「何と目を覆うような、恥ずかしい奪い合いだろうか?…この醜い行為を我々は何と名づけたらよいだろう。追剥ぎか、それともギャングか?これが帝国主義のやり方なのだ。時にはそれは秘密裡に行われる。時には他人に温情を売る慈悲深げな表情と、偽善のマントでその悪行を隠している」
以上は『父が子に語る世界歴史 第4巻 激動の19世紀』(J.ネルー著)からの一部抜粋である。“この醜い行為”とは欧州列強の中国侵略を指している。これを書いた時(1930年代前半)、ネルーの祖国インドも追剥ぎ同然の大英帝国にヤラレていたのだから、憤りは当然だ。この本を読んでいない人は、さぞイギリスに対する恨みつらみを綿綿と書き綴っているものと想像するかもしれない。が、まるで違う。欧米はもちろん日本の帝国主義も激しく非難しながらも、自国の欠点や不甲斐なさも冷静に分析しているのだ。
「しかしもう一度言っておくが、だからと言って一つの国や国民、つまりイギリスやイギリス人に対して腹を立てるのは愚かな事だ。彼らもちょうど今我々がそうであるように、時代の流れの犠牲者だったのだ。…そのことを無暗に嘆いたり、また一つの国を罵倒したりするのは馬鹿げた事であり、また何の役にも立たない。それよりは、貧困と悲惨と搾取の原因を突き止めて、それを排除しようと努力する方が遥かに優っている。…もし彼らがそこに居合わせなかったら、どこかよその国民が同じことをしたに違いない」
「私は今、ヨーロッパ人と我々自身や他の諸人種と比較して、我々の方に軍配を上げようとしているのだ、などと想像しないように。それどころでない。我々も皆、叩けばずいぶん埃が出るのだ。我々の中にもずいぶん悪い者がいる。そうでなければ、我々もここまで堕ちなかったに違いない」
だが、ネルーもこの本を書いた四半世紀後に、農奴制から開放するという大義を掲げた中共がチベットに侵攻するなど夢にも思わなかっただろう。まさに本中の「帝国主義国というものは、相手の持ち物を剥ぎ取りながら平気で善意の保障をしたり、人殺しをしながら生命の尊厳を公言するやり方の常習者」なのだ。
以上は『父が子に語る世界歴史 第4巻 激動の19世紀』(J.ネルー著)からの一部抜粋である。“この醜い行為”とは欧州列強の中国侵略を指している。これを書いた時(1930年代前半)、ネルーの祖国インドも追剥ぎ同然の大英帝国にヤラレていたのだから、憤りは当然だ。この本を読んでいない人は、さぞイギリスに対する恨みつらみを綿綿と書き綴っているものと想像するかもしれない。が、まるで違う。欧米はもちろん日本の帝国主義も激しく非難しながらも、自国の欠点や不甲斐なさも冷静に分析しているのだ。
「しかしもう一度言っておくが、だからと言って一つの国や国民、つまりイギリスやイギリス人に対して腹を立てるのは愚かな事だ。彼らもちょうど今我々がそうであるように、時代の流れの犠牲者だったのだ。…そのことを無暗に嘆いたり、また一つの国を罵倒したりするのは馬鹿げた事であり、また何の役にも立たない。それよりは、貧困と悲惨と搾取の原因を突き止めて、それを排除しようと努力する方が遥かに優っている。…もし彼らがそこに居合わせなかったら、どこかよその国民が同じことをしたに違いない」
「私は今、ヨーロッパ人と我々自身や他の諸人種と比較して、我々の方に軍配を上げようとしているのだ、などと想像しないように。それどころでない。我々も皆、叩けばずいぶん埃が出るのだ。我々の中にもずいぶん悪い者がいる。そうでなければ、我々もここまで堕ちなかったに違いない」
だが、ネルーもこの本を書いた四半世紀後に、農奴制から開放するという大義を掲げた中共がチベットに侵攻するなど夢にも思わなかっただろう。まさに本中の「帝国主義国というものは、相手の持ち物を剥ぎ取りながら平気で善意の保障をしたり、人殺しをしながら生命の尊厳を公言するやり方の常習者」なのだ。
>一つの国を罵倒したりするのは馬鹿げた事であり、また何の役にも立たない。
政治屋や報道屋が好きなアジア諸国(本当は東アジア、限定数カ国)に読ませたい言葉ですね。歴史を歪曲・捏造を繰り返し、謝罪と賠償を求める未来志向とは対極な考え方ですね(そうやって、建設的でない事実を現在進行形で作り続け、それが後に歴史となることに気付かないのでしょうか?)。
特に、中共は酷いですね。現在の日本と、中共と、どちらが帝国主義でしょうか?自分のことは棚にあげて、よく批判できるものです。
中共が支配を続ける支那と友好を結ぶことは、絶望的に難しいことに思えます。
例え共産主義体制が崩壊しても、あの国とは友好などありえないでしょう。原理が中華思想なので対等の関係など絶対出来ない。19世紀まで周辺諸国には朝貢、使節には叩頭をさせていた国だから。中共の外交白書に「わが国が力をつけるまで、低姿勢でいる事」と明記されていたそうですが、力をつけた後は高飛車にでると解釈できますね。敵対予想国にインドと日本を挙げていたとか。
「父が子に語る世界歴史」は実は獄中から娘に当てた手紙集でもありますが、時に辛辣に、或いはユーモラスに社会や歴史を語ってます。ネルーの老いた父や体の虚弱な妻まで関連で投獄され、その為彼らは命を縮めることになるのですが、その私憤を書かないのはすごいと思います。獄中で迎えた正月を「お年玉」とまで書いたくらい。ガンディーといい、インドにはすごい人物が出るものだと感心します。それに引き換え・・・(略)。