忘れな草の花籠

確かハンドメイドブログだったはず・・・

道元禅師

2010-08-06 20:06:47 | BOOK
立松和平氏の「道元禅師」を読みました。
立松和平さん、Nステーションでよく拝見していましたが
実は作品を読んだことはありませんでした。
訃報をきいて一度は作品を読んでみたいなぁと思っていたところ、
新潮文庫の新刊を書店で見かけてずっと気になってました。
夏休みなのでここぞとばかり、読破することに。

うちの祖母は禅宗を信仰しています。
(ちなみに私は無宗教です。)
なので禅宗はどの宗教よりもなんとなく近しい思いがあります。

さてこの道元ですが、禅宗・曹洞宗の開祖です。
この道元禅師の一生涯を描いたのがこの「道元禅師」です。
文庫本で上・中・下の三冊です。
かなりな量あるので読破するまでにかなりの時間を要しました。

摂政関白の血筋に生まれながらも
幼い頃に母を亡くし、出家の道へ。
重瞳をもつ道元は将来国の王になるか大聖人になると言われてました。
出家をした道元は比叡山へ。
けれども正法を求め、師となるべき人を求めて
比叡山を去り、栄西の元へ。
そしてこの日本には自分の師となるべき人がいないということで宋へ渡って
正しい釈迦の教えと師を求めることに。
その入宋前に立ち寄ったのが昨日のブログに書いた聖福寺なのです。
余談ですが、日本に茶を初めて持ち帰ったのが栄西で
背振山のところにお茶を植えたようです。

道元ですが、ことさら大事にしたのが坐禅です。
とにかくひたすら坐禅修行することが真理への一歩だということで
詳しい坐禅方法を書いてほしいと入宋前に頼まれ、
無事に帰ってくることができたら書くと約束をして宋に渡りました。

宋に着いてから暑い中、一生懸命しいたけを干しているおじいさんに出会いました。
どうしてこんな暑い日に、こんな作業をやっているのか尋ねたところ、
「じゃあ、いつやればいいのかね?
自分は自分の仕事をしているだけだ。」とのこと。
そう、これも修行の一つ。
自分でやらなければ意味がないということに道元は気づきます。

宋に渡ってからも修行・修行の毎日です。
けれどもなかなか師となるべき人物にめぐりあえません。
そしてあきらめかけたそのときに、
如浄和尚と出会うのです。
この如浄和尚を師とし、修行に励み、
心身脱落を経験し、真理にも気づき
この如浄和尚から正しい釈迦の教え、
「嗣法」をいただき、宋を発つのです。

真理は隠れてない、そこら中にあるのだ、ということを理解し
もっぱら只管打坐に打ち込む道元。
道元を慕って弟子たちもだんだんと増えていきます。
建仁寺を出て、宝林寺を建てようやく自分の場所ができた道元。
ところが叡山の圧迫がだんだんとでてきます。
そして京を追われ越前へ。
けれどもこの京からでて越前へ行き、
永平寺を建てたのも運命かもしれません。

さて永平寺で世俗のことに惑わされず、
修行に励んでいた矢先、時代の流れが道元のもとへ・・・。
「国王・大臣に決して近づいてはならない。」
如浄和尚が何度となく言っていたことば。
道元は堅実に守ろうとしていたのですが
それも無理な話になってきました。
鎌倉から、ぜひ一度お会いしたい、とのこと。
そして道元は意を決します。
政権に近づくのではない、一人の悩みに苦しんでいる青年を救いにいくのだ―。
鎌倉へ向かいました。

鎌倉から帰ってきてようやく落ち着くかと思ったのですが
やがて道元は病に倒れます。
そして死期を悟った道元は生まれた京へ
治療のために最後の旅にでかけることになったのです。
道元自身は覚悟の上だったようです。
そして弟子たちに看取られながら一生を終えました。

なんだかとても長いあらすじになってしまいましたが
(しかもやっぱり途中で電源落ちた。大ショック)
本書はもっと丁寧で細やかで深いです。
ぜひ読んでみてください。
ただ読んでいる途中で必ず眠りに落ちてしまう私です。
おそらく月の光だの蓮の花だのお経など
眠りに導くような要素がたくさんあるからだと思います。
決して難しいからだとか読みにくいからだとは・・・・・ごにょごにょ。

この本を読むことによって
道元の考え方が少しではありますがわかったような気がします。
鎌倉に残っていた一人の弟子が鎌倉から帰ってきたときに
「大きな贈り物をもらいました。」とうれしそうに報告してきたとき、
思わず私まで「それはダメだろう・・・。」とつっこみを入れたくなってしまいました。
道元は悲しい表情で弟子に「ここからでて外で修行をしてきなさい・・・」と。

時代に翻弄されながらもあくまで自分の修行を続けた道元。
ひたすら真理を求め、衆生を救い続けた道元。
鎌倉時代という戦とは決して無縁ではなかった時代に
請われるようにして現れた道元。
いつの時代も平和を求めてやまないのですが
実現し続けることはとても難しい平和な世界。
今日は広島に原爆が投下された日。
平和を祈る声がどこからともなく聞こえてくるようです。

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