって次回の来店を促す。

お客様の暴言に耐えられずに泣き出すコンパニオンも少なくない。
ストレスで精神的にまいってしまう人もいる。
まさに、体を張った仕事だ。

こんな中、3ヶ月以上続く人は大体面接を受けた人数の10%以下だ。
厳しい環境で、明るくこの仕事をやり抜いているコンパニオンには本当に脱帽する。当時の僕の理解を通り越して、凄みすら感じた。
女性の強さなのだろう。おそらく男性ならもっと脱落者が多いだろう。

また、よくどんな人が働いているの?って聞かれるが、僕の回答は
「至って普通の人で、人間として魅力ある人が多い」と答える。

フリーターや学生もいるが、美容師の見習いや、専門学校生など志を持った人が
生活をかけて働きにくるケースが多い。
また、バツイチで子供の養育費と親の面倒を見ないといけないという一家の大黒柱
として働いている人もいる。

こういう、何か大切なものを背負った人は、魅力的で仕事もできる。


この頃から、僕は、コンパニオンを管理する仕事を徐々に任されるようになった。



つづく。

「キャバ嬢!初面接」いつかのキャバリーマン Vol.16

2006年04月20日 | 日記
キャバクラの仕事を始めて、10ヵ月ぐらいが経っただろうか。
ホール係の仕事も板についてきた。

その日は、いつもと変わらず開店作業。後輩なども増えてきて、僕は掃除機係を
卒業し、買出しや酒などの納品物の管理などの仕事。

一本の電話がかかってきた。相手は当時の店長。
「すまない。今日は別件で店に行けそうにない。今日面接入っている女の子を面接
 してくれないか?」

「ええっ!!」「僕なんかが面接やってもいいんですか?」

いろいろやり取りはあったが、結局僕が面接することになった。
最後に、店長から絶対に入店させることと念を押された。

ここで、相手がどんな人かもわからないのに入店させるんだったら面接なんて
やる必要は無いんじゃないか?って疑問に思う人もいるだろう。

キャバクラの面接は、面接を受ける側と面接官の立場は逆なのだ。
つまり、自己PRするのは面接官側。いかに働きやすい店か、店のスタッフは信頼できるか?
をPRして、よっぽどの場合でない限り面接を受けた全ての人に入店してもらう。

これは、男子(ボーイ)の場合もそう変わらない。
ところが、恥ずかしながら僕はその面接に一度落ちている。


そして、採用してから、ふるいにかけるのだ。
ご存知の方も多いと思うが、キャバクラの世界は完全なる実力成果主義。
成績に応じて、極端な待遇の「差」がつく。
主に、時給、勤務時間などの待遇が全く違う、そしてさらに成績優秀者は周りから
チヤホヤされ例えようもない優越感を感じることになる。

成績が芳しくない人はその全くの逆を味わうことになり自然淘汰されてしまう。
こういった仕組みなので、仮にすべて採用しても、コスト的にそれほど負担に
ならないのだ。

そうこうしているうちに、面接の時間になった。

コンパニオン(女子)の場合、駅などに到着すると店に電話をもらい、迎えにあがる。
道に迷っただけでも、面接に来てくれなくなることもあるからだ。また、競合店の
スカウトに引っかからないようにするための防衛策でもある。

そして、いざ面接。このときの緊張は今でも忘れない。
自分が面接を受けるより何十倍も緊張した。店を気に入ってもらって、入店してもらわないと
いけないというプレッシャーもあったが、それ以上にボーイは規則により、コンパニオンとの
私語は厳禁のため、僕は女の子とほとんど会話をしたことが無かったのだ。
ましてや、僕はキャバの仕事をほとんど一人ぼっちのビラ配りですごしていたからなおさら
接触する機会が無かった。

そのせいか、僕にとってコンパニオンは理解し難い存在でもあり、年齢はさほど変わらないが、
自分よりはるかに大人で世間を知っている人に見えた。
そう、僕は女の子と話がまともにできないモテナイ君状態。
そのモテナイ君が面接するんだからそれは緊張する。

しかし、そうも言ってられないので必死に話をする。
「・・・ええっと・・・当店はアットホームな雰囲気で・・・店の女の子同士も仲がよくって・・・」
 (僕は、全然アットホームな雰囲気ではない)

緊張で顔から汗が滴る。

さらに悪いことに、店の中で面接をしているため、古株コンパニオン(この言い方は店では禁句)が
僕をのぞき見て、ニヤニヤ笑ってる。仕事できない君で有名な僕が、しどろもどろで面接をしている
のがよほど面白かったのだろう。

余裕がなくなり頭が真っ白になってたような気がする。何を喋ったかほとんど覚えていない。
が、初めて僕が面接した子が入店してくれたのは覚えている。

それ以来、そうだな・・・1000人以上は面接しただろうか。まさに面接の達人だ。
少し話をしただけで、その人が店にどれぐらいの利益をもたらすかはすぐに計算できる。
もちろん、その場で時給もわかる。
そのほか、その人がどれぐらいの期間働けるか、店のどの人を信頼するかなどなど。
また、麻薬などの薬物をやっている人も、細微な息遣いや挙動、顔色ですぐに分かる。

普通に生きるにはあまり知らなくてもよい「人の心理」が分かるようになる。
嫌になることもあるが、上手に生きていくために必要なことだと思う。


面接が終わったら次は入店のための手続きがある。


つづく。

「第二の母」いつかのキャバリーマン Vol.15

2006年04月18日 | 日記
あれこれする間にキャバクラの仕事を始めて、半年が経った。

うれしいこともあったが、つらいことのほうが圧倒的に多かった。
一生懸命頑張っているのに、仕事が出来ない役立たずと周りから後ろ
指を差されながら働くことほどつらいものはない。

しかし、そんな中仕事が続けられたのにも周りの人の支えがあったからだ。
そう、最初に僕を面接してくれた50歳ぐらいの気品溢れる女性だ。
クラブならママと呼ぶのだろうか。
名前はいまだに知らないがいつも、マネージャーと呼んでいた。

僕が、大学生の一人暮らしだって知っていたので、夜食を作って
来てくれたり、風邪を引いたときには薬をくれたり、僕を馬鹿にする
人を諌めてくれたりもした。

いつも見方してくれた。本当にやさしい人だった。
第二の母といえば言いすぎかもしれないが、そんな感じだった。


店を辞めてから半年ほど経って、就職が決まって報告に行ったとき
本当に喜んでくれた。そんなときに限っていつも言われることがある。

「あんたを最初に見たとき、本当に大丈夫か?と心配になったよ」
って。ホント親みたいな言い草だ。

あれから10年以上が経つ。
マネージャー元気にしてるかな?
もう会うこともないのかな?


つづく

「殿様と接客」いつかのキャバリーマン Vol.14

2006年04月17日 | 日記
遅れながら、ビラ配り4ヶ月、カウンター業務2ヶ月を終え、ホール係になった。
普通なら1週間もすればホールに立つ。

気にならないといえば嘘になるが、目の前の仕事と身につけられる能力を考えると
下積みが長かったことは問題では無かった。むしろ、より本質を見抜くことの重要性
を理解できたのでよかったと思う。

ホールの仕事は、カウンターの仕事と決定的に違う点がある。
「接客」をするという点だ。

新規のお客様が来店されたときの料金説明や、お客様に呼ばれ要望をお聞きするときの
対応。そして、クレーム対応。などなど。
接客といってもメインは当然コンパニオンなのでどちらかというと、黒子役といったところだ。

この、黒子役が大変なのだ。
お客様は、コンパニオンとの会話を求めている、我々黒子とは本質的に話をしたくないのだ。
また、酒が入っていて面倒な話は聞きたくない。
さらに、キャバクラはお客様からすると夢の楽園で殿様扱いされる場所であって、
黒子など下々の者という意識が強い。

こんな中で、トラブルを未然に防ぐために店の決まりや料金をきっちり説明するのは至難の技
なのだ。実際この料金説明がしっかり出来ていないことによるトラブルは結構ある。

特に、当時キャバクラが新規に進出した地域においては、1時間あたりの料金は理解されない
ことが多かった。

大雑把に料金はこうだ。

基本料金 1人1時間
 PM8:00までに来店  4500円
 PM9:00までに来店  5000円
 PM10:00までに来店  5500円
 PM10:00以降の来店  6000円

延長料金 1人あたり
 30分 3000円
 60分 5000円

ドリンク1杯 1000円~
指名料金  2000円/コンパニオン

さらに、15%のサービス料金、消費税5%、

例えば、一人で8時までに来店して1時間、ドリンク1杯、1人指名した場合。

基本料金 4500円
ドリンク 1000円
指名料金 2000円
サービス料金 15%
消費税    5% 
-----------------
合計   9050円(10円未満切捨て)

となる。料金表などにも詳細は明記してあるが、どうしても4500円だけをみて勘違いする人が多い。
まぁ、それを狙っていない訳でもないが・・・・

こんな複雑な料金体系を酔っ払いでせっかちな大殿様に正確に説明する必要があるのだから
それは大変なことだ。慣れていないとまず、聞いてもくれない。聞いてくれないどころか、
誤って気を損ねられると殴られることも多々ある。

命がけとは言わないが、まさに体を張った仕事だ。
こんな、怪獣みたいなお客様に説明を聞いてもらうにはコツがある。

まず、感謝の気持ちと誠意を体全体で表現すること。これで相手に安心感を与える。
そして、表情良くハキハキと端的に説明する。これでせっかちにも対応可能だ。
そして、大義名分を伝える。簡単に言うと「お客様のためを思ってあえて説明する」
と伝えるのだ。人は大義名分に弱い。

さらに、クレームなどの場合は、相手が何を求めているのかを正確に察知する必要が
ある。人は本当に求めている答えを口にしないことが多く、高度な洞察力を要する。

また、接客においてクレームの処理などで、重要な技がある。

それは、人間誰しも持ちうる自尊心をくすぐることだ。
人間は自尊心を捨てることを最も嫌う。ましてや、相手は大殿様だ。
この技さえ理解して対応すると大抵のクレームにも耐えられる。 

例えば、「他のお客様にご迷惑がかかりますので・・・・」というトークはかなり効く。
なぜかというと、自分はえらい殿様なのだから、他の市民に迷惑をかけるなどの狼藉を
働くわけがないと自分で確信しているのだ。
ただし、このトークは当然お客様に安心を与え、信頼関係を作り、誠意を見せてから
言うセリフなのだ。誤っていきなり「他のお客様に迷惑がかかるのでやめてくれ」なんて
いったら、それこそ殴られる。

こういった、人とのコミュニケーションの技はその後非常に役に立った。
例えば、就職活動時の面接。ある時期から1回も面接に落ちることは無かった。
また、会社に入ってからの営業。営業ではほとんど人に負けたことがない。

まぁ、そんなことに役立つなんてこの頃知る由も無く、ひたすら誠意をもって
対応することを心がけた。


つづく。

「キャバクラは日本の縮図」いつかのキャバリーマン Vol.13

2006年04月14日 | 日記
キャバクラのカウンター業務も2ヶ月ぐらいたって、
さらに、新しい仕事が与えられた。

それは、ホール係の仕事。
今まで、カウンターにいる僕に容赦なしにいろいろオーダーを
出していたあのホール係。今までは、オーダーを受ける側だったのが
今度はオーダーを出す側に立つ。

ビラ配りの仕事からカウンター業務に変わった時ほどのワクワク感は無かった。

ホール係の仕事をするまでの僕のホール業務のイメージは
カウンター業務でやってた雑用に近い仕事の延長だと思っていた。

しかし、実際にホールに立つと今までとは別世界であることが分かった。

いつもの開店作業が終わって、PM7:00からお店がOPENする
お客様が少ない時間帯は、お店周辺でビラ配り。
そして、PM8:00ぐらいになると店に戻ってきてホールに立つ。

そうすると、今までと全く違う世界が広がっていた。
外から店に帰ってくると、ワッっという熱気に圧倒された。

暗い照明の中で、騒然と鳴り響くユーロビート。
派手な衣装を身にまとったのコンパニオン。忙しく動き回るスタッフ。
そして、そのコンパニオンを目当てにくるお客様。


今まで、同じ店の中でも、狭い視野の中で仕事をしていて店内の
ごく一部しか見ることができなかったのだが、ホール係は店全体を
見渡すことができる。

店内の熱気もリアルに感じることができるのだ。
後々に分かったのだが、この熱気を創り出すことがお店の売上げを
あげる重要な要素となる。熱気といってもイメージしづらいだろう。
ちょっと無理があるが、甲子園球場や、国技館で白熱した試合が
行われている場に立ったときに感じる一体感のあるあの濃い空気。

人はこの熱気を求めているのだろう。そこに、測りしえない夢や希望
を感じているに違いない。

そして、お客様とコンパニオンの微妙な駆け引きが創り出す数々の
ドラマが生まれるのだ。
そこには、複雑な誠意と化かし合い、お金と利害が絡み合う関係が
目の前にあった。

ボックス席8席+カウンターのそれほど大きくないお店だったが、
それそのものが日本の縮図にさえ感じた。

そのとき、これは将来役立つ重要な勉強になる!と肌で感じた。

考えて見ると、ちょっとした仕事の役割や視野の違いによってここ
まで、考え方が変わるものなのかと不思議に思った。
今までは、与えられる仕事をひたすら耐えながら頑張るといったマインド
だったが、この日以来、仕事を自分が将来生きるための勉強だと思うようになった。

今目の前で起こっている様々な駆け引きは、他の世界にも人が主体である以上必ず
存在し、それらの複合が社会を作っている。
それを知ることは役に立つとなんとなく思った。


まったく同じ店の1日なのだが今までの自分の考え方の小ささを思い知った。


そして、それ以来頭の中に「日本の縮図」というのがこびりついて、
店で起こる出来事や人との接触を貪欲に分析するようになっていた。

「なぜ、あの人はこんな反応をしたのか???」

と。

つづく

「予知力はスピードを生む」 いつかのキャバリーマン Vol.11

2006年04月13日 | 日記
最初は、こんな大変な仕事務まるだろうか?という不安もあったが、
なんとかカウンターの仕事も少しずつ慣れてきた。

慣れてくると心に余裕が出てきて、業務に工夫が生まれる。

忙しいキャバクラのカウンター内の仕事で求められることは、
目の前の作業のスピードだ。接客は、コンパニオンやホール係が
行うので、黙々とマシーンのように業務をこなす。

つまり、洗い物やカクテルを作る作業を1秒でも早く完了させ、
他の担当の業務に支障をきたさないことが重要だ。

業務のスピードアップにはポイントがある。

「先に発生するであろう業務を予測すること」


これを心がけることによって、業務効率は飛躍的に上がる。

テニスなどの競技で要求される反射神経に似ている。
相手が、何処にボールを打ってくるかを予測し、一歩目を早く出すことが
重要なのと同じだ。

これがキャバクラだと・・・
例えば、お客様が来店されると、瞬時におしぼりを出さなければいけない。
これもテニスのボールを追うように反射的に出すのだ。

お客様来店=おしぼり

のような「式」を無数に体で覚えるイメージ。他にどんな式があるかというと、

お客様が来店されると、コンパニオンが横に必ず付く。
そうすると、まもなくコンパニオンはドリンクのオーダーをする。
コンパニオンが個々にオーダーするドリンクはいつもほぼ同じなのだ。
だからこれを覚える。

A子さん=カシスオレンジ
B子さん=ジントニック
C子さん=モスコミュールorビール

そうすると、コンパニオンが席についてオーダーを出す前に何を作るかが
分かるのだ。当然業務はスピードアップする。

極端な例では、お店にはカラオケがあるのだが、カラオケの番号も覚える。
こうやって。

237-11 =マイクが2本要る。
228-08 =マイクが2本要る。

つまり、上記の番号はデュエットなのだ。だからマイクが2本。
歌の名前は知らなかったが、番号は今でも覚えている。

これをカラオケが始まってからマイクのありかを探しているようであれば
それだけでロスが大きい。

こういった事例は些細なことだが、起こり得る事態を予測し先手を打つこと
はビジネスにおいて非常に重要なことだ。

僕は一人黙々と狭いカウンター内で業務に取り組んでいた。
このタタミ2畳ほどの狭いスペースで、仕事を工夫する
楽しさを覚えていったのだった。

つづく。



「人間は自分の都合で考える動物だ」 いつかのキャバリーマン Vol.12

2006年04月12日 | 日記
ビラ配り4ヶ月の役務を終え、カウンター業務も1ヶ月ぐらい経った
だろうか。僕の定位置は2畳ほどのカウンター内。

狭くて、フロアより1段低く、視野も狭い。下っぱの仕事だが
一人ぼっちのビラ配りに比べると天国だ。

キャバクラのカウンターと聞くと、バーテンのようなイメージを持たれ
る方がいらっしゃるかも知れないが、そんなかっこいいものではない。
とにかく、汗だくで大量の雑用をこなす。それだけなのだ。

大量の業務をスピーディーにこなすには、前回ご紹介した、
「起こり得る業務の予測」以外にもうひとつ大事なポイントがある。

それは、
「業務の優先順位を正しくつけること」

単純に思えるが、このポイントはすべての業務、いやすべての業種・職種
にとっても重要なことではないだろうか。

業務の優先順位をつけることについては単純。鉄則がある。

お客様オーダー>コンパニオンオーダー>上司オーダー>自分の仕事

そして、鉄則をもってしても優先順位を付け難い場合は、以下のことを配慮して
優先順位をつける。

1.関連業務がある場合そちらを優先する。
2.業務時間の短縮幅が大きい方を優先する。

それでも迷う場合は、業務完了の結果、後味の良いほうを方を優先する。

この優先順位付けは単純でビジネスにも適応できると思うが、
徹底することは非常に難しい。

これを徹底するにはコツがいる。

まず、

「人間は自分の都合で物事を考える動物だ」

ということを理解することが重要だ。
つまり、人間は判断基準の根底に必ず自分の損得があるのだ。
(これは、後に詳しく紹介しようと思ってます)
だから、常に、相手にとってどうやったらメリットを与えられるか?
と自問自答を繰り返す。

もうひとつのコツは、自分の頭を洗脳することだ。
キャバクラでは

「お客様は神様。コンパニオンは宝もの。」

と洗脳する。
株主優先の欧米人が聞くと笑うかもしれないが、キャバクラ経営の
基本中の基本といえるだろう。


僕はキャバクラの仕事を始めて、プライドをズタズタに傷つけられたが、
悔しさのあまり、毎日ハングリーに人に勝つことばかりを考えるように
なっていた。今考えると、心の余裕が無かった。

そして、カウンターの仕事をやる上で、業務面の工夫や気持ちの持ちようの
工夫をどんどん実践していった。

カウンター業務もかなり極めてきたかに思えた。
しかし、まだこの時点では、みんなからは「仕事が出来ない君」と
いう位置づけは変わっていなかった。

さらに1ヶ月ほど経った。
カウンター業務が認められたのか、また新しいポジションが与えられた。


つづく。

「カクテル&ドリーム」いつかのキャバリーマン Vol.10

2006年04月11日 | 日記
キャバクラ・ビラ配り隊長(自称)を卒業して、やっと新しい仕事が与えられた。

カウンター内の仕事だ。狭いカウンターだがここにもドラマがある。
カウンター初級の仕事は以下のとおり。

1.お客様やコンパニオンに出す飲み物を作る。
2.テーブルに出すセットの準備。
 (ボトル、アイス、グラス、チャーム、コースターなどなど)
3.グラスや灰皿などの洗い物。ひたすら洗い物。

いままで、長い間、店の運営からは蚊帳の外だった僕はやっと仲間の一員に
なれた気がして、本当にうれしかった。
そして、いままで自分の働く店がどんなサービスをしているかを知らなかったの
で、自然とワクワクした。
また、不謹慎にも「コンパニオンたくさんいるんだろーなー」ってさらに期待を
募らせた。

が、そんな期待も裏腹に、僕にとっては、ここでの仕事も難題で、全く
うまくいかなかった。

ビラ配りとは決定的に違うことがあった。

そのひとつは、業務にスピードを要求され、それがホール係→お客様と他の
人とつながっており、誰も待ってくれなかった。自分のペースでコツコツ頑張れ
るビラ配りと全く違う業務だった。

ちょっと、もたもたしていると、洗い物はすぐに洗い場一杯となり、グラスが
山積み状態。グラスは重なり、すぐに割れてしまう。

あせっていると。容赦なしにホールからオーダーがくる。

「3番テーブル、カシス、モスコ、ジントニ、・・・・・」

うーん。カシスソーダって何を入れるんだったけ?
なんて考える間もなく、

「灰皿がないよ!」
「ミネ(ミネラルウォーター)2つ!」
「アイスください!」
「2番テーブルのオーダーは?」
「お絞り!」

と怒涛のごとくオーダーが降り注ぐ!
とっくに頭はパニック状態。

トム・クルーズ主演の「カクテル」っていう映画を思い出す。
初めてバーテンになった主人公は、忙しいカウンターでパニック状態となる。
お客様から次々と、カクテルの注文を受け、ぶち切れてお客様に
「注文は?」「作り方は?」と聞く。

トム・クルーズがパニックで切れるのはかっこいいのだが・・・
僕は、無様としか言いようがなかった。


もうひとつ、ビラ配りと違う点があった。

それは、大音量のユーロビート。
最初は、うるさくてほとんどオーダーを聞き取ることが出来なかった。
この中で、正確にオーダーを聞き取るには多少のコツがいる。
外国語のヒアリングと似ている。単語を知らないと聞き取れない。
僕は単語を知らなかった。

例えば、氷のことを「アイス」という統一の表現をする。
「コオリ」とは誰も言わないのだ。そして、周りがうるさいので
「ア」の音がかすかに聞こえるだけ。それだけで、正確に何を
言っているのか判断し、要求にこたえる必要がある。


オーダーをまともに聞き取れない僕に、ホール係や店長は苛立ちを募らせていく。
パニック状態の上に、さらに怒られる。そして、さらにパニクるという悪循環。


また、怒られる毎日なのか。
あーぁ。ビラ配りに逆戻りなのか・・・・という思いすら頭によぎった。

そんな不安も抱えつつなんとか初日を乗り切った。
極度の緊張と長時間のパニックで放心状態。パニック状態が長く続くと人間
動けなくなるのだろうか。
周りの会話も耳に入らない。ズボンも靴もびっしょり濡れて、
閉店後のカウンターでひとり動けない。

なんてこった。こんな仕事続けられるのだろうか?


つづく。

いつかのキャバリーマン Vol.9「継続は力。忍耐は力。」

2006年04月10日 | 日記
キャバクラ・ビラ配り隊長(自称)
本当は、左遷でビラ配り・・・も4ヶ月ほど続いただろうか。

相変わらず、せっせとビラを配る毎日。同僚や後輩が先に出世していくことなど
全く気にならなくなっていた。
麻痺というか、意地というか・・ひたすらビラ配り。

4ヶ月仕事を続けて貯金が30万円ほど貯まった。目的のバイクを買うまで
せっせとビラを配るのみ、一心不乱とはこのことだろうか。

生活費は切り詰め全部貯金していたので、散発にもいかず、ロン毛状態。
ぼさぼさのロン毛でビラをひたすら配る。
そして、初めてついたあだ名が『ベートーベン』
ここまで、馬鹿にされたら逆に気持ちがいい。

上司から頭ごなしに怒られることも無くなった。


そうこうしているうちにやがて、ある変化が生じた。

ビラは500円の割引券と兼用になっており、ビラを店にもって行けば新規の
お客様は割引を受けることが出来る。つまりビラ配りの効果は店内で把握
できるのだ。

僕のビラ配りの効果があらわれた。
そう、来店顧客の3割~4割をビラ割引のお客様が占めるようになっていたのだ。
また、『ベートーベン』を覚えてくれているお客様も多く、店で僕の存在が
僕の知らないところで有名になっていた。

そして、ある日当時の店長から呼び出された。
「今日から、開店作業後はカウンター内に入ってもらう」

ビラ配りの実績を認められ、初めて店内の仕事を与えらることになったのだ。

やった!
やっと店の中で働ける!

雨の日も蒸し暑い日も外で一人ぼっちのビラ配りに耐えてよかった。
19歳という若さで真剣に働いているにもかかわらず、窓際族となった僕。
みんなに馬鹿にされ続けた。

こんな屈辱はめったに味わうことは無い。

複雑な気持ちを残しつつ。
正直、生きる世界が変わったぐらいうれしかった。

これぞ、継続は力。忍耐は力。



つづく



いつかのキャバリーマン Vol.8「つまらない仕事を楽しく!」

2006年04月07日 | 日記
出来損ないの僕。キャバクラボーイの仕事を始めて、約2ヶ月が過ぎた。

仕事のミスをして、怒られることも少なくなってきた。
怒られること自体も慣れてきた。
相変わらず来る日も、来る日も、ビラ配り。

一人ぼっちのビラ配りほどつまらない仕事はない。
それでも、一生懸命ビラを配り続けた。

熱中していると、ビラをどうやったら取ってくれるのかコツがわかってくる。

ビラを出すタイミング=手を出せるぎりぎりまでひきつけるほうが良い。
ビラを出す位置=これは胸元に差し込むように出すのがベター。
掛け声=大きな声で、笑顔で渡すと怪しいビラも取ってくれる。

あとは、道行く人も同じ時間に同じ場所を通る人が多いので人の顔を
覚えて、声をかける。

そして何より重要なのが、自分が楽しむこと。
僕が工夫したのは、1時間あたりの配る枚数に目標を持つといった
単純なことだ。それでも、目の前の目標をもっただけでもだいぶ
意気込みが変わった。

この辺まで来ると達人クラス。

今思えば、人がやりたがらない仕事ほど重要で、つまらないことを
楽しく出来ることは仕事をする上でもっとも重要な能力だと思う。

なぜかというと、そこで「差」がつくからだ。
この小さな「差」は積もり積もってお客様に伝わり、利益を生む原点
となる。

楽しい仕事は誰でもそこそこするのだ。つまらない仕事も対極を見極め
一生懸命精力を注ぐ人材は実際に伸びる人が多い。
後に、僕が管理職に就いた時には、ビラ配りを真剣にやるヤツを抜擢した。


一見順調に感じたビラ配りの仕事だが、ひとつだけ気になることがあった。
後から入ってきた後輩は、ビラ配りもそこそこで店内の仕事が多く、
そして、いろいろ重要なポストに就いていく。

良く考えると、この時点で僕は自分が働く店がどんなサービスをしているのか
全くわからなかった。

つまり、僕は働き始めてからすぐに窓際族となっていたのだ。
これは左遷?いや、左遷というのは要職からはずされることを言うのであって
最初から窓際族なんて聞いたことも無い。

それでも僕は、黙々とビラを配り続けた。

つづく。


いつかのキャバリーマン Vol.7「仕事の出来ない男」

2006年04月06日 | 日記
激動の仕事初日を終えて、帰宅するともう夜中の2時。
へとへとで精神的にもきつかった。

次の日はかろうじて大学の授業を受けて、出勤。
出勤と同時に、また掃除機、買出しをする仕事。
2日目以降は初日と違って、ミスをすると容赦なしに怒られる。

「これで出来てないぞ!」
「なんで言ったとおりに出来ないんだ!!」
「いい加減に覚えろ!」
「ハキハキしゃべれ!」
・・・・・・・・

すいません。すいません。と何回謝ったかわからない。
ルーチンといえど作業項目が多く1日で到底全部覚えられないのだが、
僕があまりにも無知なためさらに覚えが悪い。

組織にはいって初期段階でミスを繰り返すと
「出来ない人」という自己ブランドが自然と確立されてしまう。
そしてその自己ブランドは悪循環を生み、同じミスでも人より目立ったり、
より大きなミスとして見られる。
入社時の自己ブランディングは本当に重要だと痛感した。


まぁ、こんな悪循環のなか怒られることもルーチンと考えると
大まかに1日の仕事はこんな感じ。

1.店舗での 開店作業  (先輩に怒られる)
2.街中での ビラ配り  (監視役からの制裁、人から冷たい視線を浴びる)
3.店舗での 弊店作業  (先輩に怒られる)

この仕事を始めるまでは何でも要領良くなんでもこなしていたはずなのに・・・・
高校時代も名門のテニス部で主将を務め、それなりにチームを引っ張った経験が
あった。そんな仕事ぐらい僕にも出来ると思っていたのだが・・・

こんなに自分が怒られるのは人生で経験したことがなかった。
それも、怠慢で怒られるのではなく、真剣に努力しているのに頭ごなしに
毎日怒られる。しかも僕だけ怒られる。これは辛い。

僕は、能力が無い人間なのか???


毎日、仕事を終えて原付で帰宅するのだが、帰り道はいつも
悔しくて、悔しくて、たまらず半泣き状態。

それでもなぜか辞めようとは思わなかった。

「今に見ていろ!必ず見返してやる!」



つづく