走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

悔やんでも

2021年10月09日 | 仕事
診断治療をするものにとってマントラ的なものがある。以前書いたものはこちら

で、頻回に起こる診断、簡単に治療できる診断をつけるのが圧倒的に多いのですが、アウトライヤー、シマウマと呼ばれる、確率の低い、珍しい診断に行き着くこともあります。それなりのプロセスを踏んでそこへ行き着くわけですが、たっぷりと時間をかけることが許されない場合もあります。そのために救急は存在している。診断機器へのアクセスがあるから次々鑑別診断を打ち消して(沢山ある診断の中から消去法)いくことで鑑別診断を狭めていくことができるのだ。

で、救急室へ行くことを断固拒否した彼は5週間かかって診断へ行きつきました。3人目の専門医から連絡をもらった時には足が震えました。一生障害が残るからです。たまらなくなって同じクリニックの医師にケースを聞いてもらう。医師は美加はベストを尽くした。悔やむことはないよ。難しいケースで最初の専門医だって確定診断がつけられなかったからプライマリーケアで1発で診断できたら奇跡だよ。それにちゃんとフォローアップもしてたんだから。僕だったらそこまでしてなかったと思う、と。自分を責める必要はないのは十分わかっているが、もっと早く診断できていたら、、、、と心が痛む。

この領域で仕事をする難しさを、いえ怖さを改めて感じました。

冒頭写真: 車窓越しの雨に濡れた木


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