取り壊しじゃけん

　ベルコリーヌと言えば、かつてカクチカコやサノシローの人気ドラマの舞台となり、南大沢の象徴だったけん。
南欧風の外観を持つ、個性的な公団住宅のはしりとして注目された場所でもあったけん。
ジブリのアニメでも、「トレンディ」と呼ばれとったけん。

　ところが数年前から、手抜き工事が指摘され、欠陥住宅として名が知られてしもうたけん。

　一部の区画は補強程度で済んだようじゃけどのう、別の区画じゃあ完全に取り壊されて、ようやく再建されたばかりじゃけん。
そして別な区画じゃあ、組まれていた足場が取り外されとるけん。
「ここの工事は終わるんかのう？」
そう思うて中を覗きこんでみたら、コンクリ剥き出しの薄暗い壁に、幾筋もの亀裂がチェックされとるけん。
解体のために、足場を外しとったようじゃのう。

　いずれは元通りに建て直されると思うけどのう、やっぱり住んどった人たちはやりきれんし、カネと資源とエネルギーのムダじゃけん。
　今はゴーストタウンのようになっとる街並みに、以前の華やかさがウソのようじゃのう。