平泉、世界遺産「落選」…日本の候補地では初(読売新聞) - goo ニュース
日本の「世界遺産登録候補」の選考で、初の「落選」となった事例ですが、地元「平泉」の落胆ぶりは、相当なものだったでしょうね・・・・。
今年の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会による、世界遺産登録の審議が、今月2日(水)からカナダ・ケベックで開催され、日本政府が推薦していた「平泉の文化遺産」(岩手県)についての世界遺産への登録を、今回は延期したことを6日午後(日本時間7日午前)、発表したとのことです。
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今回の「登録延期」は、4段階評価のうち下から2番目で、日本の候補地としては初の事実上の落選となり、文化庁は今回の決定を分析したうえで、改めて「平泉」の推薦書を提出し、2011年度の登録を目指したいとしているそうです。
今回は、「平泉」を含めた文化遺産と自然遺産の候補地計43件を審議しており、文化庁に入った連絡によると、奥州藤原氏が12世紀、平泉を中心に「浄土思想」に基づいて進めた町づくりについて、「平和の希求」といった点で文化的価値を認める意見もあったが、委員会としての合意は得られなかったそうです。
今回登録申請した「平泉地域」は、国宝の中尊寺金色堂や毛越寺(もうつうじ)など、岩手県平泉町、一関市、奥州市にまたがる寺院や造園など計9か所が対象で、文化庁は「世界遺産の審査が厳格になっていることに加え、平泉に顕著で普遍的な価値があるということを証明しきれなかった」とみているそうです。
今回の登録延期の要因について、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(ICOMOS)」は今年5月、「普遍的価値の証明が不十分」などとして延期の勧告をしており、政府は、推薦書を補足する文書を新たに提出し、以下の事由を訴えていたそうです。
〈1〉平泉の浄土思想には、現代に通じる「平和希求」・「万物共生」・「自然との融合」の精神がある。
〈2〉敵味方や善悪を超え、絶対平和を希求する姿勢はユネスコ憲章の精神にも通じる・・・・
現在の世界遺産は851件登録されており、日本は文化遺産と自然遺産合わせて14件登録されているのですが、近年は新規登録が抑制される傾向にあり、年々登録が厳しくなっている状況なのだそうです。
今回の登録延期の知らせを受け、渡海文部科学大臣は「今回の結果は大変残念。推薦書の再提出に向け、最大限の努力をしてまいりたい」とのコメントを出したとのことです。
「世界遺産」登録後は、大勢の観光客が訪れ、かなりの「経済効果」が期待される一方、観光客の増加で環境破壊やトラブルも懸念されます。イタリアのフィレンツェの大聖堂の「落書き」などが、その例ですね・・・・。
「経済効果」を優先する地域の実情は分かりますが、この「遺産」を未来永劫にわたって守っていけるのか?管理体制の十分な計画や、「世界遺産」に認定するに値する絶対的根拠が示せない限り、正直難しいのかもしれません。
先月、登録候補地域付近を襲った「岩手・宮城内陸地震」で、いくらか被害を受けた箇所もあり、被災者の「心のよりどころ」でもあった、平泉の世界文化遺産登録が延期になったことは、大変ショックだったと思いますが、被災地の復興と共に、再度「世界遺産登録」を目指し、再出発を願いたいと思います。
ただ、むやみに「世界遺産」登録ばかりに走る動きも、懸念すべき問題なんですが・・・・。