街路樹
1988年9月1日リリース
尾崎豊の4枚目のオリジナル・アルバム。
制作の遅れ、ツアー中断、逮捕などによる度重なる発売延期によって、十代最後のアルバム『壊れた扉から』から約3年の月日が流れていた。
難航する曲作り
『街路樹』は、当初は1987年4月リリース予定だった。
しかし、所属事務所が設立したレコード会社「マザー&チルドレン」に移籍したことにより、歯車が狂い始める。
デビューから二人三脚で曲作りをしていたCBSソニーのディレクター・須藤晃氏と離別したことで、信頼できる曲作りのパートナーを失った尾崎。
「レコーディングがどうしてもうまくいかない...」と一度、別のアーティストのレコーディングをしていた須藤氏を訪ねてきたこともあったという。
「あるところまでは来るんだけど、それ以上進まないというか、どうしていいかわからなくなる」
須藤氏に10曲近いデモ段階の曲を聞かせながら、1曲終わるごとに「どうでしょうか?」と彼の顔を真剣に覗き込む尾崎。
しかし、レコード会社がCBSソニーからマザー&チルドレンに変わった尾崎には契約上、助言をすることができない。
「やっぱり、須藤さんと一緒にやりたいんです。お願いします。どうかまた一緒にできるようにしてくれませんか?」
そう懇願した時の尾崎のすがるような眼が、須藤氏の胸の奥深くまで刺したという。
無期限延期
その後、アルバムがリリースされないまま1987年7月1日から、アルバムタイトルを冠した「TREES LINING A STREET TOUR」が始まる。
しかし、9月28日の新潟県民会館での開演前の楽屋で倒れているところを発見され、ツアーは中断。そして、長期入院。
さらには覚醒剤取締法違反による逮捕もあり、アルバム制作は一時、暗礁に乗り上げる。
その後、1988年6月21日に『太陽の破片』をリリース。翌日には、初めてテレビの歌番組「夜のヒットスタジオDELUXE」に生出演した。
こうした数多くの紆余曲折を経て、アルバムが完成したのは1988年7月のことだった――。
<収録曲>
1. 核(CORE)
2. ・ISM
3. LIFE
4. 時
5. COLD WIND
6. 紙切れとバイブル
7. 遠い空
8. 理由
9. 街路樹
【出典】「再会 ―封印を解かれた10万字」 「尾崎豊 覚え書き「Wikipedia」