わたしの嫁入道具にきものが数点ある。当時のわたしは生活の中で着る機会などないと思い、箪笥の中の物には執着が無く母の想いを計ることはなかった。
今、そのころの母の年になって箪笥を開ける。ほとんど赤くてもう着れない。その中に母の物であったらしい一際目に付く銘仙がある。「なんや、この山火事んてなの!」わたしのけなすようなことばに「これは銘仙の柄行や。秋の紅葉を表しているんや。」そんな母との会話を思い出した。
どうしても着たくなり友人達との食事の場に着て行った。赤くて笑われるかもしれないことを覚悟していたけど、年輩の友人に「今、調度いいがいね。」と言われてほっとした。
案の定、むすめには「なんやそれ。趣味わからんわ。」と。当時のわたしがそこに居た。亡き母に(これが分かるような年になりました。)と少し しんみり。
「がんばれ!わたし。」
今、そのころの母の年になって箪笥を開ける。ほとんど赤くてもう着れない。その中に母の物であったらしい一際目に付く銘仙がある。「なんや、この山火事んてなの!」わたしのけなすようなことばに「これは銘仙の柄行や。秋の紅葉を表しているんや。」そんな母との会話を思い出した。
どうしても着たくなり友人達との食事の場に着て行った。赤くて笑われるかもしれないことを覚悟していたけど、年輩の友人に「今、調度いいがいね。」と言われてほっとした。
案の定、むすめには「なんやそれ。趣味わからんわ。」と。当時のわたしがそこに居た。亡き母に(これが分かるような年になりました。)と少し しんみり。
「がんばれ!わたし。」
