人生において振り出しはなし

公務員試験の記録

銭にならない事業

2007-10-06 14:29:07 | 雑記
実家の近所に生活保護の給付を受けていた女性の方がいました。

移動はいつもタクシー
食事はいつもコンビニ弁当
子どもでもわかるヴィトンのバッグと、民族衣装のような不思議な衣服
まったく手入れをしていないのであろう広がった髪の毛

幼心に、正直に、「異様」だなと感じていたことを覚えています。

「生活保護を受けている人」だということは知っていたけど、
それがどういう意味なのかよくわかってなかったな。
後から聞いた話だと、給付されたお金はいつもすぐ使ってしまうので、
自治体のほうで一週間分ずつに分けて渡していたようです。
生活っぷりからは納得
いい対応だとも思います。

ただまあ、そのたびに市役所まで行かなくちゃならなくて・・
バスでいけばせいぜい200円ほどなのだけども、ソレはイヤ。
だからタクシーで行きたい。
でもお金は使ってしまうからタクシーは使えない。

そんな理由でうちにも何度かお金の無心に来ていました。
玄関先でぽろぽろと涙を流しながら。

その方は5年ほど前に亡くなられました。
身寄りもなく、持病から仕事や集まりごとなどに参加するのも難しくて、
孤独な最期を迎えてしまったようです。



俺が住んでいる多摩ニュータウンは高齢化が著しい。

市内に公団住宅が立ち並ぶ一角があり、今新聞でそこが取り上げられています。
曰く、高齢者になってから一人で入居してくるケースが増えていて、
外出もままならいことから寂しさを感じている方が少なくない。
そこで奮闘しているボランティアの方は、ある高齢者の方の場合、
3年通い続けてようやく会話してもらえうようになったこともあったといいます。

今は限られた地域の話
でも、超高齢化社会ともなると、全国に波及していく問題なのかもしれません。



こういった高齢福祉や保護金給付は銭にならない事業であるからして
大変取り組みも難しいものであると察します。

働ける・働けないの境界線は、本人にしかわからない。
以前読んだ雑誌で、趣味に時間を割くために生活に困窮しているという人に対して、
生活アドバイザーなる珍妙な肩書きの人がにべもなく
「生活保護受給すればいいんですよ」・・とコメントしていたのには疑問を覚えた。
でもワーキングプアなんて言葉もあるくらいに、生活保護で得られる給付金の
相当額を稼いで行くには、相当な時間労働しなければならないのが現実。

高齢者の方とは常日頃からお店で接してはいるものの、
やっぱりお店に足を運ばれるような方はまだまだ元気なんだよな。
真に向かい合っていくべき高齢者は、普段あまり目にしていない気がしています。

社会保障は手厚く・・・理想ですよね。
でも保険の申請をしてきた人、或いは助けるべき人に対して行政ができることは有限。
でも、銭にならない以上は行政あるいはNPOしかやる機関はない。
舵の取り具合で、現場で働かれている方は多く心労を抱えておられると察します。


とはいえ高齢化問題はまだしも、生活保護は多くの日本人にとって「他人事」ですよね。
でも今の日本の社会は、一度負けたら這い上がれない恐怖のサバイバルシステム。
「他人事」がいつ何時自分の直面する問題になってもおかしくないと思っています。