走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

端折れないもの

2022年03月17日 | 仕事
大きな地震がありましたね。朝一のニュースはこのところウクライナのことばかりだったのに、一番初めに “In Japan” と始まったのでラジオに近づき耳をかっぽじってドキドキしながら聴き入りました。被害に遭われた地域の1日も早い復旧を願います。

さて本題。先日の学会で学んだこと。テレヘルス(遠隔医療)が始まってからの苦情の一つで救急室や専門医からのもの

不適切な紹介の増加

何でも、問診だけで身体所見を取らずに専門医へ丸投げしているケース。専門医が必要なケースならまだわかるが、「うちでは対面診察をしないから救急へ行って」とか「専門医へ行って」これが増えたそうだ(もちろん専門医の中でもテレヘルス専門と看板に出して、対面が必要な疾患は断る輩も出てきた)。

まさに医療の質が低下してしまった状況。クリニックを持つと言うことは賃貸料がかかる。助手が必要な場合は人件費だってかかる。テレヘルスはそれらが不要。だから医師の中にはとっとと事務所を引き払って自宅から仕事をやり出したとか。

テレヘルスはコロナで始まったことではない。遠隔地が多いカナダではずっと前から行われていた。カレッジのレギュレーションに沿うように行ってきた歴史がある。それなのにコロナで一気にプラクティスのやり方を変える事態が起こりレギュレーションを守らず事務所を引き払って、それぞれが正しい、と思うやり方で始めたのが問題のようだ。

私はコロナ禍でも、まずはバーチャル診療をして、必要があればクリニックへ来てもらい身体所見をとっていた。以前にも書いたが診断の殆どが問診にかかっている。身体所見はその裏付け程度のもの。問診があまりに明らかすぎると身体所見を省いた時もあった。そして専門医から紹介状を読んで、しまった!と思ったのが、この2年の中で2回あった。

なので講演を聞いて、ちょっぴり胸が疼いた。

診断過程は端折ってはならない。これに限るのであった。




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