わたしたちの住処をつくる記録

いえづくりについて、できごとと考えたことを記録しておきます

自然素材という考え方に触れる

2015-01-20 20:58:01 | 依頼先決定まで
 さすがにモデルハウス一つ見ただけではいけない、もう少し見る目を養っておかないと安心できないと考え、一応違うものも見てみることにしました。
 まずは、前回見に行った「ローコスト住宅」と同じ工務店の売り出している別のパッケージが、これまた歩いて行けるところにあったので、散歩のついでに見に行きました。外壁はガルバリウムですっきり。片流れで軒の出がないモダンなイメージ。内部はスキップフロアで空間を有効に使えるとか。実際見てみると、二人で「うーん」。「普通」でした。心躍るものが特にない。いろいろな空間の工夫は分かるし、便利なところが沢山あるようなのですが、なにかこう、面白くもなんともない。そして、営業さんの言葉づかいというか、全体的な「ノリ」というか、雰囲気にも「うーん」、と感じていました。「これ、この前と同じ会社なんだよな」と、いろいろ思うところがあり、やはり多くの住宅、多くの会社を見てみないといけない、と考えました。
 ある時、近くで「アトリエ○○○」さんの完成見学会があると知りました。この会社の本社はすぐ近くなんです。木を基調としたきれいな建物の写真が載っていましたので、ためしに見に行ってみることにしました。
 玄関先で、「へえー」と私は思いました。外壁がまず左官壁でした。荒目の仕上げ(あとで知ったが「スチロゴテ仕上げ」というらしい)で表情があり、なんだろうなかなかいいな、高いんだろうな、と触っていると、社員さんらしき方が声をかけてくださり、「そとん壁ですよ」と教えてくれました。
 中に入ると、庭までつづく通り土間があり、畳敷きの小さな居間とキッチンがありました。内壁は漆喰で、全体的に落ち着きがありなんだか洒落た雰囲気です。二階までひととおりみて、一階に下りてくると「設計図書」がおいてありましたので、意味はわからずとも「図」を見るのが好きな私はそれを見ていました。すると、この家を設計したという担当の方が説明に来てくださいました。
 まず壁には「そとん壁」と漆喰を使い、断熱材は「羊毛」を使っているとのこと。普通の家なら石膏ボードを使うことろに「モイス」という素材を使い、徹底的に自然素材にこだわっているとのことでした。「へえー、いろいろあるんだな」と思いました。そして、本来なら土壁がよく、いま土壁の研究と実験をしている、という話もありました。木材はすべて国産材だとも。
 建築コストの事だけ知りたかった私は、長野県産の木材を沢山使うと補助金が出るという話をきいたことがあったので、「県産材で補助金とかもらうと少しは安くなるんですか」などと聞いてみると、うちでは県産材は使っていない、というじゃないですか。「残念ながら流通している県産材は私たちの考えとはあわないんです」。恥ずかしながらその時はじめて、木材を選ぶのにも、外壁や内壁の仕上げを選ぶのにも、合理性だけでない「考え」がある、ということを知りました。この素材を使えば安くて便利、というだけでない世界があるのだと。その素材を使うことに、どのような文化的・社会的意味があるか、「考え」を大切にしている企業もあるのだと知りました。
 最終的に、建物自体はなんだか洒落すぎて、使いにくそうで、(おそらく普段工業製品ばかり見て不勉強なせいで)「手刻み」だという木材の加工が荒いな、と感じてしまい「わるくないけど、うーん」という意見で二人の感覚は一致しました。(あるいは、妻は柳宗悦のいう「民藝」にあかるく「職人技」には目が肥えており、私もその影響を受けているので、「手刻み」と聞いて、とたんにちょっと厳しい品定めのような見方をしてしまったのかもしれません)
 ただ私は、家を建てるということに、文化的な意味があるということを考えるようになりました。合理的に安く、だけでない、なにか大切な「思い」みたいなものも大切かもしれない。なぜ「県産材」が「わたしたちの考えにあわない」のか気になりました。そして、この時代に「土壁」を研究しているというのも。
木材といえば「檜」が高級だ、というくらいの知識しかなく、木造住宅にどんな木材がつかわれるかも、何も勉強していない段階でした。幸か不幸か、この見学会で、私は「家を建てる」ことが、「ちょっと面白い勉強」なんだと考えるようになりました。貧乏なんだから、そんなふうに気づかなければよかったのに…。



どんな家を建てるか考え始めた

2015-01-19 19:42:42 | 依頼先決定まで
 土地探しと並行して、どんな家を建てるのか考え始めました。どのくらいの予算で、どのくらいの大きさ、どんな家が建てられるのか、全く分かっていませんでしたので、とにかく近くでやっている見学会などに足を運んでみよう、と考えました。
 予算が少ないはずだ、ということは分かっていたので、はじめから「ローコスト」住宅を見てみようと思っていました。インターネットで検索をかけると、なんと住んでいるアパートのすぐ近くでローコスト住宅の見学会をやっているではないですか。ちょっと気軽に、ひやかしのつもりで、二人で出かけてみました。
 それが、思いのほか良かったのです。約二年前のこと、まったく勝手わからず初めて見に行ったモデルハウスに「いいじゃん、これ」と思ってしまったのです。大きな家でも、高級なものが使われているのでもないのですが、暖かくオーガニックな印象にまとめられた木を基調とした内外装、ガルバリウム鋼板のすっきりした片流れ屋根と外壁のデザインセンスに、いわゆる「住宅展示場」にない「ローコスト」ならではの工夫と挑戦を感じました。それはちょっと言い過ぎかもしれませんが、断熱性能なども数値上は十分なようだし、必要にして十分なものがそろっているし、ピアノも二階(ロフト階)のフリースペースにちょうどよくおさまりそうで、丁度いいな、と思えたのです。


(確かこんな家)



 私たちは最後まで、大手ハウスメーカーがやっている、見せるためだけに作られたいわゆる「住宅展示場」には一度も行きませんでした。ですから、今のHMの家づくりがどんなものなのか、今でも全く知りません。きっと高性能で、うっとりするようなインテリアの、きれいな家が沢山あるだろうと思います。しかし、とにかくなんだか興味がわかなかった。ちょっと変わってるんですかね。

 かくして、探していた土地にこの家を建てることをイメージして、あらゆる想像を膨らませていったのですが…。いやはや、これのどこがどうなって、現在の計画になっていったのやら。