最優秀防御率に輝いたロッテ・石川歩、年々進化する”打たせて取る”投球。抜群の制球力で最も効率の良い投手に
入団以来3年連続2ケタ勝利
ロッテの先発投手と言えば、涌井秀章の名前がすぐに浮かぶ。しかし、その陰で着実に進化を遂げた選手がいる。今年最優秀防御率のタイトルに輝いた石川歩だ。
石川は東京ガスからドラフト1位で入団した2014年、10勝8敗で新人王を獲得。以後、12勝、14勝と順調に勝ち星を伸ばしているが、投球内容も進化しているのだ。(リーグ順位)
・防御率 3.43(8)→3.27(6)→2.16(1)
・WHIP(1イニング当たりの走者)1.26(7)→1.26(8)→1.01(1)
・完投 2(7)→3(2)→5(1)
・完封 1(5)→2(2)→3(1)
・被打率 .275(13)→.275(11)→.236(4)
とりわけ、石川歩の進境が著しいのが制球力だ。今季パの規定投球回数に達した投手のBB9(9回当たりの与四球数)ベスト5は以下の通りとなる。
1. 石川歩(ロッテ) 1.22
2. 美馬学(楽天)1.86
3. 和田毅(ソフトバンク)2.10
4. 有原航平(日本ハム)2.19
5. 塩見貴洋(楽天)2.25
このように石川の制球力はパでも群を抜いている。
奪三振率は低い
もともと制球力が生命線の投手であり、すでに昨年、BB9では1位だったが、今年はさらに進化して、断トツの数字になった。
・BB9 2.08(5)→1.71(1)→1.22(1)
石川歩の奪三振率は5.77で、規定投球回数に達した投手の中で2番目に低い。それでいて防御率1位。打たせて取る投球法で、走者を出さず、効率的な投球をしていることがわかる。
その結果としてQS(6回以上投げて自責点3以下)率も飛躍的に進化した。
・QS率 56.0%(9)→74.1%(4)→78.3%(2)
三振をバッタバッタと奪う派手な投球ではないものの、石川歩はいつの間にか勝っている「名人芸」のような投手なのだ。
石川は田中将大、前田健太、坂本勇人、柳田悠岐、斎藤佑樹らと同じ「ハンカチ世代」。プロ入りするまでは目立たない存在ではあったが、今や、同い年のスター選手に肩を並べる存在になろうとしている。
来季はどんな進化を見せるだろうか?d
(ベースボールチャンネル)
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「欲が出てしまった」 ロッテ23年目・福浦和也の後悔
2000安打迫るベテランが心から欲するモノ、「だからもっと打席を大切にしないと」
大ベテランは自らを責めていた。12月15日、契約更改を終え、ZOZOマリンスタジアムの会見場に姿を現した福浦和也内野手は何度も「欲が出てしまった」と言って、眉間にしわを寄せた。貫いてきた自らのポリシー。それが今季、わずかばかりのことだが、揺れ動いてしまった。それがどうしても許せなかった。だから、オフは自問自答の日々を繰り返した。
「例えだけど、今年はアウトコースにボール一つ外に外れているボールを打ってしまった。ファウルにするべき球を前に飛ばして、ゴロアウトにされてしまうケースがあった。自分の中では分かっているつもりでも、本能のどこかで『結果が欲しい』という欲が出てしまったのだと思う。チームのためにファウルで粘って、最後は四球でいいので出塁をしなくてはいけないのに、前に飛ばしてアウトになってしまった。それが許せなかった」
2000本安打まであと68本。周囲からは偉業達成への期待の声が溢れる。それでも福浦は一貫して「チームが勝てばそれでいい。四球でいいので出塁をしたい。ヒットを狙うつもりはない」とクールな表情で回答をし続けていた。ただ、今年は石垣島での春季キャンプで左足を痛め、いきなり出遅れたことで狂いが生じた。自らの心の緩みがこの躓きを生んだと捉えた男は悔い、悔み、結果的に大事にしていた『静の心』が揺れ動いた。
「今年の春季キャンプは例年になく調子が良かった。それで、調子に乗ってしまった。あまりにも状態がいいので、ロングティーの時にトレーニング用にと重いボールを打っていた。その時は調子がいいから、気分よくやっていたのだけど、宿舎に戻って少し時間が経つと足に違和感を感じた。自分の油断。悔しいよ。まだまだ甘いということ」
自身のポリシー貫けなかった弱さを猛省
悔しさと後悔の念が大ベテランを襲う。ようやく状態が完治し、7月に1軍昇格。開幕から1軍にいた、それまでのシーズンとは気づかない部分で気持ちの変化が起きていた。スタンドからヒットを期待するファンの大声援。そして自らも心のどこかで結果を求めていた。本来のゾーンからボール一つ分ほど広げて、投手の投じるボールを狙った。その結果が功を奏した場面もあれば、凡打となったこともあった。ただ、そのいくつかの失敗は自身のポリシーからは決して許せるものではなかった。
だから、オフに入るとすぐに再始動をした。自身の体に語りかけるように走り、ウェートトレーニングを繰り返した。肩も作った。時には球場に誰もいない時がある。そんな時は外野フェンス相手にボールを投じ、肩を温めた。一人の時間。頭の中で『人としての欲』を何度も考えた。いかなる状況であれ、自身のポリシーを貫けなかった自分の人間としての弱さを猛省し、心を整理し直す日々にした。
「今でも悔しいよ。本来は塁に出ることができれば、四球でも死球でもなんでもいいんだよ。チームの勝利に貢献出来れば。だから、もっともっと与えられた打席を大切にしないといけない」
2017年シーズンに向けて新たな一歩はすでに始まっている。今年、体重が少し落ちた反省から夜、寝る前にプロテインを飲むなどしてビルドアップも心がけている。また、若い頃、よく行っていた砂浜でのランニングも再開した。
精力的なオフを過ごす41歳、「まだ動ける。肩も問題ない。目も速い球を見極められている」
「アスファルトよりも足にいいし、平らではなくて緩んでいるから、自然とバランスを意識して走れたりするから足首のトレーニングにもなる」
悔い多き打席があった今シーズンだが手ごたえを感じた一打もあった。8月4日のファイターズ戦(マリン)。8回に榎下投手の140キロ高めのストレートをバットに合せると、流すように左ポール際に弾き返した。打球はグングンと伸び、フェンスに当たる二塁打。今季2度目の猛打賞を放った。流し打ちでのフェンス直撃の強烈な一打。手には確かな手ごたえが残った。
「おかげさまで、まだ動ける。肩も問題ない。目も速いボールを見極められているし、しっかりとボールについていけている。今は反省をするところはしっかりとして、やることをしっかりとやって、万全の準備をして備えるだけだよ」
12月14日、福浦は41歳の誕生日を迎えた。「もう誕生日なんて嬉しくないよ」と笑う大ベテランは今年もまたいつもと変わらぬ精力的なオフを過ごしている。目指すは個人の記録達成ではなく、チームの優勝。それを大勢のファンで埋まるZOZOマリンスタジアムで達成したいと願う。心を静の状態で落ち着かせ、私欲のすべてを捨て去り、マリーンズの未来のためだけに打席に向かう。24年目のシーズンに向けた鍛錬の日々は始まっている。
「パ・リーグ インサイト」マリーンズ球団広報 梶原紀章
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イチローからの金言でいまがあるロッテ福浦
「マリンの神」とあがめられるロッテ・福浦和也内野手(41)が、15日の契約更改交渉で1000万円減の3500万円でサインした。
「この数字じゃ、ダウンはやむを得ない。昨年、この場でけがしないようにと言いながら、キャンプでいきなりけが。年齢なのか、予測不能なことが起こる」
今季は36試合で打率・244。安打は20本にとどまった。通算2000安打まで残り68本。「達成できるものなら達成したい」と福浦はいう。それが人情というものだ。
確かに「予測不能」の故障は怖い。昨年はシーズン中に尿管結石で入院。「怖いぐらいの絶好調」で入った今年2月の沖縄・石垣島キャンプでは、打撃練習中に左足首に違和感を覚えた。その日のうちに症状が悪化し、夜には歩けなくなった。患部に炎症を起こしていた。
焦りから打撃を崩した。ファウルにしようと思った外角球をカットできず、前に飛んで凡ゴロ。「簡単にいえば、結果を求めて“欲”を出し過ぎた」。ただ、“欲”を完全に捨て去ることはない。なぜなら、福浦に強い“欲”をもたらした人間がいるからだ。
「打撃の師」と仰ぐ米大リーグ、マーリンズのイチロー。NPB所属最終年となった2000年の球宴で、初出場の福浦は勇気を振り絞って「極意」を聞いた。なぜ毎年、コンスタントに安打を量産できるのか-。
「簡単なことだよ。バットの芯から先を全部、芯だと思えばいい」
好球必打にこだわるあまり、打席での視野が狭まっていたことに福浦は気づかされる。それはまさに“金言”。以来、ミートゾーンが広がり、少々の悪球にでも合わせられるバットコントロールを身につけた。イチローから“欲”を刺激されて、いまがある。
今季は早いカウントでの凡退が多く、どの球場でもロッテ応援団が一番盛り上がる「♪俺たちの福浦ぁ~」で始まる応援歌が、イントロで終わってしまうことがあった。
「来年は、ファンの皆さんに、ちゃんと最後まで歌わせてあげたい」
プロ24年目となるシーズン。福浦は自身の打撃とともに、ファンの“欲”も満たす。
西村 浩一(にしむら・こういち)
1987年入社。サンケイスポーツの記者として巨人、大洋(現DeNA)、ヤクルトとセ・リーグ球団を担当。プロ野球、文化報道部などのデスクを経て、2012年10月から編集委員。人生訓は「ボウフラが 人を刺すよな蚊になるまでは 泥水飲み飲み 浮き沈み」。
(サンスポ)
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デスパ流出、ロッテの寂しいフトコロ ソフトバンクに資金力で完敗、角中大台も嘆き「他球団なら…」
金銭的な話になると、ロッテは常に分が悪い。19日には、残留交渉を行っていた主砲アルフレド・デスパイネ外野手(30)の退団を発表。交渉の窓口となっていたキューバ政府から球団に提示された金銭面などの条件と開きが大きく、この日同政府に断りを入れた。交渉に参戦していたソフトバンクへの流出が確実な情勢だ。
「残念ながら来季の契約更新は厳しい。少しは上積みも検討したが、こちらとしては厳しい金額を(キューバ政府が)言ってきた」
林球団本部長は沈痛な面持ちでそう語った。3年12億円という、ロッテにとっては精いっぱいの提示も、3年15億円超といわれるソフトバンクに一蹴された格好だ。
デスパイネは来日3年目の今季134試合に出場し、打率・280、24本塁打、92打点と勝負強さを発揮。主砲の残留は10月に球団からの続投要請を受諾した伊東勤監督(54)が強く訴えていた要望のひとつだったが、ライバル球団に資金力の差を見せつけられ無念の撤退を強いられた。
方針転換を迫られるが、「ここまでデスパイネ一本で来ていて、全てはこれから」と林本部長。デスパイネ引き留めに全力を注いでいただけに、先行して助っ人補強を進めている他球団からの出遅れは否めない。
また、この日は今季首位打者に輝いた角中勝也外野手(29)が6100万円増の1億4100万円で更改。日頃から歯にきぬ着せぬ発言で周囲をはらはらさせる安打製造機は「ロッテなりの金額。でも、他球団ならもう(2億円まで)いっているかも。まあ、ロッテなんで。来年も同じような成績ならいくらロッテでも(2億円まで)いくでしょう」
こき下ろしつつ赤貧状態を嘆いてみせたが、デスパイネ流出が明らかになったのは、その数分後だった。師走の幕張に暗雲が立ちこめている。 (片岡将)
(夕刊フジ)
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