箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

経験で学ぶ尊さ!

2020-08-26 | *編集・冬/12月

経験で学ぶ尊さ!

 清水谷から東海自然歩道の尾根をまたぎ、自然4号路に入ると、

杉木立の梢が大きく揺れています。

上空は相当強い風が吹いているようです。

 

時々、ギーギーギー~ と、恐竜の叫び声かと思うほどに、

木立の擦れ合う音が無気味です。

 

そんな薄暗い谷間にひと筋のこもれ陽が差し込むと、

それまでの森から一転し、一気に明るい森に変身です。

落葉した広葉樹が多くなり、冬木立が美しい季節になりました。

この詩的な荒涼感のある森の風景は、私の好きな光景です。

 

冬の淋しさを漂わせているかと思うと、早や固い蕾に生命感を

覚え、未来を感じさせてくれたり・・・

ヤブツバキが真っ赤な花を咲かせていたり・・・

寒暖冷温を共に味わえる今の森の様相です。

 

冬枯れの森で元気なのはシダ類です。

落葉して明るくなった森に太陽が差し込み、林床のコケ類や

シダ類も生き生きとし、葉もキラキラと輝いています。

 

箕面のシダ類は、鎌田 計三さんの資料によると・・・

 「 ~52年振りに箕面で確認された絶滅種のナチシダを含め、

   21科141種もある~ 」 

とのことです。

日本の生物学者が、必ず一度は調査に訪れると言う事も

うなずけますね。

 

 

箕面ビジターセンターに到着すると、いつになく静かで

なぜか人一人見当りません?

少し前まで、もみじ狩りに訪れる沢山の人々で賑わっていたのが、

まるでウソのようです。

 

私は開いていた「森の博物館」をのぞいてみました。

そこでこんな一文を見つけました・・・

 

  「 ~少年時代「ファーブル昆虫記」を愛読し、熱中していた

    福井少年はたびたび近くの箕面を訪れていた・・・ 」

 

日本初のノーベル化学賞を受賞した福井謙一博士の著書

「学問の創造」から抜粋・・・

  「 ~いろいろな山に登った。

    ~特に箕面は近いこともあって何度となく足を運び、

    どういう木にどういうクワガタムシが棲みついているかと

    言う事まで、頭に入るまで精通していた~

    私はこの事を見出すたびに経験で学ぶことの尊さを

    痛感しないではいられない~ 」

 

あの手塚 治少年もそうでしたが、箕面の森で少年時代を過ごした

人々の想いとその影響は、とても大きなものがあることを

改めて知りました。

 

  「 経験で学ぶ事の尊さ! 」

 

それは現代のNet社会やPCでの生活に慣れた子供たちには、

特に大切な事のように思います。

私も自分の孫たちに、このことを伝えていきたいものです。

 

 

帰路のこと・・・

才が原林道を下っていると、一人の中年男性が落ち葉をかき集め

大きなビニール袋に入れ、それを沢山積み上げていました。

私は最初 山の中で何をしているのか不思議に思いながらも、

ボランテイアの清掃活動をされているのだと思い・・・

 

 「ごくろうさまです。 ありがとうございます!」

と挨拶すると・・・

 

   「 いやいや!  これは畑の堆肥用に集めてますねん!

     これで腐葉土つくりましてな、畑に撒くとええ野菜が

     採れまんねん!」

 

ここにも山の恵みがありました・・・

森の落ち葉は沢山の微生物によって分解され、

やがて豊かな恵みの野菜を育ててくれるのですね。

 

自然の循環作用・・・

それは人間も自然の経験から学び、その尊さを知った人から

次の人、次の世代へといい自然循環が行われていくと

もっといい社会ができていきそうですね。

 

早くも谷間に夕陽がゆっくりと沈みかけています・・・

日暮れが早くなりました・・・

'13  12/16


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