コロナワクチン接種後に原因不明の血栓ができやすくなることが分かっています。
その理由はいろいろ考えられていますが、実証するのは大変そうです。
「ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症(vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia;VITT)」の機序はだいぶわかってきているようです。
Clinical Features of Vaccine-Induced Immune Thrombocytopenia and Thrombosis
ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia;HIT)と呼ばれるこの症候群も、VITTと同じように血小板の数が少なく、時には血栓が見られることが特徴だ。
HITがヘパリンにより引き起こされる仕組みはこうだ。ヘパリンは負の電荷を帯びた分子であり、血小板が血栓形成を促進するために放出する血小板第4因子(PF4)と呼ばれるタンパク質は正の電荷を帯びているため、ヘパリンがこのタンパク質と結合して、血小板表面で複合体を形成する。一部の人では、免疫系がこの複合体を異物と見なし、抗体が産生されることがある。
産生された抗体の中に、血小板に結合して活性化させるものがある場合、活性化された血小板は凝固カスケードを開始し、凝集して血栓を形成する。血栓は重要な血管を詰まらせ、患者は場合によっては死に至ることもある。
Keltonの研究チームは、治療を受ける前の5人のVITT患者から検体を入手することができた。その検体に含まれる抗体を分析したところ、一部の抗体はヘパリンが結合するのと同じ部位でPF4に結合しており、ヘパリンと同様の機序で血小板を活性化させることが分かった5。この結果から、ワクチン関連症候群の発症機序はHITのものと似ているが、引き金としての役割を果たすのがヘパリンではなく、ワクチンであると考えられた。
他にもワクチン接種により産生されたスパイクタンパクで赤血球を凝集させたり、血液が酸性化されて、赤血球が凝集するなどいろいろな説があるようです。
他にも、ワクチンでの抗体生産などで、脾臓も疲弊して能力が下がると、赤血球の破壊が十分に行えなくなり、能力の落ちた赤血球が多く存在するようになって凝集しやすくなるなどの説もあります。
また、ワクチン接種後に生成されたスパイクタンパク質のサブユニットは、血小板のACE2に結合して血小板凝集を起こします。
これらのワクチン起因の血栓により、脳梗塞・心筋梗塞だけではなく、末端の細胞の壊死、多臓器血栓症などを引き起こすと考えられます。