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東京五輪:JOCの無能と佐野研二郎氏の終焉

2015-08-31 18:54:46 | 東京五輪2020
あらら・・・、まんまやん・・・。

開いた口が塞がらないとはこういうことを言うのだろう。
あまりにもダイレクト過ぎて、阿呆らしさを通り越して、ただ唖然とするばかりだ。




銀座で行なわれた展示会、『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』のグラフィックス


東京五輪エンブレム・佐野氏の原案

Net上は、もうこの話題で持ちきりなので、今更説明するのには及ばないところであるが、詰まるところ、「佐野エンブレム」の「原案」は、2013年の11月に開かれた『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』のロゴの、明らかなる盗用だったというオチだ。

もうこれを疑う余地は全く無い。何故なら、佐野研二郎氏はこの展覧会に実際に足を運び、それを目にし、しかも絶賛までしているというからだ。その証拠が確かに過去のTwitterのログに残っているのである(探し出したNet民も大したお手柄だが)。



佐野氏は「いまのgggのヤンチヒョルトもやばい。」とコメントしている。

ヤン・チヒョルト(Jan Tschichold, 1902年4月2日~1974年8月11日)
ドイツのタイポグラファー・カリグラファーである。看板屋の長男としてライプツィヒに生まれた。新しいタイポグラフィの創生に努めたが、ナチスの弾圧を避けてスイスへ移住した後は、伝統的なタイポグラフィを擁護する立場をとる。同国のロカルノで没した。
なお、もとの姓名は Johannes Tzschichhold である。Iwan Tschichold と名のっていたこともある。(Wikipediaより)


ヤン・チヒョルト氏制作によるタイポグラフィー


で、この『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』は、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」というところで開催されていて、このギャラリーは業界でも有名どころ。
そして、この展示会のデザイン監修をしたのは白井敬尚氏。制作は白井敬尚形成事務所である。

白井 敬尚(しらい よしひさ )
日本のグラフィックデザイナー。1961年愛知県生まれ。株式会社グレイス(宮崎利一チーム)、株式会社正方形(清原悦志主宰)、正方形グラフィックスを経て、98年白井敬尚形成事務所を設立。 タイポグラフィを中心としたデザインに従事し、主に雑誌や書籍のブックデザインなどを手がけている。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授。京都造形芸術大学、東洋美術学校非常勤講師。朗文堂新宿私塾講師。ミームデザイン学校講師。(Wikipediaより)

展示会のグラフィックスはご覧の通り、上のヤン・チヒョルト氏自身のタイポグラフィーをモチーフに制作されたもので、ロゴはそのタイポグラフィーから取って、そのままヤン・チヒョルト氏のイニシャルである「J.T.」としたものだ。ついては何ら問題は無い。
なので、ここで白井敬尚氏が云々という話にはならない。

そこでまず、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」の運営母体について。
これは「公益財団法人DNP文化振興財団」というところで、
「グラフィックデザインやグラフィックアート等の芸術性や文化性を現世及び後世に伝えるためのアーカイブ事業、国内外の優れた作品を一般に公開する展示事業、セミナーやインターネット、図書などを通じて行う教育・普及事業、国籍や民族を超えて多様な価値観の相互理解と共有を促進するための国際交流事業等を充実拡充して行うことに加え、優れた芸術文化活動の顕彰や助成を行う研究助成事業や国内外機関、個人との共同研究等を行うことにより、広く社会・公共の利益に資し、芸術文化活動支援の恒久化と一層の充実を図り、以って、国境や民族を超えた文化の向上、発展に寄与し、不特定多数の公益の充実を期す(HPより)」ためとして天下の大日本印刷(DNP)が設立したものである。

その役員理事には永井一正氏の名前がある。また、評議員として浅葉克己氏の名前もある。



また、当然のように「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」では永井氏も浅葉も、そして佐野氏も展示会を開いている。
これはいったいどういうことなのか。

『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』が開かれてまだ2年も経っていない。記憶には新しいと言える。
永井氏も浅葉氏も、タイポグラフィーの世界で有名なヤン・チヒョルト氏の存在を知らないわけはなく、まして「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」で開かれた『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』を役員でありながら承知していないということはまずあり得ないだろう。
従って、この期に及んで「知らなかった」では済まされないということである。

エンブレム選考の流れは、『ヤン・チヒョルト展』のロゴを、ほぼそのまま踏襲したようなデザインを、佐野氏は「東京五輪エンブレムデザイン」として応募し、永井氏も浅葉氏もこれを選び、「何かに似ている」――具体例は示されていない―― としながら選外にはせず佐野案を固持。何とか“似ないように”修正を加えて決定した。

どう考えてもこの流れは不自然に過ぎると言わざるを得ない。ここが一番の問題である。納得できる説明があるなら是非聞いてみたいものである。

それにしても何と稚拙で杜撰で間抜けなことか。盗用したにしても、佐野エンブレムの原案は子供の図画工作の宿題にも劣る出来栄えとセンスである。こうなると、才能の点でも実に疑わしい。

また更に、“似ないように”修正した結果、今度は「リエージュ劇場」のロゴに似てしまったのだから世話がない。挙句、訴えられればもう始末に負えず、しかも相手が著作権問題を最も得意とする欧州屈指の敏腕弁護士と来れば、どう足掻いても逃げ場はないだろう。そもそもこれは裁判の勝ち負けではなく、訴訟に至ったこと自体が拭い難い汚点だということだ。JOCはそうしたことすらも解ってはいない。

余談だが、ちなみに同じ造形要素であっても、『ヤン・チヒョルト展』のロゴなり、あるいは「リエージュ劇場」のロゴなりは、何か繊細さがあって神経が行き届いている気がする。それはパーツ同士の絶妙な“隙間”であったり、個々の大きさや位置、全体バランスの問題なのだろう。些細なことだがこの点は極めて重要だ。その意味では「リエージュ劇場」のロゴも熟考が重ねられた結果のデザインであろうし、その観点から言えば、はっきり言って、盗んで作って元のものより良くなるものはない、ということだ。


一方で、「東京五輪エンブレム」のプレゼンパネルの「使用例・展示例」の写真画像が無断転用だとする話もある。
ただこれについては、むしろデザイン、制作側はプレゼンの段階で「スイトリ」とも言って、いわゆるアリモノを「パクる」ことは多い。もちろんそれはイメージを説明するための内々のプレゼンテーションの場においてであって、それを商品にそのまま移行することはない。決まればきっちりとオリジナルで撮り直すのが当たり前なのだが、果たしてこの場合はどうなのか、ついては微妙なのかもしれない。
もっとも、世界に向けて発表するロゴマーク(エンブレム)である。例えプレゼンでも、流用するなら許可を取り、あるいは全て段取りを組んでオリジナルで行なうのが正攻法だと言える。


上が元画像。下が流用され、加工した画像

それにしても、そうしたことが可愛く思えてくるほど、本体の「エンブレム」はあまりにお粗末過ぎて最早お手上げだ。

真相はわからないが、佐野氏は有名デザイナーの名を欲しいままにちやほやされて舞い上がっていたのか、プロとしての自覚が既に欠如してしまっているのだろう。他人の権利を侵しても気にしない、あるいはそうした意識すらない無神経さが常態化していたとしか思えない。更に、周囲も周囲で同じような状態だったのか、「まぁいっかぁ」のなぁなぁな談合、出来レース体質が後々とんでもない事態を招くのを考えてもいない。

グズグズに腐りきったグラフィックデザイン業界と広告業界。いずれにせよ、世界に対してはとんだ恥晒しである。加えてとんだ墓穴を掘ってしまったJOCだが、その言い草や対応も、もう異常としか言えない。ただ無能さをひたすら露呈しているだけである。

 * * * * *

一方、新国立競技場の件では、やはり1,550億でも充分に高いとして、しんぶん赤旗に次の記事が上がった。

新国立1550億円(上限)決定 巨大事業変わらず しんぶん赤旗 8月29日

 政府は28日、東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場に関する関係閣僚会議を開き、総工費の上限を1550億円とするなど新たな整備計画を決定しました。旧計画の2520億円より縮小したものの、当初案の1300億円を上回りました。

 総工費の内訳は、施設本体が1350億円、周辺整備が200億円。これとは別に設計・管理費が40億円。

 このほか、支出済み・支出予定の関連経費として解体工事費55億円、日本青年館・日本スポーツ振興センター(JSC)本部移転費174億円など283億円にのぼります。

 新計画では、旧計画にあった開閉式屋根を設けず、観客席上部に屋根を設置。用途は原則としてスポーツに限定。観客席の冷暖房設備も見送りました。

 収容人数は6万8000人とするものの、サッカーのワールドカップ招致を理由に、客席増設で8万人に対応できるようにすることを盛り込みました。

 一方で、住民立ち退きなどを招くと批判されている周辺整備計画や関連経費については旧計画のままです。

 財源については「東京都など関係者と協議」として国が負うべき負担を押し付ける姿勢を明示しました。

 工期に関しては、9月1日に設計・施行一括で企画案を公募し、年内に事業者を選定。2020年4月末までの完成を目指します。

適正欠く総工費
 宮本岳志衆院議員(党スポーツ委員会責任者)の話 発表された整備計画の総工費は上限を1550億円として、当初案よりは縮小していますが、北京大会の430億円の3倍強、ロンドン大会の650億円の2倍強という巨額に上っており、適正さという点で国民が納得できるものではありません。

 計画は、基本理念でアスリート第一、ユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和を掲げていますが、その際にも、工事費等の膨張を許さず、大幅な縮減に努めるべきです。

 同施設は、大会後には民間事業への移行をはかるとしていますが、国民の貴重な財産となることから、その管理・運営のあり方にはさらなる検討が必要です。

矛盾避けられず
 政府が28日決定した新国立競技場の整備計画は、国民やスポーツ関係者の願いにこたえた抜本見直しには極めて不十分です。

 安倍晋三首相は「大幅なコスト抑制を達成できた」と自画自賛していますが、当初案の1300億円を上回りました。当初案は、開閉式屋根の設置などを盛り込んだ豪華で巨大な施設であり、これさえ上回るものです。

 今回の整備計画と同規模の横浜国際総合競技場でも600億円、ロンドン大会主会場の650億円と比べても、ケタ違いに高額です。

 整備計画の白紙撤回を受けて建築家の槇文彦氏らのグループは、「1300億円でも十分すぎ、これを超える理由はどこにもない」と指摘していました。国民が納得できる見直しとはいえません。

 しかも、解体工事費や日本青年館・JSC(日本スポーツ振興センター)本部移転費など関連経費283億円は別途計上され、実質的な総工費を小さく見せかけています。

 基本理念に「周辺環境等との調和」を掲げながら、住民の立ち退きなどが問題となっている周辺整備計画も含めてまったく見直しされていません。さらに工期が短縮されれば、工費の高騰も避けられず、問題点が露呈することは必至です。

 抜本的見直しが不十分なものになるのは、安倍内閣が「日本全体を活性化する好機とする」(日本再興戦略)として、五輪に乗じて「国土強靭(きょうじん)化」の名で巨大開発や大企業支援を進めるねらいがあるからです。

 今回の見直しで首相は「国民の皆さまの声に耳を傾ける」と表明しました。しかし、民意にこたえない政治を続けるなら、国民との矛盾は避けられません。(深山直人)

もっとも至極な話である。

能無しな日本オリンピック組織委員会(JOC)とこれまた無能な大臣達。こんな茶番をいつまで続けるつもりなのだろうか。


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(更新:09/01 01:40/最終更新:09/01 03:50)

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