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拾い読み★2014-064≪コラム記事≫

2014年03月05日 19時57分42秒 | マリーンズ2011~15
ロッテ・井上晴哉は大成するか?
“アジャ”がプロでも大砲になる条件。


「アジャ」こと、井上晴哉がオープン戦で結果を残している。

 日本生命からロッテにドラフト5位で入団した、体重114キロの巨漢ルーキーだ。

 伊東勤監督が「開幕5番」を示唆しているように、周囲の期待は高まるばかりだが、社会人球界の大砲がプロで大成した例は、近年では2004年に44本塁打をマークし本塁打王になったソフトバンクの松中信彦(新日鐵君津)ぐらいで、意外なほど少ない。

 さかのぼれば、1988年にプリンスホテルから日本ハムにドラフト1位で入団した中島輝士がそうだった。'88年のソウル五輪では日本の4番も務めるなど実績も十分で、当時、NPB史上最高額となる8000万円の契約金を提示されるなど将来を嘱望されたが、プロ10年間で本塁打52本に終わった。

 中島同様、元全日本の4番という触れ込みで'90年にやはり日本ハムにドラフト1位で入団した住吉義則はさらに低調に終わった。プロ6年間で一軍の出場は30試合にとどまり、ホームランを1本も打てなかった。

 都市対抗記録となる9本塁打をマークし、'91年にドラフト3位でロッテに入団した丹波健二はホームランこそ1本記録したが5年で球界を去っている。

例外中の例外、小笠原道大という存在。

 3人に共通しているのは、いずれも入団が26歳と遅かったことだ。当時、社会人はまだ金属バットの時代だった。そのため即戦力として期待されながらも、木製バットへの対応に時間がかかった感は否めない。

 井上も3人と同じように24歳と入団が遅い。ただし社会人野球は'05年から木製バットの使用が義務づけられている。井上の場合、木製バットへの対応時間は考えなくていいので、そこは大きなアドバンテージだろう。

 ちなみに近年の社会人出身のスラッガーというと松中以外にもう1人、名前が上がる人物がいる。'96年にドラフト3位で日本ハムに入団し、'06年に32本塁打でパ・リーグのホームラン王になった現中日の小笠原道大だ。

 ただし彼の場合、日本ハムはホームランを期待していたわけではない。シュアな打撃をする捕手として指名したのだ。小笠原はある種の突然変異で、例外中の例外といっていい。

パワーは後からつくが、ミートセンスは難しい。

 プロ野球の歴史を紐解けば、「当たれば飛ぶ」という打者は星の数ほどいた。だが、その多くは大成せずにプロ野球界を去った。

 小笠原の例とそれらの例は、力は後からつけることができても、ミートするセンスを身に付けるのはプロに入ってからでは遅いということを物語っている気がする。

 プロで長距離打者として大成するためには、パワーがある、というだけでは通用しない。それ以上に大事なのはミート力なのだ。

 その典型が、高卒ではあるが中村剛也だろう。

 大阪桐蔭高校時代は、監督の西谷浩一が「空振り三振した記憶がない」というほど当てるのがうまいバッターだった。その能力を犠牲にしてまで飛距離にこだわった結果、現在のようなホームランのスペシャリストになれたのだ。

 パワーばかりが注目される日本ハムの中田翔もそうだ。中田も元来、とても器用な選手だ。打者に転向し、フォームをしょっちゅう変えていた頃は、その器用さが成長を阻害しているのではないかと言われたほどである。

好データが揃う井上、ライバルは外国人打者だ。

 そういう意味では井上も好データがそろっている。中央大学時代は1年春から4番を打ち、常に打率上位をキープしている。2年春から3年秋までは3シーズン連続で4割を超え、3年秋には5割をマークした。

 プロ入り後も右打ちがうまいと絶賛されるように、「剛」だけでなく「柔」も見せつけている。

 ただし、柔らかければいいというものでもないと語っていたのは、DeNAの監督の中畑清だ。かつての教え子である松井秀喜と、現在の教え子で、なかなかスラッガーとしての才能が開花しない筒香嘉智を比較し、こんな話をしていたことがある。

「入団時の松井は真っ直ぐは滅法強いけど変化球が弱かった。逆に筒香は変化球なんかはうまいけど、真っ直ぐに弱い。柔らかすぎるんだよね。スラッガーとしてはやっぱり松井のようにストレートに強いという方が魅力あるし、将来性を感じる。経験を重ねれば変化球は対応できるようになるから」

 なかなかに「スラッガー道」は奥深い。

 とはいえ、結論として、井上は、そこそこ打つのではないか。大変なのは、井上の場合は「そこそこ」ではダメだというところだろう。

 なぜなら一塁手だからだ。プロ入りが遅れたのも、ドラフト5位と下位指名に甘んじたのも、一塁しか守れないという点が響いた。一塁は基本的に「外国人枠」だ。DHもしかり。井上が生き残るには、外国人並みに打たなければならない。打つことは打つだろうが、そのハードルを越えるのはなかなか難しそうだ。

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