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703 ~NAOMI’s Room~

355/2022年 アメリカ

女性スパイの概念をぶっ壊したこの作品。

女性を主題とする作品のコンセプトや制作におけるメッセージもすばらしく、最高に印象深い作品だった。

355/2022年 アメリカ

異なる国旗が並ぶPR画像。いま 余計にぐっとくる。

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監督: サイモン・キンバーグ
原案: テレサ・レベック
制作: ジェシカ・チャステイン、ケリー・カーマイケル 、サイモン・キンバーグ
音楽: トム・ホルケンボルフ
出演: ジェシカ・チャステイン、ルピタ・ニョンゴ、ペネロペ・クルス、ダイアン・クルーガー、ファン・ビンビン

原題:The 355
配給:キノフィルムズ

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公開前から、ものすごく楽しみにしていた。

公開日をカレンダーに記載し首を伸ばしに伸ばしていた。

映画館で満喫した本作は、想像以上にエキサイティングで、最高だった。

大前提として、複数の女性陣が連携し、絆を結び、競演する映画は、好物中の好物。

「355」の公開前に思い出したのは、2018年の『オーシャンズ8』(スティーブン・ソダーバーグ)。



『オーシャンズ8』は「女性盗賊」

『オーシャンズ8』では、サンドラ・ブロックやケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイをはじめとする女性8人の華麗な犯罪劇を大いに楽しんだ。

たくましく、しなやかで、タフかつスマートな女性強盗たちの活躍は、頼もしく見応え抜群だった。


『355』は「女性スパイ」

355で活躍するのは、アメリカ、ドイツ、イギリス、コロンビア、中国の女性スパイ5人。

世界の秩序の崩壊を企てるテロ組織に立ち向かうため、各国から集結した5人の女性エージェントが、各々がもつ特殊技能を駆使して、緊急事態に対処するチーム“355”を結成する。

女性スパイを演じるのは

ジェシカ・チャステイン
ルピタ・ニョンゴ
ペネロペ・クルス
ダイアン・クルーガー
ファン・ビンビン

この時点で、もう興奮!

超豪華で、国際色豊かで、美しく、格好良く、ゴージャスで、多様性に富んだ5人の女優が揃うビジュアルは圧巻。

これだけで、もうぐっとくる。

しかも他作品ではあるけれど、ジェシカ・チャステイン(『タミー・フェイの瞳』) と ペネロペ・クルス (『Parallel Mothers』)は、本年度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。

2人の競演が見られる、すごい作品。


◆アラフォー女優陣の多様な個性と才能、美貌に魅了される

それぞれのキャストとコメント。

この映画における「女性描写」の重要性を象徴している。


ジェシカ・チャステイン
アメリカCIAのエージェント「メイス」
高い近接格闘の能力を持つ。
マリーにライバル心を抱きながら同じ目的のため信頼を築く。

「彼女は一匹狼でいかにもスパイという感じね。ちょっと陰気で独りで仕事をしたがるタイプ。でもメイスは問題を解決するため、他人と協力することを学ぶのよ。彼女にとって大事な学びだった」

ルピタ・ニョンゴ
元MI6の天才ハッカー「ハディージャ」
現場仕事から退いていたが旧友メイスに協力。
敵の襲撃で大切な恋人を失い悲しみにくれながらも正義心で仕事を貫く。


「女性たちがアクションアドベンチャーのスパイ映画で脚光を浴びるということや、世界中の女性で作るチームというアイデアに興奮しました!」

ダイアン・クルーガー
ドイツBNDのエージェント「マリー」
近接格闘戦の能力が高く、爆破工作にも長ける。
孤高な一匹狼タイプだったが、目的のために仲間と協力する。


「私は男友達より女友達とのほうがより深いところで繋がっているように感じる。嘘などで飾らずに自分自身でいられるからね。」

ペネロペ・クルス
コロンビアDNIに所属する心理学者「グラシエラ」
ケアが仕事で戦闘の経験はなく一般人に最も近い。
母国の夫と息子を愛している。


「このジャンルで本作ほど多くの女性主人公が世界を救おうと奮闘している作品はほとんどないといえるのではないかしら。同性同士で絆が生まれた瞬間はとても美しいと思う。」「グラシエラの様な普通の人間が他の諜報員たちと行動するというアイデアはとても気に入りました。それによって映画にユーモアを与えると同時に、シリアスな場面も生み出しています」

ファン・ビンビン
中国MINISTRYのエージェント「リン」
上海でのアンダーグラウンドの
オークション主催者。
中国医学にも詳しい。メイスたちの動きを追っている

「ほとんどのスパイ映画では、女性諜報員は男性諜報員の相棒かアクセサリーのようなものです。気を引くための存在なんです。しかしこの作品はミーシェンを含む独立した女性諜報員たちを中心に展開します」「とてもミステリアスな東洋女性で、いつも静かで自制しているけど強いファイターです」


オークションを主催するファン・ビンビン演じるリンに魅了された。

しかもファン・ビンビンは、実際に脱税騒動で姿を消していた頃に、この映画にキャスティングされていて、

それがこの映画の性質や謎めいたキャラクターにぴったりで、リアルさに、にやけてしまった。

女性の機会拡大を目指し作品を企画したジェシカの信念にぐっとくる

女優陣の演技に魅了され、最高だったこの作品。

さらに興味を引かれたのは、映画全体を通じて、女性に対する考え方や印象を変えたいという、強いメッセージが感じられたこと。

私は、特別フェミニストでもなければ、女性に対する尊厳云々・・という意見を述べるような人間でもないけれど、

女性であることに誇りをもっている。

男性には劣らないと思っている。

女性は強い、と思っている。

女性は一歩下がって・・というような昔ながらの慎ましさや、職場における「女性のお茶出し文化」「電話対応文化」に、うんざりした経験がある。



「355」が生まれたきっかけは、主演の一人であるジェシカ・チャステインの発案。

ジェシカの“尊敬する女優たちを集めてオール女性キャストで本格的なスパイアクションを作りたい”という思いから作られたという。

ジェシカが審査員として参加した2017年のカンヌ映画祭で、アクション映画のポスターが男性ばかりだったことにショックを受け、女性スパイの映画を作りたいと思うようになったそう。

またジェシカは、これまでにも女性の地位向上に対しても積極的に働きかけていて、2016年に、ハリウッドにおける女性格差を無くすためのNPOプロダクションを立ち上げている。

OGPイメージ

ジェシカ・チャステイン、女性のためのNPOプロダクションを立ち上げる

Culture CELEB GOSSIP

ELLE

そんなジェシカによって生まれたこの作品には、彼女の信念がつまっている。

例えば

●女性のスキルを証明

多くのスパイ映画は男性主体で、女性スパイは脇役やヒロインとして描かれることが多い。

でも実際は、才能あふれる多くの女性が活躍している。

タイトルの「355」も、18世紀のアメリカ独立戦争時に実在した女性スパイのコードネーム。
(ジェシカ「今でも諜報活動を行う女性は誇りを持って“355”と名乗ると聞いている」)


そんな表舞台には出てこない女性を称えたいという思いから、女性エージェントたちの活躍をリアルに描いて、ハイレベルなアクションシーンも盛り込み、“女性スパイ像”のイメージが変わる作品を目指している。

●女性が尊重された環境

制作時は、キャストが良い仕事をするための「環境」にもかなりこだわっている。

全てのメインキャストのギャラは同額
ハリウッドでは、ジェンダーや人種、性別などによってギャラに差があることが度々ニュースになっているので先進的な取り組み。

・脚本に対する発言やアイデア権
ストーリーやキャラクターと主要キャストのアイデアは、サイモン・キンバーグ監督と発案者のジェシカによって育てられた。

その中で、キャストをリスペクトし、アイデアを存分に取り入れたという。

特に、ペネロペが演じたグラシエラに対するアイデアが印象的だった。

ジェシカに、どんな役を演じたいか聞かれたペネロペは、
「スパイ映画で見たことないけれど、普通の人が普通じゃない状況に追いやられるような、場違いの役が良い」と答えたそう。これいい。


・"母親女優”の働きやすさ

キャストの多くが”母親”であったため、子供用のトレーラーが用意されたりもしたそう。


キャッチコピーは「敵の敵は味方」

国籍や人種や組織の壁を超えて連携する5人の女スパイ。

最初、ジェシカ演じるメイスとダイアン演じるマリーは、完全に敵で、問題のデバイスを奪うため本気で戦闘する。

互いに戦ってボロボロになった時、ルピタ演じるハディージャが、一言。

「よく考えて。敵は同じなんだから、協力すべきじゃない?」

互いに「確かに・・」となって、必然的に仲間になる。

確かに、こういう場面はよくある。すごく腑に落ちる。

世界の平和とは何か。

どうすれば人々は幸せか。

人命を救うためにはどうすべきか。

同じミッションを担う女性スパイたちは、同じ敵のために味方になることを、選択した。

映画の一言。
「同じ目的をもつことの強さ」





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