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安保法案:矢面に立たされる自衛官

2015-07-12 05:32:05 | 戦争法案
今回、敢えてサブタイトルを付けるならこうだろうか。

『人柱要員・自衛官の「遺書」と「赤紙」』

そして今回の拙記事は私見をあまり交えずリンクした記事の引用を中心に、じっくりとお読みいただければと。
複数の記事のほぼ全文(記事によってはポイントのみ抜粋)引用。大変長くなるのでご了承を。

まずは、衝撃的な記事から。

「陸自北部方面隊:隊員に「遺書」指示 元隊員が証言」(毎日新聞 7月11日)

(以下、一部抜粋引用)

 陸上自衛隊の北部方面隊(北海道)で2010〜12年、隊員たちが「遺書」とも受け取れる「家族への手紙」を書くよう指示されていたことが、元隊員や陸自北部方面総監部への取材で分かった。総監部は「服務指導の一環で、遺書ではない」とするが、元隊員は「事実上の遺書だった」と証言した。

 元隊員は、陸上自衛隊を今年1月に定年退職し、北海道東部に住む元2等陸曹、末延(すえのぶ)隆成さん(53)。1980年に東京の私立高を卒業して陸自に入隊し、北海道や関東各地で任務に就いた。

 北部方面隊鹿追駐屯地(北海道鹿追町)に所属していた2010年12月、上官から突然、「休暇前に『家族への手紙』を書き、個人用ロッカーの左上に入れておくように」とA4判の白紙1枚と茶封筒を渡されたという。

 目的を問うと、「万が一、何かあった場合に家族に残す言葉を書いてみろ」と言われた。上官の指示には逆らえない。<楽しい人生ありがとう>と妻への感謝を短く書き、封筒に入れて封をした。同僚たちも、みんな同じ指示を受けた。紙に何も書かず封筒に入れた仲間もいたという。

 北部方面総監部によると、方面隊トップである当時の北部方面総監が隊員に手紙を書かせるよう部隊長らに口頭で伝えた。総監部は取材に、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努める」という自衛隊法の規定(服務の本旨)を実践するのが目的で、「任意であり命令ではない。遺書という認識はなく、あくまで家族への手紙」(広報)と説明した。10年より前や12年より後は、手紙を書かせる指導はしていないという。

 末延さんは12年以降は肺の病気で休職し、定年退職3カ月前の昨年10月、総監部に手紙の返却と理由の説明を求める苦情申し立てを行った。手紙は返却され、苦情処理通知書で「長期の急な任務に備え、懸案となり得る事項についてあらかじめ本人の意思を整理しておくことで、個人の即応性を向上させるもの。遺書とはまったく別物」と説明された。

 しかし、末延さんは「手紙は遺書と受け止めた。同僚たちもみな『あれは遺書だった』と言っていた」と振り返る。そして「国を守る忠誠心はある。しかし、今の時代、どんな大義があって命をかけろと言うのか」と、戦後の安全保障政策を転換する安保関連法案に疑問を投げかける。

 法案は早ければ来週にも衆院を通過する見通しで、成立すれば自衛隊が米軍を後方支援する機会が増える。末延さんは「自分が入隊の宣誓をした時は、よその国の戦争に加勢することは想定していなかった。加勢で海外へ派遣される仲間は死んでも死にきれないだろう」と話す。

 後輩らは今も手紙をロッカーに保管しているかもしれない。末延さんは「都合よく死を美化するために使われかねない。勇気を持って疑問の声を上げてほしい」と語る。11日、札幌市である北海道弁護士会連合会の集会で手紙の問題を訴える。


「安保法案:「間違いなく血流れる」元自衛官反対訴え 札幌」(毎日新聞 7月11日)

(以下、全文引用)

 陸上自衛隊北部方面隊(北海道)で隊員たちが「遺書」とも受け取られる手紙を書くよう指示されていた問題で、実際に指示を受け、手紙を書いたという元自衛官、末延(すえのぶ)隆成さん(53)が11日、札幌市内で開かれた安全保障関連法案反対集会に参加し、反対を唱えた。

 現役時代に使用したという迷彩服姿で登壇した末延さんは、安保法案が可決されれば、陸自も戦闘部隊の後方支援などに加わる可能性を指摘した上で、「間違いなく自衛隊員の血が流れる。こんな法律で命を落としたら無意味だ」などと法案反対を訴えた。

 集会は北海道弁護士会連合会が主催した。主催者によると、約6000人が参加した。

 自衛官の人権侵害問題に詳しい佐藤博文弁護士(札幌弁護士会)は手紙を巡る問題について、「自衛隊が隊員に殉職の覚悟を求める精神教育と言える。海外での死亡を想定した動きだ」と指摘した。集会後、参加者は「私たちは戦わない!」などとプラカードを掲げて、市中心部をデモ行進した。

(※引用記事中のマーカーは筆者)

自衛隊員の「自殺問題」については以前も取り上げたが、再度。

「どう考えても普通じゃない なんと自殺者54人! 自衛隊の「異常な仕事」」(現代ビジネス 6月12日)

(以下、全文引用)

「米兵といたら、殺される」
5月27日の国会、安保法制をめぐる衆院の特別委員会。志位和夫・共産党委員長の質問に答えて政府が認めた、ある数字に衝撃が走った。

〈'03~'09年にイラクに派遣された自衛隊員のうち、在職中に自殺したと認定された隊員は29人。うち4人はイラク派遣が原因だった〉
〈'01~'07年のテロ特措法でインド洋での給油活動に参加した隊員のうち、同様に自殺と認定された隊員は25人〉
つまり、インド洋・イラクに派遣された自衛隊員のうち、合わせて54人もの隊員が、自ら命を絶ったというのだ。
イラクについてみると、派遣された陸海空の自衛隊員は計約9310人。うち29人が自殺したのだから、およそ321人に1人になる計算だ。
時間に注目してみれば、派遣開始から現在までの12年間に毎年平均2~3人が、自ら命を絶っていったことになる。
どう考えても普通ではない、海外派遣された自衛隊員の仕事。彼らの置かれた状況とはいったい、どういうものなのか。

「米兵と一緒にいたら、殺されてしまう」

これは'05年、札幌市内の山林で、車のなかに練炭を持ちこみ自殺した陸自3佐・A氏が死の前に漏らした言葉だ。

A氏は第2次イラク復興支援群の警備中隊長に抜擢され、'04年5月からの約4ヵ月間をイラクで過ごした。自衛隊が拠点としたイラク南部の都市サマワで126人の中隊を指揮し、給水や学校、道路の補修などを行う隊員たちを守る仕事だった。
だが、状況は過酷を極めた。'04年8月10日未明には、宿営地が迫撃砲による攻撃を受けた。
「翌朝の朝礼で支援群長が、『俺はめっぽう運が強い。全員を無事につれて帰るからな』と訓示するとみんな泣き出した。それほど緊張が高まっていたんです」(陸自幹部)

さらに恐ろしい事態がA氏を襲う。自らが指揮する警備中隊の隊員が、仲間であるはずの米軍から誤射されたのだ。

「米兵の乗った輸送車を護衛していた自衛隊の車両のなかに、イラク人の運転手が乗っていた車がありました。その車が輸送車を追い越そうとした際、運転手の顔を見た米兵が、ゲリラに攻撃されると勘違いして発砲。弾は外れて、他の自衛隊の車に飛んできたのです」(当時の隊員)

責任者であったA氏が報告を聞いて戦慄したことは想像に難くない。死の前にA氏が残した言葉も、この事件に関係があるとも思える。

このように、海外派遣された自衛隊員の自殺の大きな原因の一つとされるのが、危険地帯で恐怖感・緊張感に長くさらされたことによる心の傷。いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)だ。

30年以上自衛隊取材を重ねている半田滋・東京新聞論説委員は語る。

「防衛省はこれまで、イラク派遣からの帰国後の隊員の自殺について、派遣に起因するPTSDではないと否定してきましたが、今回、陸自3人、空自1人の計4人をイラク派遣によるストレスが原因と認めました。突然見解が変わった理由は明らかにしていません」

これについて、ある陸自関係者はこう話す。

「自衛隊内では、現在でも『イラク派遣部隊は米軍のように、仲間の兵士が自爆攻撃を受けて内臓が飛び出したのを見たわけではなく、PTSDなど存在しない』という言説がまかり通っています。今回4人の事案が突然、公表されたのは、政府が『これまでも自衛隊員に自殺者はいた。安保法制で状況が悪化するわけではない』とでも言いたいからではないですか」

さらに、自衛隊内では海外派遣を経験した隊員に心無い言葉が投げつけられ、いじめに発展するケースもあるという。

「ある陸自の隊員がイラクから帰国して、上官に『海外での経験を活かして頑張ります』と話すと、『ちょっとイラクに行ったからってデカい顔するな』と吐き捨てられたと聞きました」(陸自隊員)

イラクなど海外の危険地帯に派遣された隊員には1日2万~3万円の手当が出る。3ヵ月のイラク派遣では多くて300万円近い金額となり、それに対する嫉妬もいじめの原因になるようだ。

もちろん、自衛隊も海外派遣を巡る隊員の心のケアをまったく行ってこなかったわけではない。
イラク派遣では、陸自がメンタルヘルス対策として現地に専門のカウンセラーを帯同させるなどしている。だが、それでも54人の自殺者は出てしまった。結果から見れば、対策は不十分だったということになるだろう。
さらに前出の半田氏は、今回、政府が認めた数字もすぐには信用できないと指摘する。

「'06年、イラク特措法でクウェートに派遣された空自隊員が、基地内での米独立記念日のマラソン大会に参加した際、米民間軍事企業のバスにはねられ大ケガをした。

ところが当時は、空自による米兵輸送の開始直前の微妙な時期。彼は帰国も許されず、首にコルセットをハメられただけで2ヵ月も適切な治療が受けられなかったという。結果、口が1㎜しか開かなくなり、右手が震えるなど後遺症が残ったそうです。元隊員はいま国を相手取り裁判を起こしていますが、こうした前例がある以上、今回の発表も鵜呑みにはできません」

「自殺率」は世間一般の10倍
危険な任務によるストレス、隊員間の人間関係の重圧、いじめ。それらに効果的な対策を講じることができず、自殺者は異常なまでに多い。
第一次安倍政権で内閣官房副長官補(安保・危機管理担当)をつとめた柳澤協二氏はこう話す。

「自衛隊員の死について議論になると、安倍首相は『これまでも訓練や災害派遣で1800人が殉職している』と発言した。自衛隊から死者が出ることなど、首相にとっては議論の前提でしかないかのようですね」

自衛隊法第52条には隊員は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえる」とあり、自衛隊内ではこれを根拠に「命をかけろ」と部下に発破をかける上官もいるという。しかし自衛隊員も国民だ。決してその命を使い捨てにしてよいわけではない。
「国民の生命と財産を守る安保法制」とお題目のように繰り返す政府・与党は、目の前の自衛隊の仕事の過酷な現実を直視すべきではないか。


「週刊現代」2015年6月13日号より


そして、PTSD(心的外傷後ストレス障害)等の問題。

「大丈夫か、自衛隊員 「心の病」なんと3万人!! 安倍総理、これでは「後方支援」どころではありません」(現代ビジネス 6月24日)

(以下、一部抜粋引用)

どう考えても普通ではない。いじめ、パワハラは日常茶飯事、海外派遣された隊員の自殺率は国民平均の十数倍にのぼり、その裾野には数倍の「予備軍」がいる。安保法制は、この問題を抜きに語れない。

脱走する隊員たち
「身近に、心を病んで自衛隊病院に行く隊員がいても、『あ、また出たのか』という感じです。人が人と思われていない場所ですから当然といえば当然です。いじめは日常的で、私の知っているケースだと、監視用の双眼鏡をのぞいているところを思い切り殴られたり、巨大な金属製の懐中電灯で頭を殴られて血を流している隊員もいました。

海上自衛隊では、ストレスに耐えられず、時たま与えられる外出の機会に、そのまま帰って来なくなる『脱走』のケースも頻繁にあります。

これだけ隊員が精神的な負担を抱えていて、しかも彼らには戦場に行くような覚悟もない。そんな彼らが銃を持ち、他国の兵士と戦うことになるわけですから……」

元海上自衛隊の隊員は時折口を濁しながら本誌の取材に答え、最後にポツリとこうつけ加えた。このまま自衛隊を海外に派遣すると大変なことになりますよ。

── 中略 ──

もともと今の自衛隊には、就職先や資格を得るための腰掛けで入隊した、モチベーションが低めの隊員も多いという。

そんな隊員たちに、突然、「外国の戦地に行け」と言えばどうなるか。

潜水艦から海に飛び込む
まずはこのように、任務への拒否という反応がありうる。それができない者は、高確率で精神を病んでしまうだろう。本格的に自衛隊が海外に出ることになれば、心の病に苦しむ自衛隊員は3万人どころかその数倍に膨れ上がると予想される。

そもそも自衛隊は、冒頭の証言でも分かるように、いじめ、自殺など様々な問題を抱えてきた。『自衛隊員が泣いている』などの著書がある、ジャーナリストの三宅勝久氏が指摘する。

「例えば海上自衛隊の場合、幹部隊員以外は、任務に加えて寝泊まりも常に船内。24時間船の中です。寝起きは2~3段ベッドと狭苦しいうえ、週に1~2回は数時間交代の当直があるので慢性的に寝不足に悩まされる。しかも人間関係が異常に濃密で、一人になれる時間がほとんどないのです。

楽しみといえば、たまの休みに、オカ(陸上)でパチンコをしたり、酒を飲んだりすることくらいですが、階級の低い隊員は、『体操がキチンとできていなかった』といった理不尽な理由をこじつけられて外出を許可されないこともある」

悲惨な自殺の事例も多数ある。潜水艦が潜航する直前に突如外に出て水死したケースや、わざわざ天井の低い魚雷発射管室で首を吊ったケース。

「ある基地では、『無能だ』と言われ続けて心を病み、ガムテープで自分の顔をグルグル巻きにして窒息死した50代の隊員もいました」(元航空自衛隊隊員で、自衛隊員の悩み相談を受ける小西誠氏)

安倍総理は自衛隊を「敵性国家」から日本を守るための「盾」として、あるいはいざという時の「矛」として使いこなすつもりでいるのかもしれない。しかし、これほど脆く、問題を抱えた組織が海の向こうで機能すると考えるのは、「矛盾」としか言いようがない。

内部のミスを隠蔽しようとする体質
実際、すでに悲劇は起きている。イラク戦争後に、クウェートに派遣された、元航空自衛隊3曹の池田頼将氏は本誌の取材にこう語る。

「私は'06年4月、第9期イラク復興支援の隊員に選ばれました。約100人からなる第一輸送航空隊の一員としてクウェートに到着。基地の周囲には立ち入り禁止の有刺鉄線が広がり、そこには地雷が埋まっていました。『基地内にも地雷が残っているから気をつけろ』と言われた時には身がすくんだものです」

その年の7月4日、池田氏は自身の趣味であるマラソンの現地大会に出場。そこで、KBRという、アメリカの兵員輸送の大型バスにはねられた。

「首、肩の痛みは、耐えられないほどでしたが、その基地には十分な施設がない。睡眠薬や痛み止めを与えられるばかりでした。クウェートの病院に連れて行ってもらったのですが、言葉も十分に通じず治療はできなかった。上官に痛みを訴えると、『アメリカに治療費を出してもらえ』と言われる始末。我慢できず、『日本に帰らせてくれ』と上官に何度もお願いしましたが、帰らせてくれませんでした」(池田氏)

結局、池田氏は、8月下旬に帰国。病院で診てもらったところ、外傷性顎関節症と診断された。だが、事故から時間が立ちすぎて手遅れだった。いまでも1㎜ほどしか口が開かず、流動食しか食べることができない。一時は、ひきこもり状態になり、妻子と別れた。'11年には、隊でのいじめもあり、自衛隊も依願退職せざるを得なくなった。

「自衛隊の幹部は事故そのものを隠蔽しようとしたのだと思います。ウソばかりの組織で、まったく信用できない。安全保障法制が通れば、また私のような被害者が確実に出る。海外派遣などありえません」(池田氏)

命を狙われるかもしれないという恐怖と、内部のミスを隠蔽しようとする体質。だからこそ、心の病を抱えた隊員も増える。派遣からの帰国後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する隊員も多い。自衛隊の関係者が明かす。

「イラクに派遣されたある隊員は、帰国後も、『派遣されている時、近い所に発射光が見え、敵がそばにいる気がして銃に弾を込めようか悩んだ。今でもその光景が思い出されて、寝つけない』と言っていました。また、『マンホールを見ると無意識のうちに飛び越えて避けてしまう』という隊員がいる。どうしても地雷だと思ってしまうそうです。

戦場での恐怖から隊務につけず、自宅にひきこもり、外に出られなくなった隊員、調査書に『自殺願望が強く要注意』と書かれた隊員もいます」

イラク・サマワの宿営地の警備にあたっていたある隊員は、帰国後、カウンセリングを受けても精神状態が安定せず、

「おかしいんじゃ。命を大事にしろと言うのが逆に聞こえる。自死しろと言われているのと同じに聞こえてきた」

と言い残し、その数日後に自殺したとされる。

「非戦闘地域にも危険はあった。自衛隊員は『フレンドリー・ファイア』を恐れていました。同行している、経験の浅い他国の兵士が、ちょっとした動きに驚いて誤射することがあるのです。米兵が英兵を誤射してしまったということもあった。自衛隊員も、敵だと間違われないように気をつけていました。そうした恐怖がPTSDにつながるのでしょう」(戦場ジャーナリスト・志葉玲氏)

海外派遣なら、もっと増える
アメリカを代表する有力シンクタンク、ランド研究所の調査によれば、アフガン、イラク戦に派遣された米兵のうち、約5%がPTSDに、約5%が抑うつ状態になり、約9%が両方の症状に苦しんでいるという。

「アメリカという戦争慣れした軍隊であってもこういう状況。自衛隊が同じ状況になったら、20%どころでは済まない。今後、5万人、6万人と心の病を抱えた隊員が増えていく可能性がある」(前出・防衛省関係者)

小泉純一郎政権、第一次安倍政権などで内閣官房副長官補を務め、自衛隊のイラク派遣などを支えてきた柳澤協二氏は、現在の安倍政権の安全保障政策を強く批判する。

「安倍政権の安全保障政策は、『自衛隊に、これまでできなかったことをさせたい』という程度の動機で動いており、あまりに現実感に乏しい。安倍総理は『武力行使はしない』と言っていますが、将来、自衛隊がアメリカに呼ばれて対テロ戦争に参加せざるを得なくなれば、武力行使は必至、戦死者が出ることも考えられるわけです。その時に国民はそれをどう受け止めるのか。議論のないまま強行採決しても、後々、『こんなはずじゃなかった』ということになるに決まっています」

心を蝕まれる自衛隊員、永遠の別れを覚悟して彼らを送り出す家族—。改正される法律の文書の背後には、血の通った当事者たちがいる。

「週刊現代」2015年6月27日号より


一方、今明かされる「イラク復興支援活動」における実態。

「「純然たる軍事作戦」 穀田氏追及 イラク「行動史」全容判明」(しんぶん赤旗 7月11日)

(以下、全文引用)

 「戦後最も戦場に近い海外派遣」と言われた陸上自衛隊のイラク派兵(2004~06年)の経験と教訓を克明に記録した内部文書「イラク復興支援活動行動史」(2008年5月)の全容が判明しました。日本共産党の穀田恵二議員が10日の衆院安保法制特別委員会で独自に入手した同文書を示し、「非戦闘地域」とされた場所でも戦闘に至る寸前だったことを告発しました。

 中谷元・防衛相は文書の巻頭言で、第1次イラク復興支援群の番匠幸一郎群長(当時)が、イラク派兵について「純然たる軍事作戦だった」「軍事組織としての真価を問われた任務」と述べていることを認めました。

 穀田氏は、イラク特措法では「自己保存」の武器使用権限しか認められていなかったにもかかわらず、文書の黒塗り部分には従来行っていなかった「至近距離射撃」と、敵に銃を連続射撃する「制圧射撃」の訓練が重点的に行われたと記述されていることを指摘。中谷氏は、「(記述が)事実だ」と認めました。

 穀田氏は、制圧射撃が「敵に損害を与え」(防衛省規格・火器用語集)るためのものだと指摘。2005年12月には、部隊の車列が群衆に取り囲まれ、銃を所持する現地民も含まれていたと記述されていることをあげ、「イラク人を殺傷する寸前だったのではないか」と追及しました。中谷氏は、「武器の使用は確認されていない」と述べるにとどまりました。

 さらに穀田氏は、相手が発砲していなくても「危ないと思ったら撃て」との指導までされていたことをあげ、「自己保存」の武器使用など通用しない危険な状況だったと指摘。戦争法案で「非戦闘地域」の枠組みがなくなり、治安維持活動まで認めれば、「殺し殺される」状況になるのは明白だと強調しました。安倍晋三首相は「厳格な武器の使用の制限について訓練を重ねてきた」などと言い放ちました。


穀田議員が入手した「イラク復興支援活動行動史」の1行目には、「『危ないと思ったら撃て』との指導をした指揮官が多かった」との記述が。


防衛省が提出した同資料では、この部分を黒塗りにしていた。

政府、国会に黒塗り文書
 政府は穀田氏が入手したのと同じ文書を国会の資料要求に対しては、一部黒塗りにして提出しています。

 穀田氏は国会に対しては黒塗りの文書しか提出されていないことについて、「法案の議論があるからこんなことになったのではないか」と政府が事実を隠そうとしている可能性を指摘しました。すでに公の出版物でとりあげられている文書でありながら国会議員が資料請求したら黒塗りにするのは、はなはだしい国会軽視です。

 穀田氏は「法案を審議する上で、イラクで何が起こっていたかは全議員に提示する必要がある」と述べ、「行動史」を国会に全面開示し提出するよう要求しました。

衆院安保特 穀田恵二国対委員長がコメント


「純然たる軍事作戦」イラク「行動史」全容判明



「陸自資料は語る――イラク派兵「戦場」の実態 危険性の記述 すべて「黒塗り」開示」(しんぶん赤旗 7月11日)

(以下、一部抜粋引用)

 日本共産党の穀田恵二議員が10日の衆院安保法制特別委員会で示した、陸上自衛隊イラク派兵(2004~06年)の「戦場」の実態と、その教訓を記録した「イラク復興支援活動行動史」(全2編、約430ページ)。一方、政府が国会に提出した同じ文書では、戦闘さながらの事前訓練の内容や、現地の危険性に関する記述がことごとく黒塗りで隠されており、そのことが逆にイラク派兵の危険性を浮き立たせています。(下線部分は「行動史」から引用)

常に「敵」を警戒 「銃は決して手放さずに沿道の人々に手を振れ」
「今回は…治安上危険のある地域での人道復興支援活動という、初めての任務であった」

 イラク派兵の建前は、「非戦闘地域」での「復興支援」。しかし、犠牲者が出る危険性が明白に認識されていたことがわかる記述が随所にあります。

「発射されたロケット弾は…(宿営地内の)鉄製荷物用コンテナを貫通して…宿営地外に抜けており、一つ間違えば甚大な被害に結びついた可能性もあった」

 常に「敵」を警戒していることをうかがわせる記述もあります。

「宿営地外では、沿道の人々に笑顔で手を振ることが重要…ただし、右手は決して銃から手を離してはならない…」。この方式が徹底されました。

発砲前提の各種訓練 「危ないと思ったら撃て」「制圧射撃」まで指導徹底
 驚くべきことに、このような危険な「戦場」の実態に対応するため、隊員には事前に発砲を前提とした各種訓練が施された上で派兵されていました。

「至近距離射撃と制圧射撃を重点的に錬成して、射撃に対する自信を付与した」

「隊員に対して訓練を徹底した後、最終的には『危ないと思ったら撃て』との指導をした指揮官が多かった」

「非戦闘地域」が建前の法律上、部隊に認められていたのは「自己保存」のための武器使用だけです。しかし、実態は「敵に損害を与え、その戦闘力の発揮を妨害するための射撃」(防衛省用語集)と定義される「制圧射撃」まで訓練し、現地住民より先に撃つことすら容認する指導が徹底されていました。

 このような訓練は現地入りした後も徹底されています。クウェート到着後には、機関銃だけでなく無反動砲や対戦車弾の射撃訓練も実施。このような訓練はすべて、開示資料では黒塗りで隠されています。

戦死者ゼロの教訓 「適切な地域と任務」選定 戦争法案では失われる
 なぜ自衛隊に戦死者は出なかったのか―。「行動史」は「安全確保に関する教訓」としてこう総括しています。

「安全確保のための施策に関し、はじめに強調すべき事項として、適切な活動地域と任務の選定がある。それはサマーワという地域において人道復興支援活動を実施するという任務が付与されたことによって、実は、派遣間の終始を通じる安全確保の基盤が形成されたのである」

 戦争法案で当時の「非戦闘地域」の枠組みが撤廃されるだけでなく、治安維持活動といった危険な任務まで可能になります。陸自の活動が比較的安全といわれたサマワで「終始」した「安全確保の基盤」は失われることになります。

 穀田氏は審議の中で、「行動史」を全面開示して国会に提出するよう要求しました。


その一方で、自衛隊員確保のために、防衛省は躍起になっている。

「「任官拒否」急増で隊員不足…自衛隊がリクルート活動に必死」(日刊ゲンダイ 7月10日)



(以下、全文引用)

 防衛省が“兵隊集め”に躍起になっている。今月下旬から、「“マスメディアには出ない本当の自衛隊”を知る説明会」を市ケ谷などで大々的に開催する。

「メディアがあまり取り上げない自衛隊の待遇などを大学生や高校生に知っていただき、親しみを感じてもらうための説明会です」(防衛省報道室)

 まあ、民間企業の就職セミナーみたいなものらしいが、背景には深刻な隊員不足がある。13年度までの10年間で自衛隊員の数は1万3718人減少。“任官拒否”する防衛大の卒業生もこの4年間で5倍に跳ね上がった。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏が言う。

「安倍政権になってから自衛隊の訓練内容は明らかに変わりました。かつての陸自はサバイバルゲームの延長みたいな“なんちゃって訓練”が大半でしたが、最近は人を標的にする実戦訓練が増えています。日米共同訓練もどんどんハイレベルになり複雑化しています。去年、私は米ワシントン州で日米共同戦車訓練を取材して驚愕しました。かつては“砂漠で日本の戦車がちゃんと走るか”を試すのが主目的でしたが、今は米軍と自衛隊がどれだけ正確かつ一体的に行動できるかを試すのです。難易度が高まれば、訓練中の死傷者が出るリスクも高まる。さらに安保法制が成立すれば、訓練ではない本物の戦争に駆り出されるかもしれなくなる。若者が尻込みするのは当たり前です」

 国家公務員の自衛官は、45歳の中隊長クラス(配偶者、子2人)で年収760万円。幕僚監部課長クラスになれば1240万円だ。合コンや結婚相手でも数少ない人気職種。昨年は自衛官と結婚する「J婚」が流行語になったが人気急落は確実。自衛隊に“就職”したがる若者はどんどん減り、退官する自衛官がますます増えるだろう。


変わったところでは、人気アニメとコラボレーションした募集ポスターも。

「自衛隊が萌えアニメ『GATE』とコラボ!自衛官募集ポスターに正式採用←もう末期だな」(「小並感」7月11日)



>2015年7月より放送開始となるTVアニメ『GATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』(原作・柳内たくみ)。
このたび本作が、自衛隊東京地方協力本部(東京地本)とコラボして、東京地方での自衛官募集ポスターが作成され、
「東京地本」公式サイトにて公開されました!
>原作『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』は、自衛隊が異世界で活躍するファンタジー小説で、漫画等シリーズ累計で240万部を超える大人気作品。
自衛隊員にも読者は多く、
「キャラクターは大変個性的だが、親近感を持てる場面も多く、感情移入ができた。」と言った声あるとのことです。
>著者の柳内たくみ氏ご本人からの提案により実現。東京地本は、本ポスターを通じて、
より多くの若者が防衛省・自衛隊に関心をもつきっかけとなればと考えているとのことです。


こうして若者の心を何とか捉えようとする、イメージ戦略とも言えるプロモーションは数年前から行なわれている。

平成26年度 自衛官募集 テレビCM Aタイプ30秒


アイドルグループ、AKB48のメンバーである島崎遥香をCMキャラクターとして起用した2014年度「自衛官募集」のCMである。

他にも、


2014年度版


2013年度版

「自衛隊徳島地方協力本部」は特にこうした「萌え」展開で一部の「マニア」にウケているらしい。

そして、ちょうど1年前のことである。
「集団的自衛権の行使容認」の閣議決定のタイミングだった所為か、高校生の居る家庭に送られてきた「自衛隊の募集案内」。やれ「徴兵だ!」「赤紙だ!」などの騒ぎになったのはまだ記憶に新しい。



自治体エリアによって様々な形態があり、こちらにはツイッターで寄せられた画像と話題が満載されている。
「高3生に自衛隊の募集案内が、個人宛に続々と届く」(NAVERまとめ 2014年7月3日)

この現象に対して反論とも、自衛隊(防衛省)擁護とも取れる記事がこちら。
「「高3生に自衛隊の募集が届いてる!」騒動 毎年恒例なのに、なぜ?」(J-CASTニュース 2014年7月10日)

>集団的自衛権の行使容認に関わるニュースもあったタイミングだけに、過敏になってしまう気持ちも分からないでもない。しかし、不安になる必要はまったくない。実は、この時期に自衛隊の募集案内がくるのは「毎年恒例のこと」なのだ。煽っている人たちは、それが分かったうえでアクセスを集めたい確信犯か、単なる情弱のどちらかだろう。
>防衛省・自衛隊サイトによると、一般曹候補生を例に挙げれば、採用受付は例年8月1日からはじまり、試験は9月19日からだ。このタイミングで採用広報を始めるのは民間企業と同じで、何の不思議もない。


一方、「しんぶん赤旗」の記事。
「「閣議決定」の日から18歳狙い撃ち 大がかりに自衛官募集 赤紙来た感じ。こえーよ」(しんぶん赤旗 2014年7月5日)

>安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を「閣議決定」した1日、防衛省・自衛隊が全国の18歳を対象に募集案内を送りつけ、高校生や保護者から「『召集令状』が来た」と怒りや不安の声があがっています。自衛隊の募集案内は、住民基本台帳で全国の18歳の住所を調べて送付。1日から人気アイドルが出演する隊員募集のテレビCMを始めるなど、大がかりな募集作戦を展開しています。

さてこうなると、先日の記事 ⇒「「若者たちの反戦運動に違和感」に違和感」の中で取り上げた民主党のパンフレット(「民主、安保法案反対のパンフ配布 子育て世代狙い」)も、俄かに現実味を帯びてくるような気がしなくもない。




さぁ、これら自衛隊にまつわる一連の記事とその流れ。皆さんはどう思われるだろうか。

まずは自衛隊員に重く圧し掛かってくるプレッシャー。それがやがて現職の自衛官に留まらず、“予備軍”と見做される少年、少女たちにじわじわと魔の手が忍び寄る。
私のようなジジイには関係ないと、そんな思いは微塵も無い。これらは自分の子孫に関わる重大かつ深刻な問題だ。
(最終更新:7/12 15:25)



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「銃弾に倒れるだけが戦死者ではない」
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4 コメント

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うーむ (元自衛官)
2015-09-13 10:42:30
ふだん自衛隊や迷彩服が大嫌いな団体の輩が ここぞとばかり 反日運動のために迷彩服姿の元自衛官を利用してるのですな ちなみに 自衛隊入隊したら意思確認してから宣誓しますので生半可な意識で勤務してる人はごく一部だと、、、、、
元自衛官さんへ (Motch)
2015-09-13 14:03:58
立場立場で多様な意見があって当然だと思います。
「利用」⇒その言葉はともかく、自衛隊は当事者であるわけなので、様々なかたちで「引き合い」に出されるのだと思います。
しかし、内部事情など、本当のところは隊員の方でないとわからない部分というのは、部外者が語るより遥かに多いでしょうね。
実際はどうなのか。そういった隊員の方の意見や考え方が、賛否問わずもっと出てきても良いと思っています。

コメントありがとうございました。
まるで時代が逆行したような (野良猫の嘆き)
2015-09-19 13:21:52
私は60年安保の時の騒動をテレビなどで見ていた世代だ。あの時のデモはまるで内戦のような有り様だった。しかし今回のデモは如何にも現代的なデモだと感じた。本当に自然発生的な。国民の本能的な危機感だろう。今までの自衛隊の災害時の活躍は日本人としても誇らしかった。そんな有能な人たちを違憲と言われる法案で無駄に命を落とすようなことになって欲しくはない。遺書の件は初めて耳にした。これはやはり政府が隠匿していることだろう。政治家は机上の上だけで何事も決め、現場の空気も状況も多分想像すらしないのであろう。是非皆さんが一丸となって違憲訴訟をお越して欲しい。各国が今まで抱いていた自衛隊の印象のままの姿でいて欲しい。新しい秘密保護法案の下、本当に自衛隊が何を命じられるかわかったものではない。国防の大切さは十分わかっている。しかし、あまりにも焦り過ぎて自衛官をちゃんと守るべき内容すら何も議論されてはいない本当に瑕疵ばかりの法案がそのまま施行されてはならない。今回の法案こそ国民投票すべきだったのではないか?十分議論を尽くし国民の理解を得て、その後9条に手を加えて違憲ではない条項にして隊員たちをもちゃんと守れる法案にすべきだ。安倍政権の手法はすべてが逆なのだ。だか
野良猫の嘆き さんへ (Motch)
2015-09-19 21:01:57
安倍内閣は完全に国民を愚弄し裏切り、国を私物化し、どうやら大多数の国民を敵に回してしまったようです。
さぞ安倍シンゾーは満足であることでしょう。

やはり、知らないということ。そして“知らされない”ということの恐ろしさを改めて感じました。
何も知らされず、騙され続けた国民。もうそろそろそのときは終るような気がします。
あのような極悪非道の連中の思い通りにはもうさせません。
徐々に国民は気付き始めたのではないでしょうか。

改めて、これからですね。国民の意識がどこまで高まるか、それにかかっているような気がします。

60年安保のとき、私は物心がつくかつかないかのとき。
詳しい事情は差し控えますが、地下道で、担架で運ばれてくるデモで傷ついた人々の姿を目の当たりにしたのを、今でも鮮烈に覚えています。
それはでも、決してトラウマにはなっていません。むしろ後年、ついて私は「真実」に気付きました。
平和であるに越したことはもちろんありませんが、その「平和」はどうやって保たれるのか、今一度考えてみるべきでしょうね。

コメントありがとうございました。

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