ちょこっとGUM

今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

拾い読み★2016-365≪コラム記事≫

2016年12月30日 21時51分17秒 | マリーンズ2016
デスパイネ騒動はむしろチャンス。
井上晴哉がロッテの主砲になる日。


 この秋に千葉ロッテの二軍監督から一軍打撃コーチに人事異動した山下徳人の存在がチームに新たな風を吹き込んでいる。

「二軍でやっていたことをそのまま一軍で継続して出来ると思うのでチームにはプラスになると思います」

「ケガの状態も含めてこれまでの過程を見てくれるので気分的にも楽ですね」

 選手間からも、そんな声がちらほら聞こえてくるようになった。「選手補強」ならぬ「現場補強」は今のところ成功と言えるのではないか。

 後日、山下にそうした声があがっていることを伝えてみると彼はこう言った。

「それ、もしかしたら喜んでいるのかもしれないけど、そうは甘くないですよ。そこは競争ですからね」

最近のロッテは、チームが若返ってきている。

 現役時代も含めるとロッテ一筋30年。コーチ、スカウト、様々な立場からプロの本当の厳しさを目の当たりにしてきた。

 流した涙も、ひとつやふたつじゃないだろう。

「近年、一軍の選手も若干ですが、若返ってきましたかね。今年も細谷が出て来たりして、若干の入れ替わりが期待できますけど、僕は(選手たちの)良いところも悪いところも全て知っているメンバーですからね。逆に厳しいかもしれないですよ。だからこそ、僕が彼らの順番を間違えないようにしたいですし、これまでどおり厳しい戦いになることは変わりないですから、記事でもそう伝えといてください」

 そう笑顔で語った瞳の奥に、チームへの並々ならぬ想いが感じ取れた。

4番デスパイネの残留交渉が決裂で緊急事態に!

 2016年シーズンは2位・福岡ソフトバンクにまるで歯が立たないまま終焉を迎えた。

 その直後には伊東勤監督とフロントの間でさらなる戦力補強が約束されたようにも思えたが、この秋のFA戦線は補強どころか、そこに参戦すらしなかった。

 さらについ先日、2016年シーズンを通して4番を任されてきたアルフレド・デスパイネの残留交渉が決裂。ロッテから離れることが発表された。補強どころか戦力ダウンすら考えられるこの現状に、ファンはきっとヤキモキしているに違いない。

 果たしてデスパイネの抜けた穴を一体だれが埋めるというのか……。

 そこで山下に、ある選手について訊いてみることにした。社会人チームの日本生命から入団し、来季(2017年)でプロ4年目を迎える井上晴哉のことである。

プロ3年目になって、見えてきた大器の片鱗。

 非凡な長打力を期待され、2014年には新人ながら4番で開幕スタメンに抜擢された井上。しかし、ここまでの3年間は、体調面や精神面に何度も弱さが出て、彼の秘めているポテンシャルの半分も発揮するに至っていない。

 しかし、プロ3年目を迎えた2016年シーズン。数字では表れない微かな変化を取材を通して彼から感じることが出来た。

「実際、ちょっと体が強くなりましたよね。今年の秋季キャンプも相当きつかったと思うんですけど、彼なりに全てのメニューをこなしたし。これまでの2年間は怪我に泣かされて、今回の秋季キャンプが3年目にして初めての参加でしたが、最後まで乗り切ってくれましたしね。見た目は変わらないですけど、体幹とか体力的なところで強くなった部分があったんじゃないかと思いますよ」

 そういうと山下は表情をくずした。

怪我に泣く年が続いて、崖っぷちに追われた井上。

 2年目の飛躍が期待された1年目の秋季キャンプでは腰を痛めて、2015年はわずか5試合の出場にとどまった。

「このままでは自分の野球人生は終わる……」

 窮地に陥った井上は、その年のオフに社会人時代に所属した日本生命へと出向き、在籍しているトレーナーから怪我をしない体作りについて学んだという。それを2016年のシーズンを通して続けてきたのだ。

「2016年は朝の生活を変えるところからスタートしました。肉離れをしたときも、実はその前から前兆があったり、腰を痛める前も膝に前兆があったりして、そのパターンが続いていたので、そこを変えようと考えました。

 まず、シーズン中は朝早めに球場入りして、腰回りのトレーニングを続けました。体を伸ばすのではなく、動かす系のものです。胸周りの筋肉を動かしやすくすることで、他の部分も動かしやすくなるというもの。胸周りの可動範囲を広くするため、それを重点的にやってみたのですが、今年はそのおかげで怪我もなく一年間やれました。そこに何らかの意味があったんじゃないかと思います」(井上)

ファームではあれだけ活躍したのに、一軍のCSでは……。

 この秋のキャンプでは技術的な部分でも変化があった。

 打撃指導を行った山下は、こう話す。

「これまでは、結果を残したいと思うあまり体の開きが早くなっていたと思うんです。そうしたメンタルの部分も含めて、彼本来のバッティングである逆方向の打球が一軍にいるときは消えていた。そこは本人も分かっていたことだと思うんですけど、この秋のキャンプではそれも修正出来たかなと思います」

 ファーム(二軍)では今年、69試合に出場して打率.342、本塁打15、打点50と圧倒的な数字を残している。だが、CSファーストステージ第1戦で相手先発(福岡ソフトバンクの千賀滉大)との相性を買われてスタメンに起用されたにもかかわらず、期待に応えられぬまま沈黙。結局、目立った成績を残すに至らなかった。

 いったい何が足りないのか。

主砲不在というピンチをチャンスに変えられるか?

 山下はそんな井上についてこう続ける。

「ファームでは逆方向に打つことが出来ていたから出塁率も高かったし、結果も残せていたと思うんです。彼は元々のポテンシャルで右方向にもホームランが打てますし、広角に打てるバッターです。それが一軍に行くと、相手投手のスピードに負けないと思うあまりに、体の開きが出てしまう。悪い癖ですよね。だから意識として、一軍でもっと逆方向に打とうとすれば率は自然と上がるようになると思うんです。また、率が上がるということは彼のポテンシャルから考えれば当然長打率も上がる。来年(2017年)もそこは課題としてあると思います」

 当の井上は、現状の手応えについてこう語ってくれた。

「まず、秋季キャンプも含めた1年間、怪我なく終われたことが一番大きいです。これまでの自分は秋季キャンプは行くこともできなかったので、実際にキャンプに行って、あれだけ走り回って、最後まで怪我なく終われたということは『ここまで来れたんだ』という自信にもなりました。2016年のひとつの目標として、怪我をしない体づくりを意識してきました。その目標は1年間体を動かしてきたことで達成できたと思っています。今、やっていることは、このまま継続して、さらに筋力トレーニングを上手く取り入れていくこと。何かが変わってくると思います」

 シーズンが終わった12月某日。

 井上は午前中の早い時間からロッテ浦和球場に足を運び、ひとりで黙々と汗を流した。怪我に泣かされ、本当の意味で自信が持てず、オドオドしていた彼の姿はもうどこにもない。

 主砲不在というチームのピンチを、自身のチャンスへ変えられるか。

 2017年はそんな井上晴哉の覚醒を信じてみたい。

文=永田遼太郎

(Number)


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本塁打不足のロッテに非常事態!求められる大砲の補強

デスパイネ退団で緊急事態!

 オフに入り、各球団が来季の布陣を整えるべく補強を進めるなか、厳しい状況に立たされているチームがある。パ・リーグ3位のロッテだ。

 球団史上最大級の3年総額12億円ともいわれる条件を提示して引き留めを図っていた主砲・デスパイネの退団が決定。本人も残留希望だったものの、交渉役となるキューバ政府と折り合うことができず、痛過ぎる結果となってしまった。

 デスパイネが抜けることで大きな痛手を被るのは、当然ながら打線だ。近年のロッテ打線といえば、極端に本塁打が少ないことが大きなウィークポイントのひとつ。チーム本塁打は統一球導入前の2010年に記録した126本を最後に3ケタに届くことがなく、これは阪神と並んで12球団最長のブランクである。

 今季のチーム本塁打も80本。リーグ最下位だったオリックスの84本をも下回り、12球団最低の数字だ。加えて、まずいのがその内訳。チーム内の本塁打ランキングは24本のデスパイネが断トツの1位。さらに10本で2位だったナバーロもすでに退団が決定しているのだ。

 チーム本塁打の4割強を放った助っ人ふたりがチームを去る...。このふたりに続くのは、8本の角中勝也。そして清田育宏、鈴木大地、中村奨吾が6本と、なんとも迫力不足だ。

 すでに新外国人・ダフィーの獲得が決まっているほか、阪神からの退団が決まったゴメスや、マリナーズからの日本球界復帰がうわさされる李大浩の獲得に動いているとの情報もあり、まだなんらかの補強をするはずだが、先行きは明るいとは言いがたい。

 もちろん、本塁打だけが強いチームを作る要素ではない。ただ、過去の優勝チームと比較すると、大きなハンデを背負っていると言わざるを得ない。

キーワードは「134.2本塁打」

 過去20年をさかのぼり、パ・リーグのレギュラーシーズン1位チームの打撃成績を振り返ってみると、チーム本塁打の平均は「134.2本」になった。今季のロッテとは、実に50本以上の開きがある。

 最多は211本をマークした2001年の近鉄だ。この年の近鉄は、ローズと中村紀洋のふたりだけで101本塁打を放つなど、“いてまえ打線”が大爆発。チーム防御率は4.98とリーグ最低の数字だったにもかかわらず、強力打線によってペナントをものにしている。

 統一球導入後はさすがにチーム本塁打数も減る傾向にあったが、それでも90本は割っていない。20年間で唯一の例外は、2007年の日本ハムが記録した73本だ。この年の日本ハムは森本稀哲、稲葉篤紀、金子誠、田中賢介らによる堅い守備をバックに、先発ではダルビッシュ有(現レンジャーズ)、武田勝、中継ぎでは武田久、MICHEALを中心にした守り勝つ野球で本当に“うまく勝った”チームであった。

 しかし、これはあくまでも例外。優勝を狙うには、やはり一定水準以上の長打力が必要と言える。ロッテの場合、抜きん出た守備力や投手力、機動力があるわけでもない。長打を期待できる選手の獲得は必須といえるだろう。

 各チームの補強も落ち着きつつあるが、ロッテにとってはこれからが本番。シーズンを制するための大砲を手に入れられるだろうか。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

(BASEBALL KING)


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70歳打撃投手退団 千葉ロッテ・池田重喜さん、在籍44年感謝しかない「近所の子供たちとキャッチボールしたい」

 千葉ロッテマリーンズに在籍して44年-。70歳の打撃投手としてチームを支え続けてきた“名物スタッフ”が、今シーズン限りで退団した。選手寮の寮長も兼務していた池田重喜さん。「寮長として接した選手のことは今まで以上に気になると思う」と、孫の世代の現役選手たちを見つめるまなざしはどこまでも温かい。プロの世界からは離れるが、「近所の子供たちとキャッチボールをしてあげようかな」と、悠々自適の毎日を楽しみにしている。

 「球団には感謝の言葉しかない。いろいろな監督の下で勉強させてもらった。幸せな時間を過ごさせてもらった」。退団にあたり池田さんは、球団を通じてこう振り返った。

 池田さんは大分県臼杵市生まれで同県立津久見高校、日本鉱業佐賀関を経てドラフト4位で昭和43年に大洋(現DeNA)に投手として入団。46年にロッテに移籍した。現役時代は右肩痛に悩まされ、実働7年で13勝を残した。

 引退後はトレーニングコーチなどを歴任するかたわら、平成24年からは選手寮の寮長に加え打撃投手も兼務。二軍の試合前の打撃練習で1日100~150球ほど投じていた。球速は現在でも110キロ程度出る。

 新人選手は、まず池田寮長の世話になる。昨年のドラフト1位、平沢大河選手は、「よく打撃は間が大事だと教えられました。寮長としては、挨拶と時間を守る大切さなどをいつもおっしゃってくれました」と感謝の言葉が尽きない。

 池田さんは「これからは若い子たちに教える活動もしてみたい」と希望している。球団を通じて出したコメントによれば、池田さんの元には、自宅近くの子供から「投げ方を教えてほしい」とせがまれているという。「キャッチボールしてあげようかなと思うので、これからも投げていると思う。『オレの球を打てないようじゃ駄目だぞ』と」

 子供たちとの触れ合いも楽しみだが、大学生や社会人野球まで機会があれば、野球と関わっていくチャンスをうかがう。球界最高齢の打撃投手は、プロ野球を退団してもグラブとボールを手放すつもりはない。

 年々、ロッテファンが増えて、熱気が増してきた印象があるという。「若い選手たちは、こんなに多くのファンに愛され、応援してもらって幸せだと思う。ファンの方々にはこれからもロッテ選手の応援よろしくお願いします」とコメントしている。

(産経)


ロッテ寮長70歳で勇退 池田重喜は“24時間営業”の男

【越智正典「ネット裏」】ことし限りでロッテを勇退した寮長池田重喜といつもの店で焼き油揚げとビールで、まずは乾杯。ご苦労さんです。間もなく2016年がゆく。彼は来年5月に71歳になるが、二軍戦試合前にも夜間練習でも打撃練習にずっと投げ続けて来た。その気迫、凜烈な指導。人情があり野球は深い。

 ロッテ寮は彼が寮長になって初めて機能した。前の狭山の寮の寮長は娘を2階の一室に住まわせ、受付は寮長家族のテレビ部屋。取材で訪ねても出て来なかった。当時のロッテはポン助球団だった。いやいや、いまのさいたま市南区の寮でも部屋に荷物を置きっ放しにして銀座から出勤していた、おめでたい二軍監督もいた…。

 池田は選手起床時間の1時間半前にはひとりで体操と強歩。まず自分を鍛えていた。翌日が休日でも前夜新宿区の自宅に帰らなかった。何が起こるかわからない。備えていた。家に帰ったのは正月の3日間だけである。

 毎日が“24時間営業”。

 そんな池田に、両親が離婚のまま大きくなった選手の祖父母が遠くで、手を合わせて感謝していた…。

 この12月、彼は球団行事に従ってからやっと帰宅した。アマ指導資格を取得してから故郷に墓参に。「春になったら兄貴が拓いた裏山の山道を登り、兄貴が植えた山桜を見に行きます」。彼は1946年、大分県臼杵で生まれた。

「兄貴がキャッチャーをやってくれました。まだ小学生でしたから正規の距離から投げるのは気持ちの負担になると、すぐ近くで構えてくれました」。彼の決して崩れないフォームはこうして始まった。5年生のときには大人の臼杵駅チームのエースになった。熱血監督小嶋仁八郎の津久見高、日鉱佐賀関、68年大洋。阪神戦になると名遊撃手吉田義男に惚れ惚れ。小山正明の絶妙のコントロールにうっとり。江夏豊からはサヨナラホームラン。結婚の仲人は球団社長、森茂雄(タイガース、戦前のイーグルス、戦後、早大監督)。71年、中部謙吉、永田雅一の“友情トレード”でロッテへ。71年春、チームは渡米遠征。オープン戦ではあったが、あのレジー・ジャクソンを2打席連続三振に。翌72年の遠征でも2打席連続奪三振。計4打席連続奪三振は見事だった。75年限りで現役のユニホームを脱ぎ、監督金田正一の76年、コーチ。本拠地が定まらない、すさまじいジプシー時代が始まった。彼は体調管理の必須を痛感し、79年オフ、勉強をしトレーニング指導の国家資格を取得。プロ野球人初である。その後、試合が始まるとネット裏に座り、選手に監督のサインをリレーする作戦参謀を務めた。

 よき時代のドジャースの教育基地、ベロビーチのドジャータウンの食堂の入口には選手育成に尽くした“キング・オブ・ファーム”のスタン・ウオジアークの椅子が飾られていたが、ロッテ寮に彼の椅子が飾られてよい。この球団が本当に育成を重視しているならば…である。=敬称略=(スポーツジャーナリスト)

(東スポ)


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セ6球団改善点&イチ押し選手/里崎コラム(下)

 元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。2016年最後のコラムとなる30回目は「今季の反省、来季の修正点とイチ押し選手~セ・リーグ編」です。

  ◇  ◇  ◇

 セ・リーグ25年ぶり制覇の広島で幕を閉じた今シーズン、来季、他球団の巻き返しはどうなるのか。

 今季の各球団の反省、修正点など振り返りつつ、イチ押し選手を挙げてみた。今回はセ・リーグ編。

【広島】

 黒田投手が引退して穴が開いたことが一番の不安要素だ。10勝を挙げた実力もさることながら、精神的支柱としてチームを鼓舞し続けたベテランの穴を埋められる選手は、現段階では厳しいかも知れない。

 16勝で最多勝と最高勝率(8割4分2厘)の野村、15勝のジョンソンは2桁を計算できる。しかし、2人を除けば先発陣の層はちょっぴり薄い。日本シリーズでジョンソンを中4日登板させたことからもわかる。九里(先発10、2勝2敗、防御率4・50)福井(先発13、5勝4敗、防御率4・34)岡田(先発15、4勝3敗、防御率3・02)中村恭(先発8、1勝1敗、防御率5・40)ら若手が先発ローテに軒並み食い込んでこなければ連覇への道のりは容易ではないだろう。

 マエケンがメジャー移籍した後、穴を埋めたのは最多勝右腕の野村だった。2015年5勝8敗から今季16勝3敗と大ブレーク。計算上は1人で貯金13をチームにもたらし「マエケンロス」を感じさせなかった。野手陣は若い世代で特に不安は見当たらない。「黒田の穴」をどう埋めるかに尽きる。

<イチ押し>

 黒田投手の代わりを務めるなら、大瀬良だろう。来季は先発復帰の報道もあった。2014年のルーキーイヤーに先発で26試合登板し10勝8敗。新人王を獲得した。右肘の靱帯(じんたい)を痛め、今季は満足いくシーズンではなかっただろうが、日本シリーズではマウンドに立ち元気な姿を見せた。けがさえなければ2桁は期待できる。大瀬良が本来の実力を発揮すれば、リーグ連覇の可能性もグッと高まるだろう。

 野手では堂林に期待している。今季47試合出場で打率2割5分、2本塁打に終わったが2012年には14本塁打を放った右の中距離砲。三塁手争いでは安部(115試合出場、打率2割8分2厘、6本塁打、33打点、7盗塁)が今季頑張ったが、堂林が伸びてくれば、三塁を含め野手陣にも厚みがでるだろう。

【巨人】

 FA補強、トレードなどで全ての弱点をカバリングした。山口俊、吉川が先発陣に、中堅を守れる陽の加入でセンターラインに厚みが出た。9年連続60試合以上に登板している山口鉄に頼りっぱなしだった中継ぎ左腕に森福が加わり、山口鉄も肉体的により充実した状態で登板できる。元楽天ケーシー・マギーも獲得し、村田、岡本の三塁手争奪戦も激化したのは首脳陣にとっては歓迎だろう。補強に関してフロントは最高の仕事をした。

<イチ押し>

 小林誠司に注目したい。先発を含め豪華メンバーがそろう投手陣をどうリードするのか。さらに、バットでも結果を残してほしい。捕手のポジションは相手の研究や配球など膨大な「守りの準備」に追われることは捕手出身の私もよく分かっている。今季の打率は2割4厘だが、新人年の2割5分5厘から右肩下がりだ。野村克也氏、古田氏、谷繁氏、城島氏、阿部慎之助ら打って守れる捕手は存在した。やってやれないことはない。

【DeNA】

 勝ち頭(11勝)の山口俊が抜けた穴は痛い。代役をどうするか。外国人投手を獲得できるか、チーム内の投手でカバー可能か。普通に考えれば開幕投手を務めた井納が大黒柱になれるか。2014年は11勝をマーク、今季7勝11敗だったが、勝敗数が逆でも不思議ではない。石田も9勝、今永も8勝を挙げており、若手2人にブレーク気配も漂うだけに井納が計算できれば3本柱を形成できる。

 打線は「マシンガン打線」復活の気配が漂う。44本塁打、110打点で2冠の筒香を筆頭に34本塁打のロペス、梶谷と主軸は健在。さらに桑原(打率2割8分4厘、11本塁打)倉本(打率2割9分4厘)宮崎(打率2割9分1厘、11本塁打)と若手も順調に育っている。

<イチ押し>

 熊原に期待している。今季は18試合に登板(先発3、リリーフ15)し1勝1敗、防御率4・97ともうひとつだった。しかし、投げっぷりといい、球の勢いといい、ブレークの可能性を感じさせてくれた。2015年ドラフト2位の好素材。29イニング16四死球は気になるが、制球に磨きがかかれば面白い。

【阪神】

 今季キャプテンを務めた鳥谷が不調だった。チーム的にもまとまりを欠いた。シーズン序盤は足を使った攻撃を見せ「新生阪神」を期待させたが、徐々に機動力も目立たなくなり、チームも失速した。来季は盗塁王の糸井が加入し、好投手でも足でかき回し、得点をもぎ取る攻撃オプションも増える。ゴメスの退団で一塁手を誰が守るか気になるが、外野の定位置争いは激しい。糸井、福留、高山の強力布陣に、若手の有望株、江越、横田、中谷らがしのぎを削る。野手は内外野ともに割と層も厚く心配していない。

 課題は中継ぎ以降の投手整備に尽きる。逆転勝ち24回に対し、逆転負けが30回。1点リードで19回ひっくり返され、2点リードでも9回の悪夢を見た(ちなみに優勝した広島は逆転勝ち45回、逆転負け26回)。

<イチ押し>

 鳥谷が鍵だ。打率3割前後で鳥谷が復活してくれば阪神は強い。鳥谷、北條で二遊間を組めれば理想的だ。来季36歳だが、チーム内には39歳で打率3割超の福留もいる。いい刺激にしてほしい。

【ヤクルト】

 打線はすさまじい。新加入の坂口も打率2割9分5厘と奮闘した。今季は川端、畠山、山田らけがも多かったが、本来の実力を発揮すれば問題ない。

 問題は投手陣。エース小川も8勝どまりで2桁投手ゼロ。優勝した2015年には中継ぎ陣にオンドルセク、ロマン、バーネットらが活躍した。先発からリリーフ含め投手陣全般の整備ができるか。

<イチ押し>

 成瀬に期待したい。先発枠に食い込んでこれれば先発陣も安定感が出る。今季22試合に登板(先発10)し3勝2敗、防御率5・60は本人が一番悔しい思いをしているだろう。来年32歳を秋に迎えるが、老け込むにはまだまだ早い。ロッテからFA移籍し3年契約を結んだ左腕も来季が契約最終年。結果を出せねば戦力外か、大減俸か。ストレートにキレさえ戻れば2桁勝てる力はある。

【中日】

 大島と平田が残留したのは大きかった。FA移籍されていたら終わっていた。

 かつての中日は投手王国のイメージだった。しかし、今季は規定投球回数を満たした投手がゼロ、大野の7勝がチーム最高だった。どこが悪いではなく、全ての部分で改善、底上げが必要だ。2010年、翌11年はリーグ制覇したが、当時主力だった井端、和田、谷繁氏らが引退。荒木、森野、岩瀬らも大ベテランの域に入り、世代交代がうまくいかず現状に陥った。世代交代はどのチームでも難しいが、今季は若手に貴重な経験を積ませた結果となった。暗い話題ばかりではない。20歳代のイキのいい選手も芽を出し始めた。大野、若松が7勝、田島は守護神「タジマジン」でブレーク、野手も福田、杉山が成長している。投手王国復活なら面白い。

<イチ押し>

 投手では小笠原。今季15試合に登板(先発12)で2勝6敗、防御率3・36に終わったが、リードしながら降板後に逆転される試合もあったため数字以上の印象がある。ただ剛速球左腕から変化球を駆使した投球が目についた。変化球に頼ることはベテランになってからでもできる。いけるうちはストレートを磨ききってほしい。

 野手では堂上、高橋周の2人。堂上はキャリアハイとなる131試合に出場し打率2割5分4厘。高橋も自身最多の75試合に出場した。堂上が来季11年目、高橋が6年目。そろそろチームの顔に名乗りを上げてほしい。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)

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