ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『シルヴィア』 2012年10月27日(土)

2012年10月28日 | Weblog

東京のNさんより新シーズンが始まり、
新国立劇場バレエ団『シルヴィア』日本初演をご覧になったとのことで

早速寄稿頂きました。

「現代と古代ギリシャを行き来する
大人の不思議なファンタジー作品でした。」

とのこと。


今シーズンもNさん寄稿どうぞ宜しくお願いいたします。

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新国立劇場バレエ団『シルヴィア』

庭師/エロス:吉本泰久

伯爵夫人/ダイアナ:湯川麻美子

伯爵/オライオン:古川和則

家庭教師/シルヴィア:小野絢子

召使い/アミンタ:福岡雄大

ゴグ:福田圭吾

マゴグ:八幡顕光

ネプチューン:細田千晶

マーズ:長田佳世

アポロ:さいとう美帆

ジュピター:寺田亜沙子
2012年/2013シーズン新国立劇場バレエ団開幕作品
ビントレー版『シルヴィア』日本初演の初日に足を運んだ。
現代と古代を行き来する少し変わった大人のファンタジー作品であった。
(日本初演の初日ですので詳しい感想は控えめに)

シルヴィアは小野絢子さん、
現代での慎ましい家庭教師から古代での大胆なシルヴィアへの変貌が見事であった。
空気を裂くような鋭い脚捌きも巧みで
ニンフである身に潜むシルヴィアの奔放さを発散しているかのようだった。
森の好色な住人であるオライオンに誘拐された後
誘惑する場面においてはほぼ独壇場で複雑なテクニック満載の振付をこなし、
拍手喝采、

福岡さんのアミンタも冴え渡るテクニックが光り、
会場が大いに盛り上がった。
現代ではエプロンがよく似合うやや地味な給仕だが
古代では冒険に繰り出す逞しい若者へと成長し、
頼もしい魅力に溢れていた。

ハイライトはグラン・パ・ド・ドゥ、
ガラなどで鑑賞する振付とは大分異なり
斬新なステップがあちこちに散りばめられている。
特にアミンタの回転は足がどうなっているのか
目で追えないほど不思議な技も盛り込まれ
会場の熱気が瞬く間に渦巻いた。

ダイアナの湯川さんも存在感抜群、
強くワイルドで美しい女神であった。
現代では貫禄ある美貌の夫人、
古代でのダイアナでは兜がこんなにも似合う女性が
他にいるだろうかと思えるほどで、
ニンフや兵士も、従順するしかないであろう。

オライオンは古川さん、
現代ではスーツを着こなすやや浮気気味な伯爵で
古代では土埃を被った野性味たっぷりな森の住人、
強面ながらシルヴィアに興味津々な様子は少し滑稽で
そこがまた魅力であった。

古川さんも熱演だったが、
怪我で降板された山本さんでも鑑賞したかったという思いは拭えない。
シルヴィアをいかにして荒っぽく誘拐し、
そして誘惑に落ちていくのか、
スーツ姿も、ターザンのようなワイルドな衣装も
好色ぶりもきっと似合うはず。
力強さと色気があり、むしろ誘拐して欲しいと願いたくなる
オライオンになるのではと想像できる。
次回の公演時には観られること願いたい。

舞台装置転換迫力も見所で、
立体型の大掛かりな装置が多く、観る者をわくわくとさせてくれた。
女性陣の勇壮な踊りにも注目、
古代ギリシャ神話の世界に誘ってくれる。

明日は米沢唯さん、菅野英男さんペアの登場だ。
劇場ホームページの動画でも公開されているが
恐るべきテクニシャンな2人の競演が楽しみである。



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