いつかのキャバリーマン

だらだら生きていたぐーたら大学生がキャバ○ラ経営者にのし上がる。~人生は20代をどう生きるかで決まる!~

「キャバ嬢!初面接」いつかのキャバリーマン Vol.16

2006年04月20日 | 日記
キャバクラの仕事を始めて、10ヵ月ぐらいが経っただろうか。
ホール係の仕事も板についてきた。

その日は、いつもと変わらず開店作業。後輩なども増えてきて、僕は掃除機係を
卒業し、買出しや酒などの納品物の管理などの仕事。

一本の電話がかかってきた。相手は当時の店長。
「すまない。今日は別件で店に行けそうにない。今日面接入っている女の子を面接
 してくれないか?」

「ええっ!!」「僕なんかが面接やってもいいんですか?」

いろいろやり取りはあったが、結局僕が面接することになった。
最後に、店長から絶対に入店させることと念を押された。

ここで、相手がどんな人かもわからないのに入店させるんだったら面接なんて
やる必要は無いんじゃないか?って疑問に思う人もいるだろう。

キャバクラの面接は、面接を受ける側と面接官の立場は逆なのだ。
つまり、自己PRするのは面接官側。いかに働きやすい店か、店のスタッフは信頼できるか?
をPRして、よっぽどの場合でない限り面接を受けた全ての人に入店してもらう。

これは、男子(ボーイ)の場合もそう変わらない。
ところが、恥ずかしながら僕はその面接に一度落ちている。


そして、採用してから、ふるいにかけるのだ。
ご存知の方も多いと思うが、キャバクラの世界は完全なる実力成果主義。
成績に応じて、極端な待遇の「差」がつく。
主に、時給、勤務時間などの待遇が全く違う、そしてさらに成績優秀者は周りから
チヤホヤされ例えようもない優越感を感じることになる。

成績が芳しくない人はその全くの逆を味わうことになり自然淘汰されてしまう。
こういった仕組みなので、仮にすべて採用しても、コスト的にそれほど負担に
ならないのだ。

そうこうしているうちに、面接の時間になった。

コンパニオン(女子)の場合、駅などに到着すると店に電話をもらい、迎えにあがる。
道に迷っただけでも、面接に来てくれなくなることもあるからだ。また、競合店の
スカウトに引っかからないようにするための防衛策でもある。

そして、いざ面接。このときの緊張は今でも忘れない。
自分が面接を受けるより何十倍も緊張した。店を気に入ってもらって、入店してもらわないと
いけないというプレッシャーもあったが、それ以上にボーイは規則により、コンパニオンとの
私語は厳禁のため、僕は女の子とほとんど会話をしたことが無かったのだ。
ましてや、僕はキャバの仕事をほとんど一人ぼっちのビラ配りですごしていたからなおさら
接触する機会が無かった。

そのせいか、僕にとってコンパニオンは理解し難い存在でもあり、年齢はさほど変わらないが、
自分よりはるかに大人で世間を知っている人に見えた。
そう、僕は女の子と話がまともにできないモテナイ君状態。
そのモテナイ君が面接するんだからそれは緊張する。

しかし、そうも言ってられないので必死に話をする。
「・・・ええっと・・・当店はアットホームな雰囲気で・・・店の女の子同士も仲がよくって・・・」
 (僕は、全然アットホームな雰囲気ではない)

緊張で顔から汗が滴る。

さらに悪いことに、店の中で面接をしているため、古株コンパニオン(この言い方は店では禁句)が
僕をのぞき見て、ニヤニヤ笑ってる。仕事できない君で有名な僕が、しどろもどろで面接をしている
のがよほど面白かったのだろう。

余裕がなくなり頭が真っ白になってたような気がする。何を喋ったかほとんど覚えていない。
が、初めて僕が面接した子が入店してくれたのは覚えている。

それ以来、そうだな・・・1000人以上は面接しただろうか。まさに面接の達人だ。
少し話をしただけで、その人が店にどれぐらいの利益をもたらすかはすぐに計算できる。
もちろん、その場で時給もわかる。
そのほか、その人がどれぐらいの期間働けるか、店のどの人を信頼するかなどなど。
また、麻薬などの薬物をやっている人も、細微な息遣いや挙動、顔色ですぐに分かる。

普通に生きるにはあまり知らなくてもよい「人の心理」が分かるようになる。
嫌になることもあるが、上手に生きていくために必要なことだと思う。


面接が終わったら次は入店のための手続きがある。


つづく。