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703 ~NAOMI’s Room~

何の決まりもない、好き勝手なNAOMIの部屋

舞台「ハムレット」を観て。

2015-02-22 10:19:24 | THEATER

2014年の夏頃から、待ち焦がれていた
「ハムレット」

2月21日(土)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
18時公演にて、観劇してきた。

約3時間25分(一幕1時間40分/休憩15分/二幕1時間30分)




藤原竜也が蜷川幸雄に直接懇願し、
氏が80歳を迎える2015年に、彩の国さいたま芸術劇場を皮切りに、
梅田芸術劇場、そして台湾、ロンドン公演まで実現した

12年ぶり2度目となる、2015年版、藤原竜也の「蜷川ハムレット」。

そしておそらく、蜷川ハムレットの集大成になるのではないか。


こんな奇跡的な公演でオフィーリア役を務めるのが、
満島ひかり。私が憧れて止まない女優さん。

そして興味深いのが、
オフィーリアの兄・レアーティーズを演じるのが、
満島ひかりの実の弟・満島真之介。


蜷川氏は、これまでに7度も、「ハムレット」の演出を手がけてきたが、
毎回、オフィーリアとレアーティーズの兄姉演出に苦労したという。

満島さんに舞台出演の話をした際に、
「弟がレアーティーズをやるのはどうですか」と、
満島さんの方から提案があったそうだ。

実の血縁関係にあるからこそ、
魅せられる兄妹愛があるのでは、と。

弟・真之介も、その考えに同意した。

蜷川氏は「出てくれるのか」と驚かれたそう。


満島真之介は、これまでにも蜷川作品に2作出演している。
自転車での日本一周旅行をしている間に、
姉の活躍を目の当たりにして、自身も役者の道に歩もうと決心した。
最近はさまざまな映画やドラマ、CMでも活躍している。

満島姉弟は、二人で話し合いを重ね、
自分達だからこそできることや
補い合い、高め合えることがある、
それが「ハムレット」を良い方向に導けるかもしれない、と
最終的に、出演を決めたそうだ。


(稽古中の満島姉弟)




藤原竜也と、満島姉弟の脇をかためるのは、
現在の蜷川作品を共に創り上げてきたベテラン俳優たち。


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「ハムレット」

演出・芸術監督/蜷川 幸雄
演出補/井上 尊晶

作/W.シェイクスピア
翻訳/河合 祥一郎
美術/朝倉 摂、中越 司
舞台監督/小林 清隆

ハムレット/藤原 竜也
オフィーリア/満島 ひかり
レアーティーズ/満島 真之介
ホレイシオ/横田 栄司
フォーティンブラス/内田 健司
ポローニアス/たかお 鷹
ガートルード/鳳 蘭
クローディアス/平 幹二朗


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蜷川氏は、舞台稽古が開始する直前の昨秋、
病で倒れた。

しかし、稽古当日に、入院先の病院に外出許可をとり、
徹底した演技指導を行った。

役者も、氏の演劇にかける情熱と想いに応え、

新しい「蜷川ハムレット」を、全身全霊で創り上げた。


2015年、いま、この時に、ハムレットを観に行けたのは、
幸せとしか言いようがない。



ーーーーーーーーー


会場に着き、座席に座ると、
舞台には、長屋風のセット。

スクリーンには、日本語と英語で、
以下の様な内容の文章が綴られていた。


「このセットは、ハムレットが日本で初めて翻訳上演された
明治時代の貧しい民衆が暮らしていた長屋です。
2015年、私たちはここから、新たな稽古を始めます。」




18時過ぎ、開演。
今思い出しても身震いするほどの
圧倒的な役者全員挨拶。

宮廷役者の衣装は、西洋と東洋が融合したような、
それでいて日本の伝統的衣装にも通じるような
気品と絢爛さを併せ持つ艶やかな装い。

満島さんは、深紅の羽織物を纏っていた。美しかった。
藤原竜也は、ハムレット特有の漆黒の衣装。


ーーーー
物語の内容は割愛するが、

私は今までシェイクスピアを知らなすぎた。

実は今回、開演前に公式パンフレットを買うまで、
「ハムレット」の大筋さえも知らなかったド素人。

ストーリーを読み、人物相関図を見て、
初めて作品の舞台と全体像を知った。



しかし、
「藤原竜也」という俳優の凄みを改めて思い知った。


ハムレットが狂気に染まってからの、鬼気迫る後半は、
会場にいた全員が固唾を飲んだ。

朝日新聞論説委員の山口宏子さんは、
ハムレット役に必要とする素質について
蜷川氏の言葉で、以下のように記している。


深い憂愁と内省、豊かな情感、そして激しい葛藤を、
鋭い知性としなやかで強い身体で表現できなくてはならない。
加えて、3時間以上、観客の心をつかんで離さない魅力も不可欠だ。



この文章を読んで、
私は昨日観た演技をそのまま象徴したように思えた。




藤原竜也は、2003年にも弱冠21歳という若さでハムレットを演じている。
舞台後に、当時の動画をネットで観たが、
昨日観た彼とは、何かが違った。

それが何なのか、ド素人の私には解らなかったが、
確実に、何かが違った。

「日本を代表する俳優」という言葉は巷に溢れ返っているけれど、
実際の、本物の“ソレ”に触れられた気がした。




そして大好きな満島ひかりについては、
これが、私の正直な感想。

満島さんらしい、ものすごく満島さんらしい
オフィーリアだった。




今までハムレット作品を知らなかった私が言うのは、
烏滸がましいにもほどがあるけれど、
私は、正直にそう思った。


一般的に、オフィーリアは、
意思をもたない純情で無垢な女性像として描かれている。

これまでも、
荻野目慶子、松たか子、篠原涼子、鈴木杏など
蒼々たる面子が演じて来た。

鈴木杏が演じたオフィーリアは、少し観たことがあるけれど、
昨日観た満島さんのオフィーリアは、
私が想像していたオフィーリアとは、
全く異なる女性だった。


「確かに言葉は放っているのに、何を考えているんだろう?と
思わせる。彼女の心が乱れていたことや、苦しんでいたこと、
心臓の鼓動だけは漠然と観た人の記憶の中に残っているけれど、
顔や声は思い出せないー。そんな風にできたら理想です。」

「私の中では、“のっぺらぼう”のイメージです。」


彼女自身がそう語っているように、
満島さんの中に、「満島さんのオフィーリア像」が宿っていた。




もしかしたら、ものすごく意思の強さがあるのに、
父や兄に従順な女性を“演じて”いただけなのかもしれない。など

オフィーリアの心情や立場を
苦しくなるほど掘り下げて、尊重して、自分なりに解釈し直した
演技だったのかもしれない、


こんな風に、
実際のオフィーリアと満島さん自身の
葛藤とアンダーストーリーに対して、
さまざまな想いを巡らすことができた。



また、満島真之介の演技は初めて観たけれど、
想像以上に素晴しかった。

日本人離れした精悍な顔つきや、しなやかな肉体。
外見だけでも、役者として魅力的な風貌だけど、
若者らしい勢いや疾走感にあふれていて華やかさがあった。

それに、最年少とは思えないほど、
レアーティーズの、兄としての正義感や男の強さが感じられて、
終盤の、藤原竜也との擬闘も素晴しいの一言だった。

ものすごく、考えているな、鍛えられているなと感じさせる
頼もしい俳優だった。



劇中では、雛人形をモチーフにした豪華絢爛な演出や、
日本の伝統芸能を組み込んだ劇も登場して、

これからの海外公演でも、確実に高評価を得るだろう。

5月末まで続く長丁場。

確実に成長する日本の舞台芸術と
役者陣に、これからも注目していきたい。



ハムレット。

初体験だったけれど、心から感激した。
シェイクスピアの奥深さは底知れないけれど、
今回の舞台をきっかけに、少しかじっただけで、
ものすごく興味が湧いてきた。

ネットを開いただけでも、
莫大な数の解釈本や論説、書籍、論文などが存在している。

けれど、本当の解釈なんか、どこにもないのだろう。

当たり前のことだけど、
日本でもそうであるように、
世界中の英文学者や芸術家、演者をはじめとする
多くの人々によって、語り継がれ

考え、感じ、演じ、
表現の対象として存在し、世界を魅了し続けることが
どれほど素晴しいことなのか。

そして、それを、
命をかけて全身全霊の思いで、
日々、続けている人間がいるということが
どれほど尊いことなのか。


この世界に少しでも触れられて、
感じることができたことを幸せに思う。




舞台の一言。
「全身全霊の尊さ、難しさ。」

 

 

 


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「鎌塚氏、すくい上げる」

2012-09-02 22:52:37 | THEATER
正月ぶりに舞台を観に行ってきた。

心から大好きな満島ひかりさんが出ている
「鎌塚氏、すくい上げる」





今、この時期に満島ひかりさんの演技を生で観れるというのは
かなり幸せなことだと思う。

2009年、一気に評価され初めてから
舞台をやるのは初。

今回はコメディーだったので、
インタビューや取材や会見で出している
本来の彼女がもつコミカルさやウィットに富んだ演技が観れた。

私が最も好きな満島さんの演技は、
「川の底からこんにちは」や「さよならぼくたちのようちえん」「カケラ」など
一見ごく普通の人間(の内面を爆発させる時がすごい)の役だけれど
こんな笑いの起きる満島さんの演技は初めて観たかもしれない。

なのにやっぱり切り替えがすごかった。



彼女のWEB上や雑誌のインタビューを読んでいると
すごく感性の方向が定まっていると感じる。
なのにその幅も持ち備えている不思議な人。

ブログの言葉の選択や想いもとても魅力的だった。
辞めてしまったのはすごく残念だけど、考えがあってのことだと思う。

昔から文章や詩を書くのが好きだったそうだから
今でも別の場所で日々の気持ちや想いを綴っているのだろうな。


昨日舞台を観てからというもの、
ここ最近の忙しさで少しやわらいでいた私の「満島ひかり病」が再発し、
昨日から様々な動画や記事を見漁った。
そして今日は「愛のむきだし」を観直した。

彼女自身が何かの取材で語っていた通り、
「満島ひかり像」が浮き出る作品ではなく、
「え?誰コレ?」みたいな新鮮さと刺激をもつ
“針を挿すような役者”(満島さんの表現)をこれからも創っていってほしい。


今冬には阪本順治監督の「北のカナリアたち」(豪華ゲスト!!)や
舞台「100万回生きた猫」(またまた森山未來と)、
そして2013年には、ものすごく楽しみな「夏の終わり」が公開。

「夏の終わり」は本当に楽しみ。
原作も買ったので少しずつ読み進めて楽しみにしていよう。

満島さんを観たり聞いたり読んだりしていると
感性が研ぎすまされる気がする。

今後もずっと期待させてください。


今日の一言。
「夢中にさせる力」

舞台「8人の女たち」を観て。

2012-01-10 18:36:56 | THEATER

8日(日)、遂に、遂に、
「8人の女たち」を観に行ってきた。


2日経った今でも興奮していて考えてしまう。
本当に幸せな時間だった。
最高な記録として一部始終、たっぷり残す。

《舞台に入るまで》

当日、16時半会場、17時開演だったので、
会場10分前に行って「立ち見席」の列に並んでた。
だいたい4番目くらいだった。

開場時間が過ぎると座席番号付きのチケットを
持ったお客さんがぞろぞろと来場し始めた。
客層は圧倒的に30~50代主婦。

スタッフの兄ちゃんが、
「キャンセルが出た場合、立ち見から通常座席に
移りたい人いらっしゃいますか~?」と叫ぶ。

10名くらいの奥様が「はいっっっ!」と叫ぶ。
私もできればステージの近くでゆっくり座って
観賞したかったけれど、さらに¥4,000かかる上に
めちゃくちゃ端の方だったら逆に嫌だと思ってやめた。

開演10分前、それは突然やって来た!!!
真っ赤な柄シャツを着た、
見るからにファンキーな40代男性(役者!?)が
10mほど先から一直線に私の方へ歩いて来て、
「一人で来てるんですか?
だったら、一人来れなくなったのでコレどうぞ」と
通常チケットを一枚私の元に差し出した!?!?!

一瞬、悪質な売屋かと思い、かなり硬直した。
それに、立ち見の列に並んでるお客さんをはじめ、
キャンセル待ちしてる方もみんなこっちをを見てる。

「え・・・え・・・」としか言えない私に
チケットを握らせて、おじさんは会場に消えて行った。

少し考えたけど、やっぱり少しでも近くで見たい
という気持ちに負けて、私はおじさんを信じ、
それをいただくことにした。
奥様方の視線など気にせずに。

客先に入って、チケットに書いてある席を知って
本当に驚いた。。。

ステージが目の前!!!
汗はもちろん、呼吸の音まで見える場所。

(この舞台のために360度から見れるように
ステージが中央に移動されている)
これはWEBでとってきた写真。




《舞台が始まって》

開演時間、ブザーと同時に照明が消え、
ステージ奥の座席階段の最上部に
2つのスポットライト!!
混乱して覚えていない。

私が座る方の座席の後ろから、
牧瀬里穂とマイコがゆっくり降りてきて
すぐ横を通り過ぎる。

もう、うわあぁぁぁぁ・・・・
って感じ。

そしてステージ上に8人の女優さん全員が並んだ時の
あのオーラという名の威圧感。。。。。。
本当に感動して涙出た。




そして、舞台は始まる。
内容はカット。
ストーリーは映画を観たから知ってたけど、
もう、女優さんて本当に素晴らしいと感じた。

8人の女優さんについて、
感じたことを書きたいと思う。

※五十音順番
(パンフレット等に五十音順で
表記しないといけないくらい
すごい女優さんばかりを敢えて集めたという)

1、浅野温子(ピエレット)

今回私が最も見たかった女優さん。
昔ドラマ「平成夫婦茶碗」を見てからファンだった。
大学教授も務める知的でクールな印象以上に、
その存在感がすごすぎて圧倒されてしまった。
もう男も女も一瞬で惚れさせる独特の雰囲気で
強いオーラと低くハスキーな声がたまらない。
あれだけすごい女優さんが揃った中で
こんなに印象に残るって、すごいことだと思う。
ちなみに途中でつまづいたのはかわいかった。


2、荻野目慶子(マダム・シャネル)

あまり演技は見たことがなかったけれど、
シャネル役ではイメージがガラッと変わった。
映画では恰幅のいい黒人のおばさんが演じた役を、
敢えて荻野目慶子さんでキャスティングした訳が
なんとなくだけど分かった気がする。
「いい人」なんて言葉では語りきれない
不思議な魅力が劇中の至るところにあった。
人の秘密を決してしゃべらないけど、
自分も秘密をもっている。本当に不思議な魅力。


3、加賀まりこ(マミー)

まさか大御所加賀さんを人生において
生で見れるとは、1年前まで確実に思っていなかった。
8人の中で最も年輩で、当然貫禄が半端でなくて、
本人の人生経験の豊富さがマミーの人生に
影響しているんだろうなと感じた。
最後、手を振ってくれた際に目が合った気がして、
(というか絶対私を見つめて微笑んで振ってた)
ドキドキした。すごく綺麗だった。
美しく歳をとった女性特有の雰囲気があった。


4、大地真央(ギャビー)

宝塚の男役トップスター&松平健の元妻という
情報は知っていたけど、演技は見たことなく。
ギャビーはこの方に本当にぴったりな気がした。
166cmスタイル&55歳には絶対に見えない美。
もう信じられない美しさ。ブレないはずの女性が
少しずつブレていく演技がすごく上手かった。
途中笑いを誘う演技も大地さんが演じると
すごく可愛く、役をモノにしている感じがした。
真矢みきが宝塚入団前から憧れていただけある。


5、戸田恵子(オーギュスティーヌ)

私がどうしても見たかったもう一人の女優さん。
ブログチェックするほどの大ファン。
映画を観た後、戸田恵子さんが演じる
オーギュスティーヌを見たくて仕方なかった。
こんなにハマるってすごすぎる!ってくらいの
想像以上の演技力。ひねくれ者で色気が無いけど
いじらしくかわいい演技を普通にやり遂げる
巧みな雰囲気が本当に好き。昔から職人気質な
雰囲気をすごく感じる。感動して幸せすぎて
心臓がずっとドクドクしてた。


6、マイコ(シュゾン)

「さらりとした梅酒」のCMのあの女の子。
生で見たマイコさんは物凄く綺麗だった。
写真などと全く違う。そしてなんと舞台初挑戦。
上手いと思った。台詞の聞き取りやすさは
もちろんのことシュゾンの聡明かつ可愛らしい
キャラクターが取り憑いたみたいに見えた。
何よりマイコさんの一番の魅力は声だと思った。
透明感があってすごく素敵。今後、テレビでも
彼女に注目したいと思う。



7、牧瀬里穂(ルイーズ)

始め舞台の後ろから歩いて来て、すぐ横を
通り過ぎた時、心から「なんて美しい横顔」と
思った。牧瀬さんが官能的な魔性の女を演じると
こんな風になるんだ・・と。映画版の
エマニュエル・ベアールと似た妖艶さを感じた。
普段のかわいいイメージなんて全くなかった。
出番でない時、脚を組んでステージや客席を
けだるそうに睨む表情にゾワッとした。
驚くほど、想像以上の魅力だった。


8、南沢奈央(カトリーヌ)

名前と顔をかろうじて知ってるくらいだった。
でもこの子すごいなと思った。
第一に、2009年に舞台初挑戦とは思えなかった。
これ程までに大女優陣に囲まれた21歳の気持ちって
どういったものなのかな。しかも終盤、
最も大事なシーンを担う役どころ。一体何分間
一人で大声でしゃべり続けたのか。
実際は、聞き取りにくいところもあったけど、
この子すごいなと感じた。(上から目線ではなく)


こんな素敵な女優さんが8人も集まった、
奇跡みたいな舞台を観に行けて本当に幸せ。




2004年にも、全く別の女優さん達で舞台
やってたけど今回、私がこれほどまでに
行きたかったのは、憧れの好きな女優さん
だらけだったから。

もちろん脚本も良いけど役者さんの命を感じた。

今回初めてこんなに近くからプロの役者さんを
見て心から感激した。心から凄いなと思った。
色々な感情や刺激をくれて豊かになる気がした。

舞台。
今年はたくさん舞台を観に行きたいな。

チケットをくれたおじさんには
本当に感謝。


今日の一言。
「表現する仕事。」