走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

依存 その2

2015年03月01日 | 仕事
依存のスペクトラムは下記のように4つになっている。



Beneficial use
Casual/non problematic Use
Problematic use
Chronic dependence

Beneficial use
とは薬物を使用することで健康や社会的に利益を得ている状態。例えは前回書き上げたもの。仕事の効率を上げたり、社交性を上げたり。
Casual/non problematic use
は嗜好品として使用。特に健康や社会的な害を加えない程度。
Problematic use
は健康や人付き合い、社会的に害を及ぼすほどの使用。
例えば、飲酒運転、薬物から影響を受けている間の運転で事故を起こす。
普段は良い人なのにお酒が入ると暴力を振るう。
仕事に遅れる、無断休暇、
引きこもり
Chronic dependence
は健康や社会的な害があるとわかっていてもやめられない状態。制御が効かず欲する時に強く欲しがるようになる。これまではポジティブリワーディングだったのにネガティブリワーディングになり、薬剤を使用しても同じような効果が得られず、もっともっとと使用量が増えていく(これが致死量になるほどの量を取ってしまい命を落とす原因)。

昔はコーヒー1杯で徹夜ができたのに10杯飲んでも効かないしイライラもひどくなったよーなんていうのがこれに当たる。

Chronic dependenceまでになるとドーパミンなど神経の回路がかなり変化してきているので、強い意思で辞めれるようなものではない。ヘロインの使用はここまで来るのに2ー3日もかからない人もいる。それ位習慣性が高いのだ。

アメリカの統計によると2011年に40000人がOD(致死量を摂取) で死亡し、そのうち22000人が処方薬によるもので、コカインとヘロインを合わせたそれより多い。

処方箋を書く医療者はこれを真摯に受け止めるべきだと思う。

最後に昨日の答えは?No。依存ではありません。




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