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2017.2.21 Newsモーニングサテライト

2017年02月21日 13時10分18秒 | MS
■マーケット

NY株 今週は個人消費の動向も注目
20日はプレジデントデーの祝日でNY市場は休場でした。NY株は今月に入って急上昇していただけに、一休みにはいいタイミングかもしれません。減税策への期待もあり今月のダウは先週末までで3.8%の上昇。去年11月の5%以上には届かないものの、12月の上昇率は上回りました。今週はメーシーズやウォルマートなど大手小売りの決算が予定され、個人消費の動向が材料の一つになりそうです。また次回の利上げ時期の思惑にからんでFOMCの議事要旨の中身も投資家の関心を集めています。ヨーロッパ市場の株価終値は高安まちまちでした。フランスでは極右政党のルペン氏の支持が若干伸びたとの世論調査なども気にされ株価はマイナスに転じました。

【為替見通し】注目ポイントは「5月連休明けに円安加速へ」
解説は野村証券の池田雄之輔氏

--まずはこれまでの動きを振り返っていかがでしょうか。

昨日はアメリカが休場で、ヨーロッパに関する政治関連の悪いニュースもなく、動きの小さい一日でした。

--今日の予想レンジは、112.50~114.00円です。

2月28日と予想されるトランプ大統領の施政方針演説までは、市場の様子見状態が続くと考えています。

--注目ポイントは「5月連休明けに円安加速へ」です。

(フリップ:6月までの注目イベント)
今後の注目イベントを見ますと、目先はドルの上値を抑えそうな材料があるんですが、その後は円安につながりそうなイベントが並んでいます。

《6月までの注目イベント》
2月28日 米施政方針演説
3月15日 米FOMC
4月23日 フランス大統領選挙第1回投票
5月 7日 フランス大統領選挙決選投票
6月14日 米国FOMC

トランプ大統領の施政方針演説は、減税案など具体策に乏しいとみられ、いったんはドル安の材料になりえます。またフランス大統領選も5月の決選投票までは、極右のルペン氏への警戒感から1ドル110円を割り込むということもあり得ると見ています。しかし最終的には反ルペン勢力が結集して、いわゆるルペンリスクは回避されるとみています。その結果、消去法的な円買いの巻き戻しによって円安が進みやすいと想定しています。

--そしてFOMCについては、3月利上げの可能性も意識されていますよね。

そうですね。イエレン議長は3月FMOCでの利上げの可能性に、一応、言及したんですけれども、これはタカ派メンバーがFOMCにも結構いますので、それに対する配慮であって、実際は見送り予想しています。一方、6月のFMOCは利上げが濃厚で、しかも年内3回の利上げを強く示唆する可能性があります。ルペンリスクの回避、そしてFOMCの利上げ姿勢が強まるという組み合わせで、6月末までに1ドル120円という展開を想定しています。

【日本株見通し】注目ポイントは「日経平均の上値余地」
解説はニッセイ基礎研究所の井出真吾氏
 
--今日の予想レンジは、19200~19300円と、レンジを狭くとっていますね。

そうですね。大阪取引所の日経平均先物、為替相場ともにほとんど動いていませんので、昨日の終値近辺からスタートしそうですね。今週は材料らしい材料がないので、トランプ大統領のツイート待ちみたいな状況になってまして、そういう意味で為替相場が動かいない限り、静かな1日になると思っています。

--注目ポイントは「日経平均の上値余地」です。

(フリップ1:業務改善は鮮明)
先週、3月決算企業の第3四半期決算が出そろって、業績の改善が鮮明なんですね。17年3月期純利益の通期予想は中間決算時点で、前期比2.2%増だったんですけれども、直近では5.9%増まで急上昇しました。

(フリップ2:まだ実勢より円高を想定)
背景にあるのが円安でして、中間決算の時には、最も多くの企業が1ドル100円~105円を想定していたんですけれども、直近では105円~110円に見直した企業が目立ちます。ただそれでも現時点でほとんどの企業が、実勢の113円よりも円高を想定していますので、期末にもう一度円安ボーナスがもらえると思ってます。

--ただこのところ日経平均はまだ上値が重い展開が続いていませんか。

はい、そうなんですね。株価は業績の上振れをすでに織り込み済みだったので、上値が重くなっているんですけれども、期末の段階で円安による業績のさらなる上振れ、それから来期の増益、これが確認できるようになると、株価は2万円に近づく可能性が高いと見ています。

 
【プロの眼】米国 金融規制緩和の行方
詳細は今後判明するが、2月3日に署名された金融規制に関する大統領令を見ると、貸し出し低調なアメリカの中小金融機関にメリットがあると考えられる。また、国際的な金融規制を決める場でもしアメリカが規制緩和を主張し、それが認められることがあるとするなら、日本の銀行にもメリットがあると見る。解説はマネックス証券大槻奈那氏
 
--トランプ大統領の大統領令を受け、アメリカの金融規制改革がいよいよ動き出しますが、詳細はこれからになるんですけれども、どういった影響が出てくるんでしょうか。まずどういった内容でしょうか。

「大統領令のほうが既にでまして、それを見ていくといくつかポイントがありまして、コチラにありますように、(1)効率的な規制とか、それから(2)金融救済には税金を使わない、それから(3)国際的な場でもアメリカの国益を主張というのが出ています。

フリップ1:金融規制緩和の大統領令要旨)
(1) 効率的、効果的、適切な規制
(2) 金融救済に税金使わず
(3) 国際的な規制交渉で国益を主張

--これは中身は6月初旬までにムニューチン財務長官が案を取りまとめるということで、これからとなりますけれども、具体的にどういった恩恵が金融機関にあると思われますか。

「1つ目の(1)「効率的、効果的、適切な規制」というところなんですけrども、これは中堅・中小金融機関にメリットが大きいと思っているんですね。具体的に言うと、いまストレステストを毎年アメリカはやっていますが、ヨーロッパより厳しいと言われてまして、いま中小企業向けの金融というのが意外と伸びていないんですね。」

--こちらを見ていきましょうか。小規模な融資が伸びていないというのが問題なんですね。

(フリップ2:米、伸び悩む小規模融資)
はい、そうですね、100万ドル以下(1億円ちょっとぐらい以下)というところは商工業融資全体(赤色のグラフ)がこんなに伸びていて、直近だと8%ぐらい伸びているのに、(小規模融資:青色のグラフは)ほぼ横ばいなんですね。これはやはり中小企業に対して規制が1つ悪さをしているんじゃないかと言われています。なので既に1月30日(大統領令より先なんですが)、さっき申し上げたストレステストを一部緩和するという話がもう決まってます。ただそれに加えて、地銀の団体のほうから、一部の資本規制の緩和と手数料の規制(上限規制とかがあるので)、それを免除してくれという説も出ていまして、既にこれについては、先ほどのストレステストは三菱UFJのアメリカ現法なども含めて緩和が決まってるんですね。なのでさらにいろいろな緩和というのは有り得ると思います。

--既にそういった動きを株価も織り込む形で動いているということですね。そして中小企業へのメリットはあるけれども、次の項目(2)「金融救済に税金使わず」は・・・?。

「これはやはり大規模な金融機関に対しては厳しいと思います。前回の金融危機の時にやはり大規模金融機関というのは税金を使っちゃってますから、そこを規制を緩和していくというのはなかなかハードルが高いと思います。」

--そうですよね。そして日本の金融機関に影響があると思われるのは、(3)「国際的な規制交渉で国益を主張」ですね。

「はい、そうですね。先ほどの再編のニュースでもありました通り、いま規制ってまだ国際的には強化の方向に動いてまして、一番大物がちょっと残っちゃっているんですね。それが近々ディスカッションが本格化すると言われていまして、それがもしも本当に厳しくなると、日本の銀行も結構厳しいんですね。それはもしもアメリカのほうも緩和の方向に一緒に主張してくれるのであれば、日本の金融機関に対してもプラスということになると思うんですよね。

--アメリカ国内の規制だけではなくて、世界的な金融規制を一緒に緩和しようよ、と言ってくれるかどうか。

「緩和の方向で、国益をちゃんと主張するかどうかですね。」

--それはBIS規制のことですよね。ただ日本って意外と健全だと言われませんか。

「そうなんですが、資本の面につきましては、そうでもないんですね。国際的な大規模金融機関で比べると、資本比率は高い方では必ずしもないんですね。企業が健全だから不良債権が低いと・・・。」

--そういったところにアメリカがどういうふうに関与してくるのか。

「アメリカは実は先ほどのストレステストとかをやっている関係で、資本比率は実は高いので、であればそんなに緩和をしないで他の国の金融機関が厳しいので、あまり貸し出しができない方が、ひょっとしたらアメリカの銀行には有利かもしれないということです。」

--アメリカの競争力のほうが有利になるか。案外そういうふうに世界的に緩和しようよ、とは言わないかもしれないと・・・。

「非常に難しいポリティカルゲームになってくるかもしれないと思います。」

--詳細は6月頃ということですね。
 

■【特集】中国“本物はどっちだ!?”「大江戸温泉」騒動
日本を訪れる中国人観光客にも人気のある入浴施設「大江戸温泉物語」を巡ってある騒動が勃発しています。その騒動の真相を取材しました。

中国最大の都市、上海。去年暮れ、新たに日本の入浴施設が上陸したと聞き、現場へ。そこにあったのは日本でも人気の温浴施設「大江戸温泉物語」。さっそく中に入ってみると、エントランスではくまモンがお出迎え、入場ゲート付近のスタッフは日本語で挨拶、受け付けも中国語ではなくカタカナ。客が好みの浴衣に着替えるのも、日本と同じシステムです。風呂での注意点を教えてくれる案内板は、キャラクターだけではなく、文字のフォントまで、東京にある大江戸温泉を忠実に再現。ホームページでは「日本No.1の大江戸温泉が上海にやってきた」とPR。しかしオープン翌日、本家の日本の大江戸温泉のホームページでは「弊社は海外のいかなる企業とも資本、業務提携を行っておりません」と上海の施設との関係を全面否定。一体どういうことなのでしょうか。

上海の温泉を運営するのは、江泉酒店管理という会社。詳しい経緯を聞こうと電話してみると「日本の大江戸温泉が我々にブランドの使用権を与えた。日本側の発表に我々も驚いている。」と正当な権利があると強く主張する。さらにブランド使用権の証拠だという日本語で書かれた公認証明書まで公開。そこには日本の大江戸温泉の社長の名前が記され、印鑑らしきものまで押印されている。一体どうなっているのでしょうか。

より詳しい情報を手に入れるため、中国企業を管轄する政府機関、上海市静香安区の市場監督管理局に向かいました。するとそこである意外な事実が分かりました。運営会社の登記簿を入手すると、代表取締役として日本の大江戸温泉の森田社長の自筆のようなサインが記されている。

中国ではよくあることなのでしょうか。弁護士に聞きました。
Q.氏名の無断使用、偽造はあるか。
《賈暁海弁護士》 「全くないとは言えない。」

森田社長本人が経営に関与していたのか。それともサインは偽造されたものなのか。真偽を確かめるべく、運営会社の江泉ホテルの事務所の住所を訪ねましたが、そこには事務所はなく、取材を続けると、別の住所を入手し、行き着いたのが上海大学のビルの6階、IT企業の看板があったが、そこで江泉ホテルの社長を発見した。騒動の真相を直撃した。一方で、日本の「大江戸温泉」の森田社長にも単独取材した。
 
【中国“本物はどっちだ!?”「大江戸温泉」騒動】

運営する上海大江戸温泉運営会社の「江泉ホテル管理」の柴国強社長。
「今は答えられない。大江戸温泉に関して取材したいんでしょう?。今こっちは彼ら(日本側)と連絡しているところだ。」
Q.登記簿のサインは日本の森田社長のものですか。
「見れば分かるでしょう。あなたたちも法律を知っているでしょう。自分で調べてみなさい。」
多くを語らず去ってしまった「江泉ホテル管理」の柴国強社長。しかしその直後、別のスタッフが出てきて詳しい説明を始めました。
《「江泉ホテル管理」のスタッフ》
「我々はいま日本側と交渉している」
Q.交渉相手は日本の大江戸温泉ですか。
「もちろんそうだよ。」
Q.日本のお台場の大江戸?
「そうだよ。そう。我々は今交渉している。。コチラには全てが揃っている。公認証明書を公表したら、(日本側が)交渉したいと言ってきた。」
今になって日本側が交渉を求めてきているという。
「向こうは自分のミスを認めるか、もしかしたら認めないかもしれない。それなら我々はもっと多くの証拠を出して証明するだけだ。」
あくまで強気を貫く中国側。そのワケとは、上海の大江戸温泉を運営する江泉がすでに去年7月に「台場大江戸」という商標の登録申請をしています。江泉ホテル管理は、オープンを前に中国国内で使用できる商標をすでに申請、足場固めを着々とを進めていました。

今月7日、東京都内、日本側は今回の件に関係があったのでしょうか。江泉ホテル管理の登記簿に記されたサインは、日本の大江戸温泉物語の森田社長本人のものなのでしょうか。森田所長に直接話を聞いてみると、「お答えできません」と明言を避け車で走り去った。何故こうした問題が起きるのでしょうか。専門家は第三者が関与している可能性を指摘します。

《拓殖大学海外事情研究所/富坂聰氏》
「日本社会のもっているサービスの力というのは中国での評価は非常に高いので、実は中国国内でライバルを蹴落とすために、日本との正式な契約、委託を受けている看板を欲しがるところが多い。仲介者が両方に良い返事をしてしまうということで、日本側には『まだまだ決まっていないから』と言って、中国側は『もうほとんど大丈夫だよ』と言ってしまう。ここまで進めてしまったらもう後には引けないという形で、中国側が走ってしまうことはありがちかなと思いますね。」

単なるパクリではなくなりつつある中国ビジネス。新たなチャイナリスクが日本企業に警鐘を鳴らしています。


■日経朝特急

海外人材サービス業へ
内閣府は訪日客の急増に対応するため、通訳や調理師などサービス業に携わる外国人が、国家戦略特区で働きやすいようにする。専門性がある職種でも在留資格の取得条件は厳しくなっているのが現状だが、特区ごとに対象とする職種を絞り込み、実務経験や学歴などの条件を緩める。地域のニーズに応じた外国人の就労を促し、訪日客の受け入れ態勢の充実につなげる。


地銀、系列超え再編
関西の系列地銀3校を統合。三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングスが、系列を超えた傘下地銀の再編に動き出した。三井住友フィナンシャル系の関西アーバン銀行とみなと銀行、りそなホールディングス傘下の近畿大阪銀行、これら3行を経営統合する方向で最終調整に入っている。人口減などの構造問題に、日銀のマイナス金利政策が追い打ちをかけ、地銀の経営環境は厳しさを増している。

・ 地銀、系列超え再編、三井住友・りそな系統合

--大槻さん、この動きはどう評価されますか。

「びっくりしましたけれども、非常にいい方向だと思ってるんですね。2つありまして、1つは、そういう地域金融機関が集中して効率化を進めて、各地元の金融をうまく回す。もう1つは、三井住友フィナンシャルグループは、既に国際的な大規模金融機関ですから、その分、資本規制というのはもう縛りが厳しいんですね。それを軽量化するということのプラス。そういったプラスが2つあるといういい方向じゃないでしょうか。」

--メガバンクがこういった、グループの垣根を超えて地銀を切り離すという動きはこれからも・・・。

「あり得ると思います。いろいろな形がこれから選択肢として出てくるんじゃないでしょうか。」


素材の値上げの波
資源価格上昇と円安基調の進展で、製紙大手の日本製紙は主力製品の印刷用紙について、4月からの流通価格引き上げを決めた。鋼材や樹脂メーカーにも値上げを打ち出す動きが相次ぐ。値上げの浸透が進めば、国内の物価動向にも影響を及ぼしそうだ。新日本住金、日本ポリエチレン、PSジャパンなども値上げの方向だ。


貿易不均衡是正の兆し
財務省がきのう発表した1月の貿易統計速報で、アメリカからのシェールガスに由来するLNGの輸入が初めて計上され、対米の輸入額が1年前に比べて11.9%増と大幅に増えた。一方で、輸出は自動車が振るわず減少。対米黒字は26.6%減った。


味の素、月1万円賃上げ
味の素が4月から月1万円のベースアップ。働き方改革の推進で、減った残業代を補てんする意味合いがある。残業代は固定給化していた面があり、減少が社員の働く意欲の減退につながらないようにする。また1日当たりの所定労働時間を7時間とする目標を2020年度から2018年度に2年、前倒しして設定した。


■日刊モーサテジャーナル

プレジデントデー、国境の町は“反トランプ”(ワシントンポスト)
一面に掲載しているのは、南部テキサス州にあるメキシコとの国境の町で、メキシコ人の少女とアメリカ人の少年が抱き合う様子。プレジデントデーを前に開かれた初代大統領ワシントンの生誕120周年を祝う毎年恒例のイベントの模様だ。例年、両国の友好を確かめ合う威年とになっているが、今年は一変。記事は、「反トランプ大統領で一致団結している」、と報じている。メキシコとの関係が深いこの国境の町ラレドでは、記事によると、トランプ大統領誕生後、メキシコから来る人の数が減っていて、小売店やレストランの売り上げも減少しているという。


“トランプ熱”、ロシアで冷める(ワシントンポスト)
トランプ大統領とロシアのプーチン大統領の肖像画の前でスマートフォンを操作している女性たちは、アメリカ人ではなくロシア人だ。トランプ大統領がロシアに融和的な姿勢を見せてきたことから、ロシアでもトランプ大統領の熱狂的なファンが多いと言われているが、最近はその熱が冷めているという。記事は、「ロシアでもトランプ大統領については連日報道されてきたが、先週に入ってパタリと消えた」、と指摘。背景には、「親ロシアのフリン氏が更迭された」ほか、「トランプ大統領が“クリミアは奪われた”と述べる」など、ロシアへの風当たりが強くなっていることがある、と分析している。ロシアの国営メディアでは、上層部が、「トランプ大統領に関しては、もう報道するな」、と支持を出した模様。米ロ関係が劇的変化の見込みなくなったことから、ロシア側はしばらく静観する姿勢だ。


米低所得者向け自動車ローン、GPSが議論に(ニューヨークタイムズ)
米国の自動車ディーラーや金融業者は、低所得者にローンを融資する条件として車にGPSを装着、車の所在確認がその目的だが、これがプライバシー侵害に当たるかどうかで論争になっている。記事によると、「現在の制度で自動車ディーラーなどは低所得者層にローンを貸し出す際にGPSを付けることが可能で、支払いが滞っても、駐車場所を特定して車を回収できるほか、遠隔操作で車の移動を阻止できるという。ただ実際に支払いを滞納した低所得者からは、急に車が使えなくなり、治安の悪い地域に取り残されたと言った不満が出ているほか、買い物した店や病院といった個人情報までも特定される恐れがあるという懸念の声も聞かれるという。

・ 「米低所得者向け自動車ローン、GPSが議論に」について

--難しいですね。企業としてはリスク管理という面がありますからね。

《マネックス証券/大槻奈那氏》
「AIが活発になってくれば、やはりいろんな審査のシステムが出てきますから、それが進めば進むほど、やはりこういうプライバシーの問題というのは出てくるんじゃないでしょうかね。」


■今日の予定

1月全国百貨店売上高
1月全国スーパー売上高
EU財務省会合
米2月製造業PMI
米決算(ウォルマート、ホーム・デポ)
 

■ニュース

EU財務相会合 ギリシャ再建策めぐり 来週協議再開で合意
ギリシャが再び危機の火種となるのでしょうか。EU=ヨーロッパ連合は20日に開いた財務相会合で、ギリシャの再建策をめぐる協議を来週再開することで合意しました。7月に72億ユーロ=およそ8,640億円の債務返済を控えるギリシャにとってEUやIMF=国際通貨基金による追加の救済は不可欠ですが、財政緊縮策をめぐって双方の間の溝は深く、来週から再開する交渉でどこまで歩み寄れるか不透明です。ギリシャの債務削減についてIMFはより大胆な削減を求めていて、交渉は予断を許さない状況が続きます。
 

米ペンス副大統領 EUとの協力関係維持を強調
ヨーロッパを歴訪中のアメリカのペンス副大統領は20日、トランプ政権として今後も、EUとの協力関係を維持する方針を強調しました。
(ペンス副大統領) 「トランプ大統領に代わり、EUとの継続的協力や協調についてアメリカとして強力に関与していくことを表明する」
ペンス副大統領は、このように述べ、トランプ大統領がイギリスのEU離脱を支持する姿勢を示すことなどで生じているアメリカに対するEU側の不信感の払拭に努めました。これに対し会談したEUのトゥスク大統領は、「これまで同様、ヨーロッパ統合に対する無条件の支援を当てにしている」と述べました。
 

クリーブランド連銀総裁 政治圧力けん制
クリーブランド連銀のメスター総裁は20日、シンガポールで講演し、「政治的影響力によって、金融政策の独立性が制限されることは、国家に莫大な損害を与える」と述べ、共和党が進めるFRB=連邦準備制度理事会への監査強化の動きを強くけん制しました。また、FRBが短期的な政治的影響から独立し、金融政策の説明責任を果たすことができれば、より良い経済的な成果が得られると訴えました。一方、利上げについては、「アメリカ経済が今まで通りの状況であれば、今利上げをすることに不安はない」と述べました。
 

ドイツで住宅価格高騰の懸念
ドイツ連邦銀行は20日に公表した2月の月報の中で、ドイツの大都市圏の住宅価格が15%から30%程度過大評価されていると警鐘を鳴らしました。「ドイツ経済は今後、力強さを維持する見込みであるものの、住宅価格の高騰はこうした景気の力強さだけでは説明できない」としています。
 

金正男氏殺害事件 北朝鮮大使「マレーシア捜査信用できない」
北朝鮮の金正男氏が殺害された事件をめぐり、マレーシアに駐在している北朝鮮の大使が、マレーシア側の捜査を信用できないと批判しました。(北朝鮮・康哲大使)「死因に関する明確な証拠があがっていない。我々はマレーシア警察による調査を信頼できない」また、康哲大使は死亡したのは金正男氏ではないと主張したうえで、遺体の引き渡しを拒否しているマレーシア政府に対し、遺体の即時引き渡しを要求しました。一方、マレーシア外務省は北朝鮮側の非難は「根拠がない」とし、北朝鮮にいる大使を召還すると発表しています。今回の事件で、北朝鮮と友好国・マレーシアの外交関係が、悪化する可能性が出てきています。
 

“退位”法整備 衆参議長が各党に意見聴取
天皇陛下の退位をめぐり、衆参両院の議長は各党から個別に意見を聴取しました。このうち、自民党、公明党の与党と日本維新の会などは、今の天皇に限って退位を認める特例法での対応が望ましいと主張しました。一方、民進党や共産党などは、将来の天皇すべてを対象とする恒久的な制度にすべきだと訴えました。今後、与野党の全体会議を開催するなどして、議長などを中心に与野党の合意点を探ることになります。
 

マルコメ みそ汁145万個を自主回収
食品メーカーのマルコメはきのう、即席みそ汁商品の包装に異物が混入した恐れがあるとして、およそ145万個を回収すると発表しました。対象は「料亭の味みそ汁12食」「料亭の味みそ汁減塩12食」など4種類で、ローソンで販売している「ローソンセレクト減塩みそ汁12食」も含まれます。製造設備の一部のシリコーンゴム製の吸盤が、商品の外袋に入った可能性があるとしています。みそと具材の部分は、小袋で包装されていて、異物の混入はないということです。
 

京セラ社長交代 新社長に谷本秀夫氏
京セラは、4月1日付で、社長に谷本秀夫常務を昇格させる人事を発表しました。今の山口悟郎社長の下で太陽光パネルや通信事業などのコスト削減をすすめ不振事業の構造改革に一定の目処がたったことから経営体制の若返りを図るのが目的です。山口社長は代表権のある会長に就任します。


タイ GDPが減速
タイの去年10-12月期のGDP、国内総生産は、1年前に比べて3.0%プラスとなり、7-9月期の3.2%増から減速しました。ホテルやレストランなどがふるいませんでした。去年10月のプミポン国王死去に伴う服喪で、タイ経済をけん引する観光業が影響を受けたとみられます。去年のGDPは3.2%増で、15年の2.9%増からは改善しました。また今年の成長率は3.0から4.0%の見通しです。
《タイGDP》
・ 2015年 ↑2.9%
・ 2016年 ↑3.2%
・ 2017年(見通し) ↑3.0~4.0%


科学雑誌ニュートン 発行会社が民事再生申請
科学雑誌ニュートンを発行するニュートンプレスは、東京地裁に民事再生手続きを申し立てたことを発表しました。ニュートンプレスが開発費を出した理科の教材の販売が計画通り進まなかったことなどから、負債は、およそ20億円に達しました。また、今後も雑誌の発行は、続けるとともに、事業も継続するということです。
 

補佐官後任にマクマスター中将
トランプ大統領は先ほど、空席となっていた国家安全保障担当の大統領補佐官に、マクマスター陸軍中将を起用すると発表しました。マクマスター中将は陸軍能力統合センターのトップを務める軍人で、過去にはアフガニスタン戦争やイラク戦争などにも従事しました。トランプ政権の安全保障担当補佐官のポストをめぐっては、辞任したフリン氏の後任が決まらず、不在が続く異常状態となっていました。
 

「津久井やまゆり園」殺傷事件 植松容疑者の鑑定留置終わる
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で去年7月、入所者19人が殺害された事件で、横浜地検は殺人などの疑いで逮捕された植松聖容疑者の刑事責任能力を調べる鑑定留置を終えました。鑑定結果も踏まえて勾留期限の今月24日までに起訴するかどうか判断します。植松容疑者は逮捕後の調べに、「障害者はいなくなればいい」と供述するなどしていて、横浜地検が事件当時の精神状態を調べていました。
 
 
小金井市 女子大生殺人未遂 岩埼被告 起訴内容を認める
東京・小金井市で音楽活動をしていた女子大学生が刺され、一時、重体となった事件で殺人未遂などの罪に問われた岩埼友宏被告は、裁判員裁判の初公判で起訴内容を認めました。検察側は冒頭陳述で「岩埼被告は相手にされなかったことに不満を募らせ事前にナイフを準備するなど一定の計画性があり、殺意は強かった」などと指摘したのに対し弁護側は計画性は無かったと主張しました。
 
 
■【コメンテーター】マネックス証券/大槻奈那氏

・ ブレグジットの波紋、ギリシャ問題にも変化

--またしてもギリシャの問題。年中行事のようにやって来ますけれども、たださらなる債務削減というのはどうなんでしょうか。

「そうですね。これって今回については2つ大きく前回と違うことがあって、1つは、去年のブレグジット後で、これから初の債務の削減問題だと・・・。それからもう1つは、2015年の頃に実は緊縮反対派のほうが賛成派を上回るという国民投票を一回やっているにもかかわらず、財政緊縮をやりました。ということで、国民の反対が非常に強くなっていまして、例えば、徴税率を見ると、2010年の徴税率(70%)も低かったんですが、これが40%まで込んでいるという説があって、なかなか国民の反発は免れないと思いますね。」
 
 
・ きょうの経済視点 「リスクテイクの歪み」

「これはやはり金利について、お金自体はじゃぶじゃぶで、例えば日本で言えば、去年から今年で預金自体は40兆円以上増えているんですね。ただその行き先というのがここで問題でして、リスクテイクの歪み、マイナス金利と先ほど来の規制の関係で、以前だったらリスクとリターンを考えたらここですねという、例えば、国債とか行かずに、別のところ、比較的規制が柔軟なところに行きがちであると・・・。例えば日本で言いますと、不動産融資ですとか、それから消費者ローンなども非常に伸びているんですね。なのでそういったところで、リスクとリターンを非常に分析するのも難しくなってきてますし、そこら辺を正当に捉えて、正しいやり方でやっていってほしいなと思っています。」
 

2017.2.20 Newsモーニングサテライト

2017年02月20日 15時25分57秒 | MS
■マーケット

NY株 今週は金融政策の行方に注目
17日のニューヨーク株式市場、主要指数はそろって高値更新し、新政権への政策期待が続いています。20日はプレジデントデ―の祝日で休場ですが、今週は金融政策の行方も気にされそうです。財政拡大を掲げる「グッドトランプ」を好感しつつも、今週予定される新たな入国規制の大統領令への署名など「バッドトランプ」にも注意が必要です。一方イエレン議長の議会証言で一気に市場の関心が高まった3月利上げの可能性ですが、今週は前回のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨の公表をはじめ、連銀高官の発言機会も多く、為替や金利の動きにも注目が集まりそうです。17日の株価の終値です。ダウは7日連続で高値更新、4ドル高の2万624ドル。ナスダックは23ポイント上昇の5,838。S&P500は反発、3ポイントプラスの2,351でした。

【月曜恒例アメリカの専門家インタビュー】
今週は前回FOMCの議事要旨が発表されます。中でも最近FRBの高官からも声が上がっているバランスシートの縮小をめぐる議論についてどんな発言がされたか注目されていますが、アメリカの専門家は、利上げを最優先し、実行は時期尚早とみています。

《ウェルズ・ファーゴ/マーク・ヴィトナー氏》
「バランシート縮小の議論はあっても、FRBは実行しようとしていないだろう。イエレン議長は『十分に利上げするまでバランスシート縮小はない』と議会証言していた。これは利上げを最優先するとのFRBからのメッセージだ。」

また次の利上げの時期について3月説も浮上する中、ヴィトナー氏はその可能性は低いとみています。

「新政権の財政政策が不透明で、2月の雇用統計も発表が遅いため、3月利上げは困難だろう。またFRBは政治から独立しているといっても、3月に利上げをして、トランプラリーに水を差すようなことは避けたいはずだ。」


【為替見通し】注目ポイントは「米“税制改革案”の内容」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏

--まずは先週末の動きを振り返っていかがでしょうか。

先週末のドル円は、東京市場では113円台前半で推移していましたが、海外勢の参入が始まると下落、フランス大統領選挙がらみの不透明感や3連休前の持ち高調整でアメリカ国債が買われると長期金利が低下、112円台後半に軟化しました。

--今日の予想レンジは、112.10~113.50円です。

本日は週明けの五十日(ごとおび)なので、国内輸入企業のドル買いは厚めかもしれません。ただ季節的には日本の3月期末をにらんだ海外利益の里帰りによる円高圧力も意識されやすい時期に差し掛かっています。今晩のアメリカ市場は祝日でもあり、明確な方向感は出にくいと思います。

--注目ポイントは「米“税制改革案”の内容」です。

2月9日にトランプ大統領が数週間以内に驚くべき税制改革を提案すると言ってから既に1週間以上が経ちました。
(フリップ:米税制改革案の柱)
公約通りの大幅減税や国境での税調整が提案されれば、初期反応は金利上昇期待と貿易赤字縮小観測でドル高に振れそうです。ただ国境税調整の保護主義的側面が嫌気されて、アメリカ株が下落すれば、2次反応では円高に揺り戻すかもしれません。またアメリカ企業の海外利益の国内回帰を促す減税が手案された場合、軽減税率の適用前は本国送金が手控えられて、ドル需給が一時的に緩む可能性もあります。為替相場への影響は複雑になりそうなので、見極めにはしばらく時間がかかりそうです。

【日本株見通し】注目ポイントは「東証1部の騰落レシオ」
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--今日の予想レンジは、19050円~19150円です。

シカゴ先物の下落や円高を背景に、全般やや売り優勢のスタートと見ています。ただ円高がさらに進むことがない限りは、19100えんどころの25日線以上で終えるイメージを持っております。物色に関しては決算発表後に投資判断が変更された個別株、特に東証2部や日経ジャスダックなどの中小型株指数に強気ムードがちょっと出てきていますので、東証一部の中でも大型株以外の好業績株が見直されやすいと思っています。

--注目ポイントは「東証1部の騰落レシオ」です。

「ここでいう騰落レシオというのは、東証1部銘柄の値上がりの数を値下がりの数で割って求めるものです。」
(フリップ:株価上昇の追い風になるか?)
「騰落レシオが上昇するときは株価も上昇、低下するときは株価も下落することが多いわけですけれども、去年12月中旬以降は騰落レシオが大幅に低下する一方、株価のほうは米国株の上昇、特に金融や景気敏感株の一部の上昇に支えられて、下げずに高値圏でボックス相場を続けています。ただ足下の騰落レシオは値下がりの数が多い、100%を下回る状況から、先週は再び値上がりの数が多くなる状況にやや変わってきてますので、ここから上昇に向かえば、株価のほうもボックスを上回れるといった可能性が高まるのではないかなと見てます。」

 
■【エマトピ】インドネシア経済 底打ちから回復へ
インドネシアでは、去年6回の利下げや低インフレによる可処分所得の回復で消費マインドが改善、経済は底打ちから回復に向かっている。また、格付け会社のフィッチやムーディーズが国債の格付け見通しを「安定」から「ポジティブ」に引き上げたことで、今後さらなる投資を呼び込むことが期待される。解説は大和証券の山田雪乃氏。

【インドネシア経済 底打ちから回復へ】

--インドネシアの経済はいまどのような状況ですか。

(フリップ1:インドネシア経済は底打ちから回復へ)
昨年10-12月期の実質GDPは4.9%のプラスにとどまりました。政府が緊縮志向の財政政策を採っているため、政府支出が抑制されたことが影響しています。しかし昨年6回の利下げや低インフレによる可処分所得の回復で消費マインドは改善し、経済は底打ちから回復に向かっています。

--ただ今年はアメリカが数回利上げをすると予測されていますから、新興国であるインドネシアはどういう影響を受けるとお考えですか。

利上げの影響はあまり大きくないのではないかとみています。といいますのは、外貨準備がかなり各国で積み上がっております。

(フリップ2:短期対外責務残高(倍)と財サービス輸入額(月)(96年))
コチラのグラフをご覧いただきますと、横軸が外貨準備に対する短期の対外債務残高の割合で、これは1倍以上ですと安全です。また縦軸は財・サービス輸入額で、これは外貨準備がどれぐらいあるかということですが、3ヵ月以上あると安全と見られています。
(フリップ3:短期対外責務残高(倍)と財サービス輸入額(月)(16年第3四半期))
外貨準備は97年のアジア危機前の96年末ですが、アジア各国はかなり脆弱だったのですが、2016年第3四半期では各国ともに外貨準備が十分積み上がっておりますので、外的ショックに対する脆弱性はだいぶ低下しているのではないかと見ています。インドネシアもマクロ経済は安定化していますし、経済政策もかなり打ち出されていますので、安定的とみていいのではないかと見ています。

--国債の格付けにも変化があったようですね。

(フリップ4:インドネシア国債の格付け)
はい、そうですね。フィッチは昨年末、ムーディーズが今月に入って、(インドネシア国債の)格付けの見通しを安定的からポジティブに引き上げています。格付け自体は投資適格のそれぞれフィッチ(BBB-)、ムーディーズ(Baa3)に据え置いていますが、格上げがあれば今後さらに投資が呼び込まれるのではないかとみています。

【未加工鉱物の輸出規制、日系企業への影響は?】

--一方で、インドネシアは資源国ですよね。最近、資源を巡る新たな動きがあったそうですが・・・。

はい、そうですね。インドネシア政府は、鉱物の高付加価値化ということを目指しておりまして、2014年1月に輸出を規制するといったことで、銅やニッケルの輸出が一部規制されていました。これが今年に入って1月に一部で輸出規制が見直しされています。

--そういったことは、日系企業はどういうふうに見ているのでしょうか。

(フリップ5:住友金属鉱山や大平洋金属、静観)
インドネシアに投資をしている住友金属鉱山や大平洋金属は、静観の見通しです。といいますのはインドネシア政府が運用ルールがまだはっきりしていないということや、短期的によくルールを変えるといったようなこともありますので、影響を見極めるといった姿勢です。ただインドネシアのニッケル鉱山は非常に質が高いので、フィリピンなどに比べても精製コストが下がるのではないかと期待されます。

--この動きというのは今後、需給なども含めてどう動きそうですか。

住友金属鉱山などはインドネシアから5万~6万トンのニッケル鉱が輸出されるのではないかといったことで、供給過剰感もあるんですが、一方で今月に入って、フィリピンで一部のニッケル鉱山の生産が停止されています。トータルで見ると4万8000トンのニッケルが供給不足するのではないかとみられていますので、今後この試算通りにいけば、ニッケル価格が上がるということもあるのではないかとみています。


■【NY便り】東芝ショック、揺れる原発建設の街

不正会計問題を受け経営再建の途上にあった東芝が、先週14日、実質的な債務超過にあると発表しました。元凶となったのは収益の柱の一つ、原子力事業。東芝ショックの震源地となったアメリカの、揺れる原発の街を取材しました。

先週14日。東芝は去年2016年4月-12月期決算が、4999億円の最終赤字になると発表した。このままでは3月末には1500億円の債務超過に陥る。東芝の綱川智社長は「多大な迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と述べた。巨額債務の元凶はアメリカの原発事業。その損失額は少なくとも7000億円を超えるという。

(フリップ1:東芝株、11ヵ月ぶり安値)
発表を受け、東芝の株価は急落、およそ11ヵ月ぶり安値となった。
東芝の原発事業で一体何が起きているのか。米ジョージア州ウェインズボローのボーグル原発を取材した。

《ニューヨーク支局/平井裕子記者》
「ボーグル原発が一望できる場所に来ています。蒸気が出ている2基が、80年代から稼働する従来の原発。そしてその右側の2基がウェスティングハウスが受注した問題の原発です。クレーンが立ち並び現在も建設が続いていることが分かります。」

東芝傘下のウエスチングハウスがアメリカで建設中の原発4基のうちの2基(ボーグル原発3・4号機)。当初の予定ではこのうち1基が去年完成する予定だったが、今なお工事は続行中。完成は2019年にまで延期されている。受注した2008年当時は安全性能に優れ、アメリカでは実に約30年ぶりの原発建設と大きな期待が寄せられた原発だった。しかし福島の第一原発の事故で事態は一変。安全規制が強化され、工事が遅れに遅れてコストが膨らみ続けた。さらに事態の打開を図るため、ウエスチングハウスは原発サービス会社を買収するが、この会社が実は債務超過であることが判明したのだ。東芝は巨額の債務を抱え込むことになった。

東芝の記者会見前日、ある噂が広まっていた。「14日は血のバレンタインデーになるかもしれない。」一斉解雇されるのでは、というのだ。3号機の建設作業員に話を聞くことができた。

《3号機の建設作業員》
「全員解雇されるって噂だ。流れに任せるしかできない。」
「会社は赤字でコスト削減が必要なんだろう。」
「すでに労働時間を減らされている。次は解雇だ。」
--Q.3号機は予定通り2019年に完成するか。
「あり得ないね。工事現場を見てごらんよ。こんなに規制が厳しくちゃ何も進まない。」
--Q.いつ完成すると思うか。
「2023年くらいかな。」

一方、地元経済への影響を懸念する声もある。
《地元市役所責任者/ジェリー・コールソン氏》
「東芝が撤退するかもしれないという話を耳にした。そんなことになれば、地元経済にも痛手だし、工事の進行に影響が出るのは必至だ。」

不安は現実のものに・・・。東芝は14日、今後の海外の原発建設から撤退する方針を決め、ウェスチングハウスへの出資比率引き下げる意向を明らかにした。

《東芝/綱川智社長》
「ご興味を持ってくださるパートナーがいれば、それは一緒にやっていくということで、今は87%の株を持っていますけれども、その辺は下げるということでございます。」

ボーグル原発を含め、建設中の案件は継続するとしているが、詳細はまだ明らかにされていない。アメリカの電力の2割は原発で賄われ、オバマ政権下ではクリーンエネルギーとして支援も受けた原発だが、当時と比べて、原油価格も下落基調で逆風が吹いている。東芝はアメリカで建設中の原発について、既に工期延長を発注元の電力会社に申し入れたとも伝えられていて、事態は混とんとしている。

■モーサテサーベイ

マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:2月17日~19日、番組出演者34人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19200円)、先週の終値(19234円)

《SMBC信託銀行プレスティア/山口真弘氏》
(19200円と予想)
「トランプ大統領の演説前の膠着感が強まる」

《インベストラスト/福永博之氏》
(18600円と予想)
「為替の動向が不透明で上値を抑えそう」

(2) 今週末のドル/円予想
予想中央値(113.25円)、先週終値(112.76円)

《みずほ証券/鈴木健吾氏》
(114.5円と予想)
「トランプ政権の減税策期待で底堅い動きを想定」

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
(111.5円と予想)
「円売りの手仕しまいによる円高圧力がやや優勢な情勢」
 
(3) アメリカの利上げ時期予想
3月(24%)5月(12%)6月(62%)18年以降(3%)
最も多かったのは6月の62%、先週から14ポイント低下した。一方、来月の利上げ予想は18ポイント上昇し24%となった。

(4) モーサテ景気先行指数(39.7に低下)
 
 

■米 財政収支に注目、予算教書どう示す
トランプ政権1ヵ月経った。これからの注目は予算教書で示される今後10年間の財政収支の見通しです。2026年には財政赤字をゼロにする議会共和党案に対してトランプ政権がどのような見通しを示すかで減税やインフラ政策の規模感が分かるといいます。解説はみずほ総合研究所の安井明彦氏。

--トランプ政権発足から1ヵ月が経ちました。今どういったところに注目されていますか。

(フリップ1:米予算教書はいつ?)
「ここからのポイントは予算教書の中で示されてきます今後10年間の財政収支の見通しと考えています。先週ワードバンクのコーナーでも取り上げさせていただきましたけれども、1年目の大統領の場合ですと、通常ですと今月の末、ちょうど2月28日にトランプ大統領が議会で演説をしますが、その前後に予算教書の暫定版が出る見通しということになってます。その中で今後10年間の財政収支の見通しも出てくるということになるわけです。」

--ではどういった経済政策に注目が集まっているのか、番組コメンテーターに聞いています。今週のモーサテサーベイでは・・・。

(フリップ2:トランプ政権の経済政策で、最も注目は?)
法人税減税50%、インフラ投資24%、財政規律9%、規制改革6%、所得減税3%、通商交渉3%、その他6%。
半数の方が法人税減税に最も注目しています。アメリカ企業の業績の押し上げにつながるほか、他の国での法人税率引き下げにも波及するなどの見方がありました。そしてインフラ投資、財政規律が続いています。

--やはりマーケットのほうでは減税政策やインフラ投資に注目が集まりますけれども、そういった中で安井さんが財政収支、財政規律のほうに注目されるのは何故でしょう。

「経済の影響を見る場合に、いったいどれぐらいのお金が経済の中に出てくるのか。赤字がそうなのか、財政収支がどうなのか、が分からないと、判断がつかないというところがあるからです。」

--ではこちらを見ていきましょう。

(フリップ3:財政収支見通し)
「予算の審議は議会でやるわけですけれども、いま多数を持っている共和党のほうでは今後10年間で財政赤字をゼロにするというような提案を行ってきています。一方で、今のままの政策が続いた場合、つまり民主党のオバマ政権の政策が維持された場合というのは、財政赤字がずっと膨らんでしまうという予想になっているわけです。こういった中でトランプさんは一体どういう財政収支の提案をしてくるのかというところが注目されるわけです。」

--トランプ大統領はどちらかというと、民主党寄りというか、政策としては財政を出そうというところが今話題になっていますけれども、となるとどういったところに落ち着きそうですか。

(フリップ4:財政収支見通し:安井氏の予想)
「もともとの提案からすると、だいぶ議会の共和党に歩み寄ってはいるんですけれども、それでもやはり足下では財政赤字が膨らみそうな気はしています。ですのでパターンとしましては、足下で大きく財政赤字を膨らまして、だけど10年後にゼロにするというところでは共和党に歩み寄るといったようなラインが考えられるのかなというふうに思っています。」

--ただここまで膨らまして、急激に回復できるものですか。

「そうですね。1つの説明の仕方は、トランプさんは減税をやりますので、これで経済成長率が高まります。なので税収が増えるから、税制赤字を減らすことができるんです、という説明が1つあります。もう1つは、インフラ投資は増やしますし、国防費も増やすんですが、それ以外の部分では歳出を減らします。なので減っていきます、という言い方ですね。

--歳出でいいますと、だいたいどういったところがありますか。

「大きいところでは医療費の削減といったようなところなどが検討されるということだと思います。」

--こういった経済成長で税収が増えるというのは、もともとアベノミクスもそうでしたし、それから先月来日しました「財政赤字は将来のインフレで返せるんだ」といったようなノーベル賞経済学者でプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の理論にも似ているところがありますね。

「そうですね。トランプ大統領の場合、インフレというよりは、経済成長で税収が増えるということなんですけれども、赤字の拡大を肯定するような理論武装であるという面は似ていると思います。これまでアメリカの財政収支を見通す場合に、そういった効果は考えていなかったわけですので、ちょっと異例だということではありますけれども、トランプさんは多分やってくるんじゃいかという見方が強くなっています。」

--でも大規模な削減がないとそれは不可能だということで、医療費などを削減するのではないか。これは医療費だというのは何故でしょうか。

「今後アメリカの税制赤字は増えていくわけですけれども、その大きな理由が医療費だからです。今後の伸び方を見ましても、非常に高くなっているということになります。」

(フリップ5:アメリカの財政赤字の要因は医療費)
--これを見ますと、歳出の見通しとしましては、医療費、年金、利払い費、・・・、確かに2027年の薄い水色の棒グラフは医療費などが多いんですね。年金には手を付けないんですか。

「そうですね。トランプさんは選挙中に年金は削らないと言っていますので、残るところとしては医療費ということになってしまうということになります。」

--これは両方あると思うんですが、マーケットとしては、ちゃんと大きな削減をして示すパターン、それから大幅な歳出だけで済ますパターン、どっちがどう反応するでしょうか。

「将来、財政赤字が減ってくるというラインが見えてくるということであれば、これはイエレンさんも懸念していましたけれども、財政赤字がとにかく大きくなってしまうという懸念はなくなるという点では、好感はされる面はあると思います。その一方で医療費の削減というようなことが出てきますと、これは議会で通すのはかなり難しくなりますので、減税なんかも含めて経済政策をちゃんと進むのかという懸念が出てくる。そういうマイナスの要素も考えておかなければいけないと思います。」

--両方考えなくてはいけないわけですね。では今後の政治日程を確認したいと思います。

(フリップ6:期待はつなげられるか?)
「2月28日にトランプ氏の議会演説、そのあと予算教書の暫定版、本格的に出るのが5月になります。そして議会が目標にしている立法化の時期は7月末ということになりますので、かなりまだ先になるということですよね。株価は期待相場ということになってますが、この間、かなりの期待で続かないといけない。そうなってくると、マーケットを支えられるのはもしかすると、むしろ実体経済のほうなのかもしれないという気はします。」

--そういう意味では、いま経済指標が良くなってきているというのは、下支えとしいいわけですよね。それでこの予算教書はちゃんと出ますか。

「これも若干遅れていて、出ないという見方もあります。その場合には言われています減税案だけが先に出るということになるわけですよね。そうなりますと経済に対する影響というのは、ちょっと読みにくいということではあるんですけれども、マーケットとしては地合いがいい中で、とにもかくにも減税だけでも提案が出るということで、(株価が)上がる材料になってしまうのかもしれない。」

--日本にとってもそれは・・・。

「そうですね。アメリカが上がれば、日本の株も引きずられるということですし、為替についても円安の方向ということかと思います。」

--いずれにしても、出るか出ないかしっかり見極めたいと思います。
 
■日経朝特急

配当、リーマン時の2倍
上場企業が株主の配当を増やす。今年度の配当総額は11兆8000億円と連続で過去最高になり、リーマンショックの影響を受けた2009年度に比べ倍増する。KDDIや三菱商事など主力企業が相次ぎ増配する。企業業績は2年ぶりに過去最高を更新する見通しで、利益の伸びに応じて株主への還元を積極的に増やす姿勢が日本企業に定着してきた。

中小、大企業上回る
中小企業の賃金上昇率が大企業を上回って推移している。去年の上昇率は社員100人未満の中小企業が0.9%だったのに対し、500人以上の大企業は0.6%にとどまった。中小企業では飲食、サービス業などを中心に人手不足が深刻で、賃金を上げる動きが活発だ。

人手不足の職種、処遇改善
建設技能者や保育士など技能や資格を持つ職種の処遇改善では、例えば竹中工務店が建築現場のリーダー向けの報奨金を来年度に拡充する。人手不足が深刻な保育や運輸などでも賃上げや手当の新設が続く。保育所を運営するこどもの森は、4月から保育士の月給を1万円引き上げるなど、建設や保育などの有効求人倍率が全体を上回る職種を中心に幅広い職場で人手確保を狙った賃上げや待遇改善を図る動きが進んでいる。

■日刊モーサテジャーナル

米トランプ大統領が集会、早くも2020年を意識?
トランプ大統領が18日にフロリダ州で選挙前のような大規模集会を開いたことについて、ニューヨークポストは、「政権発足からまだ1ヶ月ほどだが、2020年の次期大統領選を念頭において(2020 VISION)、熱狂的な支持者を鼓舞しているようだった」、と伝えている。記事は、「こうしたいくつかのスピーチは、去年の選挙期間中を思い出させるもので、首都ワシントンでメディアや議会を説得できずにいる現実とは大きくかけ離れていた」、と伝えている。
一方、ワシントンポストは、「フリン大統領補佐官の後任選びなど、政権運営が混迷を極める中、慣れ親しんだ支持者と一緒に一度リセットしたかったのだろう」、と冷ややかにみている。

東芝は今が買い(バロンズ)
週刊投資新聞バロンズは、「確かにリスクは高いが、東芝の株は買いかもしれない」、と報じている。記事は、「日本では名門企業が上場廃止になったり、破産したりするのは珍しい」、と指摘。「同じように含み損を抱えるシャープは未だに上場廃止されていないではないか」、と伝えている。また記事は、東芝のNAND型フラッシュメモリについて、利益の半分以上を生み出すなど魅力的だ、という投資家の声を掲載し、分社化をした後も多額の増資を見込める、と伝えている。記事は、「先週の終値から最大で50%以上株価が上昇するかもしれない」、と予想している。

史上最大のIPO、道のりは険しい模様(ウォールストリートジャーナル)
サウジアラビアは国営石油会社サウジアラムコのIPO新規株式公開を計画中で、史上最大のIPOになると言われているが、その道程は険しくなりそうだと報じている。記事によると、「当初は今年にもIPOが予定されていたが、それが早くても来年(18年後半)、もしかしたら再来年(19年)になるなるかもしれない」、という。その背景にあるのは、上場後どの程度が引き続きサウジアラビア政府の収入減になるのか、それともエクソンモービルのように投資家への利益を優先するか、企業の構造を巡って関係者の間で調整が難航しているそうだ。サウジアラムコは上場すれば時価総額が2兆ドル(220兆円)以上になると見込まれている。

■今週の予定

2月20日(月) 1月貿易統計、米(休場)
2月21日(火) 2月ユーロ圏PMI、米2月製造業PMI、米決算(ウォルマート、ホーム・デポ)
2月22日(水) 中国1月主要70都市の新築住宅価格指数、米1月中古住宅販売件数、米FOMC議事要旨
2月24日(金) プレミアムフライデー開始、米1月新築住宅販売件数
 
■今日の予定

1月貿易統計
1月主要コンビニ売上高
英上院でEU離脱法案の審議開始
ユーロ圏財務省会合
米(休場)

■ニュース

クラフト・ハインツ ユニリーバ買収を断念
アメリカの食品大手クラフト・ハインツは19日、イギリス・オランダの食品大手ユニリーバに対するおよそ16兆円にのぼる買収提案を、断念すると発表しました。理由としてクラフト・ハインツは、ユニリーバが今回の提案を拒否しており、これ以上の交渉は難しいとして「早い段階で断念するのが最善だと考えた」としています。

最大拠点モスル奪還作戦 開始
イラク軍は19日、中東の過激派組織「イスラム国」が支配するモスル西部の奪還に向け、アメリカ軍などの支援を受けて地上作戦を開始しました。西部を掌握できれば、「イスラム国」はイラク国内での最大の拠点を失うことになります。ただ、国連によりますと、現地にはまだ75万人の市民が取り残されていて、戦闘による民間人犠牲者の拡大が懸念されています。

金正男氏殺害事件 北朝鮮国籍の4容疑者を手配
北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、マレーシア警察は事件後初めて会見を開き、逮捕した4人のほかに北朝鮮国籍の容疑者4人を特定し、指名手配したと発表しました。新たに公表された容疑者は、北朝鮮国籍の30代から50代の男4人で、先月31日から今月7日の間にマレーシアに入国し、事件が起きた今月13日に全員出国したということです。4人は、インドネシア、アラブ首長国連邦、ロシアを経由して、今月17日に平壌に到着したとの情報もあり、警察は指名手配し、行方を追っています。また、この他に正男氏殺害を手助けした疑いで北朝鮮国籍の男1人を含む3人を探していることも明らかにしました。正男氏の死因については、司法解剖や毒物検査などの結果待ちで、調査中としています。マレーシア警察の捜査結果を受け、韓国統一省の報道官は、容疑者5人が北朝鮮国籍であることから、「事件の背後に北朝鮮政権がいるとみている」として、北朝鮮を非難する論評を発表しました。
 
アスクル鎮火めど立たず
埼玉県三芳町にあるオフィス用品通販「アスクル」の物流倉庫の火災は出火から4日近く経ちますが、依然として鎮火のめどはたっていません。三芳町は、倉庫の西側に住む3世帯7人に避難勧告を出し、一時6人が公民館に避難しました。県によりますと、およそ4万5,000平方メートルが焼けたとみられています。

皇太子さま開会宣言
皇太子さまはきのう午後、札幌ドームで開かれた冬季アジア大会の開会式に出席し、天皇陛下の名代として開会を宣言されました。皇太子さまはきょう、クロスカントリースキーの競技を観戦し、その後、東京に戻られます。

イバンカさんの香水 売れ行きNo.1に1
トランプ大統領の長女、イバンカさんのブランドがネット通販で好調だそうです。大手百貨店などが相次いで販売中止を決める中、イバンカさんのブランドを代表する香水がアマゾンでベストセラーに輝いています。アマゾンの香水部門の売り上げで、イバンカ・ブランドの女性用香水が、4日連続で1位に輝いています。レビューは満点の5点と高く、「不買運動に対抗するために買った」と、支援者の声が掲載されています。ブランドを巡っては、百貨店のノードストロームが「売り上げ低迷」を理由に販売中止を発表し、トランプ大統領が批判していました。

■【コメンテーター】みずほ総合研究所/安井明彦氏

・ 「トランプ減税」市場の注目は

--今週もいろいろ予定はあるんですけれども、ただやはり市場の目というのは、その次、予算教書や減税はどんなものか。

「そうですね。減税に対する注目が高いですね。1つのポイントはまずちゃんと来週出るのかということです。マーケットなどでは今週これから出てくるという見方が強いわけですけれども、トランプさんははっきりとはいつ言うということは言ってませんので、出ないまま時間が経っていくとやや期待がまた下がってしまうということはあるかもしれません。それから中身ですね。特に法人税減税の中で、いわゆる国境調整と言われる制度が入るのかどうなのか。輸出を優遇して輸入を強化するというような政策が取りざたされているわけですけれども、アメリカ国内の中にも輸入してモノを売っている小売業界などすごく反対もありますので、そういったことを本当にトランプさんがやろうとするのかどうなのか、ここが1つの注目にはなると思います。」

--税制もいろいろありますからね。国境税、法人税減税、所得税、レパトリ減税など。

「そうですね。海外にある企業が持っているお金をアメリカ国内に持って帰りやすくする税制も入ってくるとも言われています。」
 
・ 政権発足1ヵ月、運営に懸念は

--トランプ大統領は、側近フリン氏が辞任になるなど、今後の動静等のはどう見ていますか。

「そうですね。今一番厳しい時間帯だと思うんですよね。自分の思うようにやればできると思っていたんだけども、なかなかうまく動いてくれない。側近もやめなきゃいけないということですから、大変だと思うんですけれども、ただ外交政策については、この補佐官の交代というのはうまく、良い方向に行く可能性もあるのかなというふうに思ってます。マティス国防長官やティラーソン国務長官といった伝統的な考え方を持っている人たちが政権の中で力を持って行く。日米同盟も重要性が再確認されていますけれども、そういった方向で少しづつ軌道修正されてくるということであれば、良かったの感という展開にもなるかなと思ってます。」

・ きょうの経済視点 「米国議会の反応」

「トランプさんの減税案、それから予算教書、議会演説と、非常に注目が高まるわけですけれども、肝心なのは減税などを提案しても、それがそのまま実現するわけではないということですね。これは議会で法律にする必要があります。ですのでトランプさんの提案の内容もさることながら、それに議会がどういうふうに反応してくるのか、ここを見ないと政策の実現可能性とおいうのは見えてこないということになります。」

--今市場が期待しているもの、番組内でもご紹介しましたけれども、どの辺が共和党、議会と揉めそうですか。

「まずは財政赤字をどれぐらい大きくするのか、小さくするのか、そこで共和党の議会とトランプさんの拡張的な財政政策というのが、ちょっと差があるというのが1つあります。それから減税の内容ですね。国境調整税に関しては、下院はOKなんですけど、上院はあまり賛成していませんので、トランプさんがそこでどういうふうに押して来るのか、そして議会がそれにどういう反応をするのか、というところが注目です。」

--議会は今はなしているんでしょうね。

「今週はお休みなんです。来週からになりますので、そういった時間差にも気を付けてください。」
 

2017.2.17 Newsモーニングサテライト

2017年02月17日 14時02分48秒 | MS
■マーケット

NYダウは高値更新
アメリカ株は3指数が高値更新を続けています。連日の上昇で、さすがに買い疲れも見られるようで、株価は一服。それでも小幅安のもみ合いで、先行きへの期待は依然強いようです。決算も終わりに近づく中、今の相場の牽引役は財政と金融の両政策への期待。トランプ政権の大型減税はもちろん、3月利上げの可能性の高まりも、経済が堅調な証拠と捉えれば、株価にはプラスのはずです。フィラデルフィア連銀景気指数が歴史的な高水準、雇用や住宅関連も底堅い内容だったものの、さすがに連日の高値更新の後とあっては、きょうの下げは自然な動きとみる向きも多いようです。ニューヨークの株価終値です。ダウは連日の高値更新6日続伸7ドル高、2万619ドル。ナスダックは8日ぶりの反落4ポイント下落、5,814。S&P500も8日ぶりの反落2ポイントマイナスの2,347でした。

【NY証券取引所中継】フィラデルフィア連銀指数を分析
解説は岡三証券NYの高野一真氏

--さすがに一服感が漂ってますね。

そうですね。朝方発表されました経済指標は市場予想を上回ったんですけれども、前日まで連日高値更新となっておりましたので、本日は利益確定売りが広がりまして、主要3指数はおおむねマイナス圏での推移となっております。

--さてニュースでお伝えしましたフィラデルフィア連銀の製造業景気指数は、かなりいい内容でしたね。

はい、全体を押し上げたのは新規受注で、コチラはおよそ30年ぶりの高水準となりまして、また出荷も強い内容となりました。雇用者数は前月からやや低下したものの、週平均集合時間が大きく伸びまして、今後、企業が雇用を増加させるサインだと考えることができそうです。

(フリップ1:フィラデルフィア連銀製造業景気指数(前月比))
新規受注↑12.0(約30年ぶりの高水準)、出荷↑8.1
雇用者数↓1.7、週平均就業時間↑6.8

--これはアメリカ経済全体へのインパクトはどう考えたらいいんですか。

はい、コチラの指数がカバーしているのは、ニュージャージー州南部やデラウエア州、それからペンシルベニア州東部となっておりまして、アメリカ経済全体から見ると、ほんの一部となります。

(フリップ2:実質GDPに先行する傾向も)
ただコチラのグラフにありますように、実質GDPに先行する傾向があります。ブレの大きい指数なので、今回の結果だけで過度な期待は禁物だとは思いますけれども、来月以降も改善が続くようであれば、今後のアメリカ経済のさらなる拡大につながっていくと思います。


【NY証券取引所中継】AIが後押し!? ストリーミング業界
解説は岡三証券NYの高野一真氏

--引けにかけて下げ幅縮小しましたね。

そうですね。朝方発表されました経済指標は市場予想を上回ったんですけれども、前日まで連日高値更新となっておりましたので、本日は利益確定売りが広がりまして、主要3指数はおおむねマイナス圏での推移となりました。

--さてアメリカではストリーミングで音楽を楽しむ人が着実に増えているようですね。

(フリップ1:有料ストリーミング売上高は2倍以上)
はい、アメリカでの2016年上期の売り上げを見てみますと、CDやダウンロードでの購入は大きく減少している一方で、有料ストリーミングサービスは前年比で2倍以上に増加しております。

(フリップ2:有料ストリーミング利用者も倍増)
利用者数も2016年上期で1800万人とこちらも前年から倍増となっています。

--本当ですね。これは企業業績にもインパクトがありますよね。

(フリップ3:アップル、ストリーミングの成長が寄与)
はい、決算発表後から株価の堅調な推移が続いているアップルですけれども、16年10-12月期の全体の売り上げは前年比3%の増加にとどまった一方で、サービス事業は20%近く増加しております。内訳は開示されていないものの、ストリーミングサービスのアップルミュージックの成長も寄与したものと見られております。

--それでこのストリーミングの成長はまだ続きそうですか。

はい、今後はアマゾンのエコーに代表されるような人工知能を使った音声認識機能のついたスピーカーがカギを握ると予想しております。エコーは話しかけることで様々な情報をやりとりできるスピーカーで、声で曲名を伝えるとその曲が流れてきます。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOもエコーを通じて音楽を聴く機会が爆発的に増加すると予想しています。実は私もエコーを利用しているんですけれども、使い方はとても簡単で、エコーのおかげで、今まで聴くこともなかった洋楽を聴く機会が増えております。人工知能スピーカーが音楽市場の活性化を後押しするのではないかと考えております。


【為替見通し】注目は「3月利上げの可能性は?」
解説は三井住友信託銀行NYの海崎康宏氏

--ドル高円安がジワジワと進んでいますが、NY市場を振り返っていかがでしょうか。

前日からの流れが継続し、ドルは上値が重い状況が続いています。アメリカ株価下落や金利低下を受けて、一時ドル売りが強まり、ドル円は113円台前半まで下落しました。

--今日の予想レンジは、112.80~113.90円です。
アメリカは今週末に3連休を控えており、今日は短期的なポジション調整主体の動きになると思われます。特にアメリカ株は今週、上昇基調を強めましたので、調整による米国株価下落、米金利低下でドル安円高の流れに注意しています。

--注目は「アメリカの3月利上げの可能性は?」です。

(フリップ:米利上げ観測高まる)
市場は今のところ6月の利上げがメインシナリオとなっていますが、今週のイエレン議長の議会証言を受けて、FF先物金利が上昇し、3月の利上げ可能性も若干高まりました。ここにきて景気過熱を待ちすぎるリスクや、実際に過熱を招くリスク、についての言及がイエレン議長をはじめ、他のFRB高官からも見受けられ、3月の可能性もは維持できないと考えています。ドル円は利上げ観測の強まりによる米金利上昇を背景に、底堅い動きが続くと思います。ただ足下はトランプ政権による税制改革案の発表や、今月28日の大統領議会演説など不透明感も残り、上値の重い状況が続きそうです。

【日本株見通し】注目は「トランプ成長戦略」への期待
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏
 
--今日の予想レンジは、19100円~19300円です。

ちょっと為替が円高に振れているのが玉に瑕ですよね。週末よいうこともあって、やや利食いが勝る可能性があるんですが、お昼になるとまた日銀が買ってくれるかもしれない。それが注目ポイントになると思いますね。

--注目ポイントは「トランプ成長戦略への期待」です。

(フリップ:新任大統領就任後は相場堅調(ダウ))
これは論より証拠で、見ていただくと、新任大統領で、80年代のブッシュ(父)以降のNYダウの動きを見ていただきたいんですけど、ほとんど堅調なんですよ。唯一ブッシュ(息子)だけがITバブル崩壊の直後、2001年就任ですので、そして同時多発テロ(9.11)の影響があったということで、非常に特殊な場合だけが冴えなかった。ところがほかの人たちは非常に強い展開だ。つまり新任大統領の政策に対する期待感というのが、まけっと事態に非常にポジティブに捉えられるということですね。そしてこれを見ていただくと、トランプさんは去年の11月と12月は完全に期待相場だったんですが、そのあと1ヶ月半ぐらいずっと揉んでたんですよね。そしてここで今また一段上がってきているのは何かということになると、これは驚くべき減税政策ということを言いました。つまり単なる選挙公約から、具現化してきたということを評価して、2段あげに入ってきている。ですから私はアメリカは、過去のパターンを見てもそうなんですけど、非常に強い動きがまだ続くというふうに見たほうがいいと思いますね。

--若干過去の例に比べて強く上がり過ぎていて、息切れしないかなという気もしますが・・・。

それは春以降に現実に直面してきたときには、可能性はあるかもしれません。逆に言うと春まではまだ全然大丈夫だと・・・。たるむ局面があれば拾っていけばいいと思うんですね。ただ問題は日本株が、アメリカの勢いの良さに比べると、どうも19500円ぐらいになるとモタモタモタという感じになっている。これは先ほど申し上げた貿易摩擦の問題、それが円高に作用するというのはあるんですけども、いずれこれも消化されていく可能性が高い。なぜなら、今の売り手の国内の機関投資家は3月10日前後になると、もう決算で全然動かなくなる。売り物がかすれてくるので、私は春に向けては上昇していくと思う。たるんだところは買いでいいと思います。


■【プロの眼】政治銘柄となった自動車株
アメリカの対日本の貿易赤字額はマイナス689億ドル。その内、自動車による赤字が526億ドルで76%に達している。この状況から、米国が日本に何らかの改善策を求めてくるのは必至の情勢。確かに日本は「現地生産・現地販売」の比率を高めているが、米国向け自動車輸出が巨額の貿易赤字を招いていることは事実であり、1981年レーガン政権当時の「対米輸出自主規制」を迫られる可能性は否定できない。アメリカの貿易赤字が今後のマーケットの焦点になってくるだろう。解説は三菱UFJモルガン・スタンダー証券の藤戸則弘氏。

--テーマは「政治銘柄となった自動車株」。これはもちろんアメリカの貿易赤字、マーケットの焦点。

(フリップ1:米国貿易赤字で批判の的に:青色のグラフ)
「ちょうど去年の貿易統計が出たばっかりということもあるんですけど、そこでまず見ていただきたいのが、アメリカに貿易赤字をもたらしている国別、これは財貨ベースの貿易赤字(青色の棒グラフ)なんですけど、見ていただきますと、中国が7500億ドルの半分弱を占めているわけですね。そして2番目に日本(689億ドル)になりました。そしてドイツ、メキシコと続くんですが、この4ヵ国を見ていただけると、全部トランプさんがやり玉に挙げている国ばっかりなんです。(中国には)45%の関税をかけるとか、メキシコも35%とか、言われているんですけれども、これが彼の頭にインプットされているということだと思うんです。」

(フリップ1:米国貿易赤字で批判の的に:赤色のグラフ)
「さらに内訳を見ていくと、赤い部分が自動車による赤字ということなんですね。メキシコなんかを見ていただくと、全体の貿易赤字以上に多いんですね。だからメキシコはほかのものをアメリカから輸入しているということになるわけです。問題の日本を見ていただくと、689億ドルのうち、526億ドルが自動車関連ということになると、8割弱が自動車によってもたらされている。ということは対米のこれだけの黒字を貯め込んで、アメリカの赤字をもたらしている要因は、自動車輸出だということにどうしてもなってしまう。」

--そうですね。中国は(自動車輸出が)少ないですから、コチラ(日本)のほうが目立ってしまう。

「それが矢面に立ってしまうということなんですね。」

--ただ藤戸さん、日本にも言い分はありますよね。

(フリップ2:日本は「米国雇用増」に貢献している)
「ええ、日本のほうは、コチラを見ていただきたいんですけれども、対米自動車輸出というのは、80年代から貿易摩擦の問題が大きくなってました。そこで日本企業は何をやったかというと、現地生産だということで、現地で売る物は全部現地で作っていこうとしてきた。見ていただくと、これ(緑色のグラフ)はウナギ登りなんですね。実は輸出台数(青色のグラフ)自体はピークが86年の344万台ということなんですが、実際、去年どうなったのかというと、170万台なんですよ。つまり半減しているんですね。すごい努力をして、しかも当然現地に工場を作る、ディーラー網を作るということですから、対米の直接投資がものすごく増えている。雇用に関しても、この自動車業界全体、ディーラーも含めて、2015年のデータで46万人の雇用なんです。まさに貢献しているわけですね。これが日本側の言い分なんですが、じゃあ貿易赤字の問題が消えてなくなるのかというと、そうではない。それでここを見ていただきますと、80年代、81年1月20日がレーガン大統領の就任なんですけども、そこからわずか3ヵ月で、日本は対米輸出の自主規制というのを強いられます。上限が168万だということになりまして、今回おそらくアメリカが要求するのは、さらに現地生産台の比率を上げろ、これはあるけど、すぐにはできません。もう1つは、80年代にもやったんですが、アメリカの自動車の輸入策を採れと、実は官公庁でアメリカ車を使っていた時があったんですけどね。ただ金額としては大したことは無い。結局、レーガン政権と同じように、私は輸出の自主規制に追い込まれる可能性もありうる。4月にペンス副大統領と麻生副総理の包括的な協議が始まるということになってますけども、大きなテーマの一つが自動車ということにならざるをえないということですね。」

--そういった動きというのは、いま株式市場は織り込みつつあるわけですね。

「そうですね。ですから一番の問題は、アメリカ国内にどれだけ工場を持って、それで販売しているかということになるわけですね。自動車各社の株価を見ていると、一番強いのは実はホンダなんですよ。ホンダはまるで自動車株じゃないような動きをしている。これは何故かというと、アメリカで現地生産、販売をする比率が一番高いということなんですね。逆に一番厳しいのがマツダで、アメリカの自動車工場はゼロなんです。メキシコで作って、20万台ぐらいそれを輸出しているですが、国境税の問題も出てくるということですね。この辺りまでマーケットは完全に見始めているということになると思いますので、ファンダメンタル事情に政治的な駆け引き、交渉が自動車株のポイントになるというふうに思います。」
 

■【中国NOWCAST】
今回の中国ウォッチャーはDZHフィナンシャルリサーチの池ヶ谷典志さんです。今週のピックアップトピックスは「中国版グリーンカード発給拡大」「CPI上昇金融引き締めも?」「おふくろの味出前に規制」の3本です。中国が去年発給した永住権は前の年に比べて2.6倍となりました。アメリカの保護主義的な政策をチャンスと捉え、今後開放政策に拍車をかけると解説します。

《解説:DZHフィナンシャルリサーチ/池ヶ谷典志氏》

フリップ:中国NOWCAST)
(1) 中国版グリーンカード発給拡大
(2) CPI上昇、金融引締めも?
(3) おふくろの味、出前に規制


(1) 中国版グリーンカード発給拡大
去年、中国政府が発給した永住権(グリーンカード)は、1576人(前年比2.6倍)となった。資本規制や人件費高騰で海外からの対中投資が縮小しているため、中国政府は多額の投資や雇用を生み出す人材を呼び寄せ、景気活性化につなげたい狙いがある。
池ヶ谷さんは、アメリカの保護主義的な政策が、中国の開放政策に拍車をかけているという。

《DZHフィナンシャルリサーチ/池ヶ谷典志氏》
「アメリカのトランプ大統領が移民に対して厳しい姿勢をとっていますので、中国は逆にこれをチャンスとして捉えて、海外の優秀な人材を積極的に引き込もうという意図があるんだと思います。先のダボス会議でも習近平国家主席がグローバル化を推進していくということを力強く宣言しましたけれども、そういった流れの中で、海外の開放を進めていくという流れはあると思います。その中で世界のリーダーを目指していくといった大きな目的があるんだと思います。」


(2) CPI上昇、金融引締めも?
中国国家統計局が発表した1月の消費者物価指数は1年前に比べ2.5%の上昇で2年8ヶ月ぶりの高い水準となった。内訳をみると、春節を前に、食品や旅行商品が値上がりをしたことに加え、燃料価格が16.5%と大幅に上昇した
《1月消費者物価指数》
食品は↑2.7%、旅行↑9.9%、燃料↑16.5%

去年から鉄や石炭などの原料価格が上がっていることで、中国政府が設ける上昇率3%の許容範囲に近づいている。池ヶ谷さんは、「国内ではインフレ抑制のため、さらなる金融引き締め議論が浮上している。2月のCPIの結果を注視したい。」、としている。


(3) おふくろの味、出前に規制
中国では、いま一般の主婦などが作った料理を、インターネットを通じて注文し、出前のように届けてもらうサービスが流行している。中国国内のネットを通じた出前は、去年2億円が利用し、前年を80%上回っている。そのけん引役の一つが個人が作った料理のシェアサービスである。料理シェアのサイトでは、主婦など個人が投降した料理が一覧で表示され、客は1品30元程度(約500円)で味わえる。手頃な値段が受け、このサイトの利用者は100万人以上、料理は提供する個人宅から客へ運営会社が運ぶという仕組みである。ただ料理を提供する個人宅は、飲食店のように営業許可を取っていないため、衛生管理の面で問題が指摘されていた。そこで中国当局は料理のデリバリーに対する規制を発表、料理提供者に対し、実店舗を構えることに加え、食品経営許可証の取得を定めるとしている。これを破れば最低5万元(約83万円)の罰金を課す。こうした規制強化に政府が乗り出した背景には、拡大するシェアリングビジネスを国として新たな成長源にした狙いがあるという。

《DZHフィナンシャルリサーチ/池ヶ谷典志氏》
「シェアリングというビジネスは発想次第で民泊やライドシェアなど、国内だけでなく海外シェアも奪っていける、大きな可能性を秘めた分野ですので、中国政府も昨年の全人代の活動報告の中で、このシェアリングビジネス、シェアリング・エコノミーを支援していくということを打ち出しています。ですので中国政府としては、今後、こういった新たなビジネスを生んでいく環境を整えていくということが重要になってくるんだと思います。」
 

・ 「シェアリング・エコノミー」について

--シェアリングビジネスは市場規模が32兆円に上るという試算もあり、中国の力の入れようというのが伺えます。このシェアリング・エコノミーというのも世界的に拡大していく方向なんでしょうか。

《三菱UFJモルガンスタンレー証券/藤戸則弘氏》
「大きなトレンドですよね。ですから自動車のシェアリングのウーバーなんかが世界でも展開しているわけですけど、中国では民族資本のほうが優位ということで、ウーバーは結局撤退することになってしまったんですけどね。翻ってみて、日本でも結局、規制を緩めるかどうか、日本でごく一部の地域で試験的にやっているだけですからね。そういう流れからいくと、アベノミクスの旧3本の矢、規制緩和というのがあったんですが、実はこのシェアリングビジネスを日本でもどんどん認めるかどうか、これが非常に大きなポイントになってきているなと思いますね。」


■日経朝特急

保育所新設、企業が主導
日本生命保険とニチイ学館が共同で保育事業を展開する。来年春までに保育所を全国で約100か所新設し、1800人程度の児童を受け入れる。保育所の利用率は上がっているが、待機児童は依然高水準である。今回、
国が民間の力も借りて保育サービスを提供する企業主導型保育事業で、運営会社と事業会社が組んで大規模に展開するのは初めてとなる。一部で同じような取り組みが出てきていて、2万人超とされる待機児童の解消に一歩近づく。


鉄鉱石、急騰
製鉄の主な原料の鉄鉱石の国際スポット価格が急騰している。指標となるオーストラリア産は1トン90ドルを超え、今年初めに比べ2割高、この1年で2倍になった。中国の不動産開発が堅調なことや公共投資案件も多く、中国の輸入が急増。日本の製鐵大手が輸入する鉄鉱石価格も上昇し、各社の収益に影響が出始めている。中国では個人の投資マネーが鋼材や鉄鉱石の先物市場に流入し、価格を実態より押し上げている面も強く、鋼材高で中国の非効率な製鉄所が増産に走れば再び供給過剰に陥る懸念もくすぶる。


短期国債、利回り上昇
短期国債の利回りが上昇している。3ヵ月ものの入札では、最高落札利回りが昨年末から上昇に転じている。世界的な国債利回りの上昇で、海外投資家の円調達コストが上がっていて、短期国債の需要が後退した。日銀が短期国債の保有残高を徐々に減らしていることも需給の緩和につながっているとしている。



■日刊モーサテジャーナル

米チキンタックス復活でトヨタなどに大打撃(ウォールストリートジャーナル)
NAFTA北米自由貿易協定が骨抜きにされたら、メキシコから輸入されるピックアップトラックに対して、「チキンタックス」と呼ばれる関税が復活するかもしれない、と報じている。1963年からおよそ30年に渡り実際にあったもので、ドイツなどがアメリカ産の鶏肉に関税をかけたことへの報復として、主にドイツのVW(フォルクスワーゲン)を標的にした25%の関税のことである。アメリカ国外での生産の全てのピックアップトラックが対象だった。記事は、「1992年に成立したNAFTAによって効力を失っていたチキンタックスが復活することで、メキシコでピックアップトラックを生産するトヨタ、フィアットクライスラー、GMゼネラルモーターズなどに大きな打撃になるのではないか」、と伝えている。記事によると、去年のアメリカにおけるピックアップトラックの販売台数は270万台で、そのうち4分の1ほどがメキシコからの輸入である。トヨタは「関税をかけられたら、どのメーカーもそれを吸収しきれず、結局、消費者が負担することになるだろう」、と話しているという。


世界で経済リスクが撤退(ウォールストリートジャーナル)
世界中で経済のリスクが後退していると楽観的な見方を掲載している。例えば、原油などの商品価格は上昇。日本・米国・ユーロ圏のインフレ見通しも改善。購買担当者景気指数も軒並み回復している。こうしたことから記事は、「アメリカの株価上昇の理由をトランプ大統領のおかげと考える人が多いが、世界的に経済指標が良いことも背景にある。」、と指摘している。また記事は、「アメリカの1月の指標を見ても、15日に発表された小売売上高や消費者物価指数、製造業の指数は良かったと評価。イエレン議長の議会証言と合わせて考えると、3月利上げの可能性が高まっている。」、と伝えている。


GMオペル売却、ドイツの選挙に影を落とす?(フィナンシャルタイムズ)
GMが傘下のオペルをフランスのプジョーシトロエングループに売却する方針であることについて、「ドイツ政府は聞いていなかったと怒りの声をあげている」、と報じている。というのも今回の売却によってドイツにあるオペル本社が雇用する1万5千人が解雇されるかもしれないという見方が浮上。ドイツは数ヵ月後にメルケル政権の命運がかかる選挙を控える中、これが内政問題に発展することを危惧しているという。ドイツのツィプリース経済相は、「売却の話が事前に知らされずに進むなどありえない。オペルの雇用を守ることを今後の交渉の最優先事項にすべきだ。」、と憤慨しているという。


・ 米チキンタックス、復活?

--自動車の話が出てきました、メキシコ。

「ですから対米の自主規制うんうんという話を先ほどお話ししたんですけれども、もう一段大きいのは、いま現地メキシコで生産してアメリカへ輸出しているやつですよ。それにまた35とか25とかかけられるということになると、これはもう大変な話になりますよね。仰る通り吸収できるわけがないです。この分の下方修正というのはある。ただもう1つ申し上げたいのは、実は、日本からのSUVやピックアップトラックの輸出には、先ほどのチキンタックスはかかってるんです。25%なんです。これはTPPでも前面には出なかった。ビッグ3が一番いま儲けているのはそれなんですよね。ですから日本勢には高い関税をかけたままなんです。一番の売れどころにかかっている。この事実もなぜかTPPではあまり議論されなかったということですね。」


■今日の予定

16年家計調査
決算(ブリヂストン)
英1月小売売上高
米1月景気先行指数


■ニュース

米 製造業指数 33年ぶり高水準
アメリカのフィラデルフィア連銀が発表した2月の製造業景気指数は、43.3と前の月から大幅に上昇し、1984年1月以来、33年ぶりの高水準となりました。製造業の現状を示す景気指数は、市場予想を大きく上回り改善しました。内訳では、雇用者数が低下しましたが、新規受注や出荷が上昇しました。一方、6ヵ月先の景気見通しは53.5と、前の月から低下しました。
雇用者数11.1(↓1.7)、新規受注38.0(↑12.0)、出荷28.6(↑8.1)、6か月見通し53.5(↓3.1)
 

米 1月住宅着工件数↓2.6%
アメリカの1月の住宅着工件数は124万6,000戸と、2ヵ月ぶりに減少しました。12月の大幅な上方改定が影響したものと見られます。また、先行指標である住宅着工許可件数は、前の月から4.6%上昇しておよそ1年ぶりの高水準を記録し、引き続き住宅市場の堅調さが確認されました。
 
 
米 失業保険申請 引き続き低水準
アメリカの先週一週間の新規失業保険申請者数は、前の週から5,000人増えましたが、23万9,000人と記録的な低水準が続いています。またトレンドを示す4週移動平均は500人増加し24万5,250人でした。
 
 
米 スナップ IPO資金調達32億ドルか
写真共有アプリ「スナップチャット」を展開するスナップは、IPO=新規株式公開の公開価格の仮条件を1株14ドルから16ドルとすると発表しました。最大で32億ドル=3,600億円余りを調達する方針です。ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、時価総額は195億ドルから222億ドルとなる模様で、当初想定されていた200億ドルから250億ドルを下回る見通しです。
 
 
入国制限めぐり 来週 新たな大統領令
イスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令が裁判で差し止められたことを受け、トランプ大統領は記者会見で、来週、新たな大統領令に署名することを明らかにしました。また、トランプ大統領は、労働長官候補者が指名を辞退したことから、新たにフロリダ国際大学の学部長で弁護士のアレクサンダー・アコスタ氏を指名すると発表しました。上院で承認されれば、トランプ政権で初めてのヒスパニック=中南米系の閣僚となります。
 
 
日米韓外相が共同声明 北朝鮮への圧力強化で一致
ドイツのボンで開かれているG20=20の国と地域による外相会合に合わせて日本、アメリカ、韓国の外相が会談し、12日に弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対し国際社会による圧力を強化する必要性を明記した共同声明を発表しました。トランプ政権が発足してから初めてとなる日米韓の外相会談では、日米韓が緊密に連携し、北朝鮮に対し、挑発行動の自制や国連安保理決議の順守を強く求めていく方針で一致。北朝鮮の弾道ミサイル発射を「最も強い表現で非難」するとした共同声明を発表しました。また、金正男(キム・ジョンナム)氏の殺害事件を受けた北朝鮮の動向についても意見交換しました。アメリカのティラーソン国務長官は会談で「核の傘」による「拡大抑止」の提供を含めアメリカが日韓両国の防衛義務を維持すると表明しました。
 
 
通販大手アスクル 倉庫で火災 消火活動続く
きのう午前9時過ぎ、埼玉県三芳町にある通販大手・アスクルの物流倉庫で火災が発生し、現在も消火活動が続いているとみられます。この倉庫では文房具や生活用品などおよそ7万種類の商品が保管されていました。アスクルは火災の影響で一時停止していた注文の受け付けをきのうの夕方から順次再開していますが別の倉庫からの発送となるため配達が遅れる可能性などもあるということです。
 
 
日銀 黒田総裁 収益力向上へ“合併も選択肢”
日銀の黒田総裁はきのう東京都内で講演し、日本など多くの先進国で行われている金融緩和について、「金融機関の収益の源泉である預貸金利ざやの縮小につながっている」と述べました。その上で、金融機関の収益力を向上するために、「合併・統合なども選択肢の1つになり得る」と指摘しました。
 
 
福島第1 ロボット調査 原子炉の真下に到達できず
東京電力はきのう、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内に初めて投入したカメラと線量計を搭載した自走式ロボットが原子炉の真下にある作業用足場に到達できなかったと発表しました。東京電力によりますとロボットは機器交換用レールに残る堆積物の上を走行し放射線量や温度を測定しましたが、2メートルから3メートルほど進んだ後、走行不能となり、圧力容器の真下には到達できませんでした。炉心溶融で溶けた核燃料の実態把握には至らず、ロボットは回収しないまま格納容器内に残したということです。溶け落ちた核燃料の取り出しは廃炉作業における最大の難関とされていますがその前段となる本格調査でつまずいたことで工程の見直しを迫られることになりそうです。
 
 
崔被告らへの贈賄容疑で サムスントップを逮捕
韓国のパク・クネ大統領の親友、崔順実被告による国政介入事件をめぐり韓国のソウル中央地裁はサムスングループの事実上の経営トップ李在鎔氏の贈賄容疑での逮捕状を発付し、特別検察官チームはさきほど李氏を逮捕しました。特別検察官チームはサムスンが崔被告側に贈った巨額の資金のうち馬術選手である崔被告の娘に対する支援に焦点をあてて捜査を進めています。
 
 
入国禁止令に抗議の“閉店”
アメリカでは16日、トランプ大統領の移民政策に抗議するため移民が多く働く飲食店や商店が一斉に閉店する活動が展開されました。「移民のいない1日」と名付けられたこの活動で、イラクからの移民がオーナーというこちらのレストランでは、ワシントン市内にある6つの店すべてをこの日1日、臨時休業にしました。およそ650人いる従業員にはこの日の賃金は支払う方針だといいます。アメリカのレストラン業界は外国出身の人が従業員の大半を占めていて抗議運動を通じてアメリカ社会における移民の役割を訴える狙いがあります。抗議運動の情報は口コミやソーシャルメディアを通じて広まったとみられていて16日、ワシントンやニューヨーク、シカゴなど全米各地で展開されました。
 

■【コメンテーター】三菱UFJモルガン・スタンダー証券/藤戸則弘氏

・ 米国利上げシナリオ、前倒しの可能性は

--米フィラデルフィア連銀の製造業指数が33年ぶり高水準でしたけれども、最近は何年ぶりの高水準というものが増えてきたきがしますね。

「アメリカの経済は非常に強い。自律的回復傾向というのがはっきりしている。問題はその中でトランプさんが驚くべき減税政策をやると・・・。さらに景気刺激策をやるということを言っているわけですね。そうするとFRBのイエレン議長、今週は議会証言がありましたけれども、明らかに利上げが遅れるということは、先々になってマイナスになると、非常に強いトーンを出しているということなんですね。ということでいけば、ちょっと統計が悪かったということで、利上げが先送りになったという話もあるんですが、私はイエレンさんの利上げスタンスというのは、かなり強いと思います。マーケットは6月というふうにみているんですが、トランプさんの具体的減税策が姿を表したら、それによって影響される可能性もあるとはっきり言っているので、前倒し利上げ(3月)の可能性もあり得るというふうに見ておくべきだと思いますね。」


・ きょうの経済視点 「ソフトトランプ」

「今のような反対があるせいもあると思うんですが、私はちょっと変わってきていると思います。というのは1月の段階で、1つの中国を認めないと・・・。台湾の総統に直接電話するようなことをやっていた。NATOに関しても、『NATOなんか古い、分担金を何とかしろ』と言っていたんですけど、直近では、『NATOを強く支持する』と言っているんですね。それからNAFTAの問題で、カナダのトルドー首相と対談したら、『いや、カナダの貿易問題は軽微だ。』、日米首脳会談もソフトな雰囲気だった。つまり基本的な路線が変わりつつある。これはブレーンの力関係が変わっているのではないかと思います。そうなるとマーケットには、トランプの悪いところが消えて、グロース戦略が浮いてくる。マーケットにとってはプラスの変化ではないか、というふうに考えています。」
 

2017.2.16 Newsモーニングサテライト

2017年02月16日 16時06分38秒 | MS
■マーケット

NY株連日高値を更新
今の市場には「大型減税」が魔法の言葉として、株価上昇には、効果絶大のようです。きょうも揃って高値更新ペースです。小売業の経営者との会合で、トランプ大統領は近い将来の大型減税に言及。もちろん、具体策がない中で期待先行なのも承知の上でしょうが、市場はその先にあるであろう経済成長に賭けているようです。もちろん、きょう発表になった、消費者物価や小売売上げが好調だったことも、下支え要因なのは確かです。ナスダックはこのままひければ7日連続の高値更新で、1999年12月以来ほぼ17年ぶりです。
ニューヨークの株価終値です。ダウは5日続伸、2万611ドル。ナスダックは7日続伸36ポイント上昇の、5,819。S&P500も7日続伸11ポイントプラス、2,349でした。

【NY証券取引所中継】消費堅調 利上げ時期は?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--大引けにかけて上げ幅拡大しているようですね。

強い経済指標の発表を受け、長期金利が上昇し、銀行など金融セクターが上げを主導している一方、配当利回りの高いディフェンシブセクターは軟調に推移しています。

--さてイエレン議長の議会証言が今日も行われている中で、指標がしっかりですね。

はい、特に消費者物価の総合指数は、1年前と比べ2.5%の上昇とおよそ5年ぶりの高水準となりました。確かにインフレ加速の見極めにはもう少しデータが必要ですが、きょう発表の小売売上高でも家電販売の8ヵ月ぶりの増加や、衣料品の力強い販売から、消費意欲の強さも確認できました。トランプ政権下でも消費者心理は衰えておらず、今後も物価上昇が継続する材料となりそうです。

(フリップ)
--昨日は3月利上げの可能性が市場でも話題でしたが、実際はどうでしょうか。
指標などを受け、市場の3月の利上げ予想確率は、一昨日13日の30%から、今日15日は42%まで上昇しました。ただ3月の会合(FOMC)はオランダの総選挙と日程が重なるうえ、4月にはフランスの大統領選を控えていることもあり、ヨーロッパのリスクを加味すると動きづらいタイミングと言えそうです。
 

【NY証券取引所中継】米株価下落も“警戒中”
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--株価強いですね。

強い経済指標の発表を受けて、長期金利が上昇し、銀行など金融セクターが上げを主導した一方、配当利回りが高いディフェンシブセクターは軟調に推移しました。

--ご覧のように連日の高値更新なんですが、頭の片隅にどこか不安を感じる相場ですよね。

確かに企業の決算発表は良好な内容でしたし、経済指標も堅調です。この意味では株価上昇は不思議ではありません。一方で、ブルームバーグによると、ニュースの中に含まれる「Uncertainty(不確実性)」という単語の数が過去最高水準を上回りました。これは株価の上値を抑える要因になりえます。

--ですよね。それで結局どう理解したらいいんでしょうかね。

今の相場を理解するのに、スキュー指数が有効かもしれません。
(フリップ1:「予期できない危機」への警戒↑)
このスキュー指数というのは、株価下落を予想するオプション取引が増えると上昇し、ブラックスワンやテールリスクと呼ばれる予測できない危機に対する警戒感を表す指数です。昨年のブレグジットや大統領選挙の際にも上昇しましたが、現在も高水準で推移しています。

--でも、だとしたら株価は下落しそうですよね。

一方市場の不安心理を示すいわゆるVIX指数もブレグジットや大統領選挙の時は上昇していました。ただこの指数は株価上昇時には低位安定し、今がまさしくその状態で、市もとでこの2つの指数がかい離しています。アメリカの景気への安心感から、順調に株価が上昇する一方、予測できない万が一のリスクに備えたヘッジ目的の取引が増加し、一部投資家が突発的な株価下落を警戒していると言えます。

 
【為替見通し】注目ポイントは「通貨オプションの需給環境」
解説はソシエテジェネラル銀行の鈴木恭輔氏

--まずNY市場を振り返っていかがでしたか。

昨日はアメリカの物価・小売売上高の強い結果を受けまして、ドル円は114円95銭まで上昇しました。しかし前日からの上げ幅が大きいこともありまして、投機勢による利益確定売りの圧力が強く、現在は114円前半での推移となっています。

--今日の予想レンジは、113.70~114.80円です。

目立った材料はありませんが、来週月曜日はアメリカが休日となりますから、週末に向けては、引き続き短期的なポジション調整が進みやすい地合いと考えられます。ドル円相場は上値の重い展開が続くとみています。

--注目ポイントは「通貨オプションの需給環境」です。

(フリップ1:市場の目線は今後3ヵ月間、円高)
このチャートはドル円の通貨オプション市場における1ヵ月物と3ヵ月物の需給環境を示すものです。5月にフランス大統領選挙の決選投票が控えていて、ヨーロッパの政治リスクに対する警戒感が高い。この棒グラフが下に伸びますと、3ヵ月物の円コールオプション、3ヵ月先に円を買う権利の需要が1ヵ月先のものに比べて多いことを示しています。つまり足下では市場参加者の今後3ヵ月間のドル円相場の見方は、円高目線ということになってしまいます。ドル円の上昇期待感は弱いということがここからは分かります。3ヵ月先の5月なんですが、フランス大統領選挙の決選投票が控えていますので、欧州の政治リスクに対しての警戒感が依然として高いと整理できます。足下では確かにドル高優勢の時代なんですが、ドル円の通貨オプションの需給を鑑みますと、ドル円相場が120円の大台に向けて、本格的に上昇を始めるタイミングは今年半ば頃になるのではと見ています。

【日本株見通し】注目ポイントは「世界需要の回復」
解説は大和証券の石黒英之氏

--今日の予想レンジは、19350円~19550円です。

トランプ大統領の税制を受けて、NYダウが連日最高値更新となっているんですけれども、日本株に関しては円安一服の動きが重しになるというふうにみてますので、このところ上値抵抗になっている19500円どころを超えられるかどうかというのが焦点になると思います。

--注目ポイントは「世界需要の回復」です。

(フリップ1:株高が景況感改善を後押し)
アメリカの大統領選後から始まった世界的な株高によって、世界の株式の時価総額というのは4兆ドル程度増えています。世界の家計の保有比率というのが25%程度ということを考えますと、1兆ドルの資産増加の効果が家計にもたらされている計算となります。こうした資産効果が景況感の改善につながって、世界の需要の回復を後押ししているというふうに思います。

--その需要回復というのは、具体的にどんなところに出ているのでしょうか。

(フリップ2:世界の需要は回復へ)
世界需要の動向の先行指標の側面があります北米の半導体製造装置受注と工作機械受注の動向を見てみますと、工作機械受注がようやく回復基調に入り始めたほか、半導体製造装置受注については伸び率が急拡大していまして、世界の需要が回復していることを裏付けています。半導体や機械、自動車といった景気敏感業種が日本株全体に占める比率というのは約60%程度ですね。アメリカ株の45%や欧州株の35%に対して高いですから、こうした世界需要の回復局面では、日本株に資金が向かいやすいというふうに見ています。
 

■【プロの眼】「トランプラリーと新興国投資」
トランプ政権誕生後、株価が上がり、ドルの水準調整がなされるなど効果が見られた一方、新興国のボラティリティは急速に上昇し、リスクが顕在化しやすくなっている。米国の金利上昇は通常、新興国にとってはネガティブに動く要因になるが、今は国ごとに差がある。売られているのはトルコリラと、メキシコペソで逆に残りはしっかりという推移が確認できる。新興国のしっかりした為替の背景は、実質政策金利が安定して上昇していることにある。こうしたロジックで語れないのはメキシコペソだけで、メキシコは実際に保護政策などで影響を受け、ソブリンリスクが高まっていると言える。この先の新興国リスクをどう読めばよいのか?トランプ政策を読み難い中では、より影響を受けないであろうと考えられる国に投資をシフトさせることがあげられる。解説はBNPパリバ証券の中空麻奈氏。

--トランプ政権の誕生後、トランプラリーという効果がありましたが、気になるのが新興国への影響、これをどうご覧になってますか。

(フリップ1:新興国のボラティリティ急上昇)
「株が上がったり、ドルの水準調整がされたりして、だいぶ良くなったなという印象があったんですが、新興国だけは素直に動いてしまって、ボラティリティが上がってきた。」

--そうですね。国債や社債の変動が荒くなっているということですね。具体的にはどういったところに注目すればいいでしょうか。

「そうですね。普通はアメリカの金利が今から上がりますし、上昇局面にあるので、新興国というのは一様に売られやすくなっているんですね。」
(フリップ2:新興国の通貨に差)
「ところが今回見てみますと、新興国の中でも差があります。バラツキがあります。トルコリラとかメキシコというのは、確かにいつも通り売られたんですね。だけどインドルピー以下(インド・ブラジル・ロシア)は割としっかりと動いているんです。なので『差があります』というのが、見ていただきたい点ですね。」

--その差は何でしょうか。

「これは何で起きたのかと考えると、売られたところは、結局、金利が上げられなかったところ。そしてインドルピー以下は金利をきちんと上げてきたところなんですね。なので今は金利を上げられたか上げられていないかで差がついてきています。」

--要するに利上げによって通貨防衛ができたというふうにも見とれるわけですね。

「そうですね、そういうことだと思ってます。」

--でもメキシコに関しては違うんですね。

「そうです。唯一このストーリーに合わないのがメキシコペソでして、メキシコだけは素直にトランプが言ったことですね。国境のところで部品を作ってまたアメリカに返すというビジネスモデルでメキシコは成り立っていたわけですが、25%の関税をかけて壁を作りますなんて言うものですから、これはメキシコには大打撃なんじゃないかということで通貨が売られました。」

(フリップ3:メキシコ経済のリスク高まる)
「売られたのでメキシコは外貨準備を使って為替介入をしたんですね。結果どんどん外貨準備が下がってきました、というのが現状です。」

--となると新興国の今のリスクというのは、アメリカの利上げというものと、トランプ大統領の政策、この2つによって操作されているというか、影響を受ける・・・。

(フリップ4:トランプ政策の影響少ない国に投資シフト?)
《左からロシア、ブラジル、インドネシア、インド、ペルー、コロンビア、ポーランド、中国、フィリピン、トルコ、南アフリカ、メキシコの並び》
《棒グラフの項目:上から(青)政策金利(赤)クレジット(緑)経常収支(オレンジ)貿易高(水色)米国への輸出額》
《折れ線グラフ(赤):脆弱性スコア》

「いま現状はどうだと思っているんですね。もちろんそこに中国の需要がどうだとか、それから原油価格がどう動くかとか、こういったことも考えなきゃいけなんですが、先ほど言っていただいた2つの点、『トランプ政策がどうなのか、保護貿易はどうなるか』ということと、『金利がどう関係するか』ということを使って、5項目に分解して弱い順に並べたのがこの表なんです。そうするとメキシコとか、右側のほうほど弱くなっていて、左側(ロシア、ブラジル、インドネシア9は強くなるというような話になってきます。」

--となると投資の資金を避難させるという上では、左側のほうが今となってはより良いということですね。

「そうですね。トランプの保護貿易というのは怪しいぞ。怖いかもしれない。そしてアメリカの金利が上がりますよ。じゃあ新興国は売られますか、というと一様じゃないというのが今回のポイントなので、出来るだけ左側サイド(インドネシアとかインド)で、お金を逃げ場として置いておいていただくと安全なんじゃないでしょうか、と考えてます。」
 
 
■【ワードバンク】予算教書
トランプ大統領の政策は実現するのでしょうか?その実現性を確認する上で重要になるのが「予算教書」といわれ、トランプ相場はこの「予算教書」をきかっけに実行力を問われるステージに移行すると言われ注目されています。「予算教書」はアメリカ大統領が念い1回、翌年度の予算について議会に提示するもの。予算案を出したり編成できる権限は議会にあるので、「予算教書」は大統領から議会への予算のリクエストや参考資料程度のものといいます。
(森田キャスター、佐々木キャスター)
 
(フリップ1:予算教書)
--(森田) アメリカ大統領が年に一回翌年度の予算について議会に提示します。教書とは、合衆国憲法により、大統領が議会に対して口頭ないしは文書で行う報告・勧告のことです。予算案を実施に出したり、編成できる権限というのは議会にありますので、予算教書というのは大統領から議会への予算のリクエスト、参考資料程度のものとなります。
 

--(佐々木) 参考資料と言いましても今トランプ氏はやろうとしている減税政策やインフラ投資がどういった規模になるのかといったことがある程度見えてくるということで、今注目を集めていますね。
 
(フリップ2:3大教書)
--(森田) そうなんです。予算について最初に具体化、見えてくるということ、それを大統領が出すということで、注目されているんですね。ちなみにコチラは一般教書、大統領経済報告、そして予算教書、この2つが3大教書と呼ばれています。
 

(フリップ3:予算教書一式)
--(森田) こちらがオバマ政権時代の2015年度の予算教書です。
予算教書には財政収支の見通し(10年分)
経済の見通し(10年分)
GDP成長率
失業率
消費者物価
10年債利回りなどが書かれている。



(フリップ4:行政管理予算局)
--(森田) 行政管理予算局(OMB)で作成されて、議会に提出される。OMBはワシントンハウスの斜向かいにあるニュー・エグゼクティブ・オフィス・ビルの中にあり、およそ500人のスタッフが1年かけて作ると言われている。
そのトランプ大統領の予算教書、一体いつになるんでしょうか。

《みずほ総研/安井明彦氏》
「予算教書は普通2月に出すということになってますが、新しい大統領の場合は、2月には予算教書のようなもの(ちょっと薄めのもの)を出して、全体の方針をまず軽く出します。どうしてかと言いますと、膨大なものをそんなにすぐにはできない。」
 
--(森田) オバマ大統領の1期目に予算教書の暫定版(骨子)が出されたのは2月26日。そして詳細版の予算教書が出されたのは5月11日。トランプ大統領の場合、暫定版も出るのか怪しいという。

《みずほ総研/安井明彦氏》
「トランプさんの場合には、この”暫定版”の作業も遅れているから、これすら出ないんじゃないかとか、これもかなり遅れるんじゃないか、というような言われ方がしています。ですから大統領令か何かで、予算は出さないけれども、こういう方針でやりましょう、と言うとかですね。あとは減税の部分だけ打ち上げるとか、いろんなことが言われてます。」
 
(フリップ:今後のスケジュール)
--(森田) コチラが安井さんが考える今後のスケジュールです。予算教書が出ると、本来は話の中心は議会に移って議会の審議になるんですけれども、アメリカの会計年度というのは10月スタートなので、最悪でも9月末までに決まればいいというふうにも考えられます。

--(佐々木) 議会のほうは上下両院とも共和党が多数を占めていますから、ねじれがない分、通りやすいと言えませんか。

--(森田) そうですね。その部分の例年と違うかもしれないということで、アメリカ議会の予算編成に詳しい中林さんに聞いてきました。

《早稲田大学/中林美恵子准教授》(連邦公務員としてアメリカ連邦議会上院予算委員会の共和党側で、1993年からおよそ10年間アメリカの予算編成に携わっていた。)
「あまりにも共和党、共和党で走りすぎてしまった場合に、2年後の中間選挙で、国民がかなり行き過ぎたと思った場合は、もしかしたら例えば、下院の議員は全員が改選ですから、民主党側に行ってしまうかも知れない。(2年後の選挙を見据えた場合は)やっぱり民主党の人達と妥協しながらやっていくということも本当は必要なんですよね。」

--(森田) そこで議会との関係を取り持つキーパーソンがいるという。
 
《早稲田大学/中林美恵子准教授》
「希望が持てるのは、インディアナ州知事だったペンス副大統領が、もともと下院議員だったという点ですね。特に重鎮の人たちとはしょちゅう連絡を取る役割をしていたので、下院に限らず、上院の重鎮とも連絡を既に取り合っていましたから、予算編成関係ではかなりカギになります。本当にトランプ大統領が共和党のリーダーになれるのか。意思疎通ができるかが問われているし、その結果出てくるのがおそらく今回の大統領の予算教書になると思います。」

--(森田) 同じ共和党内にも今回は反発の可能性がありますから、今まで以上にこの予算教書を出す前の事前のすり合わせというのが重要ということですね。
 
--(佐々木) いずれにしても28日前後、重要ですね。
 
 

■日経朝特急

節電仲介、原発1基分
猛暑など電力需要のピーク時に節電に協力する企業をあらかじめ募り、需要を抑え込む仕組みが動き出す。新たに動き出すのは、節電協力を約束した企業や家庭に、見返りのお金を支払うメガワット取引と呼ばれる仕組みだ。これにより大手電力はピーク時に備えた設備投資を減らせる。政府は2030年度までにピーク需要の6%抑制を目指す。


主力行、半導体分離迫る
東芝問題。みずほ銀行など主力取引銀行は、東芝に対し3月末まで融資を継続することを決めた。ただ統治不全などを巡る銀行側の不信感は根強く、2017年度以降の支援は白紙だ。こうした中、きのう東芝株は急落し、終値で9%安。また格付投資情報センターは東芝の格付けをシングルBへ3段階引き下げた。債務の返済能力に問題があり、絶えず注意する必要があるという位置づけになる。


・ 東芝問題について

--中空さんは社債などクレジットの専門家ですけれども、この東芝問題、今後のポイントどうでしょうか。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
「ひとまず、3月末まではお金が回るということなので、流動性があるとそれはデフォルトリスクは回避されていることになるんですね。次のポイントは2つありまして、1つは、そうは言ってもまだ債務超過になるかもしれない、過小資本かもしれないという、かなり悪い財務状況なので、ここをどこまで回復できるか、ということが1点。そしてもう1点は、これから2年間ぐらいは生きられるよね、ということをまず確保した上で、その間にどうやって次のお金を稼ぐかということを道筋をたてることですね。その2つがとても重要になってきます。」

 
為替水準に異例の言及
麻生副総理兼財務大臣は、きのう国会で「円相場はまだ120円にいっていない。円安と言われる覚えはない」と述べた。麻生大臣は2008年秋の金融危機前の水準として、120円を円安のひとつの目安としているようだが、為替水準に言及するのは異例だ。G20の為替政策に関するルールから逸脱したと受け取られる可能性が高いと記事は指摘する。
 

■日刊モーサテジャーナル

米フリンの鋼鉄でトランプ政権は危機に?
トランプ大統領が安全保障政策を担当するフリン大統領補佐官を更迭した問題について、米国紙は事態は収拾に向かうどころか、多くの疑問が残ると批判している。
ニューヨークタイムズは、「フリン氏への信用はなくなったと距離を置くトランプ大統領が、本当はフリンのウソについていつどこで知ったのか、どのくらい問題を放置していたか、こそが今後の焦点になる。」、と指摘。
またワシントンポストは、「ロシアが大統領選に介入したという報告がある中、ロシアとの疑わしい関係に再び焦点が当たり、ホワイトハウスは危機的情報だ。」、と報じている。
一方、ニューヨークポストは、「この件の第一報が政府職員によるワシントンポストなどへのリークだったことを問題視。就任以来、実に7つもの大きなリークがあった。」と指摘し、こっちのほうが本当の問題と、トランプ大統領を擁護している。
またウォールストリートジャーナルも社説で、「諜報機関の誰かがトランプ政権の仕返しとしてリークしているなら、これは官僚の反乱であり、安全保障上、大きな問題だ。」、と懸念している。


ソフトバンクの買収「巨大な投資会社への野心」
ソフトバンクグループがアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」を33億ドル( 約3770億円)で買収すると発表したことについて、アメリカの新聞は「巨大な投資会社の誕生だ」と驚きをもって伝えている。
ニューヨークタイムズは、「ソフトバンクはテクノロジーや携帯電話で知られているが、そういったビジネスモデルから大きく飛躍して、世界の民間投資ファンドを脅かす投資会社になりつつある。」、と解説。「孫社長の壮大な野心をあらためて示す買収で、今まで一番予想できなかった動きだ」、と伝えている。
一方、ウォールストリートジャーナルは、「世界でも有数の資産マネージャーになるという孫社長の長期的な計画に沿った買収だ。」、と評価している。


米ゴールドマンサックス株、全盛期の水準に
米金融大手ゴールドマンサックスの株価の推移、14日に金融危機前の水準を回復した。記事は、「ゴールドマンサックスが全盛期を取り戻した」という見出しで、「銀行株がブームになるのでは」、と報じている。この背景として、記事は、「FRBの利上げや規制緩和のほか、アメリカの銀行が利益を生みやすい体質になってきている。」、と分析。過去数年間、部門や人員の削減に加えて、IT投資を進めてきたことから、無駄なコストをなくして、経営の効率化に成功したとの見方を示している。
 

・ 「米ゴールドマンサックス株、全盛期の水準に」について

--歴史は繰り返すというか、また金融の黄金期が来るのでしょうか。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
「そこまで思っていないですが、ただ足下、金融制度改革がアメリカで行われる。トランプ大統領は2月3日に大統領令にサインをしていて、ここから金融制度改革を見直そうという動きが活発です。何をするかというと、これまで厳しすぎたので、貸し出しが伸びなかった。そういうことを反省しているので、そこに対して、どんどん貸し出しが伸びるように、緩和しようとしています。とりわけ自己勘定というところで利益を上げてきたことが非難されていましたので、それをやめなさいという方向に行くとすると、アメリカの金融機関は収益を上げやすい。それを評価すると金融株の上昇につながるという話かなと思います。」

--これは世界でも金融規制という話がありますけれども、そこにも波及するでしょうか。

「いや、本来はバーゼル3というのが下敷きになっていて、制度というのはいろんなところでできているので、あんまりアメリカが緩和したから、みんな緩和しますよというのはおかしいんですね。ところがアメリカだけ緩和して、やっぱり楽になって収益が上がってくると、他の国にとっては競争が阻害されるということになるので、緩和はもしかしたら進んでしまうかもしれません。」
 

■今日の予定

G20外相会合(ドイツ・ボン~17日)
ECB理事会議事要旨(1月分)
米1月住宅着工件数
米2月フィラディルフィア連銀景気指数


■ニュース

トランプ・ネタニヤフ初会談 「2国家共存にこだわらない」
アメリカのトランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と15日初めて会談し、イスラエルとパレスチナの和平について「2国家共存にこだわらない」と述べ、歴代政権の方針を転換することを明らかにしました。(トランプ大統領)「『2国家共存』でも『1国家』でも双方が望む形で構わない。私はどちらでもいい」トランプ大統領はこのように、和平交渉の土台である、「イスラエルとパレスチナが2つの国として共存する」との原則にはこだわらない考えを示しました。独立国家の樹立を目指すパレスチナ側の反発は必至です。また、トランプ大統領は、パレスチナが反対しているアメリカ大使館のエルサレム移転にも重ねて意欲を示しました。一方、入植地の拡大については「少し差し控えてほしい」とイスラエルに自制を求めました。
 

米 消費者物価 4年ぶり大幅伸び
アメリカの1月の消費者物価指数は、エネルギー価格の上昇に牽引され、前の月から0.6%のプラスとなりおよそ4年ぶりの大幅な伸びを記録しました。市場予想も上回りました。内訳をみると、エネルギーが4%のプラスとなったほか、食料品は0.1%上昇とほぼ横ばいでした。また、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数も、0.3%のプラスと上昇を続けています。
 

米 小売売上高 予想上回る↑
アメリカの消費は堅調に拡大しています。1月の小売売上高は前の月から0.4%増加し、市場予想を上回りました。12月の値も、0.6%プラスから1%に上方修正されています。内訳を見ると、自動車が1.4%のマイナスとなった一方で、ガソリンスタンドや外食など幅広く売り上げが増加しました。変動の激しい自動車を除くと0.8%のプラスでした。
(内訳):自動車↓1.4%、ガソリンスタンド↑2.3%、外食↑1.4%、自動車除く↑0.8%。


米 鉱工業生産 ↓0.3%
アメリカの1月の鉱工業生産指数は、前の月に比べ0.3%低下し、市場予想を下回りました。暖冬の影響で電力やガスの需要が振るわず、「公益」が5.7%の大幅なマイナスに転じました。一方、「鉱業」(↑2.8%)が回復したほか「製造業」(↑0.2%)も2ヵ月連続で上昇しました。ドル高による悪影響はこれまでのところ限定的と言えそうです。
 

金正男氏殺害 ベトナム旅券所持の女逮捕
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の兄・金正男氏が、マレーシアの空港で殺害された事件で、現地の警察は、ベトナム国籍のパスポートを所持していた女1人を逮捕しました。逮捕されたのは、13日に金正男氏が殺害されたとみられる時間帯の直後に空港内の防犯カメラに写っていた女で、きのう、空港内をうろついていたところを警察に逮捕されました。現地メディアによりますと、女は当初、金正男氏に何か液体を浴びせたと供述しましたが、その後は一転否認しているということです。現地の警察は、実行犯のもう一人の女と事件に関与したとみられる男4人の行方を追っています。一方、金正男氏の遺体が安置されている病院をマレーシア駐在の北朝鮮大使が訪れ、遺体の即時引き渡しを要求しましたが、マレーシア側は拒否したということです。
 

東芝 半導体売却先送り
アメリカの原発事業を巡る損失で、経営再建中の東芝は、分社化する半導体事業の株式売却時期を、4月以降に先送りする方針を固めたことがわかりました。株式をより高値で売却することで、財務状況を改善する狙いがあります。ただ、これにより3月の期末時点では、債務超過を解消できず、東京証券取引所のルールにより、東芝株が1部から2部に降格される可能性が高まっています。
 

自動車労組 ベア3,000円要求
自動車大手各社の労組は、経営側に対して春闘の要求書を提出しベースアップに相当する賃金改善分として去年と同じ月額3,000円を求めました。各社足並みを揃えた形でベアの要求は4年連続です。経営側も賃上げを前向きに検討する構えですが、中国経済が減速するなか欧米では保護主義的な動きが広まるなど経営環境は悪化していて、どこまでベアに応じるかが焦点となります。
 

安倍総理 「トランプ氏は日本の金融政策理解」
安倍総理大臣は参議院本会議で、日米首脳会談の中でトランプ大統領から日本の金融政策に関し、「為替操作ではなく、デフレ脱却を目的とする日本の金融緩和の必要性について理解を得られた」と強調しました。その上で、為替問題については「日米の財務大臣の間で緊密な議論を継続させることになっている」と述べました。
 

労働長官候補が指名辞退
AP通信によりますと、トランプ大統領が労働長官に指名したアンディー・パズダー氏が指名を辞退しました。パズダー氏はファストフード大手CKEレストランツのCEOで労働組合などから強い反対意見が出ていました。
 

双子男児虐待の疑いで男逮捕
7歳の双子の兄弟を投げ飛ばし、前歯を折るなどしたとして、警視庁は子供の母親と交際していた男を傷害と暴行の疑いで逮捕しました。逮捕されたのは元トレーニングジム従業員友弘修司容疑者35歳で、おととし11月、東京・府中市の自宅前で当時7歳の双子の兄弟を投げ飛ばした疑いが持たれています。友弘容疑者は子供2人を投げ、その際、弟は植え込みの杭で前歯を折るなどのケガをしました。この事件のおよそ半年後にも双子の兄が、友弘容疑者と一緒にいるときに、意識不明の状態で救急搬送されていることから、警視庁は他にも虐待を行っていた可能性があるとみて、慎重に調べを進めています。
 

カネボウ白斑訴訟で和解
美白成分「ロドデノール」が入った化粧品が原因で肌がまだらに白くなる白斑が残ったとして神奈川県などに住む女性17人がカネボウ化粧品に総額およそ3億7,000万円の賠償を求めて横浜地裁に訴えた裁判で和解が成立しました。解決金の額について弁護団は会見で「明らかにできないが補償として評価できる水準」と述べました。
 

小売り大手と会談 トランプ氏 税制改革に意欲
トランプ大統領は小売大手の幹部と会談し、法人税や所得税の大幅な引き下げの実現に意欲を示しました。(トランプ大統領)「税制改革はアメリカ経済にとって絶好のチャンスになる」トランプ大統領は月内にも税制改革の具体策を発表する意向を示しています。なお、会談には小売大手のターゲットや衣料品のギャップなど8社が参加し国境税に反対している企業もいましたが、会談の中で言及はありませんでした。
 

■【コメンテーター】BNPパリバ証券/中空麻奈氏

・ 好調な米国景気・力強さは?

--アメリカは物価も小売りもしっかり、それから製造業も良くなってきてますね。

「本当にそうですね。特にアメリカの製造業はこのところずっとリストラをしていたんですが、去年の秋ぐらいからどんどん良くなっていて、なのでフィラデルフィア連銀なんかの統計を見ていても、設備投資をどんどんしましょうという動きが進んでいますね。なのでもう少しバブル気味な状況が続くのではないかと思っています。」

--その力強さというのがどこまで強くなるか、ですよね。

「本当にそうですね。本来はそんなにアメリカの潜在成長率は高くないと私は思っているんです。なので今の状況というのは、若干バブル気味だなというふうな気はします。ただ政策も含めて、うまく数字も出てきているので、しばらくの好調さは維持できるのだろうとは思っています。」


・ 今日の経済視点 「強気相場の間に“ファンダメンタルズ”重視で選別」

「今日のプロの眼でもありましたけれども、新興国の一緒じゃないと選んでおきましょうということが大事だと思っていて、私はクレジットアナリストというちょっと暗いところがあるので、強気相場はそんなに長くないと思ってるんですね。1年ぐらいかなと思っているので、この1年の間にやることはファンダメンタルズのいいものを選びましょう。例えば、レバレッジが高くない業種を選んでおくとか、先ほどの新興国での国を選んでおくとか、そんなことを考えています。」

--その見極めるポイントというのが実は難しいんですよね。

「そうですね。ただ格付けがいいとか、それだけではなくて、例えば今は収益と債務のバランスがいいとか、レバレッジ比率が高くなく借金が多くないとか、そういうようなことを中心に選んでいくといいんじゃないでしょうか。あとはトランプさんがどんな政策を出して来るかによって、下駄をはくセクターが出ますよね。そういう下駄をはくセクターがどれなのかとか、さっきの金融株みたいなもんです。あれをいかに見極めるかです。」
 

2017.2.15 Newsモーニングサテライト

2017年02月15日 18時27分28秒 | MS
■マーケット

NY株 4日連続で最高値
3月利上げが急速に意識され金利やドルが急上昇。6月利上げを予想していた市場は戸惑いを隠せず、FRBのイエレン議長の発言直後は株価も方向感を失いました。注目の議会証言でイエレン議長は「今後の会合で」という言葉を使い3月の会合でも動くことは可能だとの考えをほのめかしました。これを受け金利が上昇、ドルも買われ、一時ほぼ2週間ぶりとなる114円40銭台までドル高円安が進みました。株価は午前中こそ方向感に苦しんだものの中小企業の景況感や生産者物価の改善などもあり午後に入って上げ幅を拡大です。ニューヨークの株価終値です。ダウが4日続伸92ドル高、2万504ドル。ナスダックが6日続伸18ポイント上昇、5,782。S&P500も6日続伸9ポイントプラスの2,337でした。

【NY証券取引所中継】米中小企業 引き続き楽観的
解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏

--午後上げ幅拡大しましたね。

そうでしたね。本日、注目されたイエレンFRB議長の発言において、利上げに関して前向きであると捉えられたことで、取引前半は軟調に推移しました。しかしながらトランプ政権による税制改革期待は根強く、取引後半にかけて買い戻されています。

--さてきょう発表の中小企業楽観指数はどういう評価でしょうか。

105.9と前月から微増で、市場予想の105も上回り高水準を維持しています。前月が1980年7月以来の上昇率となる大幅な改善だったため、その反動が心配されましたが、トランプ大統領就任後も楽観的な見方は継続しています。

--高水準をキープしている理由は何なんでしょうか。

中身を見ますと、期待先行だけではない印象です。特に雇用を増やすとの回答率の上昇が継続していて、約10年ぶりの高水準となりました。

《1月中小企業楽観視数》
雇用増を計画 18%(前月比プラス2ポイント)
➡10年ぶりの高首位準

中小企業は大企業に比べて、資金力や事業規模など体力が劣り、雇用増加による収益変動リスクが相対的に高いため、雇用には慎重になりがちなので、トランプ政権の政策思考能力に対する信頼度が高まっていることの表れと考えています。


【NY証券取引所中継】原油価格の行方はサウジ次第
解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏

--歴史的な原油減産合意でも、価格の上値は重いですね。



(フリップ1:念後半は供給過剰懸念で上値重く)
はい、OPECの減産量が明らかになる中、年前半での需給均衡が見えてきた一方で、年後半には再び供給過剰の懸念が台頭する恐れがあり、上値を重くしています。





(フリップ2:アメリカ増産分がOPEC減産分を相殺か)
足下の掘削リグや生産がすぐ再開できる未完成の井戸の増加状況を見ると、アメリカの増産分がOPECの減産分の多くを相殺してしまう勢いです。

--この状況でこの先どんな点に注目ですか。

5月末のOPEC総会でアメリカの増産に対し、サウジアラビアなどがどう反応するかが注目です。

(フリップ3:積極的減産でアメリカに抜かれる可能性も)
去年の減産ではサウジは、生産シェアよりも価格の維持を優先しました。ただ今後自ら積極的に減産をしてしまうと、アメリカの原油生産量を抜かれ、ロシアと肩を並べてきた首位争いから脱落することになってしまいます。この先サウジがシェアの減少をどこまで許容するのかがポイントです。

--サウジとしては簡単に方針転換はできないんですか。

はい、今回、サウジは非加盟国も巻き込んで減産にかじを切り、OPECに対する信頼感を取り戻し、価格安定に対してもうまく立ち振る舞ってきました。しかしここでサウジがシェア重視に転換してしまったら、これまでの努力が台無しです。少なくとも今年後半から来年とみられる国営石油会社のアラムコ上場までは価格を優先する可能性が高いと見ています。


【為替見通し】注目ポイントは「日本の期待インフレとドル調達コスト」
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏
 
--イエレン議長の議会証言を受けて、ドル高が進みましたね。

そうですね、昨晩のニューヨーク市場では、113円40銭辺りから114円半ばまで上昇したんですが、ちょっと失速して戻ってきました。

--今日の予想レンジは、113.50~114.80円です。

今日もイエレン議長の議会証言を控えているんですが、夜間にアメリカの消費者物価指数や小売売上高などの指標が控えています。予想より多少強ければ、ドル円が強含む場面もあると思うんですが、基本的には方向感は出にくいとみています。

--注目ポイントは「日本の期待インフレとドル調達コスト」 です。

(フリップ1:期待インフレ停滞で円安進まず)
アメリカの大統領選後、ドル高と日本の物価上昇への期待感の上昇が円安に効いていたという側面もあったんですが、これはOPEC減産合意によるエネルギー価格上昇期待とか、あとはドル高といった外的要因だったんですね。ただ年明け以降は日本の物価上昇期待が剥落しておりまして、円安がちょっと一服しているという動きになっています。

--実質金利の低下は一服している。そしてドルの調達コストという面で見るとどうでしょうか。

(フリップ2:ドル調達コストは低下)
資金市場におけるドルの調達コスト上昇が、為替市場でもドル高に作用していたというふうに考えられるんですが、ご覧の通りこのグラフは、上に行けば行くほどドルの調達コストが低下しているということなんですけれども、こういう状況ですと、為替市場でのドル買い圧力も和らいでくる。この2つが揃ってドル高円安にちょっと今進みにくい時間帯かなというふうに見ています。

--今後はどうですか。

今後、しばらくは、いろんなトランプ政権の政策待ちというところもあるんですが、去年11月と比べると、ちょっと状況は落ち着いてくると思いますので、ドル高円安の去年秋の材料というのは、若干影を潜めた状態が続くかなというふうに予想しています。

【日本株見通し】注目ポイントは「金利動向」
解説はSMBC信託銀行プレスティアの山口真弘氏

--今日の予想レンジは、19300~19600円です。

本日の日本株市場は上昇して寄り付くと思っています。ただFRBは想定より利上げに前向きという解釈が広がりましたけれども、市場の見方は引き続き6月利上げが基本線となりそうです。ドル円の上昇が一服するほか、本邦企業の決算発表の延期などが重しとなると思われますので、上昇して寄り付いた後は上値の重い展開になると思っています。

--注目ポイントは「金利動向」です。

(フリップ1:米独10年債金利差、2%上回る)
アメリカとドイツの10年国債利回り格差が2%を上回る水準まで拡大しています。これは1989年以降で最も広い水準です。アメリカ国債の魅力は相対的に高まり、投資家の買い意欲は増しており、アメリカの国債利回りの上昇が抑制されているというように感じられます。これは日本株にとってはプラス・マイナス両面あるというように思います。金利上昇が抑えられる中で、アメリカの新政権の経済対策や税制改革に対する期待が高まり、アメリカ株は過去最高値を更新中。投資家心理の改善は日本株にも追い風というように思われます。

(フリップ2:日経平均、狭いレンジ推移続く)
ただ一方で、日米金利差が拡大しにくくなるということは、ドル円の上昇による日本株の押上圧力が強まりにくいというマイナス面があるということも意味します。日経平均株価はトランプ大統領の言う驚異的な税制改革案が公表されそうな来週後半辺りまでは、19000円台の前半を中心とした狭いレンジでの値動きが続くというように考えています。


■【プロの眼】FRBのバランスシート縮小の影響
FRB高官の「バランスシート縮小」に関する発言が増えています。実際に再投資の停止が行われるとどんな影響が出るのか分析します。解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏。
 
--「FRBのバランスシート縮小の影響」というのがテーマですけれども、今日のイエレン議長の議会証言でも、これに関しては質問がずいぶん出た。つまりかなり意識されているということですね。

「そうですね。FRBが2014年9月に掲げた正常化の原則と計画というものがあるんですが、やはり利上げを始めた後に、どこかで保有資産の縮小も始めるということが明記されているんですね。それで今後、仮にですけれども、トランプ政権の財政拡大によって金利が上がるとすると、債券価格が下落してFRBが損失を抱えていくことになりますから、出口の議論をもう始めておきたいということだと思います。」

--そうですね。早いうちに処理したいという気持ちもあるかもしれませんが、そのプロセスというものは出ているわけですね。

(フリップ1:FRBの保有資産圧縮プロセス)
コチラなんですが、①開始の時期は経済や市場環境次第、②時期・ペースとも市場と対話する、そして③国債のみを想定ということですが、今日はこれに関しては、MBS住宅ローン担保証券なども緩やかに進めるかなという雰囲気でしたね。
「そうですね。『場合によっては』という但し書きはされているんですけれども、基本的には不動産市場への配慮から、国債が前提だと思いますね。」

--そして④再投資は停止から始めるということですね。これであれば市場への影響というのは限られそうですか。どうでしょうか。

(フリップ2:再投資停止の場合)
「そうですね。ただ償還額が来年2018年から結構なペースでしばらく続きますので、これを丸々再投資停止とするだけで、バランスシートは向こう数年で結構な勢いで縮小していってしまいます。」

--この勢いを見るとちょっと影響はあるんですかね。

「そうですね。昨日の会見でも、『予見可能な、秩序だった』ということを言っていましたから、こういう急激な縮小にならないような工夫、そういうことも含めて今後、議論していきたいんだということだと思います。」

--そうは言っても長期金利が上昇するでしょうから、ドル高要因ということになってしまいますか。

(フリップ3:バランスシート拡大で株高)
「そうですね。金利差拡大ということでいけば、ドル高要因なんですけれども、ただこの金融危機以降は結局バランスシートの拡大とアメリカの株高というものが並走してきたんですね。従って今後バランスシートが縮小していくんだとすると、株にはややストレスになってくるということになりますから、為替市場では金利差拡大のドル高と、あとは株安、あるいはアメリカ経済の下押しとなって、利上げがやりにくくなるということで、ドル安円高要素もはらんでいるというふうに考えられます。」

--そうですよね。過去思い出されるのは、バーナンキ議長の発言の時の反応ですね。

(フリップ4:テーパリング(量的緩和縮小)言及で円高)
「そうですね。2013年5月に当時テーパリング(量的緩和縮小)ですね。当時は『バランスシートの拡大をそろそろ止めます』、という発言だったんですが、それだけで当時、長期金利が急上昇しまして、株安とともにドル円相場は103円から93円まで約10円ドル安円高になってます。当時はアメリカの景気拡大からまだ5~6年目というタイミングだったんですが、仮に来年着手するんだとすると、景気拡大から9年目に入っていくというタイミングですので、ちょっとペースなどによっては経済へのネガティブな影響も考慮する必要がありますから、単純に金利差拡大でドル高円安という、そういう材料ではないと見ておいたほうがいいかなと考えています。」

--今日イエレン議長もバランスシートが巨額になったままだったとしても、短期のFF金利のほうが調節、そっちのほうが自信が持てるというふうに話されていました。

「そうですね。長期金利がどうはねるかわからないという怖さがやはりあるんだと思います。」

--ですからやるとしても慎重にということになるんですね。



■【特集】 自分好みの部屋に「DIY型賃貸」とは
人口減少や少子高齢化や影響から今後も増加傾向にある日本の空き家。それを解消するための新しい賃貸契約が今広がりを見せています。それは「DIY型賃貸」と呼ばれるもので、壁にペンキを塗ったり、畳をフローリングにするなど、自由に内装を変えることができる賃貸物件です。改装部分は退去時の原状回復義務が基本免除されているため、空き部屋の入居者増加にもつながるのではと期待されています。
 
人口減少や少子高齢化などの影響で今後も増加傾向にある空き家、解消する一つのきっかけとしてある賃貸住宅が広がりを見せている。キーワードは「Do it your self」。

マンションの一室で大工仕事をする住人の男性、借り主が部屋の内装などを自由に変えることが「DIY型賃貸」という物件。男性は去年8月頃に入居し今年春までには自分好みの部屋に改装予定だという。

実際にDIYで改装された部屋を見せてもらうと、内装や家具はホームセンターで購入、材料費は約30万円ほどだ。水道やガスの配管は業者に委託したが、それ以外はDIYの経験がない約10人が2週間で作り上げた。

築20年の滋賀・大津市のマンション「チュリス石山」、家賃は月5万円だが最寄りの駅まで徒歩30分、5階建てでエレベーターがないという条件の悪さから、現在は半数が空き部屋になっている。しかし「DIY型賃貸」を始めるという情報を出すと、すぐに入居希望者が現れたという。

(フリップ1:入居者の約6割が60代以上)
DIYを売りにした物件は大阪・堺市にも。団地の一室で行われていたのはDIY型賃貸体験講習。46年前に建てられた泉北ニュータウン茶山台団地。入居者に6割が60代以上で入居率も年々低下傾向にある。今回、DIY型賃貸の対象になるのは、21000ある部屋の半数以上の約1万2000戸、公的賃貸住宅では日本初の試みとなる。既に入居済みの部屋に関してもDIYが可能で、木造部分への釘の使用、キッチンへのシートの貼り付けなどができる。またDIYを行った部分は退去時に原則、原状回復の義務もない。

(フリップ2:森田キャスター解説)
貸すほうの立場に立って見てみると、一般的な賃貸の場合は、最初にハウスクリーニングのコストがかかります。例えば30万円だとしましょう。そうするとなかなか入居してもらえないと、この30万円は無駄になってしまうわけですね。それがDIY賃貸の場合は、ハウスクリーニングのコストをかけない代わりに、30万円分の家賃を無料にして、早く入居してもらう。そして借りた人は、その浮いた家賃を使ってDIYを行う。そして気に入れば当然長く住むことになるし、出てからもDIYで新たな価値が加わっていれば、築年数が経っていたり、駅から遠いという条件でも、借りてもらえる可能性が高まるという考え方なんです。


・ DIY型賃貸について

--でもやってらっしゃるのを見ると、かなり手間がかかりますしね。好みがある人はいいかもしれませんけどね。

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「そうですね。あとは外国からの旅行者に長期滞在型の安価な宿に民泊で提供するとかですね。空き家対策としてはいろいろアイディアが出てくると思います。」


■日経朝特急

東芝、債務超過1912億円
東芝は、稼ぎ頭の半導体事業を分社し、過半の株式売却も検討するなど資本増強を急ぐ。


プレミアムフライデー、小売りや銀行2000社超参加
月末の金曜日に早帰りを促し消費を喚起するプレミアムフライデーについて、商品やサービスを提供する企業が2000社を超えたことが分かった。百貨店や飲食店の他、旅行やテーマパークなど幅広い業種に広がっていて、初日の24日に向けて盛り上がりを見せている。


マンション発売、西高東低
1月のマンション市場動向調査によると、近畿圏の新築マンション発売戸数が、首都圏を約26年ぶりに上回った。首都圏の新築マンションはバブル期並みの高値が続き、客離れを起こしつつある一方、近畿圏では郊外のファミリー向け物件を中心に需要が堅調に推移している。


日経ジャスダック平均、25年半ぶり高値
日経ジャスダック平均株価が役25年半ぶりの高値。日経平均株価が心理的な節目の2万円を前に足踏みする中、ジャスダック平均はバブル経済が崩壊した直後の水準を回復。独自のビジネスモデルと技術を持つ企業が指数をけん引した。


■日刊モーサテジャーナル

米フリン大統領補佐官の辞任「ロシアが脅迫」との警告も
トランプ大統領の側近、フリン大統領補佐官が辞任したことについて、米国紙は政権に大きな打撃になると報じている。フリン氏はトランプ政権発足前、ロシア側と経済制裁について協議した可能性が濃厚になっているが、協議はなかったとペンス副大統領などに嘘をついていた疑惑が持たれている。
ワシントンポストによると、ロシアがこれを逆手に取り、安全保障担当であるフリン氏を脅す可能性があるとの見方が一時浮上、ホワイトハウスに警告が出されていたほど事態は深刻だった。
ウォールストリートジャーナルは、「ホワイトハウスの高官が1ヶ月もたたずに辞任したのは異例中の異例だ」、と指摘。発足以来、混乱の続くトランプ政権を象徴している、と伝えている。


「国境税の影響、織り込まれていない」(ウォールストリートジャーナル)
トランプ大統領が驚くべきものと予告した税制改正について、その柱の一つである国境税に対するマーケットの注目が高まっているが、市場はまだ折り込みきれていない、と報じている。記事によると、「国境税を巡っては、輸入品に20%の関税をかける一方、輸出品を税優遇するとの案が有力、国境税の影響により、ドルは他の主要通貨に対して25%上昇し、80年代以来の高値になるという予想も。また原油価格が1バレル65ドルまで急上昇するといった見方も出ている。ここ数年で最大の政策変更とも言われる今回の税制改正。ただ本当に実現できるのか、不透明な部分も残っていることから、投資家はその影響を測りかねている模様だ。


ペソ乱高下、新興国投資に打撃か(ウォールストリートジャーナル)
貿易不均衡などでトランプ大統領から槍玉に挙げられているメキシコ。「実はその悪影響はメキシコ経済だけではなく、新興国経済全体に波及するかもしれない」、という記事。新興国の投資家にとって、広くて深い打撃を与えるかもしれないという。記事は、「メキシコの通貨ペソは流動性が高いうえに、他の新興国の通貨と連動することが多いため、新興国への投資に当たり、リスクヘッジ目的に使われることが多い。」、という。例えば、投資家がブラジルレアルを買って、ブラジル株に投資するときに、同時にペソを売ってリスクをヘッジするという取引が慣習となっている。しかし最近のペソ乱高下で、この役割が果たせなくなっているという。記事は、「アメリカが利上げを進める中、新興国から資金流出が増える新たな要因になるかもしれない」、と懸念している。


・ 「国境税の影響、織り込まれていない」について

--驚くような税制というところですけれども、国境税の影響は本当に読み切れないですよね。

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「そうですね。貿易収支が改善すれば、確かにドル高になるんですけれども、ただドル高になると、今度は輸出競争力が落ちてしまいますし、あとはFRBからしますと、輸入品が安くなりますから、あまり利上げをしなくてもよくなりますので、これはドル高を抑える話にまた戻ってきますから、結局ドルはそんなに堂々巡りで動かないのかなと、こういうことにもなってきますね。」

--本当に影響が読み切れないんですけれども、たぶん28日の議会演説の時ぐらいに出てくるのかなと言われていますけれども、そこまで悶々とした時間が続きそうでね。


■今日の予定

1月訪日外国人数
決算(アサヒ)
米1月消費者物価指数
米1月小売売上高
米FRBイエレン議長下院で議会証言


■ニュース

米 FRB議長 早期利上げに意欲
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が早期利上げに意欲を示しました。14日行った議会証言でイエレン議長は、利上げを先送りした場合のリスクについて改めて言及しました。(FRBイエレン議長)「金融緩和の解除を先送りしすぎるのは賢明ではない。今後の会合で雇用と物価が想定通り推移しているか検証する。想定通りと判断されれば追加利上げが適切だと判断されるだろう」イエレン議長はこのように述べるとともにアメリカ経済は今後も緩やかな拡大を続け、物価は2%の目標に向け緩やかに上昇するだろう、との見通しを示しました。トランプ政権による財政政策については「長期的に見て持続可能な政策を望む」と述べ、過度な財政支出の拡大にくぎを刺しました。
 

米 生産者物価↑0.6% 予想上回る
アメリカの労働省が発表した1月の生産者物価指数は前の月に比べ0.6%上昇し市場予想を上回りました。エネルギーと食品を除いたコア指数は0.4%の上昇でした。項目別でみるとエネルギーが4.7%上昇、食料品は横ばい、貿易は0.9%上がりました。
 

ユーロ圏GDP 下方修正
EU=ヨーロッパ連合の統計局が公表した去年の10月から12月期のユーロ圏GDP=域内総生産の改定値は、前の期に比べプラス0.4%で、速報値から0.1ポイント下方修正されました。国別でみるとドイツとフランスがいずれも0.4%の増加、またイタリアも0.2%増えました。一方、EUから金融支援を受けるギリシャは0.4%のマイナス成長でした。
 

携帯大手TモバイルUS 増収増益
アメリカの携帯電話3位のTモバイルUSが発表した去年10月から12月期の決算は市場予想を上回る増収増益でした。純利益が31%増え、1株利益も市場予想を上回りました。また新規契約件数は前の期から210万人増え、これにより2016年通期は3年連続で800万人を超える純増となりました。

売上高101億7500万ドル(↑23%)
純利益3億9000万ドル(↑31%)
1株利益45セント(予想を上回る)
新規契約件数:10-12月期↑210万人
2016年通期↑817万人(3年連続の純増)


東芝 原発損失7,125億円
経営再建中の東芝はきのう、アメリカでの原発事業で合わせて7,125億円の損失が発生し、去年4月から12月期の連結決算で処理することを発表しました。東芝は去年の12月時点で最終損益がおよそ5,000億円の赤字となっていて、1,912億円の債務超過となりました。損失を穴埋めするために半導体事業のすべての株式の売却も視野に入れていますが、今期末に債務超過を避けられるかは不透明な状況です。志賀重範会長は今日付けで責任をとって辞任するとしています。東芝はまた、きのうに予定されていた決算発表を1ヵ月延期しました。アメリカの原発事業で新たな不正が疑われる内部告発があったためで、調査の結果によってはさらに業績が修正される可能性があります。これをうけ、東芝の株式はきのう一時10パーセント近く下落する場面もありました。
 

残業上限 年720時間に
「働き方改革実現会議」がきのう行われ、時間外労働の上限を年間720時間、月平均で60時間とし、これを超えた場合には罰則を課すという政府案が示されました。ただ、繁忙期に特別に認める上限については労使間で意見の隔たりがあり、明記しませんでした。会議後、連合側は経団連側が許容できるとする繁忙期の上限を月100時間とする考えには反対としました。今後、労使を中心に議論を進め、来月中に働き方改革の実行計画を取りまとめる運びです。
 

三井住友トラストHD 大久保氏が社長昇格へ
三井住友トラスト・ホールディングスは北村邦太郎社長の後任に大久保哲夫副社長が4月1日付で昇格する人事を発表しました。中核子会社の三井住友信託銀行の常陰均社長の後任には橋本勝副社長が就任します。経営陣の若返りをはかり、ガバナンス体制を強化します。
 

中国 消費者物価↑2.5%
中国の1月の消費者物価指数は1年前に比べて2.5%上昇しました。上昇率は去年12月の2.1%から0.4ポイント拡大し、2年8ヵ月ぶりの大きさとなりました。燃料価格の高騰などで交通や通信が値上がりし、旅行も大幅に上昇しました。一方、1月の卸売物価指数は6.9%上昇し、こちらは5年5ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。
 
 
北朝鮮 金正男氏 暗殺か
韓国のメディアなどはきのう、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の母違いの兄である金正男氏がマレーシアで殺害されたと伝えました。ロイター通信がマレーシア警察当局の話として報じたところによりますと、金正男氏はおとといマカオに向かうためマレーシアのクアラルンプール国際空港にいた際、何者かから顔に何か吹きかけられ体調が悪くなり、その後、病院へ搬送中に死亡したということです。韓国メディアは、正男氏が北朝鮮の工作員とみられる2人組の女に毒針で刺されたと伝えていて、マレーシア警察が死因を調べています。中国政府と近い関係にあったとされる正男氏は、正恩氏の政治的地位を脅かす存在とみなされ、殺害されたとの見方も出ていて、殺害が事実であれば中朝関係に影響を与える可能性もあります。
 

都議会 民進党系2会派が合流
7月に控えた東京都議会議員選挙に向けて、都議会ではきのう、2つに分かれていた民進党系会派が合流し、新会派を設立したことを発表しました。会派名には民進党の名称は使わず、新会派「東京改革議員団」とし、小池知事を支持する姿勢を明確にしました。新会派は「都議会民進党」と「民進党都議団」の2会派が合流したことにより、所属議員が18人になり、自民、公明に次ぐ規模となりました。今後は民進党以外の会派にも合流を呼びかけ、小池知事の改革の後押しをしたい考えです。
 

プジョー・シトロエンがオペル統合へ
フランスの自動車大手プジョー・シトロエン・グループが、GM=ゼネラル・モーターズ傘下のドイツのオペルを統合する方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。ロイター通信によりますとプジョー・シトロエン側は「収益性や経営効率の向上に向け、オペルとの統合を含めた多くの戦略的構想をGMと模索している」としています。もし統合すればEU市場でのシェアはおよそ17%に達し、ルノーを抜き2位に浮上します。
 

■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行/内田稔氏

・ イエレンFRB議長議会証言、3月利上げも?

--イエレン議長の議会証言ですけれども、ややタカ派だったというふうに受け止めればいいですか。

「そうですね。1月下旬にもイエレン議長は自分も含めて多くの同僚が2019年までに年2、3回の利上げが可能だということを言ってますので、かなりアメリカ経済は強気ですし、あとはやはりトランプ政権の財政を意識して、多少、利上げを早めたいという意向を持っているかもしれません。」

--となると次回の3月会合も利上げ排除せずということですかね。

「そうですね。ただ3月は債務上限の期限と、あとはオランダ総選挙などもありますので、今はそんなに賃金が上がっているわけでもないですから、3月はちょっと難しいと思っています。」

--となるとやはり会見のある時というふうに、利上げはしたいということだと思いますけれども、限られてきますね。

「やはり6月が最優良候補だと思います。」

--利上げを言い出すと、だいたいマーケットが反応して、足を引っ張るということが今まで続いてきましたが、マーケットを見ますと株価は強いですね。

「そうですね。今は先行きに対する期待が強いので、なかなか利上げ観測がそんなにネガティブにはなっていないですね。」
 

・ 今日の経済視点 「ドナルドトランプ、ザ・ビジネスマン」

「日米首脳会談では、円安が牽制されなかったとか、日銀の政策に批判が出なかったとか、あるいは尖閣が対象になるということで、100%の出来だったというような感じなんですけれども、日本が新たに得たものって特に何も無いんですが、もともとトランプさんの要求が高かっただけに、ものすごく安心しているという状況なんですね。ただこれはビジネスのテクニックで、最初に高い球を出しておいて、あとから現実的な要求に切り替えてくる。まさに今後、麻生財務大臣とペンス副大統領との協議の場で、おそらく現実的要求もいろいろ突きつけられると思いますから、トランプ大統領という側面とともに、ビジネスマンとしてのトランプさんと、今後4年間、日本は付き合っていくということになりますので、いろいろと難しい場面も出てくるだろうなというふうに考えられます。」