箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

夏風邪から緑をもとめて・・・!

2020-08-26 | *編集・夏/6月

夏風邪から緑をもとめて・・・!?

 約半月前のこと・・・

30℃を超える真夏日だった夜・・・ 私、つい油断をして夏風邪を引いてしまい

した。    

アザラシの如く ドタ~ として布団の中で寝込んでおりました・・・ (笑) 

でも、やっと数日前から回復傾向に入りホッとしています・・・きつかったです。 

そろそろ山や森が恋しくなってきました。

 

それなのに今日の日曜日は朝から雨が降っています・・・

雨の森の散策も大好きですが、今日はまだその気分ではありません。

天気予報は大雨注意報・・・  これは今日はダメのようです! 

 

諦めてこんな日には古本探検に出かける事にしました・・・

最近は少々これに凝っておりまして・・・

あのピーター・トムプキンスとクリストファー・バードの600ページに及ぶ名作

「植物の神秘生活」 を1ドルで見つけたときなどはまさにそうでした。

そんな訳で雨降りの日の度に私の狭い書斎はアレコレ本で積み重なって

いきます。

 

気楽な普段着で車に乗って久しぶりに外へ出てみると、空は曇天で雨は

上がりかけています・・・

しかし、箕面の山を見上げると深い霧と雲がかかりめずらしく山頂が見えま

せん・・・   「あきらめ」 を確認して古本屋へ向かいました。

 

うん!

気なく見上げた西の空の雲間に青空が見える・・・

周りを見ると明るくなってきている・・・  晴れそうだ! 

そう思うと私の車のハンドルは自然と山の方向へ向かっています・・・

私の心は緑欠乏症のようです (笑)

 

こんな時は車で一気に森の中に入っていくのがいい・・・

明るさを増す空を横目に見ながら15分程であっという間に箕面自然休養林に

到着です・・・

森の中の勝尾寺園地駐車場(無料)には一台も車がありません。

 

外へ出るとなんと気持ちのいい森の空気なのでしょう・・・

思いっきり背伸びをして深呼吸をします・・・久しぶりに気持ちのいいこと・・・

雨が上がり、後ろのスギの森から薄日が差し込み、それが前の雑木林の葉の

雨露をキラキラキラと照らすのです・・・ なんと美しい自然の演出でしょうか・・・

感激です!

 

耳を澄ますといろんな小鳥がさえずっています・・・

でも、やはりウグイスの声がいつまでもしっかりと耳に残ります・・・

ようこそ箕面の森へ!  いつもそう歓迎してくれているようで嬉しくなります。

 

凛とした森の中へ早速足を踏み入れます・・・

ふんわりとした落ち葉の上を歩くと足元を柔らかく優しく包んでくれるような

感触です・・・ 土道の勝尾寺林道を歩いて行くと、鬱蒼とした樹木も、その

葉っぱも、両脇の草むらも雨露で光り輝いています・・・

時折太陽が差し込むとそれらが反射して森が一気に明るくなるのです・・・

幻想的な世界です。

 

山道をまたぐように大きなクモの巣があります・・・

いつもなら直前まで見えにくいのに、今日はクモの糸に雨露が一杯かかって

いてそれが水滴模様となり、糸の全体がはっきりと分かるのです・・・

これでは巣が見えすぎてバレバレで、クモは狩りにはなりそうにありませんね。

気の毒に・・・

そんな事を思いながら下をくぐり抜けました・・・

しかし振り返って改めてクモの巣を見てみると、その巣の上の水滴が何とも

美しいビーズの刺繍レースのようで、それはそれは初めてみる綺麗な

クモノスアートでした・・・

いつも自然のかもし出す芸術には驚くばかりです。 

山アジサイがうす紫の花をつけて清楚に咲いています・・・

今の時期にぴったりの花ですね。

 

その下には沢山の羊歯(シダ)が群生しています・・・ 若葉が新鮮です。

この前までシダの2,3種類の名前を覚えていたのに、今は全く忘れてしまい

ました・・・  だんだんと物忘れは日常的になってきました・・・ (笑)

箕面の森は日本有数のシダの自生地とかで植物学の宝庫だと聞きましたが、

そう言えばいろんな種類のシダを目にし 見ていてもあきません・・・

 

もみじの大木からは、可愛い幼子の手のひらのような若葉が,いっぱい森を

被い尽くしています・・・

見上げると新緑から真緑化していく時期のようです。

 

しばらく歩いていくと風に揺れた梢からドサ! と 雨露がまとまって落ちてきて

私の肩を濡らしました・・・

見上げると大きな両手を広げたようなアケボノスギ(メタセコイヤ)の大木・・・

高さが35mにもなり生きる化石と言われて有名のようですが・・・

久しぶりに緑の森の散策を楽しんでいました・・・

こんな小さなひとときが私には何事にも代えがたい至福の時間なのです。

 

小一時間も歩いたでしょうか、空が急に暗くなり雨が降り出しました・・・

何分今日の天気予報は大雨! 

急いで林道をひた走り、車へ飛び込んだとたんにまさにバケツを引っくり返し

たような猛烈な勢いの激しい雨・・・ もうビックリです!

至福の時間! と浸っていた数分前とは天国と地獄の様相です (笑)

 

でも、この急激な変化も自然のかもし出す動的芸術かも? と思えば落ち

着きます・・・

風雨に激しく揺れるどしゃ降りの雨の中で、森の樹木たちは左右に大きく

揺れて踊っているような・・・?  枝葉も下草までも一様に体を震わせて

大揺れです・・・ 森の熱気溢れる激しいダンスショー? 

それを車内の特等席で観賞できるのもいいのかもしれません・・・(笑)

ものは考えようで楽しくなりますね・・・

しかし、先程歓迎してくれたウグイスたちはこの嵐の中で 今どこで、何をして、

どんな状態で雨宿りをしているのか気になって仕方がありませんでした (笑)。

  

山から箕面駅前に下りて来たら雨は降っていない様子・・・ びしょ濡れの車は

私の一台だけ・・・ 道路も乾きかけていてこの差にもビックリです。

でも、私はひとときを森で過ごす事が出来て満足感でいっぱいです・・・

まだ帰るには早過ぎるので予定通りに古本探検にでかけてみる事にしま

した・・・

 

店に入り一番最初に目にしたのは、店員さんがなにやら新しい本を出して

棚に並べている所の一冊の本でした・・・

それはなんと 「牧野富太郎と植物画」 なる大きな古本・・・

早速手にとって開いてみるとシダの絵が沢山・・・ つい先程森の中で

シダの種類についてアレコレ考えていた所なのに・・・ 偶然です! 

 

私も日本が誇る「世界的な植物学者、牧野富太郎博士」のお名前だけ

はなんとなく知っていましたが・・・

それに何といってもその植物画の精密・緻密できれいなこと・・・

私は他の人に取られないように、急いで両手でしっかりとその本をキープ

したのは言うまでもありません・・・ 

しかし、その割には周りの誰も関心なさそうでしたが・・・(笑)

 

そこで安心して改めてこっそりとページを繰ると、明治21年の

「日本植物志図篇」の中からや、明治33年の東京帝国大学発行

「大日本植物志・・・」の中から博士の植物分類と共に詳細な植物画が

収録されていたりして、何とも宝物を手にした心境でした。

 

博士がこの箕面の森にも植物採集に訪れていた事を、何かの本で

読んだ事があります・・・

箕面の森には約1300種の植物が自生し、約3500種の昆虫が

棲息する日本三大昆虫生息地の一つであり、野鳥の最適観察地・・・ 

そして日本有数のシダ類の宝庫・・・ とありますから、それもうなずけますね。

 

 

それにしても今日は不思議な一日でした・・・

あのまま古本屋に直行していたなら・・・ 勿論 森の散策や

クモノスアートや樹木のダンスショー?  も見られませんでしたし、

時間的にみてもこの貴重な本と出会う事はありませんでした。

 

森の自然の風が、私の夏風邪の見舞いにと 粋なプレゼント を用意し

ていてくれたのかもしれません・・・? 

相変わらずメルヘンチック? な私です・・・ (笑)

 08-6.8 (完)

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