走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

服用

2020年06月17日 | 仕事
4月に新しい麻薬依存の治療薬がBC州で認証されました。既に認証されている錠剤の注射版です。錠剤は毎日舌下しなければなりませんが、注射薬は皮下注射で1ヶ月に一回の投与となります。毎日薬局へ服薬確認の為通う事が嫌で薬を辞めてしまう患者が多いので1ヶ月に一回と言う投与方法はアドヒアレンス(服薬を辞めない)が上がるとされ、研究結果も同様に示されています。

毎年、毎年夏になると麻薬系の免許関連の勉強をしている気分。今年はこれが加わります。しかし錠剤の方を既に済ませているので、以前のように長くはなりそうではありません。

で、こう言う形の薬を考える時、緩和ケアで看護師として働いていた時を思い出します。緩和ケアでは痛みがあるので麻薬を服用する。速攻性と徐放性の2種類があります。殆どの患者さんは服用回数が少ない方を好みますが、痛みに関してはそうではない場合があるのです。徐放性の薬だと1日2〜3回の服用。速攻性だと1日4〜6回服用。後者を望む人もいるのです。なぜかと言うと痛みがある時に服用する。つまり痛いと感じている時に何かをしている、と感じる事ができるからです。人間にとって何かをしている、と感じることは重要です。

で、新薬の話に戻って、薬物依存患者の中には毎日服用することで、「以前のように違法麻薬を求める必要はない」「あの頃には戻らない」など自分自身で認識できる効果を言う人もいます。

なのでこの新薬も誰もにとって救世主になるわけではない。処方する前に今のエビデンスを話し、患者がどうしたいか話す事が大事だよな、と思うのであった。


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