人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

半夏瀉心湯

2023-05-26 | 日記



次は半夏瀉心湯です。
これは胃薬とも言われますが、に作用する薬は入っていません。
半夏は気に作用する薬です。
強いて言えば、この半夏が胃に作用すると言えるかもしれませんが、
半夏は胃よりもに作用します。

半夏瀉心湯三黄瀉心湯と同じ考え方をします。
出発がか心の子分である小腸です。

はいつもいうように冠状動脈脳血管です。
お腹を痛がって脈は心の位置にあって間違いなく
半夏瀉心湯の人だと思ったら、
耳の心の位置に鍼をすれば必ず好転します。

心の位置は解りやすいですね。耳の穴の手前にあります。
探れば必ず痛がります。
お年よりは冠状動脈疾患でも胃を痛がる事があります。
昔ほ半夏瀉心湯を使ったのかも知れませんが、
そこまで診断がつけば西洋医学的治療を優先させます。

いつも言うように冠状血管です。

三黄瀉心湯の状態は脳血管の急性期になっていますが、
半夏瀉心湯はその手前で心労をおこすような状態が続いていて、
それが体に何らかの影響を起こしている状態です。

ストレスはどちらかと言ったら肝労です。
ちょっと気持ちを切り替えたら何とかなる状態です。
半夏瀉心湯心労はこんな事をやっていたら誰だってまいるよという状態で、
自分の気持ちの切り替えではどうにもならないものです。

最近、心労で来た患者さんが居ました。
子供も病気で、夫も病気で、更に自分の親も死にかかっていて、
毎日その間を行ったり来たりしているということが
ずっと続いているというのです。
この様に気持ちの切り替えではどうにもならないのが心労です。

心の火は意外に消えないのです。消えるときは死ぬ時です。
抵抗して一生懸命頑張ると、かえっての火が燃え上がります。
そしてすぐ傍のを焼いてしまい胃腸症状を起こします。

もう一つの場合は、何らかの意味で心と小腸のバランスが崩れて
小腸性下痢を起こした時です。

大腸性下痢は裏急後重を伴いしぶり腹の下痢ですが、
小腸性下痢はざっと出て、出た後はさっぱりします。
昔、過敏性大腸と言っていましたが小腸性下痢もあるということが解り、
過敏性腸症候群と言うようになりました。

桂枝加芍薬湯桂枝加芍薬大黄湯が効かない過敏性腸症候群小腸性下痢で、
半夏瀉心湯が劇的に効きます。

最初、漢方エキス剤が保険収載されたとき、半夏瀉心湯は入っていませんでした。
何年か遅れて収載されましたが、
それまでは十二指腸潰瘍や胃潰瘍の適応は柴胡桂枝湯だけでした。
柴胡桂枝湯の薬で、これだけではどうしても治療できないものがありました。
半夏瀉心湯が出てからカバー出来るようになりました。
心労による潰瘍半夏瀉心湯で治療できたのです。

H2ブロッカーが出てからは潰瘍の治療はそちらが一番良いのですが、
もうならないようにするは柴胡桂枝湯半夏瀉心湯が一番なのです。

揮発成分が飛んでしまうので効き目が弱いのですが、
なま生姜をおろして加えると良いみたいです。
以前はチューブ入りのねり生姜でも良いかと思っていましたが、
やはり、なまの生姜おろしたものをかけたほうが良いのです。
チューブのねり生姜は揮発成分が飛んでいるみたいです。
ソーメンを食べるとき解りますね。
チューブ入り生姜より、なま生姜をおろしたものの方が香があります。

甘草瀉心湯痛みが強いに使います。

半夏瀉心湯と芍薬甘草湯を合方しても良いのですが、
甘草未があれば半夏瀉心湯に甘草末を加えたほうが良いです。
この様にちょっとしたバリエーションをとれば、半夏瀉心湯というのは
良い薬ですし、半夏瀉心湯だと思ったら、
心の1臓珍断で耳の鍼を加えればかなり手ごたえを感じると思います。

第14回「さっぽろ下田塾」講義録
http://potato.hokkai.net/~acorn/sa_shimoda14.htm





   
   https://www.kigusuri.com/kampo/kampo-care/030-3.html

この記事についてブログを書く
« クリード/ チャンプを継ぐ男 | トップ | やさしい漢方コラム »