703 ~NAOMI’s Room~

「Bound」1996

シルバーウィーク中には、たくさんの映画を観た。
中でも一番魅力的でおもしろく、大好きな映画になった「Bound」について。



バウンド(原題:BOUND)

製作国:アメリカ
監督脚本・製作総指揮:アンディー・ウオシャウスキ―、ラリー・ウオシャウスキ―
出演:ジーナ・ガーション、ジェニファー・ティリー、ジョー・パントリアーノ


ジャンルは、普段あんまり観ないクライムサスペンス。

5年の鑑別所生活を終え、マンションの配管。内装工事の仕事をすることになった盗みのプロ、コーキーと、マフィアの情婦、ヴァイオレットは、自宅マンションのエレベーターで運命的な出会いを果たす。

コーキーはタンクトップや革ジャンの似合う男前タイプ。ヴァイオレットは色気ムンムンでめっちゃ着飾ってる女王様タイプ。
全く異なるタイプの二人の女性は直感的に惹かれ合う。一目で恋に落ちる、というロマンス的な感じではなく、互いに運命的なものを感じる、という二人の表情がまた良い。

奇跡的に部屋はお隣同士。「イヤリングが水道管に落ちた」とヴァイオレットは計画的にコーキーを部屋へ呼ぶ。
ヴァイオレットはコーキーを誘い、コーキーもそれに応える。このシーンは女の私から見ても官能的でかなり好き。
結果的に二人は女の絆で結ばれる訳だけど、その絆がマフィアから200万ドルを盗むという、究極に危険な賭けを決行させる。
本当に信頼し合っていないと無理な計画。
いつどこでどちらかが裏切るか分からない。コーキーの5年間の鑑別所生活も、当時の相棒に裏切られたためだったし。

コーキーの巧みな計画を、説明と映像を同時進行のように見せる時間構成は、すごくハラハラさせられた。

それにこの映画で重要なのが「壁」。
二人が住むマンションの壁はすごく薄くて、隣の部屋の物音がモロに聞こえてしまう。
例えばヴァイオレットは、コーキーの排水工事の騒音を注意しに来たし、コーキーはヴァイオレットの仕事による物音が聞こえたと攻めるシーンがある。

二人が電話しながら、部屋の壁に手を当てるシーンがあるんやけど、その壁紙のチョイスが◎。
コーキーの部屋はかなり淡白な感じなのに、壁紙だけはヴァイオレットの存在を象徴する華美な赤の花柄で、ヴァイオレットの部屋の壁紙はコーキーの存在を象徴する無機質なグレー。
しかもこの時、真上からのカメラワークで二つの部屋の壁を挟んで二人の絆を確認するシーンはかなりお気に入り。

二人の絆は、この薄い壁のように儚くて危ういんやけど、それが結果的に二人の作戦がばれるきっかけになってしまう。
作戦決行中にヴァイオレットは隣の部屋のコーキーに助けを求める電話をするんやけど、それをマフィアのシーザーに見られて「誰と話しとんねん!!」とリダイヤルされてしまう。
そしたら隣の部屋から電話の音がする、というもの。超ハラハラ。
このシーンの電話線を追うカメラワーク最高。電話線がねじれてるところは、カメラもその通り動く。


それ以外でも、本当によく考えられていて芸が細かく、カッコ良く、スリリングでおもしろかった!
全体通して、情景描写は最小限に抑えられてる。人が歩いてるシーンさえないし。。。
登場人物の生活感も全くない。食事してるシーンとか部屋の中に洗濯物とか絶対ないし。
でもこれらが逆に二人の存在感を浮き出さしてると思う。
ほとんどアパート間のやりとりオンリーのアナログな感じも良い。

それに色にもめちゃこだわってると思う。主に黒とかグレーの暗い映像なんやけど、二人が出会うエレベーターが真っ赤だったり、ヴァイオレットが真っ赤なドレス着てきたり、白い便器に拷問の血液とか。。。色彩が印象的。


マフィアの金を奪うってゆう王道アクションを、レズビアンっていうマイノリティーに設定したのも、世の中の片隅での出来事を描いてるってゆう感じでリアル。

あとから調べたら、あの「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟の監督デビュー作やった!!!
無駄にカメラワークに凝ってる感じが逆に好き。自信満々な感じ。
なんせ、本当におもしろい作品だった!最後まで常にハラハラ。一瞬も見逃したくない感じ。

これだけ私がハマったのは、キャストの演技が魅力的すぎたってことも絶対影響してる。

コーキーを演じたのはジーナ・ガーション。

もう大ファンになった。彼女はこの映画の前に「ショーガール」ってゆうエロいだけで評判最悪だった商業映画にも出たらしく、主役の女優や監督はハリウッドから干されたのに、彼女だけが評価されてこの「Bound」の主演役を獲得してる。
それだけ実力があるってことだろう。

この映画のコーキー役でも、表情や視線、細かい動作一つ一つかなり印象的。チャームポイントのアヒルみたいな唇も魅力的。
当然「Bound」の演技も大いに評価されて、「フェイス・オフ」にも出演。その後も「ブラック・ホワイト」などで主演級の役をゲット。でもやはり彼女の魅力が最大限発揮されてるのは、この「Bound」と「ショーガール」「フェイス・オフ」の3作品らしい。近々「フェイス・オフ」観よー。

ヴァイオレット役は、ジェニファー・ティリー。

彼女の舌足らずで棒読みなしゃべり方&アニメ声は、最初は何やねん!!と思ったけど最終的にはこれがヴァイオレットってゆうキャラを存分に盛り上げる要素になってる。何考えてるか分からん感じとか。
彼女は最初コーキー役を希望してたらしいけど、ヴァイオレットでしょー。絶対。妖艶でハマり役だと思う。
それにもともとの強かさじゃなくて、必死な強かさが良いやん。

あらゆる面で対照的な二人だけど、最後のシーンでコーキーがヴァイオレットに「私たちの違うところって何かある?」的なこと聞いて、ヴァイオレットが「No」コーキーが「Me neither」と答えるとこ最高。

よく考えればまたレズビアンものにハマってるやん。ゲイに比べてレズって美しいイメージやから絵として好きやねん。
それにいたってノーマルな私がこれだけハマれるのは、そこに存在する女通しの強い信頼感とか、仲間意識とか、絆とかそういう何気ないけど難しい人間関係に惹かれるからなんやろうな。



そして結果言えること。
私のハマり性はハンパないなー。

 

 

 






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