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東京五輪:問題山積で泥沼化は必至

2015-08-24 15:02:23 | 東京五輪2020
まずは時の人、佐野研二郎氏の件から。

「佐野氏の“ロゴ”また・・・米デザイナー「法的措置も」」(ANNニュース 8月22日)



>東京オリンピックのエンブレムを制作した佐野研二郎氏が手掛けた群馬県太田市の施設のロゴについて、アメリカ在住のデザイナーが「自分の作品と似ている」として法的措置の検討を始めました。

>米在住のデザイナー、ジョシュ・ディバイン氏:「盗用されているかどうか分からない。しかし、デザインを盗用するのは大問題だ。弁護士と相談しているが、法的手段を取るか最終的な決断はしていない」
>ANNの取材に対して、ディバイン氏は「佐野氏のデザインが自らの作品をヒントにしたかもしれない」という見方を示し、法的措置の検討を始めたことを明らかにしました。ディバイン氏の作品は、直線と円を組み合わせて文字を表現しています。一方、佐野氏の手掛けた太田市で建設が進む公共施設のロゴも同じく直線や円などを組み合わせたデザインになっています。



「デザイナーの佐野 研二郎氏、ロゴ問題で反論」(FNNニュース 8月22日)



>佐野 研二郎氏が手がけたロゴが、自分のデザインに似ているとして、アメリカ人デザイナーが提訴を検討している問題で、佐野氏は、FNNの取材に文書で回答し、「一定の要件を満たすデザインはたくさんある」と反論した。
>今回、文書で回答した佐野氏は、群馬・太田市の公共施設のロゴをめぐる問題で、黒い丸と直線で形成したようなデザインについて、「その要件を満たすデザインは、今、名乗りを上げておられるアメリカのデザイナー以外にも、制作されている方は、世の中にたくさんいらっしゃると思います」としている。
>そのうえで、「それが、誰か特定の人のアイデアとして認められ、ほかの人が使えないということであれば、デザインの世界では、できないことがほとんどになってしまうと思いますし、わたしはそうではなく、ほかの誰が使っても、問題のないものだと思います」と反論した。
>一方、東京オリンピックのエンブレムについては、「わたしから、使用しないよう、お願いすることは考えておりません」とし、さまざまな意見や批判に対しては、「誤解もあるようですので、丁寧な説明を今後もしていきたい」とコメントしている。



「その要件を満たすデザインは、今、名乗りを上げておられるアメリカのデザイナー以外にも、制作されている方は、世の中にたくさんいらっしゃると思います」
ごもっとも、おそらくは言う通りだろう。

「それが、誰か特定の人のアイデアとして認められ、ほかの人が使えないということであれば、デザインの世界では、できないことがほとんどになってしまうと思いますし、わたしはそうではなく、ほかの誰が使っても、問題のないものだと思います」
しかしこれ、「人のをパクって何が悪い」、というふうにも聞こえる。
こと関して、サントリーのトートバッグで、事実上盗用を認めてしまった佐野氏であるならばこそ、尚更開き直りのように思える。更に穿った見方をすれば、「“当然”参考にした」と言わんばかりだ。
最早、氏が何を言ってももうことごとく裏目に出ると言っていい。

そして、五輪エンブレムは「わたしから、使用しないよう、お願いすることは考えておりません」とはこれ如何に。たまげたものである。
事の重大さ、世情がどうであるかをまるで意に介していないというか、理解さえしていないようで、「丁寧な説明を今後もしていきたい」とするのもまた、どこかの国の総理大臣とそっくりだ。

おそらくは今まで順風満帆、仲間内で煽て合う狭い世界しか知らず、ちやほやされて過ごしてきたからにほかならないからだろう。
これだけバッシングされているにも関わらず、思うほど身に染みていないとなれば恐れ入る。

まともな神経ならば、いい加減に自ら五輪エンブレムの取り下げを表明して然るべきだろう。デザインの盗用の有無はさておき、ここまでの騒動になった以上、それがスジだ。大多数の人がもう佐野氏を信用してはおらず、「佐野エンブレム」は見るのもうんざりという意見は多く、もはや誰も歓迎してはいない。


最近、カマキリに見えてくるのは私だけ?(笑)


そして、昨日もまた新たな疑惑が出てきた。

「佐野研二郎またも盗用疑惑浮上 「カメラグランプリ」のマークは素材から流用? 利用規約違反まで」(ゴゴ通信 8月23日)

>その疑惑のデザインは「カメラグランプリ」のマークが素材集の丸写しで無いかと言われている。このマークは2011年に作られた物で、「ニッポンのカメラの賞であることがひと目でわかるような、インパクトのあるもの」を目指し作成されましたとしている。

>しかしこのロゴの元となるデザインが発覚。素材サイトの『イラスト無料ネット』というウェブサイトの「シンプルなカメラ」という素材に酷似している。

>このフリー素材サイトを使うのははたしてNGなのだろうか? 実はサイトの利用規約を見てみると「商標、ロゴマークとしての利用は禁止です」とハッキリ書かれている。




もうこうなると、本当に救いようがない。いよいよ「常習犯」のレッテルを貼られても仕方がないだろう。

 * * * * *

「新国立、総工費1700億円程度 政府調整、28日にも決定」(共同通信 8月23日)

>政府は新国立競技場(東京都新宿区)の新たな整備計画に盛り込む総工費の上限を1600億~1700億円程度とする方向で調整に入った。政府関係者が22日、明らかにした。コスト膨張で撤回した計画の2520億円から大幅に圧縮する一方、2012年当初の見込みだった1300億円に抑えるのは建築資材や人件費の高騰で困難との判断に傾いた。関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪相)を28日か31日にも開催し、最終決定する。

>旧計画が14年の基本設計段階で1625億円だったのを踏まえた額だが、当初見込みよりは約300億~400億円高く、国民理解につながるかは見通せない。



結局、2520億円の半分にもならない1700億円とはこれ如何に。
それにしても、高々3年程度で300~400億円も値上がりするものなのだろうか。俄かには信じがたい。
むしろこの場合、例えば1000億なり、まず予算を確定してその範囲で考えるべきである。既存のスタジアムを見れば、700、800億円で充分に立派なものが造られているではないか。どうしてそうなったのか、これも改めて担当大臣の国会での説明義務があるだろう。
国民理解につながるか? なかなか納得しがたいものがある。


「新国立で公開討論会 “五輪後考え簡素な施設で”」(しんぶん赤旗 8月22日)

>2020年東京五輪の主会場となる新国立競技場の今後をテーマにした公開討論会が20日、都内で開かれ、建築家や研究者らが意見をかわしました。

>16年東京五輪招致推進担当課長で順天堂大学客員教授の鈴木知幸さんは▽五輪後のスポーツ施設として考えることを優先させる▽サブトラックは移転した秩父宮ラグビー場に常設する―ことなどを提案しました。また、五輪後の民間委託については、「多様な方法があり、十分議論すべき。簡単にいわないでほしい」と批判しました。

>12年ロンドン五輪馬術会場の設計監理者を務めた建築家の山崎一也さんは、同五輪の施設を「簡素だが洗練」と表現。鉄パイプを組んだだけの仮設の馬術会場を例に挙げ、建物より古い街並みをよりアピールする工夫をしていたと報告しました。

>建築エコノミストの森山高至さんは「利害関係者の意見を全て聞いていたら、なかなかスタートできない」として、機能は後から付け加えられるようにして最小限の施設にすればよいと話しました。

>建設費が膨れ上がって計画の見直しが決まった同競技場は、今月中に新しい整備計画が決まる予定です。



一般誌はこれを報じていないが、こうした討論の内容はどこまで実際に反映されるのか。結局、癒着、利権の域を出ないのではないだろうか。悪習を改善するのは容易なことではない。

 * * * * *

「東京パラ五輪 秋にずらして 体温調節機能 失った選手切実」(東京新聞 8月23日)

>東京パラリンピックは五年後の八月二十五日に開幕する。厳しい残暑も予想されるが、車いすを使う選手の中には首の骨の中の神経、頸(けい)髄の損傷などで体温調節機能を失い、発汗のできない人が少なくない。選手らは「開催日程を遅らせられないか」「屋外競技は命懸けになる」と切実。同様の障害のある観客のケアも必要で、根本的な暑さ対策を望む声が強い。

>日本パラリンピック委員会医・科学・情報サポート事業のスタッフとして、岸さんらをサポートする首都大学東京健康福祉学部助教で理学療法士の信太(しだ)奈美さん(41)は「体温調節ができないのは頸髄損傷のほか上部胸髄損傷の人も含まれ、陸上やテニスなどの選手もいる」と指摘。「外国から訪れた人には日本特有の湿気、蒸し暑さも心配だ」と懸念する。

>五輪は、国際オリンピック委員会が「七月十五日~八月三十一日」の期間内の開催を求め、パラリンピックも「五輪閉幕に引き続き、約二週間以内に開催」とされている。他の時期だと、サッカーやアメリカンフットボールなどプロスポーツのシーズンと重なり、テレビの放映権に影響が出るためだ。

>東京大会の場合、パラ五輪は五輪の十六日後の八月二十五日から九月六日まで。立候補ファイルでは「五輪から連続した六十日間のひとつの祭典として実施することが基本的なコンセプト」とされている。



これも極めて重要かつ深刻な問題である。
仮に強行して死亡者でも出たらどうするつもりなのだろう。
何にせよ、「決まったことだから」と、何の融通性もなく、誰も責任をとろうとしない体質。これこそが何に優先して改善されなければならないことではないのか。

 * * * * *

話しを戻せば、先日、次の記事が上がり、またNet上を賑わせた。

「佐野研二郎氏の五輪エンブレム“盗作問題”「損害賠償」を恐れる利権構造の闇」(日刊サイゾー 8月19日)

>五輪エンブレム盗作問題への批判が拡大する中、これに関わった広告代理店周辺の関係者からは「損害賠償」というNGワード4文字がささやかれ始めているという。

>「もしこのデザインが使われなくなったら、数十億単位の損失が出る。一体それを誰が払うことになるのか、“損害賠償”という4文字を恐れるような話がチラホラ聞かれ始めてます」

>「新国立競技場の問題はよくある箱モノ行政の典型だったけど、こっちは世間に知られていない利権の巣窟があって、必死にそれを守ろうとする動きがあります。この利権の中では“損害賠償”という4文字がNGワード。絶対に回避したいものです。いま各方面が必死の火消しに走っている感じ。大会組織委員会が白紙撤回できないのもそれが理由でしょう」

>実際、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムの盗作問題については、これだけ世間から「変更しろ」との声が出ていても、組織委は使用の姿勢を堅持。ベルギーの劇場側から著作権侵害で使用差し止めを訴えられていることにも、劇場のロゴが商標登録されていない「法律論」を盾に「このような劇場側の態度は公共団体の振る舞いとしては受け入れがたい」と異例の非難声明を出した。

>「この必死の抵抗は、損害賠償と利権構造にメスが入ることを怖れているんですよ。エンブレムの選定はもともと広告代理店の仕組んだ出来レースみたいなもんで、応募要項からして八百長。応募資格に組織委が指定した過去の7つのデザインコンペのうち2つの受賞者に限っており、多くの有力デザイナーを排除している。これは、内輪で商標の著作権ビジネスを展開するためで、審査員も佐野と親しい身内ばかりなのは、そのせい。そもそも佐野がアートディレクターなんていう肩書きを名乗っているのも、デザインより著作権での金儲けに特化したチーム運営に走ったからで、これに欠かせないのが大手企業とメディア。両者をつなぐ広告代理店を軸に利権の構図があって、関係者はみんなこれを守ろうと徹底抗戦です」



その「損害賠償額」がいかほどのものかはわからないが、この場合、最も損害を被るのは広告代理店や制作側である。
今の段階なら大手は、例えば「損切り」程度で済むとしても、死活問題になるのは下請け、二次請けの代理店や制作会社である。それをある程度補える代替の仕事がなければ丸損である。誰も補償はしてくれない。

一方、これらの件に関して実のところ、「プロデューサー」や「ディレクター」という名のブローカーの暗躍が見逃せない。
JOC等の官公庁 ⇔ 広告代理店 ⇔ 企業 ⇔ デザイナー、デザイン会社あるいは音楽家やイヴェント会社 ⇔ 製作会社・製造業者、これらの橋渡しをし、セッティングするのがプロデューサー。管理、監督するのがディレクターの役目である。
プロデューサーなりディレクターはまた、広告代理店所属の場合と、フリーランスの場合とがある。
実行部隊での取り仕切りを任され、現場での実権を握るのが彼らだ。従って、場合によって「悪の根源」とも成り得るのである。

ここでその名前が上がるのが、高崎卓馬という人物である。
実は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介」ムービーのプロデュースは高崎氏。
そこで使われた楽曲の「盗用元」ではないかと囁かれているのが、オーストラリアのミュージシャン、ジョナサン・ボーレット2010年リリースの「Youre A Animal」であることは既に紹介した。
「今度は音楽・拡大する盗作疑惑」

で、このジョナサン・ボーレットの「Youre A Animal」は、これも高崎氏がディレクターを務めた「TOYOTA GAZOO Racing」のCMで使われている。

TOYOTA gazoo Racing CM一気見~♪


以下、念のため再度。

Jonathan Boulet - Youre A Animal(2010/12/07)


東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介 (2分20秒版)



ご存知、高崎氏は東京オリンピック公式エンブレムの選考審査員を務め、サントリーのトートバッグキャンペーンで佐野研二郎氏をサントリーに斡旋している。佐野氏とは「仲良し」とされている。





以上は全て、既に公表されている事実である。

さて、これはこれで何となく見えてきたような気がする。


全てが明らかになれば、グダグダ、ズブズブが一層はっきりと見えてくる。いずれ、様々な利権や思惑にまみれ、東京五輪は今もって前途多難というところだ。
また誰か、女性アスリートが会見で涙でも流したら少しは先に進むのだろうか。
そう言うのは果たして不謹慎?
だったらいっそ中止にしてしまえ! そういう声が上がるのも頷ける。全て撤回、全て辞退。私もそう思う。


《関連記事》
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」


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