MKB2024

―― MK1のBLOG.

ウルトラマン<A・B・Cタイプ>

2022年05月10日 | ウルトラ関連



 ウルトラマン / A・B・Cタイプ



 ウルトラマンのマスクとスーツは、全39話の中で2回変わっています。

 なお、第1話~第13話がAタイプ、第14話~第29話がBタイプ、そして第30話~第39話までがCタイプと呼ばれています。

 『シン・ウルトラマン』公開を記念して、簡単にまとめてみました――。




 Aタイプ / 第1話~第13話




[第9話「電光石火作戦」より]


【マスク】

 Aタイプは目の角度が一番急で、顔も細長く、耳も小さいです。

 造形家の佐々木明氏によると、仮面全体を合成ゴム(ラテックス)で作り、口元以外の裏側に薄いFRP樹脂を貼り付ける構造にしたそうです。

 ウルトラマンが元々、言葉を話し、口からシルバーヨードという敵を爆発させる液体を吐く設定になっており、口を開閉させる必要があったためです。



[第6話「沿岸警備命令」より]


 しかし、FRP樹脂を貼っていない部分にシワが寄るようになってしまったため、円谷監督の指示によって新たな仮面が作られることになりました。

 これが、ウルトラマンの仮面がBタイプに変わった理由です。



[第3話「科特隊出撃せよ」より]


 Aタイプは合成ゴム製のため、表面がボコボコしていてシャープさが無く、顔面の荒々しさから、正義のヒーローというより謎の宇宙人という印象が強いです。

 また、表面状態の違いが確認できるため、Aタイプのマスクは2種類あるようです。



[第6話「沿岸警備命令」より]


[第13話「オイルSOS」より]


 なお、Aタイプはマスクの端が顎から耳、耳から頭頂部にかけて波型になっていて、側頭部分が半円上に銀色になっています。



[第8話「怪獣無法地帯」より」


【スーツ】


 クランクインして間もない頃は、国内メーカーの黒いウェットスーツを銀色に塗り、その上から赤いラインを塗っていたそうです。

 「ウルトラ特撮PERFECT MOOK vol.2」に掲載されている写真からもそれを確認できます。


              


 しかし、塗料のノリが悪く、激しい格闘シーンを行うと色味が落ちたり剥げたりして、塗り直しのための待ち時間が頻発したそうです。

 そこで、アメリカから赤いウェットスーツを取り寄せて、銀の生地を模様に合わせて接ぎ合わせたものを使用するようになりました。

 映像からも、赤色の生地と銀色の生地の接ぎ目を確認できます。



[第1話 (制作第5話)「ウルトラ作戦第1号」より]


[第4話「大爆発五秒前」より]


[第10話「謎の恐竜基地」より]


【足元】

 地下足袋の上にウェットスーツを貼り付けて造られたといわれています。



[第12話「ミイラの叫び」より]


【補足】

 Aタイプのスーツは、使用後に「にせウルトラマン」に改造されました。



[第18話「遊星から来た兄弟」より] 


 にせウルトラマンでの使用後は、ゾフィーのスーツに改造されました。

 撮影終了後は、鋲をとってカラーリングを元に戻してウルトラマンとして全国のアトラクションで使われたそうです。



[第39話「さらばウルトラマン」より] 



 Bタイプ / 第14話~第29話




[第24話「海底科学基地」より]


【マスク】

 口元にシワが寄ってしまうことを防ぐため、仮面全体をFRP樹脂によって造形し直されました。

 Aタイプのマスクの型が使用されたといわれており、ダイヤカットの面の形に合わせて覗き穴が開けられているのが特徴です。



[第26話「怪獣殿下 前篇」より]


 目の角度はAタイプとCタイプの中間で、耳の角度がかなり鋭角的になっています。

 目の角度と引き締まった口元から理知的な知性を感じさせるため、マスクの中ではBタイプが一番好きというファンも多いようです。



[第27話「怪獣殿下 後篇」より]


 なお、Bタイプもマスクの端が顎から耳、耳から頭頂部にかけて波型になっていて、側頭部分が半円上に銀色になっています。



[第18話「遊星から来た兄弟」より] 


【スーツ】

 マスクの改修に合わせてスーツも改修されました。

 厚さが10mmほど (Aタイプは3mm) になり、胸と肩にウレタンが入れられて強靭な印象に変わっています。



[第24話「海底科学基地」より]


 Bタイプでは、黒いウェットスーツを赤く塗って、その上から銀色を塗り分けて使用していたそうです。

 しかし、撮影が進むにつれてスーツの劣化がひどくなってきたため、3回目の改修が行われることになります。

 第28話「人間標本5・6」では、ウルトラマンの背中の銀色のスーツの部分がかなり劣化していることが確認できます。





 サミットストア成城店の敷地内にあった東宝会館の屋上で撮影されたシーンでは、肘の部分に大きな穴が開いてしまっています。


 


 第29話「地底への挑戦」では、腕の部分のスーツの劣化がかなり進んでいることを確認できます。





【足元】

 足先が尖がっている形状になっています。ラテックスで造られたといわれています。



[第16話「科特隊宇宙へ」より] 



 Cタイプ / 30話~第39話




[第33話「禁じられた言葉」より]


【マスク】

 スーツの改修とともに、仮面も改修されたと思われます。

 上唇が長くなり、口も大きくなっています。ウルトラマンの仮面のモチーフになったという仏像のアルカイック・スマイルに一番近いタイプです。

 耳の形も二等辺三角形に近い形から長方形に近い形に変わり、目の角度も緩やかになっています。(目と口の間の長さが少し短くなっているように見えます)
 




[第33話「禁じられた言葉」より]


 また、Cタイプではマスクの端が直線になっており、側頭部分にあった半円状の銀色のカラーリングが無くなり、赤一色になっています。



[第31話「来たのは誰だ」より]


【スーツ】

 胸と肩のウレタンの量が増え、より強靭な印象になっているのがわかります。

 赤色のウェットスーツに銀色の塗料を塗るようになり、胸の赤い部分の面積がスーツの改修とともに増えていっています。



[第33話「禁じられた言葉」より]


[第35話「怪獣墓場」より]


 「ウルトラ特撮PERFECT MOOK vol.2」に掲載の画像では、銀色の塗料が剥げている部分に下地の赤い色が見えていることが確認できます。





 第31話「来たのは誰だ」の劇中のウルトラマンのスーツでも、同様の状態を確認できます。





【足元】

 靴屋に発注して造られたソールの無い特殊なもので、先端の尖がりが無くなっています。第32話「果てしない逆襲」から変更になっています。





[特撮のDNA / ウルトラマンDENEALOGYより」


【3つのレプリカマスク】

 なお、本放送終了後にCタイプのマスクの原型を使って3つのレプリカが作られ、成田亨氏、古谷敏氏、佐々木守監督が所蔵されたそうです。



[第39話「さらばウルトラマン」より]




 編集後記


 
 会社が大赤字になることを厭わずに、徹底的にこだわり抜いて創られた『ウルトラマン』。

 初回から最終回まで安定した高視聴率を獲得していたため、監督も視聴者の目を気にせず、自分のやりたい演出を思う存分できたことでしょう。

 マーチャンダイジングも今ほど露骨ではなかったため、制作スタッフや出演者が純粋に良い作品を作ることだけに集中できたある意味で奇跡的な作品だったといえます。

 しかし、普通の会社でそれをしてしまうと経営が成り立たたなくなるため、CGの使用やマーチャンダイジング、視聴者を意識せざるを得ません。

 なので、第1期ウルトラシリーズの洗礼を受けた人たちは、今のウルトラ作品に物足りなさを感じてしまうのはしょうがないと思います。

 ピアノ線で吊るしたミニチュアの飛行機が実際に飛んでいる映像、細部まで作りこまれたミニチュアセット、本物の爆発、本物の炎、本物の水に対して命懸けで演じる姿。

 CGでは、そういった特撮映像の空気感や重量感、リアリティを絶対に越えられないことを割り切った上で、作品を楽しむことが求められているように思います。

 それが、ウルトラ作品が永続的に続いていく必要条件なのかもしれません。

 ただ、少子高齢化によって子供の数が減り、高齢者が増えていく今の時代においては、第1期からのウルトラファンも取り込んでいかなければジリ貧になるのも事実。

 “現代の子供たちに受け入れられながらも、ウルトラ作品の原点も大事にする”そんな作品が求められているのかもしれません――。







【出典】「徹底検証!ぼくらのウルトラマン伝説」「特撮秘宝 vol.3」 
    「ウルトラマンになった男

【関連商品】「TSUBURAYA IMAGINATION」「ウルトラマン Blu-ray BOX


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『シン・ウルトラマン×横浜・... | トップ | 特撮のDNA / ウルトラマン... »