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♯945 世界都市魅力ランキング

2017年12月20日 | 日記・エッセイ・コラム


 「トラベル+レジャー」などと並ぶ世界的な旅行誌として知られる米国「コンデ・ナスト・トラベラー」誌(月間発行部数は約80万部)が選ぶ世界都市の魅力ランキングで東京が1位になったと、10月19日の新聞各紙が伝えています。

 同調査は、米国内を除く世界の都市を対象に、毎年30万人を超える読者が参加する読者投票で魅力的な都市をランキングし発表しているものです。

 今年は東京が(昨年に引き続き)2年連続で1位になったほか、国内都市では京都も3位(昨年2位)に入ったということです。

 東京は昨年のランキングで、前々回の15位から大きく順位を上げてトップに立ち、今年もトップを守ったことになります。今回の調査では2位にはオーストリアのウィーンが昨年の10位からジャンプアップし、京都は3位。4位以降はスペインのバルセロナ、フランスのパリ、オーストラリアのシドニーと続いたとされています。

 同誌は東京について「超近代的でネオン輝く高層ビル群と、落ち着いた寺や歴史的な神社、広々とした森林という矛盾がミックスされている」と評価。「地球上で最も多くのミシュランの星を得ている」と美食都市の側面も紹介したということです。

 また、京都では「再生された町家に宿泊できる」など、古都の魅力を保存していると説明したと報じられています。

 日本政府の観光局によると、2016年の米国からの訪日旅行者数は前年から2割増しとなる124万3000人だったということです。また、これを月別に見ても、今年8月まで41カ月連続で各月の過去最多を更新しているということからも、外国人旅行者からの東京の人気ぶりが窺えます。

 確かに、東京の街を歩くと、これまでに経験のないほどの多くの海外からの観光客に出会うようになりました。ターミナル駅や、観光ルートとしてお決まりの浅草、皇居、明治神宮、秋葉原、銀座などばかりでなく、渋谷や新宿、原宿、六本木などの繁華街、谷中や神田、赤坂、そして巣鴨のとげぬき地蔵などといったかなり渋めの場所でも、ガイドブックを片手に街歩きを楽しむ外国人の家族やカップルの姿が目につきます。

 話題のマリオ・カーに乗って東京タワーや浅草寺、お台場などの都内のスポットを縦横無尽に走りまわったり、築地の場外のカウンターのすし屋に並んでマグロのにぎりを頬張ったり、秋葉原でセーラー服のコスプレを楽しんだりと彼らの行動パターンは非常にアクティブで、東京の文化を貪欲に楽しんでいるよう見受けられます。

 また、渋谷のスクランブル交差点やハチ公前、新宿歌舞伎町の入り口やゴールデン街などが思わぬ(インスタ映えする)写真スポットになっていたりして、大勢でスマホを構える姿にもだんだんと驚かなくなってきました。

 多くの旅行者が指摘するように、東京の街は(世界の他の大都市に比べて)確かに清潔で安全です。文化的にも、ハイテクを活かした近代的な部分と東洋的な非合理性が程よく混じりあい、(映画「ブレードランナー」に出て来るような)不思議なエキゾチズムに溢れて見えるのかもしれません。

 あいかわらず電車は時間に正確だし、物価も(長年続いたデフレのおかげで)さほど割高感は感じられなくなりました。日本人には冷たい東京の街の人々も、外国人には案外親切ですし、フレンドリーでシャイな様子が安心感を与えるのかもしれません。

 欲を言えば、英語がもう少し通じたらとかタクシーがもう少し安かったらとか、地下鉄の乗り換えがもっと分かりやすかったらといった注文はあるでしょうが、神社・仏閣に加え、和食や旅館、アニメや電化製品、独特のファッションセンスといったまさに多様なコンテンツを考えれば、一粒で何度もおいしいのが(外国人にとっての)東京ツアーと言えるでしょう。

 一方、2位となったウィーンは、2度の大戦をくぐり抜けてきた世界的に知られる歴史的な街並みが美しい音楽の都です。コンパクトな中心街の周囲にはトラムが巡り、宮殿や協会、公園や音楽ホールが緑の中に配置されたこの街は、1000年以上続くヨーロッパの歴史と風格を体現していると言えるでしょう。

 また、情熱の国スペインを代表する観光都市である4位となったバルセロナでは、フラメンコなどの地域性あふれる音楽や舞踊、スペイン料理などが存分に楽しめるうえ、サグラダ・ファミリア(聖家族教会)をはじめとするガウディ建築が異国情緒を十分に醸し出してくます。

 花の都パリの美しさ、特に街としての文化的な完成度の高さは今さら言うまでもなく、オーストラリアならではの健康的なおおらかさが魅力のシドニーは、世界中の人々から最も住み続けたい都市のひとつとして評価されています。

 しかし、こうした幾つもの素敵な街を抑えて東京の魅力が世界に評価されたことについては、日本人はもう少し自信を持ってもよいのかもしれません。

 例え少し猥雑であったとしても、例え道路や家々がごみごみしていたとしても、例え街並みが不揃いで美しくなかったとしても、いろいろな文化が(意外にマッチしながら)共存している多様性と活力が現在の東京の魅力と言えるのでしょう。

 簡単には判らない、そうした東京の街が持つ「奥深さ」のようなものが、(何を考えているのかよく分からないように見える「日本人」とともに)外国人旅行者を惹きつけてやまないのではないかと、改めて感じている次第です。




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