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「がんばれ!わたし。」

本来怠惰な自分が頑張るために。

夜中のバトル

2008-03-07 09:00:45 | うちの年寄り
私たち夫婦は中二階に寝室を構えてます。
夜中の爺ちゃんの行動がどうしても気になるのでちょっとした音も耳に付きます。
その夜も部屋の前の格子戸の音、トイレのドアの音、頻繁に聞こえて来ました。
下に行くとやっぱり明かりがついていて、布団が床の間に積み上げてありました。
私:「爺ちゃん!寝んかいね。夜中やがいね。」
  「どんや。床の間は布団を片付けるとこと違うやろ。」
年寄り達がこの座敷に住むようになって床の間は物置とかしてました。
婆ちゃんが亡くなってからはそこも全部撤去して何にも置いてありません。
爺:「知らんがいや。ワシと違う。」
私:「知らんない。ワシなんや。」
そう言いながら布団を敷き直しました。
私:「早よ寝ねま。」
と、爺ちゃんの腕をつかんで寝かせようとしました。
爺:「待てま!何でそんなキツうするんじゃいや。」
私:「何でもいいさけ早よ寝ね。布団掛けてあげるさけ。」
無視して続けました。
なかなか、横になりません。
私:「言うこと聞きねま。早よ寝んかいね。」
爺さまおこり出しました。
爺:「ワシを殺すつもりやな!」
私に襲いかかって来ました。
払いのけたら・・・コテッ!
ついでに布団を覆い被せて
私:「もう、起きて来たらいかんよ!」
爺:「殺したる!」
こんな言葉も平気になってしまいました。
私:「私、死んだら誰が爺ちゃんの面倒見るんや。」
電気を消して戸をピシャリ!
しばらくそこで様子を見てましたがぶつぶつ爺ちゃんの文句の声。
寝たようで・・・。

明くる朝、爺ちゃんの座敷の真上で寝ている娘に
娘:「夜中、やかましかったぜ?またバトったんか?どっち勝ったん?」
とんちんかんな爺ちゃんを相手に本気になって腹を立てて途中で挫折している私をいつも見て笑っている娘です。
私:「お母さん・・・勝ったわね!」

「がんばれ!わたし。」

むたむたと!

2008-03-05 17:47:57 | うちの年寄り
爺ちゃんとセンターに着くと、その日はいつもになく沢山の靴が所狭しと脱がれていました。
「今日は御坊さんの法話があります。」
なるほど。お年寄りに付き物のありがたいお話を聞かせてくれるのですね。
しかし、爺ちゃんに分かるのでしょうか?うさんくさいです。

爺ちゃん、この玄関の靴を足で蹴散らして
「むたむたと!」と誰に言うでもなく糞ジジイの本性を現しました。
なんてことするんだ~。
人前だからといつまでも甘い顔しとれるかい。
「爺ちゃん!今なにした!人さんの靴をそんな扱いして。訳の分からんことしなんなま!」
しっかり叱ったつもりだったんですが・・・・・。
知らん顔して入って行ってしまいました。
無視かい!
残された私は散らかった靴を直してスタッフさんに頭を下げるのでした。
何か・・・くやしい~!

「がんばれ!わたし。」

宝探し

2008-02-29 06:28:58 | うちの年寄り
朝、5時半。
爺ちゃんの座敷の明かりがついているかどうか確かめる。
夜中、何度も何度も明かりが点くので消す。
前は寝るときに暗くなると不安がって眠れないことがあったけど・・・。
でも、今では明かりは起きているか寝ているかのバロメーターになっている。
この日は電気が点いてない。おとなしく寝ている。
そのまま、トイレに行った。
やっぱりスリッパは無く小便だらけ。
床と便座と壁のオシッコを拭くところから始まる。
ついでに隣の男便所も覗く。
案の定スリッパは無く床がびしょびしょ。
拭きまくる。
明るくなってからスリッパを探すことにする。
ちょっとうっかり。
主人が起きてきてしまった。
「またスリッパないがいや。爺また何処やった!」
寝ている爺ちゃんの座敷に入って行った。
一足は床の間の壁に立てかけてあった。
もう一足はテレビの裏に重ねて落としてあった。
主人はもう爺ちゃんをとがめることもせず見つけたことで納得しているようす。
ああ、よかった。何も言わずに起こす事無く済んで・・・。
本人は記憶が無い。こちらがとがめても理不尽な思いをするばかり。
でも、分かっていてもついキツいことを言ってしまう。
こちらの方がきっと大人げないのだと思う。

しかし!あのジジイは言うことのきかん糞ジジイじゃ~! 

「がんばれ!わたし。」

わからん。

2008-02-06 15:48:18 | うちの年寄り
坪庭を施した庭に続く中玄関。
開かないようにしたまではよかった。
ところがサッシ戸めがけて放尿の跡が・・・。
夜中にトイレのスリッパで降りた様子。
トイレにスリッパを取りに行ったのならどうしてそこで用を済まさないか?
行動がわからん。
爺ちゃん本人がわからん。私たちはもっとわからん。

センターに出掛けるのに爺ちゃん立ち上がった。
ズボンが下がってる。
私:「爺ちゃん。ズボンのベルトは?」
爺:「わしが何でそんなこと知っとるんじゃい。」
(あんたが知らんで誰が知っとる!)
そこら中探したが見つからない。
あきらめて主人のを用意した。
ベルトを通してやらないといけないと思っているのに爺ちゃんさっさと車に乗っていた。
(っまいいか。むこうで付ければ・・・。)
センターに着くと調度男性スタッフと出会った。
スタッフ:「爺ちゃん。おはよう!」
爺ちゃんがスタッフに近づいて行くとストンとズボンが膝まで落ちた。
慌てて私はズボンを上げた。
スタッフさんが爺ちゃんに
スタッフ:「爺ちゃん、恥ずかしがいね。ベルトしようさ。」
爺:「わしは知らんぞ。わしは恥ずかしいことしとらん。」
と「恥ずかしい」と言う言葉に反応した。
スタッフさん空気を読んで私からベルトを受け取りベルトを通してくれた。
するとズボンの下の下着にすでにベルトが締められていた。
探しても無いはず。
スタッフさんと思わず笑ってしまった。
わけわからん。

「がんばれ!わたし。」

爺ちゃ~ん!どこ行った~!

2008-02-04 13:47:51 | うちの年寄り
センターから帰ると小腹のすいた爺ちゃんにパンなどの軽食を出します。
夕飯までの時間稼ぎと言う訳です。
待ちかねていると思って出来上がった晩御飯をそそくさと部屋に運びました。
あれっ!?爺ちゃんがいない。
トイレかな?
いません。
私:「爺ちゃ~ん!」
返事がありません。
玄関にあるはずの白いズックが杖と共に消えてました。
玄関の鍵は掛かってません。
車庫に続くドアが開いてます。
シャッターは上がったままです。
ひょっとしてここから出て行ったかぁ?
走って表に出て見ました。
人影は遙か向こうまでありません。
帰宅して間無しの主人と息子に
私:「爺ちゃんおらん!」
慌ててる私に只ならぬ緊迫感を感じてか二人とも立ち上がりました。
とにかく車で走ってみなければと車に乗り込もうとしたら後部座席に爺ちゃんが・・・おった。
私:「爺ちゃん、おった!」
大きな声で家族に叫びました。
主人が怒ること怒ること。
爺ちゃん訳分からず、しどろもどろ。
時間の感覚が飛んでしまっております。
センターから帰ったと言うのにまた出掛けるつもりのようでした。
部屋に戻った爺ちゃんに
私:「これは晩御飯やし。薬飲んだらゆっくりしとんね。布団敷くから眠とうなったら寝ねね。」
家族のいる茶の間に戻ると急に笑いが込み上げて来ました。
腰が抜けるほど取り乱してしまった私がおかしくてたまりませんでした。
とうとう迷子札ならぬ迷爺札を用意しなければいけないかも。
これからは必ず鍵を掛けなければと思いました。

「がんばれ!わたし。」


2008-02-02 08:56:55 | うちの年寄り
どうにかして爺ちゃんが庭に出るのを防がなければなりません。
サッシの付け鍵で何とかならないか探して来るとカーマホームセンターに主人が出かけました。
ありました!
締めた後ネジが外せてそれがないとゆるめなくなってます。

1個では心許ないので上下に2個付けました。
一晩、様子を見ました。
サッシ本体の鍵はやはり外され、力が掛けられたらしくカタカタ少し空いた音がしました。
また、締め直しておきました。
ついでに、中玄関にあった履き物や訳の分からない年寄りの私物を主人が片付けてしまいました。
そこは年寄りが来る前の景色によみがえりました。
そうだ、ここはこんなんだったんだ。
年寄りを引き取って家の中の臭いが変わりました。
(ペットでも飼っているような。すえた臭い。)
お客様用に8畳の和室の境に白木の格子戸を設えてありますが手あかで見るも無惨です。
床の間は物置台と化し畳はすり足で歩くものだからムシロ状態。
鴨居は針金ハンガーできずきず。
壁は何でも立てかけるのでもろもろです。
ふすまに至っては何も申すまい。
最初は我慢でした。今ではあきらめに変わりました。
年寄りの徘徊が家の中だけで留まるなら。
少々の事(少々じゃないけど)は仕方ないかと・・・。

「がんばれ!わたし。」

ぬれぎぬ

2008-01-29 13:42:52 | うちの年寄り
前日にやっぱり爺ちゃん、雪の庭に出ようとして主人にひどく怒られてました。
今朝、まだ薄暗いのにサッシの開く音が・・・。
私:「爺ちゃん!また!何しに出ないかんの!」
呼び止めました。
スリッパ履きでよろよろと振ら付きながら雪を踏んでもう5・6歩進んでました。
爺:「雪、降っとるか見ただけや。」
(オシッコしに出たに決まっとる。)
私:「足もと振ら付いとるのに出たらいかん言うとるがいね。靴下濡れてしもとるやろ!」
爺:「何でワシのする事ばっかりやかまし言うんじゃ!いじめんなまいや。」
よろよろしながら戻って来ます。
私はじれったくて爺ちゃんの腕をつかんで引き戻そうとしました。
その手を爺ちゃんは振り払いました。
勢い余って倒れそうになりました。
慌ててまた腕をつかもうとしたのですがジャンパー(着た切り雀でパジャマに着替えてない。)の袖だけしか持てませんでした。
下半身がしっかりしてないのでそのままくるっと仰向けになって尻餅をつきました。
片手が地面に着きました。
爺:「押したなぁ!覚えとれ!後でやったる!」
(私が爺ちゃんを突き飛ばしたってか?。)
私:「早う立たな中まで濡れてまうがいね。」
騒ぎで主人が起きて来ました。
主人:「やかましんなぁ。爺、また何をしとるんやいや!」
爺:「わしを外に追い出すんや。殺されてまう。」
(今度は殺人者にされとる?)
主人:「出るな言うとるんやに出てくの爺やがいや。何言うとる!」
(爺ちゃんの訴え却下されてやんの。)
主人がぶっきらぼうに爺ちゃんを起こし部屋に押し込みました。
もう、靴下どぼどぼなんやに~。
靴下をぬがさせました。
新しい靴下を持って行くと興奮さめやらず・・・。
爺:「いらん!」だと。
さっき、着いた手がすりむけて血がにじんでました。
きずバンを貼って処置をしようと傍らにすわりました。
私:「爺ちゃん、どこや。手、見せてみね。貼ったげるさけ。」
爺:「自分でする!かせ!」
私:「どうやって片手で貼れるんや。できんのや。」
いつものパターンです。口喧嘩しながら素直にきずバンを貼らせます。
私:「まだ、早いさけもうちょっと寝ね。」
これ、一眠りすると今起きた事がリセットされるんです。

「がんばれ!わたし。」

何様じゃ!

2008-01-26 08:49:36 | うちの年寄り
爺ちゃんの2週間置きの診察日は私のストレスのワースト1です。
爺ちゃんは何故か他人さんの前に出ると態度がデカくなります。
病院の駐車場に車を止め、自動ドアをくぐるとスイッチが入ります。
幾分ふんぞり返ってるみたいな。
受付を済ますまでにソファーに座ってます。
その姿たるや背もたれに両手を広げて足を組んでます。
周りを見渡し杖でコツコツと前の座席を小突いてます。
備えてある血圧計に腕を入れるのも一苦労。
たくさん着込んでますので大変。
私:「爺ちゃん。診察室の前で待っとろうさ。」
爺:「おう。」
いつもいっぱいの患者さんです。
診察室の扉に患者さんの名前が診察順に書き込まれます。
爺:「何番じゃ?」
私:「まだ来たばっかりやし書いてないよ。」
呼ばれた人から線で消されますが10人以上は待たなければなりません。
診察までに90分は待つことになるのです。
知ってる人が爺ちゃんに声を掛けてくれました。
男:「爺ちゃん。今、来たんか。しばらく待たねかんわ。」
爺:「おまえ、いつ来たんや。」
男:「ちょっと前や。」
そんな会話を耳にしながら私は本を読んでました。
しばらくするといきなり杖を振り上げて
爺:「謝れ!何をわからんこと言うとるんやいや。人を馬鹿にして。殴ってやっか!」
爺ちゃん、また、何か幻覚・幻聴?
男:「わし、なんも言うとらんがいね。」
その人も周りの人もびっくり。
私:「あんちゃん、なんも言うとらんがいね。何言うとるん。」
爺:「あんたは本読んどったさかい分からんのや。あれがわしにちょっかいかけるんや。馬鹿野郎が!」
ばつの悪いことってありゃしない。
周りの人に深々と頭を下げるしかありません。
私:「あんちゃん、ごめんね。」
と手を合わせました。
男:「だんねんや。さっきからじ~っと爺ちゃんこっち向いとったし何か用かなぁっと思たんやけど。」
自分の存在が爺ちゃんを逆なでするとでも思ったのか少し離れた所に移動されました。
待合い場所はおばちゃんの世間話やらの話し声でざわついてます。
それも耳に付くのか爺ちゃんが吠えます。
爺:「だらんてなことばっかり喋ってやかましんな。どっか行けま。」
私:「爺ちゃんこそ静かにせんとかん。爺ちゃんが一番やかまし。」
ちょっと切れた私は爺ちゃんを一喝してまたおばちゃんたちに頭を下げて詫びなければなりませんでした。
爺:「しょん便して来るわ。」
私:「場所、わかるか?」
そう言って指を指しました。
分かったみたいで杖を突いてよろよろと入って行きました。
その間におばちゃんたちが気の毒そうに
おばちゃん:「ねえさん大変やろ。お嫁さんけ。」
私:「はい。さっきからすみません。」
おばちゃん:「一緒に住んどるんけ。」
私は気恥ずかしい思いをしながら出てくる爺ちゃんをみつけました。
こちらに来ず反対に折れて行きます。
私:「爺ちゃん!どこ行くの。こっち!」
振り向いてこっちに来ました。
爺:「あんたどっか行ってまうさけ分からんがいや。」
私:「どこも行っとらよ。動いとらん。」
爺:「いや、おらんかった。」
ジジイ、引きません。
私:「爺ちゃん。ちゃんとオシッコ出た?」
爺:「そんなもん出ん。」
(何しに行ったんや。)
待ちくたびれてソファーで居眠りを始めました。
(最初から静かに寝とればいいのに。)
さぁ、やっと診察の番です。
若い先生に爺ちゃんはため口で文句を言います。
爺:「いつまで待たすんやいや。」
先生:「すんません。お待たせするつもりはないんです。これでも一生懸命にさしてもらってるんですが堪忍してください。」
ニコニコと慣れた感じで爺ちゃんの手の甲を撫でてくれてました。
ほとんど問診です。受け答えは私です。
さっきの修羅場の話もしました。
先生:「別に本人さんに変わった様子が無ければ今度からご家族の方が来られてもかまいません。お薬、お出ししますね。」
本人の負担が大きいことを配慮して下さいました。
(本当は他の患者さんに迷惑掛けるからかも・・・。)

さぁ、これで終わりではありません。
今度は精算までの待ち時間をクリアーしなければなりません。
爺:「まだ、帰れんのかいや。」
私:「皆さん待っておいでるんや。」
爺:「腹減ったんな。」
私:「アメなめるか?」
むいて持って行くとあ~んと口を開けます。
これでしばらく大人しいかと思ったら・・・。
周りは寝たきりのお年寄りがベッドのまま点滴をしながら待機してたり、車椅子に乗せられて口を開けたままじっとしている人、奇声を上げている人沢山おられました。
その人たちを杖で指しながら
爺:「あっら全部死なねかんのや。生きとってもしかたね。」
大きな声で言うんです。
なんて事ほざくんじゃぁ~!
いたたまれねぇ~。
(ジジイ!地獄に落ちてまうぞ!)
私の方が早う帰りたいわ。

「がんばれ!わたし。」



爺ちゃん。バージョンアップ!

2008-01-22 14:43:45 | うちの年寄り
婆ちゃんが亡くなってもほとんど影響ないみたいです。
この日は爺ちゃん朝からトイレを湖にしてました。
主人が新聞をトイレの床に敷いて吸い取ってました。
私:「拭いたらいかんの?」
主人:「拭ける量じゃない。広がってしまう。」
相変わらずそのまま濡れたスリッパで部屋に戻ります。
私がそのスリッパを戻そうと手を伸ばしたらそこにもやっぱり水たまり。
爺ちゃんの八畳の部屋の前は廊下を挟んで坪庭を兼ねた裏庭に続く中玄関があります。サッシの戸を開けて爺ちゃんは庭を出入りしてます。
どうやらそこで立ち小便をした形跡が・・・。
土間も濡れてそこだけ変色しとるし・・・。

その日の夜、夕飯をいつものように済ませて薬飲ませたし、布団も敷いたし、入れ歯も没収したし、パジャマ(いつもは拒む)に着替えさせたし・・・一日の予定終了!
と、そうは問屋は卸さない。
せっかく着替えたのにその上に服を重ねて着て茶の間に入って来ました。
爺:「ほんなら皆さんこれで失礼します。」
と頭を下げなすった。
私:「どこ行くんやいね。」
爺ちゃんの背中を押して部屋に連れて行き布団に寝かせました。
5分もしない内にまた来ました。
爺:「お気の毒なぁ。これで帰らせてもらいます。」
主人:「たるいこと言うとんなまいや。爺の家そこの部屋やがいや。早ぉ寝えま。」
今度は主人がイライラして口を出しました。
また、私が連れて行きました。
もう、ちょっとの音でも気になります。
やっぱり出て来ました。
今度は茶の間は覗かずに直接玄関に出て靴を履いてます。
立とうとした私を制止して娘が走って行きます。
娘:「爺ちゃん。こんな遅ぉにどこ行くんや。」
爺:「いい加減に家に帰えらんと。気の毒やがいや。」
娘:「今日は遅いし泊まって行きね。ちゃんと布団敷いてあるさけ。」
爺:「ほんなら、そうさせてもらおか。」
娘:「寒いさけ。そうしね。」
娘は優しく爺ちゃんを促してました。
それにも関わらず爺ちゃんは凝りもせず、今度はトイレのスリッパを履いて玄関をうろうろ。
鍵をカチャカチャ。
私:「爺ちゃん。いったいどうしたんや。寝んかいね。履いとるのトイレのスリッパやよ。」
爺ちゃんを戻しトイレにスリッパを戻そうと戸を開けたらまた湖。
洋便の方に雑巾を隠してあるのを取りに行くとそこも水つき状態でした。びっくり。
おしっこが飛び散っていたり垂れてたりはありましたが水つきまでは初めてです。
便器の蓋からずぶ濡れ。
しばらく呆然としました。
バケツがひっくり返ったようなおしっこの量。
(そんにお茶飲んどらんのにどう絞ったらこんによ~け出るんやろ。)
物は考えよう。布団の中で無いのがまだ堅いもんや。

明くる朝。車庫に続く勝手口の戸は開いていたし、庭のサッシも開いていた。
寒いのに8畳の爺ちゃんの部屋もサッシが開けてあり障子戸だけに。
睡眠薬は効かんし、昼間はうとうとしとるし、夜遊びするし。
どうすりゃいいんじゃ~!

外に徘徊するのも時間の問題かもしれない。

「がんばれ!わたし。」

婆ちゃん、きっと苦笑。

2008-01-02 09:47:56 | うちの年寄り
病院から婆ちゃんが帰って来た。
隣の座敷では何も知らず爺ちゃんが寝ている。
その夜は私がお線香とロウソクの番をして婆ちゃんに添い寝した。
翌日から内夜とぎ、通夜、本葬と3日間続いた。
爺ちゃんと私の生活のリズムを見た親戚の方達は私を労ってくれる。
有り難いことではある。
しかし私は大変ではあるが可哀想な嫁ではない。

婆ちゃんが爺ちゃんより先に逝ってしまったことは逆縁になり葬儀には表に出ず後ろに控えることに。
私は喪主の主人の横に並び前列に。
前日の通夜に続き疲れも溜まり落ち着かなくなった爺ちゃん。
親戚にまじり、その中で騒ぐ声。
爺:「まだ終わらんのかいや。辛ろてかんがいや。」
義姉:「婆ちゃんのお葬式やんか。我慢し。」
爺:「ありゃ誰や。」
遺影をあごで差す。
義姉:「婆ちゃんやないの。」
聞こえた周りが笑いをこらえる。
爺:「腹へった。何か喰いてえ。」
義姉:「さっき、おにぎり食べたやないの。」
爺:「喰とらん。」
義姉の娘:「シッ!」
笑いのツボにはまってしまってこらえるのに必死。
焼香に爺ちゃんの甥が付き添ってくれた。
爺ちゃん、おもむろに遺影を見て派手に柏手をパンッパンッ。
「ナマンダブツ、ナマンダブツ」と言い香を焚く。
ご丁寧にもう一度パンッパンッ「ナマンダブツ、ナマンダブツ」と来たもんだ!
もう、たまらん。
笑い顔になりそうだ。
私達二人も前列で下を向いて奥歯を噛みしめてこらえる。
(婆ちゃん!何とかして~!)

火葬場の控え室にはお昼御飯を兼ねたおにぎりが用意してある。
漬け物を食べにくそうにつまみ、おにぎりも食べ続ける。
甥:「姉さん(私)いいんかいや。腹こわさんの。」
私:「爺ちゃん。よう噛みねや。ゆっくり食べね。」
あまり動じない私に周りが安心する。変な信頼が・・・。
斎場に戻りお骨になった婆ちゃんに焼香をする爺ちゃん。
焼香の手順に戸惑う。
香の横にある蓮の花の形をしたロウソクに手をかざして暖を取るそぶり。
甥:「それ、ロウソクや。横の香を摘んで入れな。」
付いていた甥が促したかと思うと爺ちゃん、香を摘まず種火を摘みやがった。
爺:「熱いがいや。」
慌てて離す。私もびっくりして思わずかけよった。
爺ちゃんの右手の親指と人差し指が焦げた。
爺ちゃん、タレの付いた物を摘んだ後のように指をなめて治療終了。
痛みは残っていて痛いことは痛いようで。
中陰の時に大丈夫か尋ねたら
私:「指、見せてみね。痛ないか?」
爺:「おお、トゲ刺さっただけや。だんね。かさだかな。」
火傷がトゲに変換されていた。

2日間一緒に過ごした親戚達、口を揃えるかのように私に爺ちゃんを託す言葉を残して帰っていかれた。

「妻~!この夫どうすんじゃ~!」
いつも婆ちゃんに叫んでいたけど、きっと苦笑してるにちがいない。

「がんばれ!わたし。」