MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

「イース・フェルガナの誓い」と「ワンダラーズ・フロム・イース(MSX2版)」

2005年07月23日 00時08分55秒 | MSX
今年6月に発売された「イース・フェルガナの誓い」を一通りクリアしました。ヘタレなのでEasyモードです。にも関わらずボス戦では毎回苦労してしまいました。単に難しいのではなくて、敵の攻撃のスキを見つけて戦わないと勝てない、という非常によくできたアクションゲームになっています。素直に面白いのでオススメできます。

で、公言されていないようですがこのゲームは1989年に発売された「ワンダラーズ・フロム・イース(通称イースIII)」のアレンジ版のようです。「ようです」と書いたのは、「イースエターナル」とか「イースIIエターナル」のようなリメイクではなく、あくまで「イース・フェルガナの誓い」としか書かれていないからなんですね。このへんのファルコムの姿勢はよく分かりません。「イースVI」との関係が分からなくて困ってる人もいるみたいです。確かに「イースVI」より洗練されている部分もあるので、実はIIIなんです、とは言いづらいのかもしれません。

遡って「ワンダラーズ・フロム・イース」の話をしますと、当時かなり賛否両論のあったゲームであったことが思い出されます。人気のあった前作・前々作の「イース」「イースII」とシステム等がガラリと変わってしまい、こんなんイースじゃないやい、と言われたものでした。イースIIまでは体当たり主体の大雑把なアクションであったものが、ジャンプと剣を振る操作の追加によりアクション色が高まったのが最大の特徴でした。

当時の評価としては、発売対象のPC-8801とかMSX2というハードウェアとしては非常によくできたアクションゲームであり、ストーリーだけがそんなに面白くない、あるいは短い、というのがよく言われていました。ですが、今やってみるとアクション部分がぜーんぜん面白くないことに気づいてしまいました。レベルさえ伴っていればボス戦は力押しでいけてしまいますし、レベル上げも動きの鈍い敵に対してえんえんと伏せ斬り(通称ゾーキンがけ)を繰り返すだけでなんとかなります。特にMSX2版は遅い上に難易度が低く、最終ボスのガルバランの存在感の薄さでは全機種随一とまで言われるほどでした。

「時間が経つと欠点はよりクッキリと見える」とは言うものの、16年が経って「フェルガナの誓い」と並べたときにもう遊べたもんじゃない、というのを目の当たりにすると辛いものがあります。「イース」「イースII」の場合は、見た目こそ古くさいものの、ここまでの落差はないのですが・・・。

さてそんな鬼っ子「イースIII」と「フェルガナの誓い」を並べたときにもう一つ驚くのが、「フェルガナ」は「III」を物凄く研究して作られていることです。「フェルガナ」を単体で遊ぶとあまり気づかないのですが、後から「III」を見るとマップの要素であるとか、エリア毎のモンスター、元々のストーリー、音楽といった諸要素を極めて忠実にトレースしており、アレンジはあくまで追加の形で乗っかってるだけになっているのです。

印象の薄かったストーリーも、「III」ではほとんどセリフだけに頼っていましたが、うまく絵をかぶせたり、キャラクターに演技させたりして分かりやすくなっています。それでいて根本は一緒です。「III」でよく分からなかったチェスターの行動も納得行く演技がなされておりました。一番驚いたのはモンスターで、「III」ではほとんど出番のないモンスターですら一々アレンジして「フェルガナ」に登場させています。場面ごとに出てくるモンスターの組み合わせまで忠実なのには笑うしかありません。スタッフにかなりの「III」ファンがいたのでしょうが、信じられない情熱を感じました。

そういえば「III」「フェルガナ」共にある要素として、ヒロインのエレナがストーリーの節目にアドルを追っかけて出てくるのですが、魔物だらけの城の奥なんかにも唐突に出てきます。そのため「エレナ最強説」なんて冗談があったほどですけど、そういうユーザーの疑問にすら「フェルガナ」は応えてくれるのです。

1.修正パッチ(ver1.1.0.1以降)を当てた状態で、
2.「Nightmare」モードをクリアしたセーブデータがあり、
3.「YsF設定」を起動して「着替え」→「エレナ・アドル」を選択
4.「話す」を選択

すると、とんでもない事を喋ってくれます。エレナ、お前一体何者なんだ!
ちなみに修正パッチのドキュメントを読んでもこのことは全く書いてありません。男らしさが目に染みます。あ、セーブデータは譲ってもらいました・・・。