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石原裕次郎~映画「あいつと私」

2020-10-04 | パフォーマンス
NHK・BSシネマで映画「あいつと私」(昭和35/1961)を観ました。
原作は石坂洋次郎の小説、
石原裕次郎、芦川いづみ共演の日活映画です。


時代は、安保闘争まっただ中・・・

私立大学に通うけい子(芦川いづみ)は、穏やかな日常を送っている・・・
同級生の三郎(石原裕次郎)に惹かれ、安保反対のデモに好奇心を示し、
友人の結婚に興味津々・・・

・・・と、当時の大学生活が、社会や風俗と共に描かれていきます。

映画としては、深刻な問題もユーモアで乗り切っていく感じでしょうか。
令和の目で見ても、おもしろい映画だと思います。




成瀬巳喜男・監督が大好きで、古い日本映画は、かなり観ています。
小津安二郎、溝口健二、木下恵介・・・など、わたしの好きな監督は
松竹や東宝の所属です。

溝口健二監督は、戦前は日活の所属ですが、戦後は移籍・・・
わたしの場合、戦後の日活映画は縁がなかったってことで・・・
(物心ついたときは、ポルノ路線だったしw)

そのせいか、この日活・映画には違和感ありありでww
もう、いろいろな意味でびっくり!
(「日活」だからかどうかはわかりませんが)



まず、セリフが早口なんです。
今の倍くらいありそうなスピードで、皆がしゃべりまくるので、
聞き取れず、字幕モードにしちゃいました。

それも、めちゃくちゃ、理屈っぽい内容ですw

でもって、時々、ぎょっとする単語が混じります。

古い映画には差別的表現に対する断りが、映画の前後に付きものですが、
そうではなくて、気になったのは性的単語です。
今だったら、言うにしても遠回しに表現するであろう言葉をズバリ!

アラカンおばちゃん、赤面です・・・w


これは映画の問題なのか、原作がそうなのか・・・と
図書館から、石坂洋次郎『あいつと私』(新潮文庫/昭和41年版)を
借りて、読んでみました。

・・・原作の通りでしたw 
文庫の解説によると、原作は昭和35年から36年に雑誌連載されたそうなので、
最初から映画化を念頭にして、執筆されたのかも知れません。

映画では、けい子の学校生活、つまりは三郎との恋愛問題が中心ですが、
小説では、家庭も詳しく描かれています。
映画で割愛されたのは、裕ちゃんを目立たせなきゃならないからでしょうw

その意味では、ラストも裕次郎・仕様になっているかも知れません。
映画の方が、三郎の特異な生い立ちと、現在の人柄が、伝わってきます。
そして明るく終わっていくので、幸せな気分になれました。

ということで、アタクシは、原作よりも映画の方が好きかな・・・
録画なので、2度観ちゃいましたもん♫




原作では、すぐ下の妹に存在感があります。
映画で、吉永小百合さんが演じられていたことに納得!

ちなみに、翌年の、やはり原作・石坂洋次郎&石原裕次郎主演の
映画「若い人」で、小百合さんは、浅丘ルリ子さんとWヒロインを
務められています!(後のご活躍もうかがわせます)

その他、三郎と関わりがあったらしい年上の女性に渡辺美佐子さん。
同級生役に小沢昭一、吉行和子、高田敏江さんら・・・
また、けい子の中学生の妹は酒井和歌子さんでした。

皆さん、はつらつとしていて、とっても、素敵!

そして、けい子役・芦川いづみさんが、とにかく、お洒落で、かわいい!
日活の黄金期を代表する女優さんとのことですが、
令和の目で見ても、十分通用する、美しさ、存在感でした。

裕ちゃんこと、石原裕次郎さんは・・・う~ん・・・
わたしは、子どもの頃から、どうして人気があるのかなぁと不思議でした。
(ファンの皆様、ごめんなさい!)

でも、この映画を観ていて、とにかく足が長く、
ちょっと他の俳優さんとは、違った雰囲気が出ているのはわかりました。
好みは別としてカッコいいね、と初めて思えたかも・・・w



古い日本映画では、かつての日本の風景を観ることもできます。
旅好きですから、これも大きな楽しみです。

この映画では、学校でのロケ場面は、
なんと、慶應義塾大学日吉キャンパスでした。

しかも、劇中で、はっきりと「慶應」と名前が出ます。
神宮での慶早戦のシーンまでありましたww
原作では「A大学」としか書いていないのに・・・

今だったら、実在の学校名は、(一部を除き)出しませんよね・・・
ムロツヨシさんの「親バカ青春白書」だって、「立青大学」だったしw
もちろん、立★大や青★大で、ロケはしていないでしょう・・・

原作者の石坂洋次郎は慶應大出身、
しかも「三田文学」(慶大文学部中心の文芸誌)が飛翔のきっかけだし・・・
石原裕次郎も、大学こそ中退したとは言え、高校から慶應だし・・・

そんな関係もあったのかな?というくらいの登場っぷりでしたw

また、結婚式場は「東京會舘」・・・
こちらも、しっかり実名を出して、ロケしていました♫

なお、この後観た「若い人」では長崎の活水女子大学でロケしていました。
同じく石坂洋次郎の原作で、小説では学校名が出てこないのに、
映画では、はっきり「活水女子高校」と名前が出ていましたw



先にも書きましたが、「あいつと私」「若い人」とも
それぞれ石坂洋次郎の小説なので、原作を読みたくなり、
図書館で探しました。

どちらも書庫にありまして・・・
『あいつと私』は文庫本がありましたが、
「若い人」は収録した全集本しかありませんでした・・・

それだけ、読む人がいないってことなのでしょう。


司書さんに出していただきましたが、
「若い人」は、かつて家にあったのと同じ全集で、
「それ、中学生の頃に挫折しましたよ・・・」という本でした。

あの頃、なんで、「若い人」を読もうとしたのかな?
と考えていたら、思い出しました。
桜田淳子さん主演で映画化されたからでしたw

あれから四十年余り・・・
高度成長期生まれの私も、
石坂洋次郎・作品を、きちんと読まずにきてしまいました・・・


◆長々とお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

書影が無かったので、
本日は、最近撮りためていた、秋の花をアップしました。
冒頭から白雪草、紫式部・・・以下、お馴染みの秋の植物です。

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