走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

タイムリーなケア

2020年03月11日 | 仕事

昨日の続き

この看護師さんがやってしまった緩和ケアの看護師としてやってはいけない事。その2は患者に救急へ行くように勧めた事。

本当の緊急事態で救急が必要だったのならわかります。しかし救急の理由が数週間前地元の救急で診断検査を十分してもらえなかったから、隣町の大きな病院の救急へ行けばもっと調べてもらえるはず、と勧めているのです。

数週間前の救急の経験は私の患者となる前の話です。一回だけ診察した医師がお手上げだから救急へ行ってくれ!と言われイヤイヤ行くと(このかたは病院嫌いなので)、長時間待たされた上に、救急医に「何しにきたの?家庭医に戻ってください」と言われた苦い経験。前にも書いたようの病院は生き死の分かれ目になるような人が行くところ。CTなどを早く撮ってもらうために利用するところではありません。

だから患者も姉も行きたくない!と看護師に言ったそうです。理解できます。しかしそのあと患者と姉に何が起こったと思いますか?

葛藤です。

前回の経験からも行きたくないけど、痛みのコントロールはできていない。やっぱり看護師が勧めるように行くべきだったか?しかし以前のような経験はしたくない、と。この看護師が訪問した金曜日から、私が訪問する月曜日まで二人は悶々と過ごしました。そしてその葛藤はヘルスケアシステムへの怒りに変わりました。月曜日の診察で二人を宥め、説明を聞いてもらい、何を優先的にするべきか、治療計画の説明などにどれだけ時間がかかったことか?!

些細な言葉でも局面にいる患者や家族にとっては爆弾のようになってしまいます。この看護師が必要だったのは、「プライマリーに連絡してみます」だったでしょう。

もし救急が必要な場合で緩和ケア患者の場合、事前に病院側と連絡を取ったり、直接入院の手続きをして、余計な苦痛を与えないようにします。それを行けばなんとかなるでしょう、と口にする事で患者を苦しめるとは、、、首を横に振りながらため息が出てしまいます。

今日は同じ患者の事で違う看護師からファックスが届きました。朝一で私は返信しました。このようなタイムリーな対応が一番物事をスムーズに進めます。変な解決策を上げるよりずっと効果的です。お互いの役割を認識してコミュニケーションを円滑に進める。チーム医療の鍵の一つです。

終わり


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