失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「あした」 aiko 1998年、「最後の果実」 深田恭子 1999年

2010-10-17 | 
aikoと深田恭子、それぞれのデビューシングルは異名同曲。

左、aikoのデビュー作にして、唯一の短冊8cmシングル。

①あした 東映系映画「新生トイレの花子さん」主題歌
作詞:AIKO、作曲・編曲:小森田実
こちらがオリジナル。今や誰もが認めるJ-POP界のトップSSW、aikoのデビューシングルが自作曲でないのはやや意外。彼女の作る世界が好きな多くのファンにとっては、「aikoらしくない異色作」とみなされているようだ。打ち込みダンスビートにダークなメロディ。ブレイク後のイメージからはかけ離れたサウンドだが、声の伸びや歌唱法はすでに今と同じaiko節。私は「最後の果実」を先に聴いたので、どうしても「ちょっと違うメロディのニセモノ」に感じてしまうのだ。悪くはないんだけど。

②I'm feeling blue
作詞・作曲:AIKO、編曲:島田昌典
やっぱ自作曲のほうがしっくりくるね。

③①のカラオケ

定価1020円、中古で10円。
童顔に眉ラインで揃えた前髪。なんだか暗い表情のジャケは、どう考えても「トイレの花子さん」を意識しているとしか思えない。


もう音楽活動は終了?深田恭子のデビューにして最高傑作シングル。限定盤のほう。

①最後の果実
作詞:黒須チヒロ、作曲・編曲:小森田実
スーパーモンキーズ本田理沙の仕事でおなじみ(ほかにはSMAPとか)コモリタミノルの力作。リズム、コード進行など基本構造は「あした」と同じで、メロディが微妙に異なる変奏曲。ネット上では「リメイク」という表現を見かける。アレンジはaikoヴァージョンより緩急がくっきりし、明らかにハイパー化。歌唱力はさすがに勝負にもならないが、16歳の美少女が硬いハイトーンヴォイスでセクシャルかつ退廃的な世界を歌わされる図には、抗えない魅力がある。「♪背徳の美学」なんてコンセプトをどストレートに言ってしまう詞はどうかな?惜しい!ってところもありつつ、深田の「やらされ感」を際立たせている。結果として「あした」よりヴァージョンアップした、強い世界観を持つポップスに仕上がった。
オリジナルシンガーのaikoがコーラスで参加。深田のコールに応える形で一節×2(「私だけのもの」「心も体も」)を、電話ごしのようなエフェクトのかかった声で歌っている。

②海の彼方 空の果て
作詞:黒須チヒロ・羽野アキラ、作曲:黒須チヒロ、編曲:鈴木俊介、弦編曲:村山達哉
J-POP的なバラード。これも結構いい。

③あなたが知っている私が本当の私とは限らない (bonus track)
作詞:黒須チヒロ、作曲:市川ハルユキ、編曲:鈴木俊介
疾走青春ロック。深田の翳のある声が、意外とアップテンポにマッチする。普及盤ではこの曲がカットされ、①のカラオケが収録されている。

定価1020円、レンタル落ち100円。
限定盤だけのリンゴ投げジャケ。8ページブックレット仕様のインナースリーヴには、もちろん美麗フォトが並んでいる。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (いしけん)
2010-12-13 16:03:07
突然失礼いたします。
コモリタさんはあともう一曲オノ・アヤコさんのデビュー曲「TWO OF US」(2002年)がありまして、これもかなりソックリ度が高いので個人的に三つ子扱いにしてます。8cmじゃないんですけどね。  
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ほんとだ! (nakamura8cm)
2010-12-13 22:44:05
アレンジもそっくりですね。
2002年に三女がいたとは…やりますね、小森田。
3人ともデビュー曲ってのもなんだかスゴイ。
情報ありがとうございます!
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Unknown ()
2019-08-28 22:18:30
実はaikoの8cmシングル、短冊ジャケットじゃないけどもうひとつあります。
「三国駅」のLL9 edititonというやつで、ライブ会場限定販売された特殊パッケージバージョンです。
パッケージとの兼ね合いで8cm仕様になったみたいです。
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