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安保法案:政府答弁の拠り所

2015-06-17 05:55:02 | 戦争法案とは?(基本編)
政府として、「砂川事件」にこだわり続けるのはもう限界。として、極めて曖昧ながら結局振り出しの「1972年・政府見解」に戻った。
しかし、しつこいようだが、根本的なところで「72年政府見解」では「集団的自衛権」は違憲であると言い切っているのである。それに対し、中谷防衛大臣や閣僚は答弁に際し、しどろもどろになりながらおおよそ次のように続ける。

「冷戦後から始まったグローバル化の急速な発展が、主要国間のパワーバランスの変化を引き起こしている。今後数十年間は、各地域において安全保障や経済が不安定化する可能性が高い時期。世界が更に多様化に向かう中で、平和と安全を維持する国際秩序を構築することが、我が国を含む国際社会の最大の課題。
サイバー空間の利用への依存は、企業秘密の搾取等の経済活動に対するリスクのみならず、重要インフラに対する攻撃等を通じた安全保障上のリスクを伴っている。
大量破壊兵器の拡散や国際テロといった国境を越える脅威は、21世紀における国際社会の中心課題となっている。
一国のみでは対応できない地球規模課題の重要性・喫緊性が増加。人間の安全保障上の課題は、拡大、多様化しており、更なる取り組みが求められている。」
・・・なので、従来からの認識を変え、憲法の範囲内において新3要件を付帯することによって「集団的自衛権の行使」を容認することになった。・・・のであると。

国会質疑で「集団的自衛権行使容認」を合憲だとする根拠は何なのか、認識を変えるに至る根拠は何なのかを質されるたび、多少言い回しを変えるなどして、それが質問の答えになっていようがいまいがお構い無しに、バカの一つ覚えのように、非常に抽象的で具体性に欠ける上の文言を繰り返し繰り返し、しかも要領を得ないままだらだらと述べるだけである。いくら議論しても、これでは噛み合わないのが当然だ。

もっとも、⇒先の拙記事 で書いたように、担当大臣や官僚が自身の中に矛盾を抱えるが故、如何ともほかに答えようがないというところでもあるのだろう。仮にうっかり本音を言ってしまえば法案が台無しになるのが解っているからそうやって何とか誤魔化すしかない。支離滅裂だろうが食い違いがあろうが、彼らはこれを言い続けるしかなく、結果的にそうすることで無駄に時間が消費されていくことをむしろ善しとしている面もあるのかもしれない。

で、この「冷戦後から始まったグローバル化の急速な発展が・・・」なんちゃらかんちゃらという文言。それが何かと言えば、その台本とされるのがこれである。
「我が国を取り巻く 外交・安全保障環境/平成25年9月12日 外務省」(PDFファイル)
上で示したものは、ここからそっくりコピペしたものだ。


クリックで拡大(画像は書類の一部)

つまり、彼らはこれを拠り所とし、極端な話、ここに書かれている内容を棒読みにしているに過ぎないのである。だから想定外の質問に対して臨機応変に答えられずに慌てる。タジタジになる。まして本音を言えないものだからしどろもどろになるのだ。少なくともそう考えて遠くはない。

また、この書類を見れば、まるで電通か博報堂の広告企画書のようであって、ただイメージばかりが先行し、そこに内容に沿った具体例というものが書かれてはいない。
具体例というのは、「いつ、どこで、どのような事例が発生し、その結果何が起こり、それに対して、誰が、どのように対処・対応したか」というもので、かつそれが論拠となり得る必要がある。時間と場所、当事者の名称など、少なくともそれらを明らかにし、明確に関連付けられる事柄を挙げていなければ具体例とは言えない。

例えば1週間前、共産党の宮本衆院議員が、参議院では井上哲士氏が質問に立ち、「他国に対する武力攻撃で国の存立が脅かされるようなことが、どこかの国で生じた事例はあるのか」、あるいは「認識を変えるような安全保障環境の変化とは何か」と質したのに対し、中谷防衛相も横畠(よこばたけ)法制局長官もおどおどと的外れなことを言うだけで、何一つまともに答えることができなかった。

従ってこれらを鑑みれば、「集団的自衛権の行使容認」を是とする根拠もなければ、「安全保障環境の変化」を裏付ける具体例もなく、唯一法案の必要性を訴える理由があるとすれば、それは「米国の要請によるもの」、その一点しかなく、それに尽きるのである。


以下、参考。
1972年「集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料」(要旨)
憲法は、第9条において戦争を放棄し、戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、第13条において「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、国政の上で最大の尊重を必要とする」旨を定めることからも、わが国が自らの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかで、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。

しかし、平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまでも国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民の権利を守るためのやむを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。

わが憲法の下で、武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと言わざるを得ない。


「「昭和47年政府見解」の要求質疑における吉國内閣法制局長官答弁」(PDFファイル)
「昭和47年(1972年)政府見解」の要求質疑における吉國内閣法制局長官答弁(一部抜粋)

○説明員(吉國一郎君)
これは、憲法九条でなぜ日本が自衛権を認められているか、また、その自衛権を行使して自衛のために必要最小限度の行動をとることを許されているかということの説明として、これは前々から、私の三代前の佐藤長官時代から、佐藤、林、高辻と三代の長官時代ずうっと同じような説明をいたしておりますが、わが国の憲法第九条で、まさに国際紛争解決の手段として武力を行使することを放棄をいたしております。
しかし、その規定があるということは、国家の固有の権利としての自衛権を否定したものでないということは、これは先般五月十日なり五月十八日の本院の委員会においても、水口委員もお認めいただいた概念だと思います。
その自衛権があるということから、さらに進んで自衛のため必要な行動をとれるかどうかということになりますが、憲法の前文においてもそうでございますし、また、憲法の第十三条の規定を見ましても、日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして国民が非常な苦しみにおちいるということを放置するというところまで憲法が命じておるものではない。
第十二条からいたしましても、生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利は立法、行政、司法その他の国政の上で最大の尊重を必要とすると書いてございますので、いよいよぎりぎりの最後のところでは、この国土がじゅうりんをせられて国民が苦しむ状態を容認するものではない。
したがって、この国土が他国の武力によって侵されて国民が塗炭の苦しみにあえがなければならない。その直前の段階においては、自衛のため必要な行動はとれるんだというのが私どもの前々からの考え方でございます。
その考え方から申しまして、憲法が容認するものは、その国土を守るための最小限度の行為だ。したがって、国土を守るというためには、集団的自衛の行動というふうなものは当然許しておるところではない。また、非常に緊密な関係にありましても、その他国が侵されている状態は、わが国の国民が苦しんでいるというところまではいかない。その非常に緊密な関係に、かりにある国があるといたしましても、その国の侵略が行なわれて、さらにわが国が侵されようという段階になって、侵略が発生いたしましたならば、やむを得ず自衛の行動をとるということが、憲法の容認するぎりぎりのところだという説明をいたしておるわけでございます。
そういう意味で、集団的自衛の固有の権利はございましても、これは憲法上行使することは許されないということに相なると思います。


武力行使の新3要件
(1) 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
(2) これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
(3) 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

※新3要件は非常に曖昧で、具体性に欠ける。


一方、「集団的自衛権」云々と同時に問題視されている「自衛隊員のリスク」についてはどうだろう。

これについて、中谷防衛大臣は12日の審議において維新の党の足立衆院議員の質問に対して「法律に伴う(自衛隊員の)リスクが増える可能性はある」と初めて明確に述べたのに続き、15日には、「過酷な環境下での活動が想定され、隊員の精神的負担は大きい」とし、安全保障関連法案に盛り込まれた自衛隊の海外活動拡大に伴い、隊員が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する可能性があることを認めた。

こうした答弁が「想定内」として組み込まれ始めたのかどうかはわからない。今後の追及次第では本音が導き出せないとも限らない。いずれにせよ、民主党、共産党は追及の手を緩めず、是非大きな尻尾を掴んで覆して欲しいものだ。


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安保法案は軍事同盟

2015-06-16 18:39:45 | 戦争法案とは?(基本編)
もう数日前(6月12日)にはなるけれど、政界の重鎮4人が日本記者クラブで会見を開いたときのことである。
その折、元財務相の藤井裕久氏がこう述べていた。

>「集団的自衛権ってなんだ?」っていうことから話をしなきゃならないんですが、それは端折ります。が、去年7月に自公体制でやった集団的自衛権の文章は極めてインチキなものなんですよ。新3要件っていうけど、あれは個別自衛権の話なんですよ。日本がもうどうにもならない時とか、それでも必要最小限だとか、単に方法がないとか。これは個別自衛権の話なんですよ。それでその頭に「他国が攻撃されても」とくっつけているだけなんです。これを入れることによって「集団的自衛権だぞ」と言おうとしているだけのことであって、私は極めてインチキな文章だと思っています。

>あれは個別自衛権の話であるということを、まず申し上げられると思います。そこでですね、「集団的自衛権ってなんだ?」って話ですが、これは完全に対等な軍事同盟です。対等な軍事同盟が、集団的自衛権であるということをまず申し上げておきたいと思います。


「【全文】山崎拓氏、亀井静香氏らが安全保障関連法案に反対表明会見」( BLOGOS編集部 2015年06月14日 10:37)

なるほど、「軍事同盟」と聞いて、ストンと腑に落ちた。
「安保法案」の国会審議では殆ど話には出てこないが、この「安保法案」の直接の基礎となっているのは、4月27日に「2+2」において18年ぶりに改定された「日米防衛協力のための指針」いわゆる「日米新ガイドライン」である。

実際の条文を見れば、「防衛協力」「共同計画」「日米同盟」「切れ目のない」といった文言が並び、あるいは随所に散りばめられ、それは紛れもなく「軍事同盟確認書」の性格を露にしている。「日本の防衛」と限定はしているものの、自衛隊と米軍があらゆる事態に切れ目なく対応し、日米が世界規模の同盟であるということが強調して書かれていて、そのあまりにあからさまな表現には閉口する。
その内容はといえば、あろうことか、既に日本による集団的自衛権の行使事例もここに盛り込まれており、また、「周辺事態」も取り払われ、地理的制約がないことを明記し、南シナ海や中東などでも自衛隊が米軍の後方支援をできるように変更している。更に、2001年に米軍主導で実施したアフガニスタン攻撃のような軍事作戦に対し、自衛隊が後方支援することを役割とした内容も明記しているのだ。
加えて、宇宙やサイバー空間を安定的に利用するための協力も、今回のガイドラインから追加された。

「日米防衛協力のための指針」(PDFファイル)

これをそっくり実行可能にするために法制化しようとしているのがまさに「安全保障関連法案」なのである。
今更ながら本末転倒もいいところなのだが、まずはこの「日米新ガイドライン」ありきであり、と同時に安倍はオバマと固い約束をし、外堀を固めた上で安倍は自らを律し、対外的に逃れられない状況を作った上で、是が非でも断行しようとしている。
今日のニュースでは、政府与党が今国会の会期を9月まで延長する方向で調整に入ったとしている。政府にしてみればこの状況において止むを得ずというところだろうが、それでもいずれ最終的には強行採決での成立を狙う姿勢は崩してはいない。



集団的自衛権とは、ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利である。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある。(Wikipediaより)


自国が攻められてもいないのに、他国と共に軍事行動を起こせば、戦争になるのは当たり前だ。サルでもわかる。


さて、お話し替わって、昨日次のような「週刊ポスト」のWeb記事が出た。

「安保関連法案 やっと見つけた「合憲派」の3人の教授の見解」(週刊ポスト 6月15日)

記事によれば、過日(12日)自民党の平沢議員が挙げた、安全保障関連法案を「合憲」とする憲法学者10人全員には言及していないが、内3人のコメントを紹介している。

>「そもそも日本は国連加盟国であり、国連憲章第51条で加盟国は個別的自衛権および集団的自衛権を『固有の権利』として持つと明記している。日本国憲法は自衛権を否定していないし、私は個別的自衛権と集団的自衛権は基本的に分けられるものではないと考えている。集団的自衛権の行使はまったくの合憲です」(西修・駒澤大学名誉教授)

>「合憲と考えます。憲法の条文そのものと照らし合わせれば、自衛隊の存在自体が違憲ということになってしまう。しかしそれでは実際に国家の存立を図ることはできないため、解釈に解釈を重ねて自衛隊の存在やその前提としての自衛権もあるものとしてきた歴史がある。
>南シナ海での中国軍の活動など国際情勢が緊迫度を増すなか、抑止力として日米同盟を強化していくのは自然な考え方。安倍政権は新三要件も閣議決定しており、内容もかなり抑制的です」(八木秀次・麗澤大学教授)

>「国連憲章は集団的自衛権の行使を制限していない上、日本国憲法も集団的自衛権を禁止してはいません。違憲のはずがありません」(百地章・日本大学教授)


おいおい、今度は「国連憲章」の登場か。何より全てにおいて優先される国の憲法は二の次ってか? 呆れてものも言えない。
ほかは単なる屁理屈のごり押しだ。
せめてこのお三方、堂々と記者会見を開いて政府与党を応援したらいかがだろうか。そうでなければきちんと声明を発表すべきだ。政府が不憫ではないのか?
もっとも、そうなれば炎上は必至だろうが、とにかく今更の「合憲論」は妄想以下である。

国連憲章の第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。


ほか、
「集団的自衛権:防衛相「砂川判決が根拠とせず」」(毎日新聞 6月15日)

ちょっと待て、案の定の論拠崩壊か。もとより苦し紛れとは言え今更「砂川事件」を持ち出したのが大きな間違い。強引なこじつけによる解釈は早々に辻褄が合わなくなり矛盾を曝け出した。そもそも閣議決定の際に「砂川裁判根拠」は敬遠されていたはずだ。
結局の言い分は高村副総裁が言うところの、「決めるのは政治家だ!」と開き直るにせよ、あまりに大人気ないと言わざるを得ない。

「答弁と矛盾…“戦争法案”守護神と化した高村副総裁の二枚舌」(日刊ゲンダイ 6月15日)

とにかく、この期に及んで国会審議での与党の答弁は、誤魔化しや言い逃れに終始し支離滅裂でバラバラな見解を述べるのみ。大臣、官僚がそれぞれに自己矛盾を抱えて最早収拾がつかない。あらためてこの法案が「ペテン詐偽法案」であることを一層鮮明にした。


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わかりにくい政治 2 《安保法案ってなに?》

2015-06-07 17:25:20 | 戦争法案とは?(基本編)
さてここで、その「なるほどな~」と思った記事に倣って、私も子供向けに考えてみた。言わずもがな「戦争法案」についてである。
そう、子供といっても自分で物事を考えはじめ、判断が出来るようになってくる中学3年生くらいを対象にするのが適当だろうか。以下長くなるが、その中学3年生に理解できる程度に書いてみたいと思う。

今開かれている国会で、日本の法律にして良いかどうか話し合われているのが「安全保障関連法案」(あんぜんほしょうかんれんほうあん)です。
新聞やテレビのニュースでは「安保法案」や「安保法制」という呼び名を使っています。
国会の中では、政府与党である自民党と公明党以外の野党がこの法案の成立に反対しています。なぜ反対しているのかといえば、それは日本の憲法に違反するばかりではなく、日本が再び戦争をする国になってしまうからです。
ですから国会ではこの法律をやめさせようとする野党と成立させたい与党との間で激しい議論になっています。

「安全保障関連法案」は、今までにあった自衛隊の規則を定めた10本の法律をそれぞれ改正する案と、新しく制定する予定の「国際平和支援法」という法律案1本の、あわせて11本の法律案をまとめたものの名前です。

これは、今日本が北朝鮮や中国からミサイルなどの軍事攻撃を受ける危険があって、日本の平和を守るために法律によって自衛隊の行動範囲を広げたり、武器の使用を今までより可能にしたりする必要があるという理由で、安倍総理大臣をはじめ政府の人たちが考えた案です。
しかし、実際は北朝鮮や中国が理由も無く今すぐ攻めてくるような状態ではなく、そうした危険が迫っているという具体的な証拠もありません。安倍総理大臣は国民をおどかして自分の考えが正しいようにみせかけようとしているのです。

実は、日本とアメリカの間に、他国からの攻撃に対してアメリカが日本を守ってくれる代わりにアメリカの基地を日本に置いていいという約束をした「日米安保条約」(にちべいあんぽじょうやく)というものがあって、それが元になっています。
最近アメリカが自国の軍隊にかかる費用を減らすことになって、この「日米安保条約」があることを理由に、費用を減らす分、それを日本でおぎなうようにアメリカが要求してきたことにあります。

そもそも、「日米安保条約」のアメリカ側の本当の目的は、アジア圏において日本に基地があれば戦争の作戦を行なう上で便利だというだけで、価値がなくなったり危険がおよべば日本から退却し、必ず最後まで日本を守ろうと考えているわけではありません。
それでも安倍総理大臣がアメリカと仲良くするのは、武器や弾薬を沢山作ることで日本やアメリカの大企業が儲(もう)かる仕組みを作り、それに関わる人たちやアメリカから支持されることで、強い権力をにぎりたいと思っているからです。

ここで、日本国憲法の第9条を見てみましょう。そこには
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
と書かれています。
この第9条は、日本は永久に戦争をしないこと。そのための軍隊を持たないことをはっきりと明記しています。
憲法は、国民のために国が守らなければならない最高の法規です。

「安全保障関連法案」で自衛隊の行動を定めている内容の大きな点は
●アメリカが仕掛けた戦争でも、アメリカが相手の国から攻撃されたら、自衛隊の戦闘機や軍艦、戦車や機関銃などの武器を使ってアメリカ軍に加勢し、共同して反撃すること。
●日本が攻撃されていなくても、世界中のどこでも、アメリカの軍隊に同行して、アメリカ軍の艦船や航空機、車両などに給油を行ったり、兵員を運んだり、武器や弾薬を運んだりして戦闘の手助けをする。
ということで、このことを「集団的自衛権」(しゅうだんてきじえいけん)といいます。
また、この法律は「恒久法」(こうきゅうほう)と言って、今までのようにそのときどきの条件や状況に合わせた法律をいちいち作らなくていいようにしようとしています。

内容を見ればとても危険であるとともに、この法律案が最初から日本国憲法第9条に定めた「戦争放棄」の条文に大きく違反しているのがわかります。しかし安倍総理大臣と日本の政府は「合憲」、つまり、違反はしていないと言い張っているのです。

そのわけは、「拡大解釈」(かくだいかいしゃく)といって、1954年に自衛隊ができたときから今までの総理大臣が、この文面の語句に勝手な理屈をつけてつごうのいいように意味を変えてきたことにあります。
例えば、「禁止されるているのはこちらから攻めて行く侵略戦争だけで、自国を守るためなら戦争してもいい」とか、「「侵略のための武器」は持たないと決めたけど、自国を守るためなら武器を持っていていい」などです。

憲法第9条を読めばわかるとおり、9条をきちんと守ろうとすれば、本来は自衛隊も憲法違反になるのですが、今まではあいまいのままにしてきました。
しかし、今問題になっている「安全保障関連法案」はどう見ても憲法違反だらけです。

先日、意見を聞くために、政府が3人の憲法学者を国会に呼びました。
そうすると、全員が「この法案は憲法違反です」と言ったのです。
とても当たり前のことですが、それでもまだ政府の人たちは違反ではないと言い張り、そして政府与党の自民党と公明党は議員の数が多いのをいいことに、国民の意見を無視して、野党の反対を押し切って、多数決でこの法案を無理やりに成立させようとまで考えているのです。

もちろん、反対しているのは野党の国会議員たちばかりではありません。新聞社のアンケートによると、日本の国民の6割の人がこの法案に反対しています。
反対の立場の人たちは、「戦争法案」や「戦争立法」と呼んで、この法案が法律として制定されてしまわないように、全国各地で集会を開いたりデモ行進を行うなどして国民の意見として国(政府)が聞いてくれるように、反対運動をしています。

もし、この法律が作られたら、自衛隊員の人たちだけではなく、友達や兄弟がアメリカの戦争に連れて行かれることになるかもしれません。
一度でもこの法律に従って戦争に参加したら、それがすでに起こってしまった事実として認められ、次からはどんどん実行されることになるでしょう。
戦争に行けば手足を失ったり殺されたりするばかりではなく、人の命をうばうことになるかもしれません。
自衛隊員も友達も家族も皆日本の国民です。

戦争で平和が守れると思いますか?
戦争を前提にして武器を用意していたら、平和な国を築けると思いますか?
だから絶対に安倍総理大臣がやろうとしていることを許してはいけないのです。
まさに「戦争法案」「悪魔の法案」です。だから絶対に、この法律を成立させたらいけないのです。


いかがだろうか。中学3年生はもとより、どなたにでもご理解いただけるのではないかと思う。
「わかりにくい政治」も、このくらいの言い回しをしてくれると助かるのだが・・・。
お読みいただいた方、内容に不備や間違いがあればぜひご指摘の上ご指導くださいますよう。
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安全保障関連法案とは 2

2015-06-02 18:36:24 | 戦争法案とは?(基本編)
では、その【安全保障関連法案】とやら、どんな内容なのか、どんなことを可能にしようとしているのか。そして問題点を以下、ざっくりと。

●自衛隊が米軍その他の外国軍隊と共に武力を行使することを可能にする。
どんなとき
 
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」が生じたとき。(存立危機事態)
 
だが、存立危機事態という概念自体が不明確であって、時の政府の判断次第で自衛隊の海外派遣が行われることになりかねなず、我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず武力を行使することは、そもそも個別的自衛権の範囲を超えた武力行使を禁じている憲法9条に違反する。

●我が国周辺の地域のみならず、世界中のどこでも、「現に戦闘行為を行っている現場ではない場所」においてなら、自衛隊が米軍その他の外国軍隊に対して後方支援として弾薬の提供や兵員の輸送、戦闘機等への給油・整備等を行うこと(いわゆる兵站(へいたん)活動)を可能にする。
どんなとき
 
「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)が生じたとき。
政府は「重要な影響を与える事態」について「武力紛争が発生または差し迫っている場合、我が国に戦禍が及ぶ可能性から判断する」としていて、「経済的な影響だけでは重要影響事態に該当しない」と付け加えているが、「ホルムズ海峡が封鎖された際の機雷掃海」は例外としている。
 
だが、重要影響事態という概念自体が不明確であり、そもそも地理的制約を取っ払って、世界各地で米軍などへの支援を可能とする内容となっており、また、兵站なくしての継続的な戦闘行為はあり得ないわけで、自衛隊と他国軍隊が行う武力行使の一体化は避けられない。これも明らかな憲法9条違反である。

●上記に限らず、自衛隊が戦争を遂行する他国の軍隊に対して弾薬の提供や兵員の輸送、戦闘機等への給油・整備等の後方支援活動を行うことを可能にする。
どんなとき
 
「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの」(国際平和共同対処事態)が生じたとき。
 
だが、我が国の平和と安全への影響すら要件としないで自衛隊の海外派遣が可能になるという問題があり、これも自衛隊の後方支援と他国軍隊が行う武力行使との一体化が避けられず、海外での武力行使に道を開くものとして、立派な憲法違反となる。

●後方支援における自衛隊の活動場所を、イラク特措法に定められていた『非戦闘地域』に限定せず、『現に戦闘が行われていない地域』とする。
 
だが、活動する時に、「弾丸が飛び交っていなければいい」という理屈にもなり、例えば昼間は戦闘になるが夜間はなかったり、敵対武装勢力が潜伏しているが実際には戦闘中でないとなれば活動可能ということにも。『戦闘が始まればその場から撤退する』と言うが、現実には不可能。子供でも解る。

●国連平和維持活動(PKO)の他に、国連が統括しない有志連合等による「国際連携平和安全活動」にも自衛隊の参加を認め、活動内容としても従来その危険性の故に禁止されてきた「安全確保業務」や「駆け付け警護」を行うこと、及びそれに伴う任務遂行のための武器使用を認める。
 
だが、国際的な「平和維持活動」、「平和協力活動」とされるあらゆる活動に自衛隊が参加できるようになり(「ISAF=国際治安支援部隊」など)、日本が他国の紛争に巻き込まれる危険が大きい。更に、任務遂行のための武器使用は、武装勢力等との交戦状態、武力紛争へと発展していく可能性が非常に高まる。これも紛れもなく憲法9条違反。

●国際貢献のための後方支援については、新法の「国際平和支援法」を「恒久法」として整備する。従来のようにそのつど特別措置法を作らなくてもよくなり、自衛隊を必要に応じて迅速に派遣できる。
 
だが、自衛隊の海外活動が無制限に広がって世界各地の武力紛争に巻き込まれる可能性が非常に高まる。

●その他、在外邦人救出等の活動が新たに自衛隊の任務として認められ、武力攻撃に至らない侵害への対処として、新たに他国軍隊の武器等の防護を自衛官の権限として認める。
 
これも戦闘行為に発展する可能性を大いに含んでいる。



ええっ!! そ、そんなことして良いんかい!? そんなことやっちゃって良いんかい!? と思うが、【安全保障関連法案】にはこれらを可能とする法案がしっかりと盛り込まれているのである。

とにかく、今回の法案で大きな焦点になっているのは「集団的自衛権の行使」についてである。
集団的自衛権の行使というのは、たとえ自分の国が攻撃されていなくても、同盟国などへの攻撃に対して反撃が可能になることを意味する。
言わば、わざわざ出掛けて行って戦争の片棒を担ぐ、ということにほかならない。
過日、日本共産党の志位委員長が衆議院の本会議で「アメリカが先制攻撃の戦争を行った場合でも、集団的自衛権を発動するのか」と質したのに対し、安倍首相はそれをはっきりと否定せず、「個別具体的に判断する」と言うにとどめた。先制攻撃というのは、国際法違反の「侵略行為」に該当する。

厳重な歯止め?

政府は、出動を命じる際には緊急の場合を除いて、事前に国会承認を得ることを義務づけているとしている。更に、あくまでも日本の防衛を目的とした、限定的な集団的自衛権の行使だと説明しているが、そんなもん、一度既成事実を作ってしまえば後はなし崩しだろうと考えるのは私の間違いだろうか。今の状況なら、“都合の良い解釈”がいくらでもできてしまうように思えるが、いかがなものだろう。

法案を読めば、どうとでも解釈ができる曖昧な表現が羅列され、しかも時々の状況に委ね、政府判断に拠るなどとして流動的であり、明確な基準や規定も示されていない。
国会審議において、定義や解釈をめぐっては与党内でさえ見解が異なるなど、迷走が続いているではないか。

それでも与党は、曖昧なまま、堂々巡りのまま、有耶無耶にしたまま法案を通してしまおうというハラなのだろうが、この法案が可決、成立してしまえば、確実に日本が再び戦争への道を辿ることになるだろう。

戦後、日本では直接的な戦死者も出ず、武器の使用も行ってこなかった。それが一転、日本人が「殺し、殺される」状況になりかねないのだ。
戦争こそが最大の人権侵害であって、この法案は危険極まりないと言わざるを得ない。


コメント

安全保障関連法案とは 1

2015-06-02 06:36:50 | 戦争法案とは?(基本編)
だいたい、そもそも、今国会で審議が行われている【安全保障関連法案】(「安保法案」、「安保法制」とも)って何?

問題になっているのは分かっていても、「説明不足 81.4%」が示すように、意外に漠然としか捉えていない人は多いのではないだろうか。実は私もつい数ヶ月前までよく分からなかった。

では改めて、基本的なところを。

まずは内閣官房のホームページの『平和安全法制等の整備について』に、ほぼその全容が“つまびらかに”載っている。

以下、表面的にその概略を箇条書きで。

《1》
政府側のネーミングは『平和安全法制』。
ニュースなどの報道では「安保法案」、「安保法制」、「安全保障関連法案」などと呼んでいる。
「戦争法案」としたのは、その性質から、おそらくは最初に日本共産党が言い出した名称である。
まさに平和とは縁もゆかりもない「戦争法案」、「悪魔の法案」そのものであるが、報道記事などにおいて当法案の呼称の統一性がないのでまず迷う。

《2》
この「安全保障関連法案」は、既存の法律の一部改正案10本を束ねたものと、新規制定の法律案1本を合わせたパッケージとなっている。

《3》
そしてその中身は
平和安全法制整備法:我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律整備法
として、以下10本の法律案
自衛隊法(自衛隊法の一部改正)
国際平和協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正)
周辺事態安全確保法(重要影響事態安全確保法に変更/周辺事態または重要影響事態等に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一部改正)
船舶検査活動法(周辺事態または重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部改正)
事態対処法(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の一部改正)
米軍行動関連措置法(米軍等行動関連措置法に変更/武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律の一部改正)
特定公共施設利用法(武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律の一部改正)
海上輸送規制法(武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律の一部改正)
捕虜取扱い法(武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律の一部改正)
国家安全保障会議設置法(国家安全保障会議設置法の一部改正)
・・・が束ねられ、加えて、新規制定の法律案
国際平和支援法:国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律
を併せた11法案から成る。「安全保障関連法案」はこれらを纏めた総称である。

《4》
その内容については、ここで掲示していたら大変なことになるので、当該内閣官房HPの『平和安全法制等の整備について』をご参照いただきたい。(いずれもPDFファイル)

それぞれのボリュームは、
「平和安全法制」の全体概要=18ページ
その中の
「平和安全法制整備法:我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」
案文=88ページ、新旧対照表=133ページ、参照条文=151ページ、要綱=21ページ
「国際平和支援法:国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」
案文=20ページ、参照条文=3ページ、要綱=17ページ
である。

まぁ私も含め、一般の人達はこれらを全て読む気にはなれないだろうが、取り敢えず「全体概要」や「要綱」に目を通せば、その骨子は掴めるかもしれない。

ついでながら、こちらのサイトで新規制定の「国際平和支援法」についての解り易い解説(ずっと下にスクロール)もあるので参考に。

《5》
この法案が閣議決定されるに至っては、これ以前に集団的自衛権行使の根拠となる「国家安全保障基本法案」なるものがあった。

2012年7月6日の自民党総務会でその概要が決定されたもので、前参院選で自民党が公約に掲げていたものであるが、しかし、これをきっちりやるとなるとその手続きを含めてえらく時間が掛かる。そこで、こいつを先送りにして、まずは関連法だけを一気に通しちまえ、とねじ込んできたのが本法案だ。
公約を反故にし、膳は急げ? いや、悪は急げ! とばかりの暴挙に出たわけである。



しかし、既に混乱を招いているように、例えこの道の専門家が時間と労力を費やして読み込んでみたところで、その内容を掴み、果たしてどこまで理解が及ぶか甚だ疑問である。
現に、担当大臣ですら説明困難に陥っている。
今国会でこれら法案の一つひとつを検討し、精査、吟味するのは並大抵なことではなく、土台無茶苦茶な話である。
まぁその辺りも安倍政府の策略であって、無理が通れば道理引っ込むとばかり、時間切れ強行採決が最初からの狙いであることは明白だ。

『安保法案 官邸が想定する強行採決タイムリミットは6月19日』(週刊ポスト2015年6月12日号)

予断を許さない。
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