机草子日記

日々過ごす中で思う事をのんびり書いてます。

絵本 徒然草

2006年09月03日 | レビュー
著者 : 橋本治

「桃尻語訳 枕草子」に続いて、今度は「徒然草」です。
やっぱりこちらも中学生の時に何だか知らないけれど覚えたので、かなりメジャーな作品。
前作の「桃尻語訳 枕草子」では「男性が女性になったつもりで書く」というスタイルだったので少々読みづらかったり、無理のある感じもあったけれど、今回は兼好法師という事で、年寄りになって書いているので読みやすくなっているのがいいところ。
ただし、読みやすくなってる、と言うのはもちろん著者の腕でもあるんだけれども、「徒然草」自体が現在の日本語の元となる文体、「和漢混淆文(わかんこんこうぶん)」で書かれているからでもあるらしい。
つまり、日本語だって時代が変われば変わってくる。それを何となく実感できるって事ですね。

前回の「桃尻語訳 枕草子」で全段を訳すのが疲れたのかどうなのかはわからないけれど、今回は全段を訳してるのがまたすっきりとしていい感じだという印象。

「徒然草」をきちんと読んでみたいけど、どうなのかなぁと思ってる人にはちょうどいい本だと思います。

マヴァール年代記

2006年06月17日 | レビュー
著者 : 田中芳樹

田中作品にしては珍しくちゃんと完結してるシリーズ。完結したのは単行本3巻という短さもあるかもしれないけど、短いけれどしっかりと世界が出来上がっていて読み応えのある作品に仕上がってます。
ただ、短い作品であるがゆえにかもしれないけれどかなり急いだ感じになってるのはちょっと残念。
じっくりと一つの物事に関してゆっくりと書いていけばもっといい作品になったのかもしれないなと思う。まぁ、物語が急展開するような事が立て続けに起こるから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないけれど。

登場人物は多少使いまわし感がします。
特に中心となるカルマーンとヴェンツェルの二人、そしてヴェンツェルの妹アンジェリナ姫、この3人についてはそれぞれアルスラーン戦記でのやはり中心となっているダリューン、ナルサス、ファランギースのイメージとかなり同じように感じられました。
ちょっと考え方を変えて「ダリューンとナルサスがそれぞれ覇を競い合うとこうなるんだろうな」と捕らえてみるのも面白いかも。

舞台は雪国なんだけど、雪国に住んだ事のない私としてはなかなか風景を描けなくてちょっと大変だったこのシリーズ。
読んで損は無いと思うけど、まだ本が売ってるのかどうかがちょっと心配。
最近は中国物が多くなって、ヨーロッパをモデルにした作品が少なくなっているので今後こういう作品を書くのかどうか分からないけど、書けるのならこの続きを是非書いてもらいたい。生き残った人たちの生き様を見てみたいです。

桃尻語訳 枕草子 (上巻・中巻・下巻)

2006年05月08日 | レビュー
著者 : 橋本治
定価 : 上巻1,200円 中巻1,300円 下巻1,400円(すべてハードカバー版)

日本三大随筆のうちの一つである「枕草子」。絶対に中学生の時に避けては通れない古典の名作な訳ですが、これを分かりやすく訳してみたのが、この本。
例えば第1段の「春は曙」中学生の時に覚えさせられていまだに覚えてる人は結構いると思うんだけど(私はほとんど忘れてます)、授業じゃ「春は曙(がよい)」などと余計な言葉がついてくるわけなんだけど、この本は「直訳です」と著者が言ってるだけあって余計な部分が一切無い。「春って曙よ!」これで始まるわけですから、本屋で見た時の衝撃は激しくてそのままレジに直行した訳ですから、私に与えたインパクトはかなりのものでした。

本の冒頭に「清少納言になりきって書いた」と書いてあるだけあって、その後も延々と清少納言節(?)が続きます。
しかも、原文だけじゃ分かりにくいだろうって事で書き足した注(当時の情勢、ファッション等、結構詳しいので平安時代に詳しくなれます)同じ調子で書いてるので、途中で疲れてくると思いますから、1日に1段か2段、ちょっと余裕があれば3段くらいで止めておいた方がいいかもしれません。
著者がたどり着いた結論、「すべて話し言葉で書かれている」ものを読むのは例えて言うなら黒柳徹子の話を延々と聞くのと同じくらい疲れるんじゃないかとは私の個人的な思いですけど、もう少し気楽に読めるようにして欲しかったなとは思います。
どうせなら全段訳すんじゃなくていいところを抜粋しても良かったんじゃないかとも思います。著者もサジを投げたのか、清少納言になりきってるのか、「アナタたちには分からないだろうけど」的な事も書いてますから。

堅苦しい「枕草子」には疲れた、と言う人が気分転換で1段、2段読むにはいい本だと思います。全段読むにはちょっと辛いですが。

またまたへんないきもの

2006年02月13日 | レビュー
著者 : 早川いくお
定価 : 1,575円

前作「へんないきもの」に続く第2弾。
さすがにもう無いだろうと思ったら、まだまだ世界にはへんないきものがいるんだと知らされるわけですよ。
でもね、生態がさっぱり分からないからって「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくるそっくりな妖怪の解説をするのが著者の遊び心が現れててなかなかに面白かったりする。
読者の何人が「わかんないんだったら書くなよ!」と叫ぶんだろうなと思うのかを想像してみると意外に多いのではないかとも思う。かく言う私もその一人だったり。

そして今回の目玉としては「天然色いきものポスター」が付いている事。
本では白黒で描かれているいきものたちが鮮やかな色で描かれている。「あぁ、このいきものってこんな色してるんだ」としばらく眺めていてしまうほど綺麗ないきものたち。でも一癖ある「へんな」いきもの…。
そして、へんないきものにはつきものの変な名前をめぐるコラム(ツッコミと言ってもいいかもしれない)があったりして、一通りの楽しみだけではないこの一冊。

また第3弾が出るのかどうか分かりませんが、次はどんないきものたちが出てくるのか楽しみです。

へんないきもの

2006年01月28日 | レビュー
著者 : 早川いくを
定価 : 1,575円

この間、珍しいと言っていいような本のCMやってましたけど、それがこの本、「へんないきもの」
名前の通り、変な生き物を集めた本。
素人でも興味を覚えるようなキャッチフレーズではじまり、本文にしても生物学の教科書のような難しい言葉は一切使わず、あくまで一般人に「こんな面白い生態の生物がいるんですよ」と紹介してくれる。
中には絵本口調でとんでもない事をサラリと書いてあったりして堅苦しさは一切ない。
もちろん、文だけじゃどんな生物なのかは分からないのでちゃんとイラストレーションも入っていて、どんな形をしてるのかが一目瞭然。
ただし、ただのイラストだけではなくて、ちょっとジョークを聞かせたものもあってクスッと笑わせてくれる。
個人的にはプラナリアとラッコのページがオススメです。