走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

日本にはない医療の形 おまけ

2021年01月02日 | 仕事
シリーズは昨年で終わらせましたが、おまけ編で少し補足を。

治療の事を治す医療と書きました。病気を治す事が目的ですが、治せなくてもほぼ健康な状態を保ち日常生活を送れるようにする事も治療に含まれます。例えば1型の糖尿病はインスリンを自己生産する事ができない病気です。1型の糖尿病そのものは治せませんが、インスリン投与により普通に日常生活が過ごせます。癌も昔は不治の病でしたが、治療技術の発達で完治もしくは寛解期に持っていく事が出来るようになりました。このように治せなくても日常生活が送れる、健康状態を維持していける場合は治療と呼びます。心不全や呼吸不全、腎不全も同じ事が言えます。

しかし病状が進行し、一時的ではなく恒久的に日常生活が送れなくなった時に(例えば仕事へ行く、家事をする、自立して日常生活が行える)、治療を継続するかどうか考え直す人は多くいます。それがACPです。

愛する人が生きてさえいれば、、、と殆どの人が思います。寝たきりでも良い、意思の疎通ができなくてもと。しかし私はそんな状態で生きていくのは嫌。人のお世話になるぐらいだったら、、、と思う人もいます。人の生に関する願いはそれぞれ。それを治療計画に反映するのがACPなのです。誰の意見でもなく自分の選んだ自分の生きる道。考えてみませんか?

自分の最期を考える

考えたあとは家族に伝えてください。そうでないと家族は貴方の気持ちを知る事もないので、しゃべれない貴方の代弁者として貴方の希望とは全く違う生き方を医療者に伝えてしまうかもしれません。BC州だと書面は一年毎に更新しなければなりません。家族に口頭で伝えるのなら家族全員集めてする事で、家族内での悶着を防げます。

以前にも書きましたがACPは人生の最後に出来る家族への最高のプレゼントです。
アドバンスド ケア プラン 貴方の人生の主役は貴方。貴方にしかできない人生の計画です。


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