はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

『新的中国人~十代の戦場』

2012-01-11 17:28:42 | その他
NHK、BSプレミアムで放映されたドキュメンタリー

(以下、番組紹介より)

上海のマンモス校、進学を目前にした学級を舞台に、十代の子供たちの一年を追う。周りの生徒に馴染めず、クラスから孤立する男の子、性の知識に戸惑い、情緒不安定になる女の子、先生や親の態度に疑念を抱き「世の中本当に不公平!」と失望する男の子。3人の抱える十代特有の悩みに教師も親も顧みない。「良い成績を!」という号令にかき消され、やがて3人は失望、歪んでいく。十代の子供たちの「焦りの日々」に密着、子供同士のケンカや秘密めいた対話、親子の言い争い、教師と親の対話がリアルに収録され、大人社会の縮図になった学校を浮き彫りにする。

上海の有名進学校の小学5年生を取材した、気鋭の中国人監督2人によるドキュメンタリー。
面白かった、というより色々と衝撃を受けた番組だった。

中国の学校についてはそれなりに読んだり聞いたりして知っているつもりでいたけど、
実際の小学校がどのような様子なのか、これを見てリアルに知ることができた。
まさに「百聞は一見に如かず」である。

テストの結果が悪いと先生によってクラス全員の前で名指しで糾弾され、涙を流しながら反省の言葉を言わされる生徒達。
10分の休み時間ですら宿題をする時間と決められて、席をたつことも許されない。
昼食も皆自分の席で黙々と食べ、昼休みに遊ぶことが許されるのはわずか15分。
「私は寛容な方よ。他のクラスは皆勉強しているわ。」と言っていた先生も、
番組後半ではその15分の休み時間さえあっさり取り上げてしまった。

生徒を名前で呼ばず、1号、2号と番号で呼ぶ数学教師。保護者会でも終始威圧的な態度で保護者を脅しているとしか思えない発言をしていた。
軍隊では隊員を名前で呼ばず、番号で呼ぶと言うから、まさにここは学校ではなく「戦場」、教師は先生ではなく「将軍」である。

そして先生は皆、生徒に向かって毎日のように言葉の暴力を振るっていた。
それこそ生徒の「人格を否定」するような、聞くに堪えないようなことを生徒に向かって平気で言う。
その先生を前に、じっと押し黙るしかない生徒達の表情が忘れられない。
先生は勝手に生徒達に色んな「約束」(授業中のおしゃべり禁止など)を押し付けて守らせようとするくせに、
「頑張って勉強したら(元のように)昼休みを15分あげる」と言った「約束」は簡単に破って皆を失望させる。
生徒の一人は「先生、親、クラスメートは皆敵だ」と言い切った。確かにそこは「戦場」だった。

もちろん日本の学校にも体罰や言葉の暴力をふるう教師はいるし、
中国の学校が、すべてこの上海の学校のようだとも思わない。

でも中国企業で10年近く働いてきて、私にも思いあたる節があった。
教師の態度はかなりの部分、私の以前の上司達の態度に共通するものがあるのだ。
とにかく高圧的で部下を見下しているとしか思えない態度。
ご都合主義でコロコロ変わる方針。
そして人格を否定するような発言の数々。

それでも会社はまだいい。
部署がかわることも上司がかわることもあるし、上司も毎日部下を「教育」するような熱意を持っていないので、
たまに強制的に開かれる会議と思想教育のレクチャーさえ、目と耳をつぶってやり過ごせば何とかなる。

でも子供たちは毎日毎日、あの教師たちから言葉の暴力を受け続けなければいけないのかと思うと、涙が出た。

番組では明らかに挙動がおかしく、人の批判に晒されるのを極度に恐れ、精神的に不安定な男の子がいた。
今は何事もなくても、それこそある日突然「キレて」しまうのではないかと心配になった。

とりとめのない感想ですみません。

http://www.nhk.or.jp/shinteki/


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2 コメント

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勉強ばかり・・・ (mwn)
2012-01-12 14:17:17
こんにちは。
いつものとおり、興味深く拝見させていただきました。

この手の話題、子供が中国の学校に通う可能性がある親としては、
見過ごすことができません。
周りの話を聞く限り、こちらの学校はそれこそ勉強ばかり。
では課外で遊ぶチャンスがあるのかといえば、
その時間すらほとんどないのですから、
一体どんな子供ができあがるのか…と心配になってしまいます。
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Unknown (はとぽっぽ)
2012-01-13 15:24:24
>mwnさま

コメント有難うございます。
私も他人事ではないためなるべく情報収集するように心がけているのですが、かえって不安ばかりがつのります。

中国の学校が勉強に厳しいのが一概に悪いとは思わないんですが、その勉強の内容がひたすら暗記とテストの繰り返し、テストでは全員判を押したような標準回答しか許されず、そして使っている教科書は古典の改竄と事実の捏造の嵐ときたもんです(教科書の話はまた別の機会に書きたいと思うんですが)。

膨大な宿題、生徒達は教科ごとに分担し、お互いに写し合いして何とか乗り切っているようですが、そんな宿題意味があるのかと思ってしまいます。

何より成績や行動に問題のある子に対する先生の態度が、あまりにもひどいのに驚きました。
こんな言葉を日々浴びせられて育つ子供たちの精神面での発達はどうなってしまうのだろうと思います。

本当は中国の学校に関して後ろ向きな内容ばかり書きたくないんですが、事実は事実として知っておく必要があると思って、時々書くようにしています~。
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