ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『ジゼル』2013年2月23日(土)

2013年02月25日 | Weblog

Nさんより国立劇場バレエ団『ジゼル』23日(土)分の寄稿頂きました。

ドラマチックな世界を作り上げていて1日だけでは勿体ない舞台だったとのこと。

写真はジゼル役米沢唯さん。

  
新国立劇場バレエ団『ジゼル』2013年2月23日(土)
 
ジゼル:米沢 唯
アルベルト:厚地康雄
ミルタ:厚木三杏
ハンス:輪島拓也
クールランド公爵:貝川鐵夫
バチルド:湯川麻美子
村人のパ・ド・ドゥ:細田千晶 奥村康祐
ドゥ・ウィリ:細田千晶、寺田亜沙子

アルベルトは厚地康雄さん、
貴公子らしい美しさは勿論のこと、
内気なジゼルの心を解きほぐして喜びの感情を引き出し、
ジゼルへの熱い思いが手に取るように伝ってきた。
最後は涙ながらにミルタに許しを乞い、
ジゼルへの断ち切れぬ思いが全身から表れて熱演、
渾身のアルベルトであった。

昨年12月のシンデレラでも組んだお2人、
宮殿に到着してもまだぽわんとした表情のシンデレラに
王子は優しく手を差し伸べ、不安感を与えないよう
ゆっくりと手をとって目を合わせて
彼女がようやく心を開きかけたところで踊りに誘うという
まさに王道の少女漫画の世界を体現し
素敵なペアであると感じただけにジゼルも期待大だったが
もう1回観たいと思わせる素晴らしい舞台であった。

ミルタは厚木三杏さん、美しさと氷のような冷たさを備え
本当に浮遊しているかのような
重さを全く感じさせない踊りに魅了された。
 
ハンスの輪島さんも良い味を出していた。
力強くジゼル一直線、
アルベルトの正体をいかにして突き止めるか模索する心の動きも
丁寧に表現していた。
他日務めていらした、困った坊ちゃんに手を焼く
従者ウィルフリードも似合い、幅広く大活躍である。

ペザントの細田千晶さんと奥村康祐さんも好演、
楚々としながらもしっかりとした踊りの細田さんと
見せ方を心得た踊りで会場を沸かせた奥村さん、
晴れやかな爽やかさに満ちたパ・ド・ドゥであった。
そして忘れてはならない群舞の美しさについて、
ウィリ達は役柄上無表情であるが
結婚前に命を落とした無垢な乙女達の
悲哀や切なさが漂い、みるみるうちに引き込まれる。
心震えずにはいられない場面だ。
近年はコンテンポラリーも増えているものの
統制のとれた群舞のレベルは非常に高く、新国立の誇りである。
 
ジゼルは本日最終日を迎え、
次回公演は3月のDance to the Future、
金森譲さん、中村恩恵さん振付作品に新国立のダンサーが挑む。
研ぎ澄まされた美しい舞台になると期待、
今から楽しみである。


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2 コメント

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素晴らしい (バレエファン)
2013-03-02 10:16:37
管理人さん、Nさん
何時もNさんの新国立劇場バレエ団の
詳細な寄稿を楽しみに拝見しています。
今回もジゼルを日本と海外のペアの踊りを
くっきりと浮かび上がらせる観劇記
ありがとうございました。
返信する
ありがとうございました (管理人)
2013-03-06 21:39:20
バレエファンさん
何時もコメントありがとうございます。
返事遅れ申し訳ありません。
今後共コメント宜しくお願いします。
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