星野カレンダー2019の２月のページから「キプロス、オレンジを摘む少女」という文昭さんの絵と「厳寒のこの部屋から」という暁子さんの詩を紹介します。
厳寒のこの部屋から
しもやけのできかけている足に
カイロを入れ
背中にも入れて
冷え切った 部屋で
机に向かう
ここは「暁子と会話する場所」
かじかむ手に
息をふきかえ 鉛筆を持つ
厳寒の この部屋から
キプロスの オレンジを たむける少女に
魂を 吹き込む作業が
この日の あなたの 仕事だった
身を削る あなたの
一筆 一筆 は
今 少女を包む 暖かさになって
私の心に
オレンジの はじける甘さとともに
届いている
