MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

B:の思い出

2005年07月26日 23時15分28秒 | MSX
「懐かしさ」というのは「思い入れ」と同じで、どうしても個人の体験に関係するものなので、案外と共有は難しいのです。同時代を生きた、とか同じ雑誌を読んでいた、とか限られた状況でやっと共有できる程度で、限りなく個人的な感覚でしょう。

MSXに関して言えば、ずっと関わっているせいで「懐かしいなー」という気持ちになることはあまりなくなっていましたが、デバッグのために久しぶりにMSX・FANの付録ディスクを片っ端から起動していたら、その中の編集後記に当たる「B:」の内容の実に懐かしいこと。単語だけ抜き出すと、

・ピナツボ火山(1992年)
・タイ米輸入(1993年)
・人面犬
・3DO
・赤ずきんチャチャ
・阪神大震災(1995年)

・・・なんてのがありました。そんなのあったなあ、と30歳前後の人なら思い出すでしょう。阪神大震災を除くと、ほとんど忘れていたものばかりです。10年、というのは思い出すのが気恥ずかしくなる時期で、このあたりはそろそろ人前で話題にするのは慎みたいところです。今の「北斗の拳」のように20年経つと平気になるようですが、そういやこの時期「北斗」は完全にギャグの扱いでした。

さて今回見たB:は10年以上前に間違いなく読んでいたはずのものですが、今の私は当時の編集部の人より年上なわけで、当時読んだのとはなかなか感覚が違っていて新鮮です。所詮は雑談なので、すぐ飽きますが。

とはいえ、雑談の中にも考えさせる文章はあって、まるで今の自分に向けて言われているような気分になることが何度もありました。10年前と言えばWindows95も日本ではまだ出ていない頃で、インターネットを自宅でやる人は滅多にいなかったし、「パソコンで仕事する=ワープロ」程度の認識があった程度の時代です。それでも本質はあまり変わっていないこともあるんだな、というのと同時に、10年前にMSX・FANの人たちが残したものに対して自分はどうなんだろうか、とふと思うのでありました。

今思えばあの頃の自分はアホタレでしたので、死んでも「あの頃に戻りたい」などとは思いません。使う側の工夫と想像力と能力、少しくらいはついているといいのですが。