11月歌舞伎座昼の部で「井伊大老」。
吉右衛門さんの直弼に、芝雀さんのお静の方。菊之助が昌子の方。
やっぱりこの方は名優だ……と惚れ惚れとした。意識と感情がぐわっと持っていかれた。人間国宝に向かって、そしてかれこれ数年、播磨屋さんを観てきて、なにもいまさら「名優だ」もないけど、でも今日も改めてそう思ったのだから仕方がない。
吉右衛門さんの「井伊大老」(北条秀司作) . . . Read more
岡本綺堂の「番町皿屋敷」、8年前に初めて観て、その近代的な心理描写の面白さにかなり衝撃を受けた。当時ここで感想を書き連ねてる。
関ヶ原の戦いからまだそうはたっていない17世紀半ば。戦国の世でなくなり戦場を失くした男たちが、熱の冷めやらぬエネルギーを喧嘩騒ぎに注ぎ込むしかなかった、ワサワサした時代。町奴と旗本奴の争いが物語の背景にあって、それは歌舞伎の「極付幡随長兵衛」でも描かれている。「幡随長兵 . . . Read more
3月8日午後、新宿の朝日カルチャーセンターで坂東三津五郎さん講演会。参加人数が多かったので会場は住友ホール(踊りの話題が中心だった2年前の講演会の様子はこちら)。
今回はメモをとったので(撮影録音は禁止)、自分の走るミミズ書きが解読できるうちに、文字にします。家元はもちろん、「です、ます」の丁寧な口調で話していらっしゃいました。以下はそれを聞きながらのメモなので、ぶっきらぼうな箇条書き的な文体に . . . Read more
なんという違いだろう。おそらく役者のではなく、観る側の。
吉右衛門さんと鷹之資くんの「連獅子」。初日2日後の4日にまず観た。その時はなぜか、深く入ってこなかった。むしろ、6月に観てこれは歴史的な素晴らしさなんじゃないかと感銘を受けた松嶋屋の仁左衛門・千之助の「連獅子」と比べてしまって、「うーん」と首をかしげていた。
それが千秋楽の今夜は! 幕が下りるころにはボロボロ泣いていた。嗚咽が漏れないよ . . . Read more
国立劇場で吉右衛門さんの綱豊卿。この場合、どうしても私の基準は仁左衛門さんになる。仁左衛門さんに詳しくない私は、仁左衛門さんに最もぴったりな役だと思っているので(初見した時、興奮してこちらに書いた)。
仁左衛門さんの綱豊卿が絶品だと思ったのは、その貴公子としての風格、泰然自若とした色気、将軍候補としての威厳、頭のいい殿様が頭で考えたあるべき「武士道」を語る空回りぶり、細かな細かな表情演技、そ . . . Read more
菊之助の「娘道成寺」を観た。観て良かった! 本当に観て良かった! なぜか。ただ単に素晴らしかったから。本当はそれだけで十分なはずだが、それに加えて、(1)本興行の舞台で独りで道成寺を踊れる女形がこれでひとり増えた、(2) ひとりの若い女形が、初めて本興行の舞台で独りで道成寺を見事に踊り切るという偉業を達成した、その姿を目撃することができた——から。つまり、歌舞伎 . . . Read more
新宿の朝日カルチャーセンターで、家元こと坂東三津五郎さんの講演会。
メモを取っていたわけではないので、うろ覚えで箇条書き。
・「踊りの愉しみ」(岩波書店)などで書いていらっしゃる、坂東流のそもそもや、ご自分がこれまでどういう風に修業してきたかについて。複数の本で書いていらっしゃる、10代のころのお師匠さんのエピソード(「私の教え方が悪いのでしょうか。ちっともおできになりません」と七代目の遺影に . . . Read more
新橋演舞場(昼の部)を観てきました。おめあては、家元こと三津五郎さんと息子・みっくんこと巳之助くんの親子連獅子。
もう家元の踊りの鮮やかなことは今更言うに及ばず。身体コントロールも相変わらず素晴らしい。全身の筋肉がさぞしなやかなんだろうなあ。みっくんもがんばってた! 手の動きがきれい!
そして何より、初めてこの舞踊の物語性がグワッと迫ってきた。なぜかというと、表情がよく見える前方席だったおかげ . . . Read more
さよなら歌舞伎座の記録に。自分が最後に歌舞伎座に入った4月27日、幕間に撮った写真をいくつか。ヘボ携帯で撮ってるので、ボケボケですが。
花道を出て行く時、あるいは花道を引っ込む時、役者さんの目に写っている光景に、とても興味があります。
さあ、これからだというこちらと(もちろん定式幕は開いてるはず)。
さあ、引っ込むぞというこちら。特にこれは、飛び六方前の光景なだけに(そのとき揚げ幕は開 . . . Read more
29日の修祓式と30日の閉場式の日に、私が歌舞伎座の周りをウロウロした話はTwitterでピーチクパーチクした通りです。
こちらでは、まだ書かずにいた、27日の1部2部。
結論から言うと、今月の「熊谷陣屋」は私にとっては、初見の3日の方が感動とか衝撃が深かったのだが、でも前回はたとえば熊谷ばかりみてしまって見逃した相模の表情とか、そのまた逆のパターンとか全体を見渡せて、堪能。
小次郎の顔をさ . . . Read more
あれよあれよあっという間に、歌舞伎座さいごの月、4月公演が始まってしまった。
今日3日に1部を観て、そして楽日前日の27日には1部と2部を(28日のラストは、役者さん後援会経由では全くとれない状態に)。
私にとっての1部のメインは、中村屋親子の「連獅子」ではなく(まじめに踊っていて素晴らしかった。勘三郎さん、やせたなー。お父さんそっくりになってきたなー。あと、胡蝶の差し金に小山三さん! お元気 . . . Read more
歌舞伎座3月と4月。
3月は五右衛門と、女暫の舞台番(巴御前は玉さん)。(南郷力丸もあるけど、これはまあ、ご愛嬌)
4月は、熊谷!!!!!!! 熊谷次郎直実で、歌舞伎座ファイナルですよ!!!(お坊吉三もあるけど、どうしようかなあ)
歌舞伎座の座組で久しぶりに興奮した。
ともかくもともかくもともかくも、4月はもしかしたら座組によっては行かないかも……とか思ってたのが一転。
熊谷ですか。最後の . . . Read more
歌舞伎座夜の部、「渡海屋」と「大物浦」みてきました。
吉右衛門さんの知盛、映像では見ていたけれども、ライヴは初めて。しかも、女房役は玉三郎さん! 観ながら何度も、先代と歌右衛門の舞台上の夫婦関係というのはこういう感じだったのかなと、それこそ何度も思う。そりゃ玉さんの相手役はニザさんがいいに決まってるけど、でもこういう武張った大きい役は仁左衛門さんより吉右衛門さんが圧倒的にいいとどうしても私は思う . . . Read more
七月になって着物は夏物に衣替え! 毎年のことですが、5~6月あたりの暑さ対策で何をどうしよう、もう単衣でいいだろうか、まだ胴抜き仕立てか、長襦袢で調節するか、襟は楊柳にするかもう絽でいいのか、はてさて……とあれこれ思い悩む必要がなくなり。夏物! 薄物! 問答無用!という明快さが気楽でいいです。
もう七月に入ったけど、まだ梅雨があけてないの? 気温もそんなに高くない(と私は思う)し。なので先日の日 . . . Read more
カレンダーにも放送予定を書き込んで、しっかり録画予約していったはずなのにーーーー、仁左衛門さん出演のスタジオパーク、なんで帰宅したら録画できてへんのやーーーー。なんでそんないけずしやんのやーーーーーーー。うわああああ。
録画予約せざるを得なかったのは会社だったから、ではなく、よりによってちょうどそのとき、歌舞伎座にいたから(なので誰も同情してくれない)。
吉右衛門さんとお兄さんの、楽しすぎるご . . . Read more