机草子日記

日々過ごす中で思う事をのんびり書いてます。

マヴァール年代記

2006年06月17日 | レビュー
著者 : 田中芳樹

田中作品にしては珍しくちゃんと完結してるシリーズ。完結したのは単行本3巻という短さもあるかもしれないけど、短いけれどしっかりと世界が出来上がっていて読み応えのある作品に仕上がってます。
ただ、短い作品であるがゆえにかもしれないけれどかなり急いだ感じになってるのはちょっと残念。
じっくりと一つの物事に関してゆっくりと書いていけばもっといい作品になったのかもしれないなと思う。まぁ、物語が急展開するような事が立て続けに起こるから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないけれど。

登場人物は多少使いまわし感がします。
特に中心となるカルマーンとヴェンツェルの二人、そしてヴェンツェルの妹アンジェリナ姫、この3人についてはそれぞれアルスラーン戦記でのやはり中心となっているダリューン、ナルサス、ファランギースのイメージとかなり同じように感じられました。
ちょっと考え方を変えて「ダリューンとナルサスがそれぞれ覇を競い合うとこうなるんだろうな」と捕らえてみるのも面白いかも。

舞台は雪国なんだけど、雪国に住んだ事のない私としてはなかなか風景を描けなくてちょっと大変だったこのシリーズ。
読んで損は無いと思うけど、まだ本が売ってるのかどうかがちょっと心配。
最近は中国物が多くなって、ヨーロッパをモデルにした作品が少なくなっているので今後こういう作品を書くのかどうか分からないけど、書けるのならこの続きを是非書いてもらいたい。生き残った人たちの生き様を見てみたいです。