水川青話 by Yuko Kato

時事ネタやエンタテインメントなどの話題を。タイトルは勝海舟の「氷川清話」のもじりです。

・「シャーロック」第3シリーズ The Sign of Three ネタバレあれこれの2

2014-01-28 22:02:39 | BBC「SHERLOCK」&Benedict Cumberbatch

前半から続きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→ 221B/シャーロック脳内の大講堂。「幽霊」とデートした女性たちに事情聴取。推理。「秘密があるだろう」というまで辿り着くが、そこで止まる。依頼人が「結婚式を楽しんでね」と。

→ 披露宴会場。

「——思えば、部屋にいた象の話の方が良かったですね。でもこの話からも、ジョンがいかに僕にとって不可欠かお分かりになると思います」

"I will solve your murder, but it takes John Watson to save your life." (僕はあなたの殺人を解決しますが、あなたの命を助けるにはジョン・ワトソンが必要です)
"Trust me on that, I should know, he's saved mine so many times in so many ways." 僕が保障します。彼は僕の命を何度も、色々な形で救ってくれたので。

「このブログは、2人の男の実に馬鹿げた冒険の記録です。殺人と謎と大騒ぎの。でもこれからは新しい物語、もっと大きい冒険が始まります」とスピーチを締めて、乾杯の発声に移ろうとする。皆さんどうぞご起立ください。今日からMary Elizabeth WatsonとJohn Hamish Watsonの冒険が始まります。この2人のために私たち全員は……。

シャーロック、グラスを……。


→ シャーロック脳内の大講堂。なぜ依頼人は「Hamish」と知っていたんだ。

 (ジョンのミドルネーム「Hamish」については、こちらでちょっと解説

Hamishがそんなに嫌いなら「John H. Watson」とか書かなきゃいいと思うけどJohnWatsonはよくある名前だから識別用に「H」が要ったのかなというのはともかくとして、「(ジョンが)僕に打ち明けてくれるまでに何年もかかりました」って嘘やん。出生証明書とりよせとる。

→ シャーロック脳内の大講堂。「The Womanは『Hamish』と知っていたが、今はどこにいるやら。頭の中から出ていけ、忙しいんだ!」 依頼人はジョンの披露宴招待状を見ていた。偶然かもしれないが。


→ 脳内でマイクロフトと登場
マ「何を言ってるんだシャーロック。What do we know about coincidences? (偶然といえば?)」
シャ「The universe is rarely so lazy.(宇宙はめったにそんなに怠けたりしない)」
(この出典なんだろ。アインシュタインの「God does not  play dice」に似てるけど)。

→ 披露宴会場。

シャーロック、何が起きているのか必死の推理。脳内マイクロフト「お前が部屋をコントロールしているんだ。それを手放すな」。

シャーロックが客の間を歩き始めてぺらぺらしゃべり始めるや、「何かあったんだ」と気づくジョン。
考えてるシャーロック、時間稼ぎに「I could go on all night about the depth and complexity of his jumpers」(彼のセーターの深さと複雑さについて、一晩中でも話し続けられる)。

「殺人だ」……しゃべりまくる合間にレストラードに「この場を封鎖しろ」とメールで指示。「Vatican cameos」とジョンに。「戦闘態勢だ」とジョン。「誰かが殺される」。


(Belgraviaで出てきてずっと気になっていたこの符丁の意味がやっと分かって、とてもすっきり)

「今日もいつもと同じだ。君のおかげだ、ジョン」
「どうすればいい」
『もうやってくれた。教えてくれた。探すのは犯人じゃない。大事なのは人名救出だ。誰が狙われてるのか探すんだ」


「もし結婚式で殺人が起きるとしたら、誰が狙われているのか。結婚式で人を殺すとしたら誰がいいでしょうね」
「今なら貴方が一番人気かもしれないわよ」とハドソンさん。

「ターゲットは誰か」、必死に考え続けるシャーロック。

 「幽霊」とデートした女性たちは同じ職場で働いている。

「僕はよく頭の体操として友達や同僚の殺人を計画するんです。たとえばジョンは毒殺。簡単だ。薬や化学物質を盛っても全然気づかない。レストラードも簡単だ。誰もまだ誘惑に屈してないのが不思議なくらいだ。兄は家の鍵を持ってるから、その気になったら侵入して絞め殺せばいい」

「たいがいの人はいつでも殺せる。ゆえに、ここでしか殺せない人とは誰でしょう?あまり表に出ない人。近寄るには何カ月も周到に準備をしなくてはならない人、わざわざ手間をかけてこの結婚式の会場に入り込まなくてはならないほど、接触の機会がない人」――という推理につながる。

ターゲットは………………ショルト少佐。

(シャーロック以上に「殺してやる」と脅迫されている人。新兵たちを死なせてしまった作戦の状況はよく分からないけど、なんか、辛いなあ……)

→ 披露宴会場。凶器はなんだ。「細いナイフだ!」とアーチー少年。大当たり。すごいぞアーチー! 君が正解だ! (ごほうびに首のないシスターの写真は見せてもらえたんだろうか) 


→ ショルト少佐は自室へ。

→ ショルト少佐の部屋前。シャーロック、ジョンとメアリ、死のうとしているショルト少佐をドア越しに説得。
少佐「命を狙われているとしても初めてじゃない。準備はできてる」
ジョン「少佐、いれてください」
メアリ「ドアを蹴破って」
少佐「ぜひともやめたほうがいい。私は銃を持ってる。不幸な反射神経を一生かけて培ってきてしまった」
シャ「そこにいても安全じゃない。あなたをねらうのが誰にせよ、鍵のかかった部屋はこの犯人を止められない」
少佐「見えないナイフを持った見えない犯人か」
シャ「手口が分からないので、止められない。ということは犯人はまたやるってことです」
少佐「じゃあ、解きなさい」
シャ「なんですって?」
少佐「君は有名なシャーロック・ホームズだろう。ほら。犯人の手口を教えてくれれば、ドアを開けてやる」

ジョン「お願いです。遊んでる場合じゃない。入れてください。危険です」
少佐「君もそこにいる限り、命が危ない。お願いだ。私をおいて離れてくれ。私は世間の評判はともかくとして、本当に、他人を巻き添えにするのはよろしくないと思っているんだから」

メアリ、シャーロックに「解きなさい」
シャ「え?」
メアリ「解いて。それで、少佐が言うようにドアを開けて」
シャ「いったいどうやったら今、解けるっていうんだ」
メアリ「今こそ、それが大事だからよ!」 
シャ「なにいってるんだ。彼女は何を言ってるんだ。自分の女房をどうにかしろ!」
ジョン「彼女の言う通りだ」
シャ「なんて変わりようだ!」
ジョン「いや、彼女の言うとおりだ。黙れ。
君はパズルを解ければそれで満足するような奴じゃない。前からずっとそうだ。君はdrama queen(目立ちたがりや)なんだ。この中に死にそうな男がいるんだ。The game is on. 解決しろ!」

正解が分かった後、メアリのおでこにキスしてからシャーロック、「実はジョンだってdrama queenなんだよ」「知ってるよ」。メアリのこの洞察力がだな……。

凶器はベルトごしに深く刺された細く長いナイフ。衛兵が狙われたのは、犯人の予行演習。

少佐「この制服に殺されるのか。なんてふさわしいんだ。こんなにも大勢の人が私の死を望んでいるんだ。抵抗するのはかえって行儀が悪いように思える。ホームズさん、君と私は似ているようだ。死ぬべき時があるとは思わないか。その時が来たら、受け止めるべきだ。軍人らしく」
シャ「もちろんだ。でも、ジョンが結婚する日にはダメだ。そんなこと絶対にやらない。僕たちはそんなこと、ジョン・ワトソンには絶対にしない!」
ジョン「このドアを蹴破るぞ」
メアリ「待って待って待って。しなくても大丈夫」

納得するショルト少佐 "I believe I am in need of medical attention."(医師に診てもらう必要があるように思う)
ジョン "I believe I am your doctor."(私がその医師だろうと思います) ともにすごいイギリス的な表現。


→ 披露宴会場。人前でダンスしなくてはならないし、ジャニーンはダンスがおそろしく下手なので練習。シャーロックは実はダンスが大好き。昔からずっと大好き。「得意のダンス技術が活用できる事件を待ってる」のだそう。それはどういう事件だろうと考え始めたら笑いが止まらなくなった。

→ シャーロックに言われてレストラードが結婚式のカメラマンを連れてくる。結婚式場でどこにでも出入りできる、道具入れを持ち歩くこともできるのは、カメラマン。ジョナサン・スモールが犯人(『四つの署名』より)。アフガニスタンで、ショルト少佐率いる部隊が壊滅した作戦で、家族を失ったので復讐(ジョナサン・スモールがショルト少佐に裏切られるのは『四つの署名』)


→ 披露宴のあとのダンスパーティー。新郎新婦のワルツに自作の曲を弾くシャーロック。最後のスピーチで「2人は今日、誓いを交わしたわけですが、僕は今まで何かを誓ったことなどありませんし今後するつもりもありません。なので今ここで、my first and last vow(最初で最後の誓いを)します。ジョンとメアリ。どんなに大変だろうと、何があろうと、僕は今後どんな時でも君たちのそばにいると誓います。どんな時でも。3人全員のそばに……じゃない、ごめん、2人、2人の。ごめん数え間違えた」。

「3人て?」「メアリの様子から一目瞭然だと。食欲増進、味覚が変わって、朝は気分が悪かった。結婚当日で気が立ってるんだって君は言ったけど、僕が指摘したら怒っただろう……兆候(sign)は揃ってる」「兆候? なんの」「3人の兆候だ(the sign of three)。メアリ、妊娠検査を受けるべきだと思う。妊娠初期の3カ月の統計は……」

ジョン「黙れ。ともかく黙れ
シャ「ごめん」
ジョン「なんでこいつが先に気づくんだ。僕は医者なのに」
シャ「今日の君はお休みだから」
ジョン「今日は君の休日だろう」
シャ「パニックするな」
ジョン「パニックなんかしてない」
メアリ「妊娠したのは私なんだから。パニックしてるよ」 
シャ「パニックするな。誰もパニックするな。パニックする必要なんか何もない」
ジョん「もちろん君にはお見通しってわけか」
シャ「そりゃそうだ。二人ともとっくに世界最高の両親なのに。さんざん練習してきたんだし」
ジョン「練習って?」
シャ「もうすぐ本当の赤ちゃんが生まれるんだから、もう僕はいらないだろう」

3人笑い。
(ここでメアリを見てシャーロックの表情が変わるのが気になるな……) 

シャ「踊れよ。2人で踊れよ。ここで突っ立ってるわけにいかないだろ。いったい何話してるんだってみんなが気にする」
メアリ「だってあなたは……」
ジョン「さすがに3人で踊るわけにもいかないし。物事には限度ってものが」
シャ「そりゃそうだ」
メアリ「ほらだんなさん、行こう」
ジョン「これはワルツじゃないんだな」
シャ「大丈夫だ、メアリ。僕が教えてたから」
ジョン「実はそうなんだ。ベイカー街でカーテンを閉め切ってね。ハドソンさんが入ってきたこともあって。あの噂はどうやって始まったものやら……」 


→ 新郎新婦がまた踊りながら離れていくと、ひとり残されるシャーロック。ジャニーンのもとへ行こうとするが、彼女は別の男と踊ってる。ダンスパーティーの賑わいをよそに、華やかな会場を後にしたシャーロック、コートの襟を立て、ひとり暗がりの中へ去っていく。

His Last Vowに続く。

 

(余談。「日常に放り込まれた天才=The Big Bang TheoryのSheldonだと比較しつこいですが、The Big Bang Theoryでも、レナードとペニーのカップルが天才だが対人スキルの乏しいSheldonを赤ちゃん扱いして「育てる」、擬似親子関係を築くというエピソードが何回か)

(余談。「The Empty Hearse」の兄貴とのやりとりについて前回書いたように、あそこでシャーロックは「ともだちのいないあんたと違って、ともだちのいる僕は『寂しい』という感情を知ってる」と言ってるに等しく、それはつまり「友達から孤立していたこの2年間、僕は寂しかった」と認めるに等しいと思ってる。そしてシャーロックがS2で「愛するということを知りました。愛すると自分が強くなれると」理解したんだとするなら、S3は今のところ、「愛することを知り、愛ゆえの寂しさ・孤独を知りました」って感じだろうか。なんとなく、ブラッドベリ/萩尾先生の「霧笛」を連想してる)

(追記。シャーロックが作った当日のスライドショーと、シャーロックが勝手に書き込んでるジョンのブログ。「知ってる? HoneymoonってほんとうはSex Holidayなんだよ。なんでSex Holidayって呼んじゃいけないのかなあ?」って9歳児か。そして、コメント欄のバカバカしいやりとり。さらに、「ジョンだったら聞いてくれるのに。ジョンはいつも何がどうなってて僕がどうやって割り出したのか、聞いてくれるのに」。あう)