私はニッポン放送の携帯情報サイトで、毎週その週に起こったことを中心にコラムを書いています。今週から、一週間遅れで、その記事を公開しています。世の中の流れが速いので、だいぶずれてしまうこともありますが、ご容赦ください。なお、最新版は携帯電話からニッポン放送のサイトに行ってください(こちらは有料です)。
挙国一致体制となったニッポン
14日の参院本会議で、郵政民営化法案が可決・成立した。通常国会では17票差で否決された法案が、34票の大差での可決となった。ほとんど同じ法案を審議して、結論が180度変わったのは、通常国会で郵政民営化法案に反対した自民党議員22人のうち、19人が賛成票を投じたからだ。2人が離党、亀井郁夫議員が採決前に退場した他は、すべての造反議員が賛成に回ったのだ。
衆議院でも同じだった。自民党で郵政民営化法案に反対し、無所属で復活当選した元自民党議員13人のうち、反対票を投じたのは平沼赳夫前経済産業相だけだった(野呂田芳成元農水相は本会議を欠席)。
政治信条をかけて、国民のために郵政民営化法案反対の旗を掲げてきたのに、その旗をあっさり降ろしてしまう。さらに衆議院議員の場合は、郵政民営化法案反対が支持されて当選してきたのに、郵政法案に賛成票を投じるのは、投票した有権者への裏切だ。
それにもかかわらず、彼らが法案に賛成した理由は、現在の選挙制度の下では、政党の力が圧倒的に強いことが明らかになったからだ。小選挙区で当選できるのはたった一人だけだから、政党の力がなければ継続的に当選することは難しい。しかも、仮に当選できても、政党に属していないと選挙資金の面でも、有権者からの陳情を受け付ける面でも、大きな制約を受けてしまう。だから、執行部が強い態度にでてくると、自分の政治信条を曲げてでも、党に媚びを売らざるを得なくなるのだ。
私は造反議員が郵政法案に賛成票を投じたことは許されることではないと思うが、彼らがそういう行動をとった理由もよく分かるのだ。
マスコミは、一斉に造反議員を非難したが、私はマスコミに造反議員を批判する権利があるのか疑問に思っている。彼らの使っている評論家もまた、次々に政権側に寝返っているからだ。
先週、「週刊アサヒ芸能」で、宮崎学氏と植草一秀氏と対談をした。対談の詳しい内容はアサヒ芸能をご覧いただくとして、私を含めた3人の対談が実現するのは、「アサヒ芸能」ならではないかと思う。私を含めたこの3人は、いまでも政府の政策を正面切って批判する絶滅危惧種の評論家だからだ。
実は、私の経済番組、討論番組への出演、そして新聞・雑誌での政策論での執筆機会は、ここ数カ月で大きく減っている。時間的には忙しいままだが、それは「萌え」とか、「おもちゃ」とか政治的に当たり障りのない仕事もしているからで、政府の政策を批判できる機会は大きく減っているのだ。
実は、同じことが4年半前にも起こった。8割を超える小泉内閣の圧倒的支持率の下で、私は自由に書ける媒体を失った。その当時、小泉内閣を批判する記事を載せてくれたのは、アサヒ芸能と東スポくらいだったと思う。現状はそこまでひどくはないが、それに近いような雰囲気が強まっているのも事実だ。
ただ、私は対談で宮崎氏や植草氏と話すまでは、そうした変化は自分だけが感じているものだと思っていたのだが、実はそうではなかった。彼らに聞くと、政府の政策に批判的な多くの評論家たちが同じような目に遭っていたのだ。
その結果、これまで政府を批判してきた多くの評論家が転向してしまったのだ。評論家は権力を批判するのが仕事なのに、その仕事を放棄したのだ。
なぜ彼らが転向したのか。それはおそらく生活のためだ。当たり前の話だが、評論家というのは、評論で食べている。評論する場を奪われると、生活していけないので、これまでの主張を変えざるを得なくなってしまったのだ。
政府が評論家に直接圧力をかけているわけではない。しかし、批判勢力は生き残れない。それは、時代の空気のせいだ。しかし、評論家が一斉に政府支持の論評をはじめると、国民は政府を批判する視点に触れる機会がなくなるから、ますます政府が支持されるようになる。この空気は恐ろしい。その影響は、すでに国会に現れている。
例えば、国会審議に対する国民の関心が一向に高まらないなかで、10月6日に、衆議院憲法調査特別委員会での議論が始まった。この委員会は、4月に最終報告をまとめた衆院憲法調査会の事実上の後継機関であり、憲法改正に必要な国民投票法案の審議を行うことになっている。委員会の設置については、与党だけでなく民主党も賛成した。中山太郎委員長は「現行憲法改正の具体的な手続きについて検討する新たな段階に入った」と述べており、与党と民主党が一緒になって、憲法改正への動きが加速していく可能性が高まっているのだ。
また、「共謀罪」の新設を柱とする組織犯罪処罰法などの改正案が、14日の衆院法務委員会で審議入りした。野党が強く反対しているため、成立は微妙だが。政府は今国会での成立に強い意欲を見せている。共謀罪というのは、懲役4年以上の刑期が定められている犯罪について、犯罪の実行、未遂、準備などの具体的な行動がなくても、共謀があっただけで罪に問えるという法律だ。つまり、仲間で犯罪行為をしようと話し合っただけでも、罪になるのだ。運用の仕方によっては、戦前の治安維持法と同じことさえできてしまう法律が国民のあまり知らないところで着々と準備されているのだ。
挙国一致体制への「風」は、日本を短期間にまったく別の国にしてしまうのかもしれない。(10月16日 記)
挙国一致体制となったニッポン
14日の参院本会議で、郵政民営化法案が可決・成立した。通常国会では17票差で否決された法案が、34票の大差での可決となった。ほとんど同じ法案を審議して、結論が180度変わったのは、通常国会で郵政民営化法案に反対した自民党議員22人のうち、19人が賛成票を投じたからだ。2人が離党、亀井郁夫議員が採決前に退場した他は、すべての造反議員が賛成に回ったのだ。
衆議院でも同じだった。自民党で郵政民営化法案に反対し、無所属で復活当選した元自民党議員13人のうち、反対票を投じたのは平沼赳夫前経済産業相だけだった(野呂田芳成元農水相は本会議を欠席)。
政治信条をかけて、国民のために郵政民営化法案反対の旗を掲げてきたのに、その旗をあっさり降ろしてしまう。さらに衆議院議員の場合は、郵政民営化法案反対が支持されて当選してきたのに、郵政法案に賛成票を投じるのは、投票した有権者への裏切だ。
それにもかかわらず、彼らが法案に賛成した理由は、現在の選挙制度の下では、政党の力が圧倒的に強いことが明らかになったからだ。小選挙区で当選できるのはたった一人だけだから、政党の力がなければ継続的に当選することは難しい。しかも、仮に当選できても、政党に属していないと選挙資金の面でも、有権者からの陳情を受け付ける面でも、大きな制約を受けてしまう。だから、執行部が強い態度にでてくると、自分の政治信条を曲げてでも、党に媚びを売らざるを得なくなるのだ。
私は造反議員が郵政法案に賛成票を投じたことは許されることではないと思うが、彼らがそういう行動をとった理由もよく分かるのだ。
マスコミは、一斉に造反議員を非難したが、私はマスコミに造反議員を批判する権利があるのか疑問に思っている。彼らの使っている評論家もまた、次々に政権側に寝返っているからだ。
先週、「週刊アサヒ芸能」で、宮崎学氏と植草一秀氏と対談をした。対談の詳しい内容はアサヒ芸能をご覧いただくとして、私を含めた3人の対談が実現するのは、「アサヒ芸能」ならではないかと思う。私を含めたこの3人は、いまでも政府の政策を正面切って批判する絶滅危惧種の評論家だからだ。
実は、私の経済番組、討論番組への出演、そして新聞・雑誌での政策論での執筆機会は、ここ数カ月で大きく減っている。時間的には忙しいままだが、それは「萌え」とか、「おもちゃ」とか政治的に当たり障りのない仕事もしているからで、政府の政策を批判できる機会は大きく減っているのだ。
実は、同じことが4年半前にも起こった。8割を超える小泉内閣の圧倒的支持率の下で、私は自由に書ける媒体を失った。その当時、小泉内閣を批判する記事を載せてくれたのは、アサヒ芸能と東スポくらいだったと思う。現状はそこまでひどくはないが、それに近いような雰囲気が強まっているのも事実だ。
ただ、私は対談で宮崎氏や植草氏と話すまでは、そうした変化は自分だけが感じているものだと思っていたのだが、実はそうではなかった。彼らに聞くと、政府の政策に批判的な多くの評論家たちが同じような目に遭っていたのだ。
その結果、これまで政府を批判してきた多くの評論家が転向してしまったのだ。評論家は権力を批判するのが仕事なのに、その仕事を放棄したのだ。
なぜ彼らが転向したのか。それはおそらく生活のためだ。当たり前の話だが、評論家というのは、評論で食べている。評論する場を奪われると、生活していけないので、これまでの主張を変えざるを得なくなってしまったのだ。
政府が評論家に直接圧力をかけているわけではない。しかし、批判勢力は生き残れない。それは、時代の空気のせいだ。しかし、評論家が一斉に政府支持の論評をはじめると、国民は政府を批判する視点に触れる機会がなくなるから、ますます政府が支持されるようになる。この空気は恐ろしい。その影響は、すでに国会に現れている。
例えば、国会審議に対する国民の関心が一向に高まらないなかで、10月6日に、衆議院憲法調査特別委員会での議論が始まった。この委員会は、4月に最終報告をまとめた衆院憲法調査会の事実上の後継機関であり、憲法改正に必要な国民投票法案の審議を行うことになっている。委員会の設置については、与党だけでなく民主党も賛成した。中山太郎委員長は「現行憲法改正の具体的な手続きについて検討する新たな段階に入った」と述べており、与党と民主党が一緒になって、憲法改正への動きが加速していく可能性が高まっているのだ。
また、「共謀罪」の新設を柱とする組織犯罪処罰法などの改正案が、14日の衆院法務委員会で審議入りした。野党が強く反対しているため、成立は微妙だが。政府は今国会での成立に強い意欲を見せている。共謀罪というのは、懲役4年以上の刑期が定められている犯罪について、犯罪の実行、未遂、準備などの具体的な行動がなくても、共謀があっただけで罪に問えるという法律だ。つまり、仲間で犯罪行為をしようと話し合っただけでも、罪になるのだ。運用の仕方によっては、戦前の治安維持法と同じことさえできてしまう法律が国民のあまり知らないところで着々と準備されているのだ。
挙国一致体制への「風」は、日本を短期間にまったく別の国にしてしまうのかもしれない。(10月16日 記)
もっとどんどんメディアにでてもらいたいです。
共謀罪は、事実上の言論統制みたいなとんでもない法律ですが、当のマスコミですら危機意識がありません。
リスクマネジメントしろやといいたい。
アグネスより年下は笑えました(^O^)
政治、経済、社会問題などに関して
本気で怒っていらっしゃる森永さんは、
ものすごく素敵です。
そして、難しい事柄を、判りやすく希釈して
説明してくださる下記の文章
森永卓郎:小泉構造改革、郵貯・簡保は日本国債・米国債のゴミ箱と化す
の発表の場が狭められないように願っています。
そんなときにこんなブログとかの個人的なところ色々発言できたらいいのですが。(他の個人の方も含めて)
なんか変な法律(昔の戦前のような)が出来る前にそんな個人的な活動が活発になってほしいものです。
どれ一つとして、成立させてはなりません、成立すれば民主主義は死にます。
米国では、70年代から民主主義を制限する方法を研究していた様で、その答えが『テロとの戦争』だった様です。(つまり、「テロとの戦争」は茶番劇)
日本では、さすがに「テロとの戦争」と云う訳に行かないので、上記の言論弾圧法案の数々で民主主義の制限(或いは破壊)を行うのでしょう。
民主主義を守るには、小泉亡国政権を誅滅するしかなかろう。
しかし、「民主主義」って名前が悪いよな、漢字の「民」とは元々奴隷の意味だそうだ。
地方人ですから、集会には参加出来ませんので、情報だけ貼り付けます。
世の中驚くことばかり
私も参加します!
http://blog.goo.ne.jp/melody777_001/e/dd4357243074343894f04a9d0009dcf2
この様な事は、「電通」などからの圧力によって発生する問題と考えられる。
どこかで、電通の広告扱い高は市場の60%と聞いた事があるが、(真贋の程は定かでないが、本当とするなら)これって独占禁止法に抵触しないのか?
独禁法に抵触するか否かは別にしても、「電通」の様に広告出稿を餌に報道を歪める輩は五つ位に分割した方が善い。
此処よりも「与党政党」hpに書き込めば?
本当のことに触れなかった。
この一言に尽きる。
本当の事とは…
①戦後はまだ終わっていない。未だに米軍統治下にある。(日本が)
②事実上の金融植民地である事。
③米国政府と米国資本に日本の新聞テレビが報道魂を売り渡して組織的に偏向報道したこと。
④小泉総理は満州国皇帝溥儀宜しく傀儡である事。
⑤米国による対日命令書である年次改革要望書について殆ど触れなかった事。
以上を機会ある毎に野党として集団で辻たちでも生放送でも何でもいいから訴えればいくら国民のレベルが低いといっても理解されたであろう。
そして真の敵は米国、小泉、マスコミである事を訴えれば間違いなく勝てたはずだ。
勿論、親米右翼による攻撃もあっただろうが。
そう思いませんか?国民の過半数が小泉ノーです。
約200万人の愚かな人と約800万人のカルト宗教信者、そして残りの支配階層(マスコミ含む)によって仕組まれた結果ですから。
あんたに指図される筋合いはない。
政治家=代議士に、
あなたの「文章」が伝わるかは 疑問符がつく。
地方からの陳情が ひきもきらない立場である
国会議員=代議士は、「実は多忙」であり、
そのために会期があり、全国から議事堂に来る。
常時、国会が開かれる 訳ではなく、
そのつど「地元から上京する」のである。
実際、皆「自分の事で精一杯」なのに、普通、
「他の地区の人の事なんか、誰も考えない」。
PS.
私の地元に「代議士」がおり、その方のhpに、
幾度もメールをしており、回答も頂いている。
だから、あなたも「言いたいことがあれば」、
しかるべき事をしてから、ブログに書き込もう。
きっこの日記
http://www3.diary.ne.jp/user/338790/
2005/10/24 (月) 台無シティと村上ファン怒
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20051024
2005/10/26 (水) イノシシ社長と白ブタ幹事長
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20051026
アメリカはじめ欧米諸国は、相手を損得で判断します。
ある日、突然どこかの国がミサイルを日本に向かって発射したとき、アメリカにとって日本の利用価値がなければ、日本はおしまいでしょう。なぜなら、憲法9条は戦争のできない国を作ることはできても、侵略を防ぐ国には作れないのですから。
エセエコノミストにエコノミストづらされて
本当のエコノミストとかは大迷惑。
本当のエコノミストはもっと高度な
仕事していますから。
マスコミから消えて欲しい。
小泉暴走政権に異を唱えた人間はありとあらゆる手段で抹殺されます。それは右左関係なく攻撃されます。鈴木宗男辻元清美田中真紀子植草一秀…今度は西村眞悟と矛先が変わっています。非常に危険な小泉政権を打倒しなければ日本の明るい未来はありません。
森永様の末永いご活躍を期待いたします。